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Electioneering - Radiohead 【和訳・解説】

Artist: Radiohead

Album: OK Computer

Song Title: Electioneering

概要

『OK Computer』(1997年)の中で最もストレートで荒々しいギターロック・サウンドを響かせる本作は、内省的なアルバム内において異彩を放つ極めて攻撃的なナンバーだ。タイトルが意味する「選挙活動」の通り、有権者に耳障りの良い言葉を並べる政治家たちの欺瞞と、裏で進行するグローバル資本主義の暴走を痛烈に批判している。しかし同時に、この曲はレディオヘッド自身に向けられた鋭い刃でもある。前作の成功により巨大な音楽産業のシステムに組み込まれ、世界中を飛び回ってプロモーション活動を行い、メディアやファンに媚びを売らざるを得ない自分たちの姿を、票乞いをする政治家の偽善と重ね合わせているのだ。ノーム・チョムスキーの著書に強く影響を受けたと言われる歌詞には、IMF(国際通貨基金)や新自由主義への怒りが込められており、カウベルの硬質な響きとジョニー・グリーンウッドのノイジーなギターリフが、偽りに満ちた社会への苛立ちを爆発させている。

和訳

[Verse 1]

I will stop, I will stop at nothin'
俺はどんな手を使ってでも立ち止まらない
※手段を選ばず目的(権力や利益)を達成しようとする政治家や企業の強欲さ。同時に、音楽業界においてひたすら前進し続けることを強要されるバンド自身の狂騒的な状況も暗示している。

Say the right things when electioneering
選挙活動中は正しいことばかり口にする
※「正しいこと」とは、真実ではなく大衆が聞きたがる耳障りの良い嘘のこと。アルバムのプロモーション取材でメディアが求める「模範解答」を答え続けなければならない、トム・ヨークの疲弊と自己嫌悪が透けて見える。

I trust I can rely on your vote
あんたの票を頼りにしてるぜ
※政治家が有権者に支持を乞う決まり文句。ここでは同時に、バンドがファンにレコードを買わせる(=票を投じさせる)ためのシニカルなセールストークとしてのダブルミーニングとして機能している。

[Chorus]

When I go forwards, you go backwards
俺が前へ進めば、あんたは後ろへ下がる
※権力者と市民、あるいは売り手と買い手の間に存在する、決して埋まらない溝や利害の対立を表現している。一方が利益を得れば一方が損をする搾取の構造を示唆している。

And somewhere we will meet
そしてどこかですれ違うんだ
※真の意味で理解し合ったり同じ方向へ歩むことはなく、ただ一時的な交差点(選挙の投票日やライブ会場)で利害関係として交錯するだけだという冷徹な視点。

When I go forwards, you go backwards
俺が前へ進めば、あんたは後ろへ下がる
※前進を装いながら実は社会を後退させている政治の逆説を突いているという解釈も存在する。

And somewhere we will meet
そしてどこかですれ違うんだ
※すれ違う瞬間に生まれる摩擦が、楽曲のノイジーなサウンドと呼応している。

[Interlude]

(Ha, ha, ha!)
※狂ったような笑い声。欺瞞に満ちた政治ゲームや、ショービジネスと化した音楽業界の滑稽さをあざ笑うような効果をもたらしている。

(Woop, woop)
※警察のサイレンを模した擬音、あるいはパニックを煽るような奇声。続くVerse 2の不穏な展開への伏線となっている。

[Verse 2]

Riot shields, voodoo economics
機動隊の盾に、ブードゥー経済学
※「voodoo economics(呪術的経済学)」は、富裕層を優遇すれば最終的に貧困層にも富が滴り落ちるという「トリクルダウン理論(レーガノミクス)」を批判した言葉。強固な国家権力(機動隊の盾)によって守られた新自由主義のまやかしを鋭く告発している。

Your turn, your turn
今度はあんたの番だ、あんたの番だ
※権力者たちが市民をゲームの駒のように扱い、暴力や搾取の順番を次々と回していく冷酷さを表現している。

It's just business, cattle prods and the IMF
ただのビジネスさ、スタンガンとIMFのな
※「cattle prods」は家畜用の電気ショック棒であり、群衆を力でコントロールする警察国家のメタファー。「IMF(国際通貨基金)」は発展途上国に苛酷な構造改革を強いるグローバル資本主義の象徴。冷徹な「ビジネス」という言葉の裏で、暴力と経済支配が正当化される現実を痛烈に抉り出している。

I trust I can rely on your vote
あんたの票を頼りにしてるぜ
※これほど残酷でグロテスクな支配の事実を提示した後でも、平然と笑顔で支持を要求してくる権力者の厚顔無恥さとサイコパス性を際立たせている。

[Chorus]

When I go forwards, you go backwards
俺が前へ進めば、あんたは後ろへ下がる
※怒りと絶望を孕んだギターサウンドが加速していく。

And somewhere we will meet
そしてどこかですれ違うんだ
※システムへの抵抗と諦観が入り混じる。

When I go forwards, you go backwards
俺が前へ進めば、あんたは後ろへ下がる
※どれだけ暴れても既存のルールからは逃れられないというジレンマ。

And somewhere we will meet
そしてどこかですれ違うんだ
※バンドの衝動的なエネルギーが頂点に達し、すべてをなぎ倒すようなアウトロへと突入していく。

[Instrumental Outro]