Artist: A$AP Rocky
Album: LIVE.LOVE.A$AP
Song Title: Purple Swag
概要
2011年にYouTube上で突如としてバイラルヒットを記録し、ニューヨーク・ハーレム出身の無名ラッパーであったA$AP Rockyを一夜にしてスターダムへ押し上げた記念碑的デビュー曲である。プロデューサーのA$AP Ty Beatsが手掛けた気だるく浮遊感のあるビート上で、Rockyはヒューストン発祥の「チョップド&スクリュード」カルチャーへの偏愛を全面的に押し出している。「パープル・ドランク(リーン)」や「キャンディ・ペイント」といった南部特有の美学を東海岸のラッパーが己のスタイルとして昇華したことは、当時のヒップホップにおける厳格な地域主義(リージョナリズム)を打ち破る歴史的なパラダイムシフトであった。本作は、インターネット以降の世代が地域の垣根を越え、ストリートの新たな「Swag(スワッグ)」を定義づけた、2010年代のクラウド・ラップ黎明期を象徴する極めて重要なマスターピースである。
和訳
[Intro]
Smoke, Ty Beats
煙を吹かせ、タイ・ビーツ
※楽曲のプロデューサーであるA$AP Ty Beatsへのシャウトアウト。
Better do it 'til we get right, uhh
最高にキマるまでやり続けるぜ
[Bridge]
This is for my niggas getting high on the regular
これは日常的にハイになってる俺のダチたちへ向けてだ
This is for my bitches getting high on the regular
これは日常的にハイになってる俺の女たちへ向けてだ
[Verse 1]
Purple drank, I still sip, purple weed blunt still lit
パープル・ドランク、俺はまだすすってる、パープル・ウィードのブラントにも火が点いたままだ
※「Purple drank」は咳止めシロップ(プロメタジン・コデイン配合)をスプライト等で割ったドラッグ「リーン」のこと。「Purple weed」は上質な大麻の品種(パープル・クッシュなど)。楽曲のタイトルにして最大のテーマである「紫色の嗜好品」への耽溺を示している。
Real nigga, real bitch, purple swag, that trill shit
リアルな男、リアルな女、パープル・スワッグ、これがトリルってやつだ
※「Trill」は「True」と「Real」を合わせた、テキサス州ヒューストンの伝説的グループUGKらに端を発するサウスの最重要スラング。
Them candy cars, I'm coming down, that paint drip, I still tip
キャンディペイントの車、俺はストリートに現れる、滴るような塗装、今でもチップしてるぜ
※「Candy cars / paint drip」はヒューストンのカーカルチャー(スラブ文化)の特徴である、飴のように艶やかな特注ペイント。「coming down」はカスタムカーでストリートを流して見せびらかすこと。「tip」は車高を上げたり、ヴォーグ・タイヤ(通称スワンガ)を履いてゆっくりと走る(Tippin')ことを指す、南部ヒップホップ特有の言語表現。
That pimp shit, she ain't plan to fuck, I pick her up, I still hit
ピンプのやり方さ、ヤル気じゃなかった女も、俺が車に乗せりゃ結局ヤッちまう
※サウスのレジェンド、Pimp Cの美学(Pimp culture)を踏襲したライン。
That's swag, bitch
それが俺のスタイルだ、ビッチ
[Chorus: A$AP Rocky & Mike Jones]
"I said"
"俺は言ったぜ"
※ヒューストンを代表するラッパー、Mike Jonesの代表的なアドリブの引用。彼のスクリューされたボーカルをサンプリング的に使用している。
Everything is purple (Swag)
すべてがパープルに染まってる
Everything is purple (Swag, swag, swag)
すべてがパープルに染まってる
"I said"
"俺は言ったぜ"
Everything is purple (Swag)
すべてがパープルに染まってる
Everything is purple (Swag, swag, swag)
すべてがパープルに染まってる
[Verse 2]
Purple swag, purple swag, I'm in the zone, I'm getting throwed
パープル・スワッグ、パープル・スワッグ、ゾーンに入ってる、完全にぶっ飛んでるぜ
※「getting throwed」はドラッグやアルコールで極度に酔っ払っている、あるいはハイになっている状態を指すテキサス・スラング。
That purple swag, purple swag, that purple smoke up in my clothes
パープルのオーラ、パープルのスタイル、服には紫の煙が染み付いてる
That big booty, juicy fruity, yellow bone, I wanna bone
デカいケツのジューシーな女、イエローボーン、俺はヤリたいんだ
※「yellow bone」は肌のトーンが明るい(ライトスキン)の黒人女性を指すスラング。「bone」は性行為を意味する。
I'm getting dome, I took her out, dick in her mouth, she getting on
フェラされてる、彼女を連れ出して、俺のモノを咥えさせ、彼女は乗り気になってる
※「dome」はオーラルセックスを意味するストリートの隠語。
I'm flexing steel, I'm flexing still, I'm sitting high, I'm tipping slow
銃を見せつける、まだ力を見せつける、車高を上げて、ゆっくりと流すんだ
※「flexing steel」は銃(鋼鉄)を誇示すること。後半の「sitting high, tipping slow」は前述のヒューストンのスラブ・カルチャー(ローライダーとは逆に車高を上げたカスタムカー文化)をストレートにレペゼンしている。
I'm Texas trill, Texas trill, but in NY we spit it slow
俺はテキサス級のトリルだ、テキサス級にな、だけどNYでも俺たちはスローにラップするぜ
※この楽曲の革新性を決定づける核心的なパンチライン。ニューヨークのラッパーでありながらテキサスの美学(Trill)を掲げ、東海岸の伝統的なブーンバップやファストなラップスタイルではなく、リーンの影響下にあるような気怠くスローなフロウ(spit it slow)をNYに持ち込んだことを宣言している。
I got these boppas going crazy, they see me coming
尻軽女たちを狂わせてる、あいつらは俺が来るのを見てるんだ
※「boppas」は主にヒューストン周辺で使われる、グルーピーや性的に奔放な女性を指すスラング。
Robitussin, quit discussing, ASAP tell these niggas something, swag
ロビタッシンを飲んで黙ってろ、A$AP、あいつらに何か言ってやれ、スワッグ
※「Robitussin(ロビタッシン)」は市販の風邪薬・咳止めシロップのブランド名。通常リーンには医療用のプロメタジン・コデインが好まれるが、安価な代用品として使用されることもあり、ここではライム(韻)の響きとドラッグカルチャーの象徴として引用されている。ヘイターたちを薬で黙らせ、自分のクルー(A$AP)に語らせるという自信に満ちた締めくくり。
[Chorus: A$AP Rocky & Mike Jones]
"I said"
"俺は言ったぜ"
Everything is purple (Swag)
すべてがパープルに染まってる
Everything is purple (Swag, swag, swag)
すべてがパープルに染まってる
"I said"
"俺は言ったぜ"
Everything is purple (Swag)
すべてがパープルに染まってる
Everything is purple (Swag, swag, swag)
すべてがパープルに染まってる
