Artist: A$AP Rocky (feat. Joe Fox)
Album: AT.LONG.LAST.A$AP
Song Title: Max B
概要
本作「Max B」は、2015年にリリースされたA$AP Rockyの2ndアルバム『AT.LONG.LAST.A$AP』に収録された、ニューヨーク・ハーレムの伝説的ラッパーMax B(マックス・B)に捧げられたトリビュート曲である。Max Bは「Wavy」と呼ばれるメロディアスで気怠いラップスタイルを確立し、2000年代のミックステープシーンを席巻したが、2009年に殺人共謀罪などで実質的な終身刑(75年の禁固刑)を言い渡され服役中だ。Rockyと同じハーレム出身であり、A$AP Mobの音楽性に多大な影響を与えた彼への敬意と解放への祈りが込められている。Hector DelgadoとRocky自身が手掛けた哀愁漂うブルージーなビートの上で、ストリートの過酷な現実、理不尽な投獄システム、そして若くして命を散らした仲間たちへの悲痛な思いが綴られる。ストリートの冷酷さと後悔が交差する、アルバム内でも際立ってエモーショナルな一曲だ。
和訳
[Intro: Max B & A$AP Rocky]
—Through the spot
場所を通り抜ける
Everyday was like a beef to me
俺にとって毎日が抗争みたいなもんだったぜ
Lil' nigga said he'd make it hot
若造が派手にやるって言ってたがな
You don't wanna draw heat with me
俺と撃ち合いたいとは思わないはずだ
I got niggas that'll run up in your spot
お前の場所に乗り込むダチもいるからな
Cooly nigga, you don't really want beef
クールな野郎だ、お前は本当は揉め事なんか望んじゃいない
I'm Biggaveli, I could do this in my sleep
俺はビガヴェリだ、寝ててもこんなことできるぜ
※実際のMax Bの音声をサンプリングしている。「Biggaveli」は彼のアルターエゴであり、The Notorious B.I.G.、Tupac(Makaveli)、Jay-Z(Jigga)という3人の伝説を組み合わせた名前。
My bitch not tryna comfort me
俺のビッチは俺を慰めようともしない
And, baby, I wonder, baby, I wonder
だからベイビー、俺は考えるんだ、ベイビー、考えるんだ
Uh
[Verse 1: A$AP Rocky]
Buccaneers of rugged gear, nigga, fuck a fair
ラギッドな服を着込んだ海賊たちさ、フェアな勝負なんてクソくらえだ
One, since year one, I've been thuggin' here, yeah, uh
1日目から、俺はずっとここでサグとして生きてきた
Whole shit is ours, you in awe, please don't get involved
全てが俺たちのものだ、お前はビビってる、頼むから関わってこないでくれ
This is war, walk around a frame with blaze up in this jawn
これは戦争だ、枠の周りを歩き回り、この場所で火を吹かせる
Behind prison walls, niggas lickin' balls, pause
刑務所の壁の向こうじゃ、野郎どもがキンタマを舐め合ってる、ポーズだ
※「pause」は同性愛的なニュアンスを含む言葉を口にした直後に、「そういう意味(ホモ)じゃない」と否定するためのヒップホップ特有のスラング。
Different cause, stricted laws, damn, if I don't break up in the morgue
違う大義、厳しい法律、クソ、死体安置所でバラバラにならなきゃいいがな
Prison yard, prison guard, no principal, 'tention on your friends and all
刑務所の庭、看守、校長先生はいないが、ダチへの注意(ディテンション)はある
※学校(principal=校長、detention=居残り・拘置)と刑務所の類似性を掛け合わせたワードプレイ。
Commissary missin' like your sibling's paw
兄弟の手みたいに、差し入れ(コミッサリ)が足りない
※「Commissary」は刑務所内の売店や差し入れのこと。刑務所にいる仲間への金銭的支援が途絶えがちになる厳しい現実。
Uncle Tom, please don't make my sentence long
アンクル・トム、頼むから俺の刑期を長くしないでくれ
※「Uncle Tom」は白人に従順な黒人を指す蔑称だが、ここでは白人社会のシステムに組み込まれた裁判官や権力者を示している。
Granted what I did was wrong
確かに俺がやったことは間違ってたさ
Pigs don't show remorse if you admit it all
だが全部白状したところで、サツどもは同情なんか見せやしない
Missin' ma', hope that she don't miss the call
ママに会いたい、彼女が電話に出損ねないといいんだが
Admitted that she'll never visit
面会には絶対に来ないって認めてたからな
Like the hard-headed never listen, Lord
頑固者が決して話を聞かないようにな、主よ
So tell me how the fuck I'm 'sposed to eat? (Nigga), uh
だから教えてくれ、一体どうやって食っていけばいいんだ?
If the richer's gettin' richer, the poor's growin' weak (Nigga), uh
金持ちがさらに金持ちになるなら、貧乏人はさらに弱っていく
My brother died up in the streets, may he rest in peace
俺の兄弟はストリートで死んだ、安らかに眠ってくれ
※2015年初頭に急逝したA$AP Yams、もしくはストリートで命を落とした血の繋がった兄への追悼。
Niggas got heat like Pusha T, get it cheap, uh
奴らはプシャ・Tみたいに熱(ヤク)を持ってる、安く手に入れな
※Pusha Tの名前と、彼が頻繁にラップの題材とする「heat(コカインの隠語)」を掛けたネームドロップ。
Flacko, how you been, where you at? I've been kickin' back
「フラコ、最近どうだ、どこにいる?」俺はリラックスしてたぜ
Relax place down my favorite thinkin' cap, scratch my nigga naps
お気に入りの考える帽子(思考)を置き、俺の黒人の縮れ毛を掻く
Hitter chit and chat, this and that, A$AP diplomats
ヒットマンの雑談、あれやこれや、A$APの外交官たち
※「diplomats」は同じくハーレムの伝説的クルー「The Diplomats (Dipset)」へのシャウトアウト。A$AP Mobが彼らの正統な後継者であることを示唆している。
I'm missin' Max, wish that they could bring the nigga Bigga' back
マックスが恋しいぜ、あの黒人の「ビガ」をシャバに戻してくれたらいいのにな
※タイトルの「Max B(Biggaveli)」の釈放を強く願うライン。
[Chorus: Joe Fox & Max B]
And I wonder (I'm Biggaveli, I could do this in my sleep), layin' in my bed (Baby, I wonder)
俺は考えるんだ(俺はビガヴェリだ、寝ててもこんなことできるぜ)、ベッドに横たわりながら(ベイビー、考えるんだ)
Am I still too young? (Baby, I wonder) Am I still too young? (My bitch not tryna comfort me)
俺はまだ若すぎるのか?(ベイビー、考えるんだ)俺はまだ若すぎるのか?(俺のビッチは俺を慰めようともしない)
And I hold back, thoughts runnin' through my head
そして俺はこらえる、頭の中を様々な思考が駆け巡る
Did I fuck it up? (Baby, I wonder) Did I fuck it up?
俺が台無しにしちまったのか?(ベイビー、考えるんだ)俺が台無しにしちまったのか?
※客演のJoe Foxによるボーカル。若気の至りで取り返しのつかない罪を犯し、人生を狂わせてしまった若者(あるいはMax B自身)の悲痛な自問自答。
[Verse 2: A$AP Rocky]
It's like I lace up my boots and call my troops lately
最近はブーツの紐を締めて、部隊を呼び集めてるような気分だ
Traded all my hoodie rap for all my suits lately
最近じゃパーカーのラップを、スーツ姿にすべて引き換えたのさ
※ストリートのハスラーから、ハイファッションを纏う洗練されたアーティスト/実業家へと成熟したことの表現。
I'm twenty six but I've been livin' in my youth lately
26歳だが、最近は青春時代を生き直してる気分だ
Pull my wisdom, but I still spit it like my tooth ache me
親知らず(知恵)を抜いたが、それでも歯が痛むみたいに言葉を吐き出すぜ
※「wisdom」は知恵と親知らず(wisdom tooth)のダブルミーニング。成熟して知恵を得たが、内面にあるストリートの痛みは消えないという秀逸なメタファー。
Duck shots, motherfuck cops, what's the blood clots?
銃弾を避け、サツどもなんてクソくらえだ、ブラッドクラットってどういうことだ?
※「blood clots」はジャマイカのパトワ語由来の強烈な罵倒表現(Bumboclaatと同義)。
All I gots my word and my balls and my one cock
俺にあるのは自分の言葉と、キンタマと、1本のイチモツだけだ
※映画『スカーフェイス』のトニー・モンタナの有名なセリフ「俺にあるのは言葉とキンタマだけだ」の引用。
Pause, buckshots fly, my young buck died
ポーズ、散弾が飛び交い、俺の若い兄弟が死んだ
Passed away from a stray, from some fake-tough-guy
流れ弾で命を落としたんだ、どこかのエセ・タフガイのせいでな
※無関係な銃撃戦に巻き込まれて罪のない若者が命を落とす、ゲットーの理不尽な現実への怒り。
Now this the kind of story that should make doves cry
こいつは鳩(平和の象徴)すら泣かせるようなストーリーだ
※Princeの歴史的名曲「When Doves Cry」の引用。
Fuck that, this the story that should make thugs cry
いやクソくらえだ、これはサグたちを泣かせるためのストーリーだ
Dry your eyes older sis', held 'em close, watch 'em twitch
姉貴、涙を拭きな、奴らを強く抱きしめ、痙攣するのを見届ける
Gave 'em kiss in the midst of all of this
この惨状の真っ只中で、奴らにキスをしたんだ
Ain't too late to pause or skip—
一時停止するか、スキップするか、まだ遅くはないぜ
[Chorus: Joe Fox & Max B]
And I wonder (I'm Biggaveli, I could do this in my sleep), layin' in my bed (Baby, I wonder)
俺は考えるんだ(俺はビガヴェリだ、寝ててもこんなことできるぜ)、ベッドに横たわりながら(ベイビー、考えるんだ)
Am I still too young? (Baby, I wonder) Am I still too young? (My bitch not tryna comfort me)
俺はまだ若すぎるのか?(ベイビー、考えるんだ)俺はまだ若すぎるのか?(俺のビッチは俺を慰めようともしない)
And I hold back, thoughts runnin' through my head
そして俺はこらえる、頭の中を様々な思考が駆け巡る
Did I fuck it up? (Baby, I wonder) Did I fuck it up?
俺が台無しにしちまったのか?(ベイビー、考えるんだ)俺が台無しにしちまったのか?
[Bridge: Max B]
I'm Biggaveli, I could do this in my sleep
俺はビガヴェリだ、寝ててもこんなことできるぜ
Baby, I wonder, baby, I wonder
ベイビー、俺は考えるんだ、ベイビー、考えるんだ
[Outro: Joe Fox & Max B]
And I wonder, as I'm layin' in my bed
俺は考えるんだ、ベッドに横たわりながら
Am I still too young? Am I still too young?
俺はまだ若すぎるのか? 俺はまだ若すぎるのか?
And I hold back, thoughts runnin' through my head
そして俺はこらえる、頭の中を様々な思考が駆け巡る
Did I fuck it up? (Baby, I wonder) Did I fuck it up? (Baby, I wonder)
俺が台無しにしちまったのか?(ベイビー、考えるんだ)俺が台無しにしちまったのか?(ベイビー、考えるんだ)
And I wonder, as I'm layin' down in bed
俺は考えるんだ、ベッドに横たわりながら
Am I still too young? Am I still too young?
俺はまだ若すぎるのか? 俺はまだ若すぎるのか?
And I hold back, thoughts runnin' through my head
そして俺はこらえる、頭の中を様々な思考が駆け巡る
Did I fuck it up?
俺が台無しにしちまったのか?
Did I fuck it up? Sorry, guys
俺が台無しにしちまったのか? ごめんな、みんな
※自分の犯した罪や過ちによって、愛する人々を巻き込み悲しませてしまったことに対する、深い後悔と謝罪の念が込められたアウトロ。
