Artist: Ghostface Killah (feat. Raekwon & Method Man)
Album: Ironman
Song Title: Wu Will Survive
概要
Ghostface Killahのソロデビュー作『Ironman』(1996年)の終盤を飾る本作は、タイトルが示す通りWu-Tang Clanの不変の結束と生存能力を誇示するアンセムである。プロデューサーのRZAは、Gloria Gaynorのディスコ古典「I Will Survive」のフレーズをサンプリングではなく、Force MDsのメンバーであるAntoine Lundyに歌わせる(インターポレーション)ことで、Wu-Tang流のダークでザラついた質感に再構築した。Raekwonの切れ味鋭い「調理師(Chef)」ラップ、Ghostfaceの抽象的かつバイオレントな描写、そしてMethod Manの圧倒的なカリスマ性とライム・デリバリーが完璧に融合している。1990年代半ば、急激な商業化が進むヒップホップ・シーンにおいて、彼らが依然としてストリートの「核」であり続けることを宣言した重要作だ。ビートの低域を強調したミックスと、マフィオソ・スタイルが色濃く反映されたリリックは、当時のニューヨーク・ハードコアの頂点を示している。
和訳
[Intro 1: Antoine Lundy & Streetlife]
Wu-Tang will survive, no no you know now
ウータンは生き残るぜ、お前も今なら分かってるだろ
The Wu-Tang will survive
ウータンは生き残るんだ
'Cause every time they flip a party
奴らがパーティーを盛り上げるたびに
You know the party screams and shouts
パーティー会場は絶叫と怒号に包まれる
'Cause you... Damn! Aw, TC that was the bomb...
だってお前は…クソッ!おいTC、今のは最高だったぜ…
※「TC」は、この曲のエンジニアでありWu-Tangの制作を支えた重要人物、Tony Smaliosを指している。
[Intro 2: Raekwon]
Get all my peoples, get all my peoples headphones
俺の仲間全員に、全員にヘッドフォンを渡せ
All of 'em, lay 'em a death warrant
あいつら全員に、死刑執行令状を突きつけてやるぜ
Aaaah, yo, show it off, kid, show 'em. What? What?
ヨォ、見せつけてやれ小僧、奴らに見せてやるんだ。何だ?何だ?
Let 'em have it, bust it, ayo, ayo
食らわせてやれ、ブチかませ、エイヨ、エイヨ
[Verse 1: Raekwon]
Blend wine, who wanna win mine?
ワインを混ぜ合わせる、俺の勝利を奪いたい奴は誰だ?
Shorty get a ten-round for floatin' with the richest, huh
金持ちとつるんで浮かれてる女には、10発の弾丸を食らわせてやるぜ、ハァン
Flexed out, Flintstones style
派手にキメるぜ、フリントストーン・スタイルでな
※アニメ『原始家族フリントストーン』のように、野性的で原始的なパワー、あるいは車を足で漕ぐような荒々しいフッドの動きを暗示している。
Your criminal pen pal kidnapped Loud, jetted the
お前の犯罪者の文通相手がLoudレコーズを誘拐し、飛び出した
Mozayan posin' for them niggas up in Poland
ポーランドの奴らのために、モザヤンがポーズを決めてる
※「Mozayan」はRaekwon特有の造語、あるいは高級な宝石やブランドを指す暗号的表現。世界規模(ポーランド)で自分たちの影響力が広がっていることを誇示。
Rollin' waxed out museum, G 'em
ワックスのかかった美術館の中を転がし、奴らから金を奪う
Them richest niggas bless this like Russian cut VVS's
最高の金持ちたちが、ロシア産のVVSダイヤみたいにこれを祝福するぜ
※VVSはダイヤモンドの透明度を示す最高級のグレード。Raekwonのリリックの純度が高いことの比喩。
Slide the hatchback, black, word, finessin' this
ハッチバックを滑らせろ、黒のな。マジだ、華麗に捌いてやるよ
Them niggas over there know, Gazelle goggles and them Lottos
あそこにいる奴らは分かってる、ガゼルのゴーグルとロットの靴だ
※「Gazelle」はカザール(Cazal)のアイウェア、あるいはアディダスのガゼルを指し、「Lotto」は当時のストリートで人気のあったスポーツブランド。80年代後半のオールドスクールな美学への言及。
'88 style throwin' bottles (Bottles)
88年スタイルで瓶を投げつけるのさ
Scenario rap, imperial material (Uh, yo, yo, yo, yo)
シナリオ通りのラップ、帝国のマテリアルだ
Yo, dunn, dunn, murderin' cats is like that real
ヨォ、ダン、ダン。他の奴らを仕留めるのは、これくらいリアルなことなんだ
[Verse 2: Ghostface Killah]
Yo, come do me something, word to Michelob, peep the Land Rov'
ヨォ、かかってきてみろ、ミケロブに誓って、このランドローバーを見な
※「Michelob」はアメリカのビールブランド。
Sleeper hold club faggots, lay your dome on a stove
クラブにいる軟弱な野郎どもをスリーパーホールドで締め上げ、コンロの上に頭を乗せてやるぜ
It's like space kid, the whole world is pitch black, granola rap
まるで宇宙だぜ、世界中が真っ暗だ。健康志向のグラノーラ・ラップなんてクソ食らえだ
※「granola rap」は、過度に意識が高い、あるいはソフトすぎるラップに対するGhostfaceなりの蔑称。
Dough got smaller, famous team walked up in Fotomat
取り分が減りやがった、有名なチームがフォトマットに乗り込んだぜ
※「Fotomat」はかつてのアメリカのドライブスルー式写真現像所。暗室や密室での取引、あるいは証拠写真を巡るハスリングを暗示。
Black down, numerous rounds, boots is brown
黒ずくめの格好、大量の弾丸、ブーツは茶色だ
Getaway driver–this white bitch from out of town
逃走用のドライバーは、街の外から来た白人の女だ
We love horse races, shakin' Jakes and high-speed chasin'
俺たちは競馬を愛し、サツを振り切り、高速チェイスを楽しむ
Porno stations, drinking violations, Godly nations
ポルノ番組、飲酒の違反、そして神聖なる国家だ
※5% Nation(ファイブ・パセンターズ)の思想。自分たちのコミュニティを一つの国家(Nation)と見なす考え方。
90 minute Maxell tapes, instrumental breaks
マクセルの90分テープに、インストゥルメンタルのブレイクビーツ
Bangin' earaches, lay my verse down in two takes
鼓膜に響く痛みだ、俺のヴァースはたった2テイクで録り終える
The speaker pop with Winchester rifles in the kitchen
キッチンにあるウィンチェスター・ライフルで、スピーカーが弾け飛ぶ
Murder the DJs, eyes twitchin', woofer hissin'
DJを殺り、目は痙攣し、ウーファーは悲鳴を上げてるぜ
[Chorus: Raekwon]
Yo, he's strong-armin', manipulatin' niggas, scrapin' niggas
ヨォ、あいつは腕力でねじ伏せ、奴らを操り、削り取ってる
Takin' play from niggas, hate fakin' niggas
奴らから遊びを奪い、偽物の野郎どもを憎んでる
Yo, you hear me? The whole shit's like wrestlin'
ヨォ、聞こえるか?全部プロレスみたいなもんだ
What, you dare me? Back the fuck up, kid, we flexin'
何だ、俺を試すのか?下がってろ小僧、俺たちは力を見せつけてるんだ
[Verse 3: Method Man]
This rap shit bust your gums and leave you stunned
このラップがてめえの歯茎を粉砕し、呆然とさせてやる
Pull your plug, now you can't function
お前のプラグを抜いてやるよ、もう機能しねえな
There's no total or sum to this equation, you frozen
この方程式に合計なんてねえ、お前は凍りついてるぜ
Many may come but few are chosen
招かれる者は多いが、選ばれる者は少ない
※聖書の一節(マタイによる福音書)からの引用。真に生き残る資質を持つのはWu-Tangだけだという意味。
Pretty niggas want to play the war posin'
小綺麗な野郎どもが、戦争のポーズをとりたがってる
When the ruckus come, they be the first to get their shine stolen
いざ騒動が起きれば、真っ先に輝きを奪われるのはそいつらだ
※「ruckus」はWu-Tangのデビュー曲「Bring the Ruckus」を想起させる言葉。
Do or die, it be I, Metaphysical Man
やるか死ぬかだ、それが俺、形而上学的な男だ
Holding court from my Wu indivisible Clan
不可分のウータン・クランから、法廷を支配するぜ
I see your thoughts and your hand reachin', it's getting deep in this mud
お前の考えも、伸ばしたその手も見えてるぜ。この泥沼は深くなっていく一方だ
Cats heat-seekin' for one blood
奴らは「一つの血」を求めて熱追尾してる
※熱追尾ミサイルのように執拗に命を狙っていること。あるいは、シーンのトップという獲物を狙っていることの比喩。
Nameless thugs with aimless slugs shootin' at these stank bitches
名もなきサグどもが無目的な銃弾を、あの汚ねえ女どもにぶち込んでる
That’s either brainless or bugged, I make switches
脳みそがねえか、狂ってるかのどっちかだ。俺は切り替えるぜ
From the lamp, I grant three wishes
ランプから現れ、3つの願いを叶えてやろう
※アラジンの魔法のランプの比喩。Method Manがマイクを持つと奇跡が起きることを暗示。
Johnny be parlayin', I Blaze britches, then I roll
ジョニーは賭けに興じ、ズボンに火をつけ、そして転がっていく
※「Johnny Blaze」はMethod Manのニックネームの一つ。「Blaze britches」は、嘘つきの子供に向けた童謡「Liar, liar, pants on fire」をヒップホップ的に解釈し、偽物を焼き尽くすという意味を持たせている。
100% mind, 100% body
100パーセントの精神、100パーセントの肉体
100% soul, individual
100パーセントの魂、それが個としての俺だ
Assholes tend to run from this PLO extortion
クソ野郎どもは、このPLO並みの強奪から逃げ出す傾向にあるな
※PLO(パレスチナ解放機構)のようなゲリラ的な攻撃性。Method Manのソロ曲「P.L.O. Style」からのリファレンス。
Do the one, the next chamber
一、そして次のチェンバーへ行け
※「The 36 Chambers」の階梯を進むことを意味する。
You fuckin' with the star spangler
お前は星条旗の旗手とやり合ってるんだぜ
To the dawn's early light with this head-banger boogie
夜明けの光の中、このヘッドバンギング・ブギをかますのさ
※アメリカ国歌の歌詞を引用しつつ、Wu-Tangこそがアメリカのストリートの真の象徴だと宣言している。
Represent this shit fully
このシットを完璧にレペゼンしてやる
Like I'm constantly at war with the town bully, who want that pressure?
街のいじめっ子と常に戦争してるみたいにな。このプレッシャーが欲しいのは誰だ?
About to get smacked silly
バカみたいに叩き出されるぜ
Like a fat bitch in Spandex, Free Willy! We on some milli
スパンデックスを履いたデブな女みたいにな。フリー・ウィリーだ!俺たちは100万ドル級だぜ
※「Free Willy」はシャチ(オルカ)を解放する映画。ここでは「デブな女」と、映画のシャチを掛けた強烈でコミカルなワードプレイ。
Check the joint, Engine Engine Number Nine
このジョイントをチェックしな、エンジン・エンジン・ナンバーナインだ
※Black Sheepの「The Choice Is Yours」などで有名な児童合唱の数え歌を引用。ヒップホップの伝統的なフレーズ。
Niggas wastin' time worryin' about me and mine, get your own shit
奴らは俺や仲間のことばかり気にして時間を無駄にしてる。自分のシットを確保しな
