Artist: Ol’ Dirty Bastard (feat. Pharrell Williams, Chris Rock & Zu Keeper)
Album: Nigga Please
Song Title: Recognize
概要
1999年にリリースされたOl' Dirty Bastard(以下ODB)の2ndソロアルバム『Nigga Please』に収録された本作は、ヒップホップ史における異端の傑作である。特筆すべきは、当時プロデューサーとして頭角を現し始めたThe Neptunes(Pharrell WilliamsとChad Hugo)による未来的かつミニマルなファンク・ビートと、ODBの常軌を逸した荒々しいフロウの融合だ。冒頭ではコメディアンのChris Rockが参加し、ODBがセルアウトした商業的ラッパーとは対極にいる、本物のストリートの狂気であることを宣言する。Pharrellの滑らかなコーラスがODBの「ピンプ」としての絶対的なペルソナを際立たせ、後半には彼が率いるクルーBrooklyn ZuのZu Keeperもドープなバースを蹴る。90年代ニューヨーク・ブーンバップの泥臭さと、2000年代以降のメインストリームを席巻するネプチューンズ・サウンドが奇跡的なバランスで交差した、ODBの特異なカリスマ性を象徴する一曲である。
和訳
[Intro: Chris Rock & Ol' Dirty Bastard]
Yo, yo, this is Chris Rock
ヨー、ヨー、クリス・ロックだ
You heard my man
ダチが言ってたのを聞いただろ
He ain't on no commercial shit
こいつは商業主義のクソみたいな音楽なんてやらねえ
The O.D.B
O.D.B.だ
It ain't the Young D.B
ヤング・D.B.じゃねえぞ
It's the Ol' D.B
オールド・D.B.だ
That old shit
あの昔ながらのヤバいやつさ
This ain't the embry-O.D.B
まだ胎児のエンブリオ・D.B.でもねえ
This is the Ol' mothafuckin' D.B
これが正真正銘、クソヤバいオールド・D.B.だ
I'm Chris Rock, I'm chillin' with the O.D.B
俺はクリス・ロック、O.D.B.と一緒にチルしてるぜ
So I'm the wrong place, at the wrong mothafuckin' time
つまり俺は、とんでもなく間違った場所で、間違った時間に
With the wrong mothafuckin' man
とんでもなくヤバい男と一緒にいるってことだ
The O.D.B., baby
O.D.B.だぜ、ベイビー
All y'all niggas talkin' bout commercial song
お前らはみんなセルアウトした商業曲の話ばっかりしてるが
This ain't no commercial song
これはそんなお遊びの曲じゃねえ
Straight up, nigga, what?
マジな話だぜ、なあ?
[Chorus: Ol' Dirty Bastard & Pharrell Williams]
Y'all niggas can't fuck with me
お前らじゃ俺には敵わねえよ
All y'all niggas lovin' me
お前ら全員俺に夢中だろ
(Mister courageous O.D.B
恐れ知らずのミスター・O.D.B.
You need to recognize he's a P-I-M-P
あいつがガチのピンプだってことを認めなきゃな
※「P-I-M-P」はポン引きを意味するが、ヒップホップにおいてはストリートを支配する権威ある男、ハスラーとしてのステータスを示す。Pharrellの洗練されたコーラスが、ODBのダーティなキャラクターに逆説的な王者の風格を与えている。
You need to recognize)
ちゃんとわからせねえとな
[Chorus: Ol' Dirty Bastard & Pharrell Williams]
Yo, what's my name? (You need to recognize)
ヨー、俺の名前は何だ?(わからせねえとな)
Shut the fuck up! (You need to recognize)
黙りやがれ!(わからせねえとな)
I bring the mothafuckin ruckus
俺がクソみたいな大騒ぎを巻き起こしてやるよ
※Wu-Tang Clanの歴史的デビューアルバムの1曲目「Bring Da Ruckus」からのセルフオマージュ。彼が常にシーンの破壊者であり、Wu-Tangの狂気の核であることを誇示している。
(You need to recognize) C'mon punk ass niggas
(わからせねえとな)来いよ、クソッタレ共
Uh, nah, nah, I'm just fuckin wit'chall, uh-huh
あー、いやいや、ただお前らをからかってるだけだぜ、アハハ
[Verse 1: Ol' Dirty Bastard (Zu Keeper)]
Who get drunk at night till the early morn'?
夜から明け方まで酔っ払ってるのは誰だ?
Tap dances at the party like it's goin' on
パーティーじゃ最高に盛り上がってタップダンスを踊るぜ
Bitches and niggas laying around, scopin' each other down
女も男もそこら中に転がって、お互いを値踏みしてる
I'm takin' pictures at y'all at the fuckin lounge
俺はラウンジでお前らの写真を撮ってやってるぜ
Mad niggas was, gettin' drunk at the bar
怒り狂った連中がバーで酔い潰れてたな
I'm throwin' Moet bottles, ha, ha, ha, ha, ha, ha
俺はモエのボトルを投げつけてやるよ、ハハハ!
※「Moet(モエ・エ・シャンドン)」は高級シャンパンの代名詞。成功の象徴であるシャンパンを浴びるように飲むのではなく、人に投げつけるというODB特有の破滅的でクレイジーな振る舞いを描いている。
It's rowdy outside, I ain't signin' shit
外は騒がしいが、俺はサインなんか一つもしてやらねえよ
Don't flow bitch, I take your microphone
ラップすんなクソ女、お前のマイクは俺が奪ってやる
You party bitches fallin' in line
パーティー好きのビッチ共が列を作ってるぜ
With your fat ass stinkin' behind
そのデカくて臭えケツを揺らしながらな
You don't know who the fuck is here
お前ら、ここに誰がいるのか分かってねえだろ
I back smack your ass, make pressure appear
裏拳でケツを引っぱたいて、プレッシャーをかけてやる
Cause cold Lucky knockin' at your door
冷酷なラッキーがお前のドアをノックしてるからな
I dedicate that to your source
お前らの情報源にそれを捧げてやるよ
※「Your source」はヒップホップの権威的雑誌『The Source』を指すダブルミーニングの可能性が高い。メディアやシーンの権威に対しても己のスタイルを突きつけるというスタンス。
Cause this (nigga please) is dirty and it's stinkin'
だってこのスタイルはとにかく汚くて、悪臭を放ってるからな
Funkier than (Pepé Le Pew, so I was thinkin')
ペペ・ル・ピューよりもファンキーに臭うぜって思ってたのさ
※「Pepé Le Pew(ペペ・ル・ピュー)」はルーニー・テューンズに登場するスカンクのキャラクター。ODB自身の異名「Dirty(汚い)」と、ヒップホップにおける「Funky(ドープな、強烈な)」という最高の褒め言葉を、スカンクの悪臭にユーモラスに掛けている。
I drop you mothafuckin' niggas on the (c'mon)
お前らクソ野郎共をぶっ倒してやるよ
(Lettin' you know that) bitch nigga don't start
(教えてやるが)ビッチな野郎はちょっかい出してくんじゃねえ
You thought that I was weak? Huh, let me speak
俺が弱いとでも思ったか? はっ、俺に喋らせろ
My rhymes come funkier than your grandfather's feet
俺のライムはお前のじいちゃんの足の裏よりファンキーだぜ
So listen, mister, don't you ever forget
だからよく聞け、絶対に忘れるな
Rhyme dirty, you couldn't even clean it with Comet
俺のライムは汚えから、コメットを使っても綺麗にはできねえよ
Or even Purex, some tried Ajax
ピュレックスでも無理だ、エイジャックスを試した奴もいたがな
※Comet、Purex、Ajaxはいずれもアメリカでポピュラーな強力家庭用洗剤のブランド。どんな強力な洗剤を総動員しても落とせないほど自分のラップスタイルが「Dirty(ダーティ)」であるという、極めてヒップホップ的な言葉遊び。
Only mix with the back, get this track
裏側でミックスして、このトラックを喰らうだけさ
[Chorus: Ol' Dirty Bastard & Pharrell Williams]
Y'all niggas can't fuck with me
お前らじゃ俺には敵わねえよ
All y'all niggas lovin' me
お前ら全員俺に夢中だろ
Mister courageous O.D.B
恐れ知らずのミスター・O.D.B.
You need to recognize he's a P-I-M-P
あいつがガチのピンプだってことを認めなきゃな
You need to recognize, you need to recognize
ちゃんとわからせねえとな、思い知らせなきゃな
You need to recognize, niggas need to recognize
わからせねえとな、お前らも認めるべきだ
Uh-huh, uh-huh
Uh-huh, uh-huh
[Verse 2: Ol' Dirty Bastard (Zu Keeper)]
Sweet girl, sweet girl
可愛いベイビー、いい子だ
Each and every day-a, each and every way-a
来る日も来る日も、どんなやり方でもな
See you niggas, most of your strayers
お前らを見てみろ、ほとんどが道に迷った連中だ
Stray off from a thing, civilization-a
お前らは文明ってやつから逸脱した迷子なんだよ
Don't understand the true nation-a
真の国家ってものをまるで理解してねえ
※ヒップホップの精神的支柱の一つである「Five-Percent Nation(ネーション・オブ・ゴッズ・アンド・アースズ)」の教義に基づいた表現。真理(Civilization)を知らない大衆を、無知で道に迷った「85%の人々(85ers)」として扱っている。
It go back like coal ovens and ice boxes
石炭オーブンや氷箱の時代みたいに昔の話さ
(Murder Avenue L trains, Broadway blackouts
マーダー・アベニューのLトレイン、ブロードウェイの大停電
※ここからBrooklyn ZuのメンバーであるZu Keeperのバース。ブルックリンの治安が悪かった時代のマートル・アベニュー(Myrtle Avenue)を「Murder(殺人)Avenue」と呼ぶ地元特有のスラング。さらに1977年に起きたニューヨーク大停電(暴動と略奪が起き、ヒップホップの機材がストリートに溢れたことで文化が爆発的に広まる契機となった事件)を引き合いに出し、彼らのルーツの過酷さを語っている。
Brooklyn Zu keep history, fam shake the trends
ブルックリン・ズーが歴史を刻み、ファミリーがトレンドを揺るがす
Five-hundred years of hard-working bodies
500年もの間、肉体を酷使して働き続けてきたんだ
※アメリカ大陸における黒人奴隷制度の歴史から現代に至るまでの苦難の歴史を指している。
Voicebox hits the shotty
ショットガンが声帯を吹き飛ばすぜ
I move in parties, stickin' hotties
俺はパーティーを動き回り、イイ女をモノにする
And all you fake mob Gotti's, I push your skirt up
偽物のマフィア気取りのゴッティ共、お前らのスカートを捲り上げてやるよ
※90年代後半にNYで大流行した「マフィオソ・ラップ(マフィア映画に影響されたラップスタイル)」のトレンドや、実在のマフィアのボス、ジョン・ゴッティを気取るフェイクなラッパーたちを痛烈にディスし、女扱い(スカートを捲る)している。
My shit's so bad I wipe my ass with a burner)
俺のスタイルはヤバすぎて、拳銃でケツを拭くレベルだぜ
※「Burner」は銃を意味するストリートの隠語。便所の紙の代わりに熱い銃で尻を拭くという、常軌を逸したハードコアなセルフボースト。
Picking up the pieces! (I said)
バラバラになった破片を拾い集めな!(俺はそう言ったんだ)
[Chorus: Ol' Dirty Bastard & Pharrell Williams]
Y'all niggas can't fuck with me
お前らじゃ俺には敵わねえよ
All y'all niggas lovin' me
お前ら全員俺に夢中だろ
(Mister courageous O.D.B
恐れ知らずのミスター・O.D.B.
You need to recognize he's a P-I-M-P
あいつがガチのピンプだってことを認めなきゃな
You need to recognize, you need to recognize
ちゃんとわからせねえとな、思い知らせなきゃな
You niggas need to recognize, look, uh-huh, uh-huh)
お前らも認めるべきだ、見ろよ
Y'all niggas can't fuck with me
お前らじゃ俺には敵わねえよ
All y'all niggas lovin' me
お前ら全員俺に夢中だろ
(Mister courageous O.D.B
恐れ知らずのミスター・O.D.B.
You need to recognize he's a P-I-M-P
あいつがガチのピンプだってことを認めなきゃな
You need to recognize, you need to recognize
ちゃんとわからせねえとな、思い知らせなきゃな
Bitches and niggas'll recognize
女も男も全員認めざるを得ないのさ
Look, uh-huh, uh-huh, uh-huh
Uh-huh, uh-huh, uh-huh)
