Artist: A$AP Rocky (feat. Joe Fox & Kanye West)
Album: AT.LONG.LAST.A$AP
Song Title: Jukebox Joints
概要
本作「Jukebox Joints」は、2015年にリリースされたA$AP Rockyの2ndアルバム『AT.LONG.LAST.A$AP』に収録された、アルバム屈指のソウルフルなヒップホップ・クラシックである。プロデュースはKanye WestとChe Popeが手掛け、楽曲は前後半で大きくビートが切り替わる構成(ビートスイッチ)となっている。前半はインドネシアのサイケデリック・ロックバンドRaselaの「Doa Buhku」を、後半はMotownの伝説的アーティストSmokey Robinsonの「Much Better Off」を贅沢にサンプリングしている。タイトルの「Jukebox Joints」の通り、ジュークボックスから流れる古いソウルミュージックのようなノスタルジーと、RockyのLSDによるトリップ体験やファッションへの深い愛着が交差する。さらに後半では、Kanye West自身がマイクを握り、ファッション業界における自身の革新性や、人種差別的な社会構造に対する痛烈なパンチラインを披露している。新旧の天才二人がファッションと音楽の交差点で共鳴した、歴史的なコラボレーションである。
和訳
[Part I]
[Intro: Rasela]
Ooh
[Chorus: A$AP Rocky, A$AP Rocky & Joe Fox]
And I'm a man of my word, that I got nothin' at all
俺は有言実行の男だ、俺には何一つ残ってないってな
So tell me now does it hurt or is it too late? I'm a man of my law
だから教えてくれ、今痛むのか、それとも遅すぎるのか? 俺は自分のルールで生きる男さ
I gotta keep my weight up, but who will lean if I fall?
自分の重さ(メンタル)を保たなきゃならない、だが俺が倒れたら誰が寄りかかって(リーンして)くれるんだ?
※重圧に耐えることと、ドラッグの「リーン(咳止めシロップ)」を掛けたワードプレイ。
But never mi-i-i-nd, I'm fl-y-y-y, you know (Yeah)
でも気にするな、俺は最高にハイ(フライ)だからな、分かってるだろ
[Verse 1: A$AP Rocky]
She the type to seek love and make it everlasting
彼女は愛を求め、それを永遠のものにしようとするタイプ
I'm the type to wake up and say, "You never happened"
俺は朝起きて「お前とのことは何でもなかった」って言うタイプさ
I mean, I fucked the girl with hella passion
つまり、俺はあの女とすげえ情熱的にヤったんだよ
But it's cold how we smashin', left her sleepin' on a separate mattress
だが俺たちのヤり方は冷たいもんだ、彼女を別のマットレスで寝かせたままにするんだからな
I think her body makes for better practice
彼女の体は、いい練習台になると思うぜ
Good excuse for my absence like, "Flacko, where your ass been?
俺が不在だった時のいい言い訳になる、「フラコ、どこをほっつき歩いてたの?」
Heard you done with fashion, now your ass is acting"
「ファッションはもう飽きて、今は俳優気取りだって聞いたわよ」ってな
※当時、映画『Dope/ドープ!!』への出演など、俳優業に進出し始めていたRockyのキャリアの変化に対する周囲の反応。
I'm trippin' off the acid, now your ass is looking massive
アシッド(LSD)でトリップしてる、今じゃお前のケツが巨大に見えるぜ
This ain't the shit equipped with columns from my reckless swagging
これは俺の無謀なスワッグから生まれたコラム(記事)なんかじゃねえ
This that dark house party, with this record blasting
これは薄暗いハウスパーティーさ、このレコードを爆音で鳴らしてる
Rolling spliffs, clique beside me, fingers Liberace
スプリフ(マリファナ)を巻き、隣には俺のクルー、指はリベラーチェだ
※「Liberace(リベラーチェ)」は派手な宝石を身につけた伝説のピアニスト。指に大量のダイヤモンドリングをつけていることの比喩。
When I seen this bitch in vintage, Tommy and some mid Huaraches
ヴィンテージのトミーと、ミッドカットのハラチを履いたビッチを見た時にな
I'm all alone though, mood music make me bop slower
俺は一人ぼっちだけどな、ムード音楽のせいで動きが遅くなる
Trippin' on how I shifted pop culture, changed hip-hop on you
自分がどうやってポップカルチャーを動かし、ヒップホップを変えたのかを考えてトリップしてるんだ
Smoking like a rasta was my pop's culture
ラスタファリアンのようにマリファナを吸うのが、俺の親父のカルチャーだった
※ポップカルチャー(Pop culture)と親父のカルチャー(Pop's culture)を掛けたワードプレイ。Rockyの父親はバルバドス出身。
I'll be damned if I die sober, I'll be sure to visit 'Pac for you
シラフで死ぬなんて真っ平ご免だ、お前らのために2Pacに会いに行ってやるよ
※ハイになったまま死んで、天国で伝説のラッパー2Pacに会うという宣言。
[Chorus: A$AP Rocky, A$AP Rocky & Joe Fox]
And I'm a man of my word, that I got nothin' at all
俺は有言実行の男だ、俺には何一つ残ってないってな
So tell me now does it hurt or is it too late? I'm a man of my law
だから教えてくれ、今痛むのか、それとも遅すぎるのか? 俺は自分のルールで生きる男さ
I gotta keep my weight up, but where do I land if I fall?
自分の重さ(メンタル)を保たなきゃならない、だが俺が倒れたらどこに落ちるんだ?
But never mind, I'm fly, you know (Uh, uh)
でも気にするな、俺は最高にハイ(フライ)だからな、分かってるだろ
[Verse 2: A$AP Rocky]
And shout outs my pretty womens in the spot tonight
今夜この場所にいる、俺の可愛い女たちにシャウトアウトだ
Let me see them fuckin' hands
そのクソ手を挙げてみせろ
And for the freaks that love the niggas with the Jeeps
ジープやレクサス、クーペ、ビーマー、ベンツに乗る男が好きなフリークどもにもな
※Notorious B.I.G.のクラシック「One More Chance / Stay With Me (Remix)」へのオマージュ。
Lex, coupes and the Bimmers and the Benz, come again
レクサス、クーペ、ビーマー、それにベンツだ、もう一回言ってやる
When my death calls, I pray the Lord accept collect calls
俺の死が電話をかけてきたら、主(神)がコレクトコールを受け入れてくれることを祈るよ
※コレクトコール(受信者払い)。天国に行けるだけの「徳」がないため、神に電話代(救いの代償)を払ってもらうよう頼むという比喩。
'Cause I be playin' with these womens like they sex dolls
だって俺は、この女たちをセックスドールみたいに弄んでるからな
Call my Prada prior, 'cause it's droppin' next fall
プラダには事前に電話しとくぜ、だって(この服は)来年の秋にドロップされるものだからな
※ハイブランドの未発売のコレクションを事前に手に入れているというフレックス。
Don't you short the next ball, my closet like the Met ball
次のボール(舞踏会/玉)をケチるなよ、俺のクローゼットはメットガラのボール(舞踏会)みたいだからな
※「Met ball」はファッション界最大の祭典メットガラ。自分のクローゼットがそのレベルのハイファッションで溢れていること。
She said, "I just love it when you speak soft-spoken
彼女は言った、「あなたのソフトな話し方が大好きなの
Up in the magazines with your teeth all golden"
雑誌に載ってる時の、金歯が輝いてる姿もね」
Took the whole year off just to learn to make beats
ビートメイクを学ぶためだけに、丸1年休んだんだ
※実際にRockyはDanger Mouseのもとでプロデュースを学び、本作の多くを共同プロデュースしている。
Dropped the flames on my release and leave the streets all smokin'
リリースで炎を落とし、ストリートを煙だらけにしてやる
Uh, that touch-your-soul music, I get you higher
ああ、魂に触れる音楽さ、お前をもっとハイにしてやる
Grab your lighter fluid, might add a preacher and a choir to it
ライターのオイルを持て、そこに牧師と聖歌隊を足すかもしれないぜ
※自分の音楽が神聖なソウルミュージックのようでありながら、ストリートの熱(炎)を持っていることの表現。
I speak the Father's music, hallelujah
俺は父(神)の音楽を語る、ハレルヤ
Always Strive & Prosper, stupid
常に努力し繁栄するんだ、バカ野郎
※A$AP Mobのモットー「Always Strive And Prosper」の宣言。
Even Montell can't tell you how we do it
モンテルでさえ、俺たちのやり方は教えてくれないぜ
※Montell Jordanの大ヒット曲「This Is How We Do It」からの引用。
Sit back and watch me do it
座って、俺がやるのを見てな
[Chorus: A$AP Rocky & Joe Fox]
And I'm a man of my word, that I got nothin' at all
俺は有言実行の男だ、俺には何一つ残ってないってな
So tell me now, does it hurt or is it too late? I'm a man of my law
だから教えてくれ、今痛むのか、それとも遅すぎるのか? 俺は自分のルールで生きる男さ
I gotta keep my weight up, but where do I land if I fall?
自分の重さ(メンタル)を保たなきゃならない、だが俺が倒れたらどこに落ちるんだ?
But never mind, I'm fly, you know (You know, you know)
でも気にするな、俺は最高にハイ(フライ)だからな、分かってるだろ
[Part II]
[Intro: Smokey Robinson]
(Your love is mmm, mm, good)
(君の愛は、んー、最高だ)
※ここからビートが切り替わり、Kanye WestがプロデュースしたSmokey Robinsonのサンプリングが主導するソウルフルな後半戦へ突入。
[Verse 1: A$AP Rocky]
Okay, let's get past all the swag trappin' and fashion talkin'
オーケー、スワッグのトラップやファッションの話はもう終わりにしようぜ
You want that "Take it to gats" or "Keep it in rappin'" talkin'?
お前らは「銃(ガトリング)に持ち込むか」、それとも「ラップの範疇に留めるか」って話がしたいんだろ?
※ストリートの暴力(Gat)に発展させるか、純粋なラップのスキル(ビーフ)で決着をつけるかという、ヘッズに向けた問いかけ。
They rap impulsive, get embarrassed, it actually happens often
あいつらは衝動的にラップして、恥をかくんだ、実際よくあることさ
You my son like my last abortion, I'm just laughin' off it
お前は俺の最後の堕胎みたいな「息子」だ、俺はただ笑い飛ばしてるよ
※自分を真似るラッパー(息子)を、生まれる前に消し去った(堕胎した)存在として扱う冷酷なディス。
I changed rap, pushed fashion forward, yeah, I'm that important
俺はラップを変え、ファッションを前進させた、ああ、俺はそれくらい重要なんだ
You jack my style, she jack me off, and y'all both actin' awkward?
お前は俺のスタイルをパクり(ジャックし)、彼女は俺をシゴく(ジャック・オフする)、そしてお前らは二人して気まずそうにしてるのか?
※敵のラッパーが自分のファッションを真似し、その敵の女が自分とヤっているという、究極の侮辱とワードプレイ。
Jigglin' baby, nah, go 'head, bitch
揺れるベイビー、いや、やっちまえビッチ
※LL Cool Jの「Jingling Baby」へのオマージュ。
Ain't nothin' better than the pretty big forehead bitch
可愛いデコ広のビッチほど最高なもんはないぜ
※当時、Rihannaの広いおでこを「可愛い」と称賛していたというファンコミュニティの考察が存在し、後の関係性を暗示するラインとして語られている。
Listen close I got some shit to tell you, motherfuckers get familiar
よく聞け、お前らに言いたいことがあるんだ、クソ野郎ども、よく覚えとけ
It's not just model bitches on my genitalia
俺の股間に群がってるのはモデルのビッチだけじゃない
Did Azalea's from Australia, trips to Venezuela
オーストラリアの「アザレア」ともヤったし、ベネズエラにも旅行した
※オーストラリア出身のラッパー、Iggy Azaleaとのこと。彼女と過去に交際していたことを赤裸々に暴露したライン。
Cinderella's under my umbrella for different weather
シンデレラどもは、様々な天気から逃れるために俺の傘(アンブレラ)の下に入るのさ
※ここでもRihannaの大ヒット曲「Umbrella」を連想させるワードが登場している。
Ella, ella, ayy, just play it like I didn't tell you
エラ、エラ、エイ、俺が言わなかったことにしておいてくれ
Niggas takin' pictures any time we get together
俺たちが一緒にいると、奴らはいつでも写真を撮りたがる
And hope to fly away just one day like some love birds
そしていつか、ラブバードみたいに飛び去りたいと願ってるんだ
Only one word that I'm afraid of is the "Love" word
俺が恐れている唯一の言葉は、「愛」って言葉だけさ
※愛や人間関係への恐怖(コミットメント・フォビア)というSad Boy的な内面。
[Verse 2: Kanye West & Smokey Robinson]
(Your love is mmm, mm, good)
(君の愛は、んー、最高だ)
More power to you, more power to you, my lovely one
お前にさらなる力を、お前にさらなる力を、愛しい人よ
More power to you, more power to you, my lonely one
お前にさらなる力を、お前にさらなる力を、孤独な人よ
More power to you, more power to you, my lovely one
お前にさらなる力を、お前にさらなる力を、愛しい人よ
What's up, bruh? That all depends
調子はどうだ、兄弟? それは状況次第だな
※ここからKanye Westのヴァースへ突入。
With friends like you, who need friends?
お前みたいな友達がいれば、他の友達なんて必要ないだろ?
Sometimes the best advice is no advice
時には、最高のアドバイスってのは「アドバイスをしないこと」なんだ
Especially when it's your advice
特にお前のアドバイスの場合はな
Uh, man, remember
ああ、なあ、思い出せよ
Your man was on stage dressed like a family member
お前の男は、家族みたいな格好をしてステージに立ってたんだぜ
※Kanye自身が、ハイファッションではなく普段着のようなラフな格好でステージに立ち、ヒップホップのファッション概念を塗り替えた過去への言及。
Man, everything basic to Ye Guevara
なあ、イェー・ゲバラにとってはすべてがベーシックなのさ
※革命家チェ・ゲバラと自身(Ye)を重ね合わせ、自分がファッション界の革命家であることを宣言している。
That means Saint Laurent is my Zara
つまり、俺にとってサンローランはZARA(ファストファッション)みたいなもんってことだ
I remember Rochelle ain't wanna fuck me with the polo
覚えてるぜ、ロシェルは俺がポロを着てたからヤリたくないって言ったんだ
※Kanyeのブレイク前のトレードマークであった「ピンクのポロシャツ」。当時はダサいと思われていたが、後にKanyeがそれをトレンドにしたという復讐の回想。
Ayy, bitch, you missed out, #fomo
おいビッチ、お前はチャンスを逃したんだよ、#FOMO(見逃すことへの恐怖)だな
I got one child, one child
俺には子供が一人、一人の子供がいる
※当時生まれたばかりの娘、ノース・ウェストのこと。
But I'm fuckin', fuckin', fuckin' like I'm tryna make four more
だが俺はヤりまくってる、ヤってヤってヤりまくってる、あと4人作る勢いでな
※※※※KanyeとKim Kardashianの奔放な性生活のアピール。
They wanna throw me under a white jail
奴らは俺を「白人の刑務所」に放り込みたがってる
※「white jail」は、白人が支配する社会や産業構造(特にファッション業界)に閉じ込められ、自由を奪われている現状のメタファー。
'Cause I'm a black man with confidence of a white male
なぜなら俺は、白人男性の自信を持った黒人だからさ
※Kanyeを象徴する歴史的なパンチライン。社会において特権階級である白人男性と同じレベルの「絶対的な自信と野心」を持つ黒人は、白人社会から危険視され迫害されるという、アメリカの人種構造とエンターテインメント業界の闇を突いた強烈なメッセージ。
Hallelujah
ハレルヤ
