Artist: SZA (feat. Don Toliver)
Album: SOS Deluxe: LANA
Song Title: Joni
概要
SZAの『SOS』のデラックス・エディション『LANA』に収録された「Joni」は、長年ファンの間でリリースが熱望されていた未発表曲の一つである。タイトルの「Joni」は、伝説的なシンガーソングライターであるジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)へのオマージュであるとファンの間では広く解釈されており、フォークやアコースティックの要素を取り入れた内省的なサウンドスケープが特徴だ。名声や富(手首のダイヤやゼロが並ぶ銀行口座)を手に入れたトップスターとしての顔と、家族を恋しく思い、ドラッグに逃避し、恋愛の「完璧なタイミング」を探し求める等身大の女性としての顔が交錯する。ドン・トリヴァー(Don Toliver)のメロディアスなボーカルが加わることで、孤独な道を歩んできた二人が何度も同じ関係を繰り返してしまうという、共依存的でありながらもロマンチックな世界観が完成している。
和訳
[Verse 1: SZA]
Summer's over, and the money gone
夏が終わって、お金も底をついた
※享楽的だった季節が過ぎ去り、現実と直面する虚無感の始まり。
I miss my mama when the tide is low
潮が引いていく時、ママが恋しくなるの
※「tide is low」は人生のどん底や気分が落ち込んでいる時のメタファー。精神的な支えとしての母親の存在。
Moon corrals us to the water and my daddy calls on his
月が私たちを水辺へと追いやり、そしてパパから電話がかかってくる
Favorite daughter for a host of loving words, I might oblige him
お気に入りの娘にたくさんの愛の言葉をかけるために、私はそれに応えるかもしれない
※両親との複雑だが深い繋がりを描写している。家族の期待を背負うポップスターとしての彼女のルーツ。
If the money right, is the pussy good?
お金の額が正しければ、この体も価値があるってこと?
※富や名声で自分の価値が計られることへのシニカルな疑問と、女性としての性の切り売りへの葛藤。
I keep it tight for the right one
私は運命の相手のために、自分を大切に保っておくの
Save it all for the right one
すべてのものを、運命の相手のために取っておくわ
Call it perfect timing
それを完璧なタイミングって呼ぶのよ
[Verse 2: SZA]
Make it bounce, baby, do a little more
弾ませてよベイビー、もう少しだけやってみて
※肉体的な関係、あるいは音楽業界でヒットを生み出し続けることへのプレッシャーの比喩。
I've been wiped out like three times
私はすでに3回くらい、完全に打ちのめされてきたの
※キャリアや人間関係における深刻な挫折の経験。
Beat that shit, call me nine lives
そんなもの乗り越えてきたわ、私を9つの命を持つ猫って呼んで
※西洋の「猫には9つの命がある(何度でも生き返る)」ということわざの引用。どれだけダメージを受けても復活する彼女のタフなペルソナ。
I got perfect timing
私には完璧なタイミングがあるの
I got perfect timing
私には完璧なタイミングがある
Perfect
完璧なタイミングが
[Verse 3: SZA]
I can't stop 'til my shit shine
自分の作品が輝くまで、私は止められない
※アーティストとしての妥協なき完璧主義と、名声への執着。
I can't stop 'til I rеach my perfect
自分の完璧に到達するまで、止まるわけにはいかないの
Tic-toc, 'til it go away
チクタク、すべてが消え去ってしまうまで
※時計の針の音。名声や若さ、あるいは人生そのもののタイムリミットが迫っていることへの焦燥感。
Time waits for nary man
時間は誰のことも待ってはくれない
I rеgret all the things we said in haste
私たちが勢い任せに言い放ったすべてのことを後悔しているわ
※過去の恋愛において、売り言葉に買い言葉で関係を壊してしまったことへの自責の念。
Knowing the golden hour awaits for me
ゴールデンアワーが私を待っていると知っているから
※写真撮影で最も美しく写る「夕暮れ時(ゴールデンアワー)」と、人生における最高の輝きの瞬間のダブルミーニング。
Twilight calls my name
黄昏時が私の名前を呼んでいるの
Wrist froze, let the ice call my name too loud
手首は凍りついている、そのダイヤの氷に私の名前を大声で呼ばせるの
※「froze / ice」は高級なダイヤモンドの時計やジュエリーを指すヒップホップスラング。手首のダイヤが自分の成功と存在感を周囲に見せつけているというフレックス。
Double zeroes by my name now
今では私の名前の横にゼロがふたつ並んでいる
※莫大な富を手に入れたこと(銀行口座のゼロの数)、あるいは評価やステータスが跳ね上がったことの証明。
"And it'll all makes sense in the end," that's what they say to us
「最後にはすべて辻褄が合うようになるから」、人は私たちにそう言うの
※困難や痛みの先に意味があるという、よくある慰めや気休めの言葉。
Spending our time smoking that angel dust
私たちはエンジェルダストを吸って時間をやり過ごしている
※「angel dust(エンジェルダスト)」は強力な幻覚剤であるPCPのこと。名声のプレッシャーや虚無感をドラッグで麻痺させている危険で退廃的な現実。
We on perfect time, perfect timing
私たちは完璧な時間、完璧なタイミングにいるの
We got per— (Aah)
私たちは完—(ああ)
[Verse 4: Don Toliver]
Okay, we fell out
分かったよ、俺たちは仲違いしたんだ
But where I've been
でも、俺がどこで何をしていたかというと
See I can't go, no, no, no, no, no more (More)
ほら、俺はもうこれ以上、絶対に行くことなんてできないのさ(これ以上は)
Been around, up and down, oh
あちこちを彷徨って、浮き沈みも経験したよ
Been around myself
自分自身と向き合ってきたんだ
Been down on a lonely road, oh-oh-oh
ずっと孤独な道を歩いてきたのさ
You spent the night and we kept it tidy
君は夜を過ごし、俺たちは関係を綺麗に保っていた
※泥沼にならず、ある程度の距離感を保ちながら一線を越えていた危うい関係性。
I'm so ready for many more, and many more times
俺はこれから先も何度だって、もっと何度でも繰り返す覚悟ができているよ
※一度は破綻しても、お互いの孤独を埋めるためにまた関係を繰り返してしまうToxicなループ。
(Many more, many more, many more)
Talk love, girl, I need me plenty more (Plenty more)
愛を語ろう、ガール、俺にはもっとたくさんの愛が必要なんだ(もっとたくさん)
For many more, many more times
もっとたくさんの、もっと多くの時間のために
※SZAの抱える孤独と共鳴するように、ドン・トリヴァーのメロウなボーカルが愛を乞い続けながら楽曲がフェードアウトしていく。
