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Earth Song - Michael Jackson 【和訳・解説】

Artist: Michael Jackson

Album: HIStory: Past, Present And Future - Book I

Song Title: Earth Song

概要

1995年発表のアルバム『HIStory: Past, Present And Future - Book I』に収録された本作は、マイケル・ジャクソンがキャリアを通じて訴え続けた環境保護と平和への祈りを、かつてない壮大なスケールで昇華させたポリティカル・アンセムの最高傑作である。当初は『Dangerous』制作期に「What About Us」という仮題で書き下ろされたが、熟成期間を経て本作に収録された。ブルース、ゴスペル、オペラを融合させたドラマチックな構成を持ち、悲哀に満ちた静かなバラードから、後半の怒濤のシャウトとクワイアの掛け合いへと至る展開は圧巻だ。単なる「エコソング」にとどまらず、戦争、動物の搾取、宗教対立など人類の愚行を痛烈に告発しており、預言者のようなペルソナを纏ったマイケルの悲痛な叫びは、リリースから数十年が経過した現代社会においても全く色褪せることなく、むしろ予言的な重みを増して響き続けている。

和訳

[Verse 1]

What about sunrise? What about rain?
日の出はどうなってしまった?雨はどうなんだ?

What about all the things that you said we were to gain?
俺たちが手にするはずだった、あらゆるものはどうなってしまったんだ?
※ここでの「you(あんた)」は、政府や権力者、あるいは神そのものを指していると解釈されている。我々に約束されたはずの豊かさや平和への疑問を投げかけている。

What about killing fields? Is there a time?
キリング・フィールドはどうなんだ?希望の時はあるのか?
※「キリング・フィールド(死の野原)」はカンボジア大虐殺の処刑場を指す言葉だが、ここでは人類が引き起こす無数の凄惨な戦場全体へのメタファー。命を育むはずの「野原」が「殺戮」の場に変わってしまった残酷な皮肉を込めている。

What about all the things that you said was yours and mine?
あんたが「お前のものだ、俺のものだ」と言っていた、あらゆるものはどうなってしまったんだ?

[Pre-Chorus]

Did you ever stop to notice
立ち止まって気づいたことはあるか?

All the blood we've shed before?
俺たちがこれまでに流してきた、夥しい血の量に

Did you ever stop to notice
立ち止まって気づいたことはあるか?

This crying Earth, this weeping shore?
この地球が泣き叫び、海岸がむせび泣いていることに

[Chorus]

Ah, ah-ah

Ooh, ooh-ooh

Ah, ah-ah

Ooh, ooh-ooh

[Verse 2]

What have we've done to the world? Look what we've done
俺たちは世界に対して何てことをしてしまったんだ?自分たちのしでかしたことを見てみろ

What about all the peace that you pledge your only son?
あんたがたった一人の息子に誓った平和はどうなってしまったんだ?
※ファンの間では、"only son"はキリスト教における神の独り子(イエス・キリスト)を指すという解釈と、国のために戦争に駆り出される無垢な若者たちを指すという二つの解釈がある。いずれにせよ、救済や平和の約束が果たされない現実への深い絶望である。

What about flowering fields? Is there a time?
花咲く野原はどうなってしまった?時間はまだ残されているのか?

What about all the dreams that you said was yours and mine?
あんたが「お前のものだ、俺のものだ」と語っていた、あらゆる夢はどうなってしまったんだ?

[Pre-Chorus]

Did you ever stop to notice
立ち止まって気づいたことはあるか?

All the children dead from war?
戦争で死んでいったすべての子供たちのことに

Did you ever stop to notice
立ち止まって気づいたことはあるか?

This crying Earth, this weeping shore?
この地球が泣き叫び、海岸がむせび泣いていることに

[Chorus]

Ah, ah-ah

Ooh, ooh-ooh

Ah, ah-ah

Ooh, ooh-ooh

[Bridge]

I used to dream
かつては夢を見ていた

I used to glance beyond the stars
かつては星の彼方を見つめていた

Now I don't know where we are
今はもう、俺たちがどこにいるのかさえ分からない

Although I know we've drifted far
遠くへ流されてしまったことだけは分かっているのに
※「Moonwalker」として宇宙的な視野を持っていたマイケルが、自らが愛した地球の変わり果てた姿に直面し、人類の立ち位置を見失うという悲哀の表現。

[Chorus]

Ah, ah-ah

Ooh, ooh-ooh

Ah, ah-ah

Ooh, ooh-ooh

Ah, ah-ah

Ooh, ooh-ooh

Ah, ah-ah

Ooh, ooh-ooh (Hey, yeah)

[Breakdown]

What about yesterday? (What about us?)
過去はどうなってしまった?(俺たちはどうなるんだ?)
※ここからゴスペルクワイアとのコール・アンド・レスポンス。クワイアの「What about us?(俺たちは/我々はどうなるんだ?)」は、虐げられた自然や動物、そして地球に取り残された人類の悲痛な代弁である。

What about the seas? (What about us?)
海はどうなってしまった?(俺たちはどうなるんだ?)

Heavens are falling down (What about us?)
天が崩れ落ちてきている(俺たちはどうなるんだ?)

I can't even see (What about us?)
目の前すら見えないんだ(俺たちはどうなるんだ?)

What about Africans? (What about us?)
アフリカの人々はどうなんだ?(俺たちはどうなるんだ?)
※当時のルワンダ紛争やアパルトヘイト政策の爪痕、また欧米列強による歴史的な搾取に対する強烈な告発。

I ain't even through (What about us?)
俺はまだ言い終わっちゃいないぞ(俺たちはどうなるんだ?)

What about nature's worth? (Ooh)
自然の価値はどうなってしまったんだ?(ああ)

It's our planet's womb (What about us?)
それはこの地球の母胎じゃないか(俺たちはどうなるんだ?)
※自然環境を「命を産み出す子宮(womb)」と表現。環境破壊が単なる資源の枯渇ではなく、生命の源そのものを殺しているという痛烈な批判。

What about animals? (What about it?)
動物たちはどうなんだ?(どうなってしまったんだ?)

Turned kingdom to dust (What about us?)
アニマル・キングダムを灰燼に帰してしまった(俺たちはどうなるんだ?)

What about elephants? (What about us?)
象たちはどうなんだ?(俺たちはどうなるんだ?)
※象牙目的の密猟による絶滅の危機に対する具体的な言及。

Have we lost their trust? (What about us?)
俺たちは彼らの信頼を失ってしまったのか?(俺たちはどうなるんだ?)

What about crying whales? (What about us?)
泣き叫ぶクジラたちはどうなんだ?(俺たちはどうなるんだ?)

Ravaging the seas? (What about us?)
海を荒らし回って(俺たちはどうなるんだ?)

What about forest trails? (Ooh)
森の小道はどうなってしまったんだ?(ああ)

Burnt despite our pleas (What about us?)
俺たちの嘆願も虚しく燃やされてしまった(俺たちはどうなるんだ?)

What about the holy land? (What about it?)
聖地はどうなんだ?(どうなってしまったんだ?)

Torn apart by greed? (What about us?)
欲望のせいで引き裂かれてしまった(俺たちはどうなるんだ?)
※中東問題など、宗教的・領土的欲望によって血で血を洗う争いが続く「聖地」という言葉の矛盾を突いている。

What about the common man? (What about us?)
市井の人々はどうなんだ?(俺たちはどうなるんだ?)

Can't we set him free? (What about us?)
彼らを解放してやることはできないのか?(俺たちはどうなるんだ?)

What about children dying? (What about us?)
死にゆく子供たちはどうなんだ?(俺たちはどうなるんだ?)

Can't you hear them cry? (What about us?)
彼らの泣き声が聞こえないのか?(俺たちはどうなるんだ?)

Where did we go wrong? (Ooh)
俺たちはどこで間違ってしまったんだ?(ああ)

Someone tell me why (What about us?)
誰か理由を教えてくれ(俺たちはどうなるんだ?)

What about baby boy? (What about it?)
無垢な赤ん坊はどうなるんだ?(どうなってしまったんだ?)

What about the days? (What about us?)
かつての日々は?(俺たちはどうなるんだ?)

What about all their joy? (What about us?)
彼らのすべての喜びはどうなるんだ?(俺たちはどうなるんだ?)

What about the man? (What about us?)
人間ってやつは一体どうなんだ?(俺たちはどうなるんだ?)

What about the crying man? (What about us?)
泣き叫ぶ人間はどうなんだ?(俺たちはどうなるんだ?)

What about Abraham? (What about us?)
アブラハムはどうなんだ?(俺たちはどうなるんだ?)
※ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の共通の父祖であるアブラハムを引き合いに出している。同じルーツを持つはずの宗教がなぜ殺し合うのかという根源的な問いであり、人類を救わない神への失望とも解釈されている。

What about death again? (Ooh)
そしてまた死が繰り返されるのか?(ああ)

Do we give a damn?
俺たちは少しでも気にかけているのか?
※"give a damn"は「関心を持つ」「気にかける」。これだけの惨状を前にして、我々は本当に憂いているのかという、マイケルから全人類、そしてリスナー自身へと突きつけられた鋭い刃。

[Outro]

Ah, ah-ah (Hoo, hoo, hoo, hoo)

Ooh, ooh-ooh (Hoo, hoo, hoo, hoo)

Ah, ah-ah (Hoo, hoo, hoo, hoo)

Ooh, ooh-ooh