Artist: A$AP Rocky
Album: LIVE.LOVE.A$AP
Song Title: Sandman
概要
「Sandman」は、2011年にリリースされたヒップホップ史に残るミックステープ『LIVE.LOVE.A$AP』の10周年を記念し、2021年のストリーミング解禁時に新録ボーナストラックとして追加された楽曲である。初期のA$AP Rockyサウンドを決定づけた伝説的プロデューサー、Clams CasinoとKelvin Krashが共同でビートを手掛け、当時の幽玄でサイケデリックなクラウド・ラップの空気を10年越しに完全再現している。タイトルにある「Sandman(ザントマン)」とは、ヨーロッパの民間伝承に登場する「人々の目に砂をまいて眠りを誘う妖精」であり、ここでは「永遠の眠り(死)」や、夢のような成功のメタファーとして機能している。歌詞は自身のキャリアの回顧、映画的で耽美なリファレンス、そして2015年に26歳の若さで急逝したA$AP Mobの精神的支柱、A$AP Yamsへの痛切な追悼で構成されており、10年間の栄光と喪失を総括する極めて重要でエモーショナルなマスターピースである。
和訳
[Intro]
Uh (Eastside), yeah (Yeah, Eastside)
※A$AP Yamsの別名である「Eastside Steevie」や、NYのイーストサイドを示唆している。
Welcome back, we've been missin' you
おかえり、ずっとお前がいなくて寂しかったぜ
This what they been waiting for
これこそが皆が待ち望んでいたものだ
Crash course (Rest in peace, uh, Eastside Steevie)
短期集中コースだ、安らかに眠れ、イーストサイド・スティーヴィー
※「Eastside Steevie」は亡き盟友A$AP Yamsのエイリアス。彼の魂を呼び戻すようなイントロダクション。
[Verse 1]
My mind like George Lucas (Yeah), I think like Stanley Kubrick (Uh)
俺の精神はジョージ・ルーカスのようで、思考はスタンリー・キューブリックのようだ
※映画界の巨匠二人の名を挙げ、自身のアーティストとしてのビジョンの壮大さと、完璧主義で前衛的なクリエイティビティを誇示している。
House full of eucalyptus, that boy straight mucus (Yeah)
家中にユーカリが充満してる、あいつはまるで粘液そのものだ
※ユーカリはその強烈な芳香から、極上の大麻(ウィード)の比喩として用いられている。煙を吸い込んで喉に粘液(mucus)が絡み、激しく咳き込むほど強力なウィードを吸っている状態の描写。
So, let's get straight to it, my chain is this humongous (Yeah)
だから本題に入ろうぜ、俺のチェーンはこんなにも巨大だ
Permanent bling my tooth is, yeah, I'm a strange human (Uh)
俺の歯は永遠に輝き続ける、そうさ、俺は奇妙な人間なんだ
※「Permanent bling」は取り外し不可の固定式ゴールド/ダイヤモンド・グリルズのこと。自分自身が一般的な規格に収まらない異端児(strange human)であることを自認している。
This insane jewelry collection, it'll take a week to shoot it (Right)
この狂ったジュエリーのコレクション、全部撮影するのに一週間はかかるぜ
Record an album with Mercedes, let GQ EQ it (Hahaha)
メルセデスと一緒にアルバムを録音して、GQにEQを調整させるのさ
※「Mercedes」は高級車メルセデス・ベンツ、あるいは洗練された女性の比喩。「GQ」は彼が度々表紙を飾る世界的ファッション誌。自分の音楽がファッション誌のトップレベルで完璧にイコライジング(EQ)された芸術品であるという高度なワードプレイ。
I think I'm Frank Lucas, slang where my boo thing school is (Yeah)
俺はフランク・ルーカスになった気分だ、俺の女が通う学校の周りでブツをさばいてる
※「Frank Lucas」は1970年代のハーレムを支配した実在の伝説的麻薬王(映画『アメリカン・ギャングスター』のモデル)。
A straight A-student, boy, the brain stupid
オールAの優等生さ、あのブレインはマジでヤバいぜ
※「brain」は賢い頭脳と、オーラルセックスを意味するストリートスラングのダブルミーニング。「stupid」もここでは「馬鹿」ではなく「信じられないほど素晴らしい」という意味で使われている。
Leave it all in the past now, walls talkin' back now
今じゃすべてを過去に置いてきた、壁が話しかけてくるんだ
※ドラッグの幻覚作用、あるいは過去のストリートでのトラウマや記憶がフラッシュバックしてくる様子。
Back to the wall, with your wall to the back
背水の陣だ、壁を背にして立っている
Don't back down, buck up
絶対に引き下がるな、気合を入れろ
Tell 'em how the fuck your mama ain't raise no bitch
お前の母ちゃんが女々しいガキを育てたわけじゃないってことを、奴らに思い知らせてやれ
Gloves on the dashboard, mask on the lat' now
ダッシュボードには手袋、横にはマスクが置いてある
※強盗や襲撃といった、過去の危険なストリートライフ(犯罪行為)の生々しい記憶。
MAC on the lap
膝の上にはMACだ
※「MAC」はMAC-10やMAC-11などのサブマシンガンのこと。
On the hip while the red-blue lights in the background
赤と青のパトランプを背後にしながら、腰に銃を忍ばせる
Cops wanna pat down, just pray the clip don't (Click, click)
サツがボディチェックをしようとしてくる、弾倉が鳴らないことをただ祈るんだ
※「pat down」は警察による所持品検査。銃が見つかって銃撃戦(Click, click)に発展しないことを祈る極限の緊張感を描いている。
[Chorus]
Merci beaucoup just like Moulin Rouge
ムーラン・ルージュのように、メルシー・ボークー
And I know I can, can, and my spirit stand, stands
俺にはできるってわかってる、俺の魂は立ち続ける
※「I can, can」は「俺にはできる」という決意と、パリのキャバレー『ムーラン・ルージュ』で有名なダンス「フレンチ・カンカン(Can-can)」をかけた非常に洒落た言葉遊び。
I say, "Voulez-vous coucher for eternity?"
俺は尋ねる、「永遠の眠りを共にしないか?」と
※有名なフランス語の誘い文句「Voulez-vous coucher avec moi?(私とベッドを共にしませんか?)」を改変し、永遠の眠り(死や永劫のトリップ)へと誘う退廃的なフレーズに昇華させている。
Let's go meet the sandman, let our spirits dance, dance
サンドマンに会いに行こう、俺たちの魂を踊らせよう
[Verse 2]
Uh, on the skyway to Hell, with smiley face jewels
地獄へのスカイウェイを走る、スマイリーフェイスのジュエリーを着けてな
※A$AP Rockyが実際に愛用しているスマイルマークのジュエリー。破滅(地獄)へと向かう道中であっても、アイコニックなファッションと笑顔を絶やさない狂気的なまでの余裕。
'Cause I'm a boss, I call the shots, you makin' calls (Yeah)
俺はボスだからな、俺がすべてを決定する、お前らはただ電話をかけてるだけだ
※「call the shots」は命令を下す、主導権を握るという意味。同じ「call」という単語を使い、ボスの自分と末端のヘイターを対比させている。
'Cause if I take a L, then they gon' take a loss
もし俺が敗北を喫すれば、奴らも損失を被ることになる
If I'm on my way to Hell, then I'ma take you all
もし俺が地獄へ向かうなら、お前ら全員を道連れにしてやるぜ
Girl, I'm not supposed to be here still
なぁ、俺はまだここにいるはずじゃなかったんだ
Rap careers last three years still
ラップのキャリアの寿命はたった3年だっていうのにな
I'm a G here, that's OG times three
俺はここではGだ、つまりOGの3倍さ
※ヒップホップ業界での寿命は短いと言われる中、2011年のデビューから約10年(3年×3)が経過してもなお第一線でシーンを牽引するOG(オリジナル・ギャングスタ / ベテラン)としての圧倒的な存在証明。
Triple OG, still just shows I'ma be here still
トリプルOGだ、俺がまだここに居座り続けるってことを証明してるだけさ
At 3-0, got bitches on me and the females still, let 'em be here still
30歳になっても、ビッチどもや女たちが俺に群がってくる、そのままいさせてやれ
At twenty-six, my nigga OD off of lean, codeine and pills
26歳で、俺の兄弟はリーンとコデイン、そしてピルでODして逝っちまった
He'll be here still
あいつは今でもここにいる
※2015年に26歳の若さでオーバードーズ(OD)によりこの世を去った、A$AP Mobの創始者でありRockyの最高の理解者であったA$AP Yamsへの極めて痛切な追悼。肉体は滅びても、彼の精神は常に自分たちと共にあるという力強いメッセージ。
[Chorus]
Merci beaucoup just like Moulin Rouge
ムーラン・ルージュのように、メルシー・ボークー
And I know I can, can, and my spirit stand, stands
俺にはできるってわかってる、俺の魂は立ち続ける
I say, "Voulez-vous coucher for eternity?"
俺は尋ねる、「永遠の眠りを共にしないか?」と
Let's go meet the sandman, let our spirits dance, dance
サンドマンに会いに行こう、俺たちの魂を踊らせよう
[Interlude]
Rest in peace to Yams, I done lost some friends
安らかに眠れヤムズ、俺は幾人かの友を失ってきた
Until we meet again, we gon' forever dance (Sleep)
また会うその日まで、俺たちは永遠に踊り続けるんだ(眠れ)
Voulez-vous coucher for eternity?
永遠の眠りを共にしないか?
Let's go meet the sandman, let our spirits dance, dance
サンドマンに会いに行こう、俺たちの魂を踊らせよう
[Bridge]
Uh, yeah, yeah (I'm just)
※[アドリブ]
Uh, yeah, yeah (I'm just)
※[アドリブ]
Uh, yeah, yeah (I'm just)
※[アドリブ]
Uh, yeah, yeah (I'm just)
※[アドリブ]
[Chorus]
Merci beaucoup just like Moulin Rouge
ムーラン・ルージュのように、メルシー・ボークー
And I know I can, can, and my spirit stand, stands
俺にはできるってわかってる、俺の魂は立ち続ける
I say, "Voulez-vous coucher for eternity?"
俺は尋ねる、「永遠の眠りを共にしないか?」と
Let's go meet the sandman, let our spirits dance, dance
サンドマンに会いに行こう、俺たちの魂を踊らせよう
