Artist: SZA
Album: SOS Deluxe: LANA
Song Title: Drive
概要
21世紀のR&Bシーンにおいて最も「不安(インセキュア)」を芸術的に昇華させるアーティスト、SZA。本作「Drive」は、記録的な大ヒットを飛ばした2ndアルバム『SOS』のデラックス盤『LANA』に収録された一曲だ。深夜から夜明けまで目的もなく車を走らせる(Drivin' to nowhere)というモチーフは、彼女がキャリアを通じて描き続けてきた「精神的な迷走」と「孤独」の象徴である。富や名声を手にしても埋まらない心の空虚さを吐露する一方で、ヴァースでは自分をコピーしようとするフォロワーや元恋人たちを痛烈に突き放す、攻撃的なまでの自信を覗かせる。この「脆さと強気の二面性」こそがSZAの真骨頂であり、本作でも浮遊感のあるトラックに乗せて、現代のポップスターが抱えるリアルな葛藤と、誰かに必要とされたいという根源的な寂しさが生々しく交錯している。
和訳
[Pre-Chorus]
I been up 'til midnight, drivin' to nowhere
真夜中まで起きて、どこへ行く当てもなく車を走らせている
※「Nowhere」へのドライブは、目的地(解決策)が見つからないまま思考がループしている精神状態の比喩だ。
Bumpin' a slow song, can't get my head clear
スローな曲を鳴らしているけれど、頭の中は晴れないまま
※「Bumpin'」は大音量で音楽をかけること。外部の音で内面の不安をかき消そうとしているが、うまくいかない様子が描かれている。
I been up 'til sunrise, headed to nowhere
日の出まで起きて、どこへ行く当てもなく向かっている
Hopin' that someone's missin' me somewhere
どこかの誰かが、私のことを恋しがってくれていると願いながら
※圧倒的な成功を収めてもなお、特定の誰かとの繋がりや承認を求める彼女の孤独なペルソナが強調されている。
[Chorus]
Drivin', just drivin'
運転している、ただ運転し続けている
Just tryin', just tryna get my head right
ただ、正気を保とうとしているの
※「get my head right」は精神状態を整える、落ち着きを取り戻すという意味のスラング。混乱から抜け出そうとする必死の試み。
It'll all be better when, when I
すべては良くなるはずよ、私が、私が……
When I, just gotta get my head right
私が、ただ正気を取り戻せさえすれば
[Verse 1]
And it don't hit the same when you're all alone
たった一人きりじゃ、何もかも実感が湧かないのよ
※どんな成功も、分かち合う相手がいなければ意味を感じられないという虚無感。
And the money's insane, I know
稼いだ金はとんでもない額よ、分かってる
But it don't fill the void at all
でも、そんなものじゃ心の穴はちっとも埋まらない
And I promised my mom I'd do better
「もっとマシな人間になる」ってママに約束したのに
But they keep trying me so I'm
でも奴らが私を試し続けるから、私は
With all the bullshit and fuck it all up
くだらない争いに巻き込まれて、全部台無しにしてしまう
I keep pretеndin' everyone's as good as mе
誰もが私と同じように善人だなんて、フリをし続けるのはもう限界
※「善人を演じる」ことに疲れ、周囲の偽善や悪意に対して攻撃的な本音が出始めている。
Shit's so weird I cannot speak
状況が不気味すぎて、言葉も出ないわ
Balled so hard, I think I peaked
派手にやりすぎて、もう絶頂期を過ぎたのかもね
※「Ball so hard」は贅沢三昧をする、あるいは大成功を収めること。ジェイ・Zとカニエ・ウェストのリファレンスを交えつつ、頂点にいるがゆえの不安を吐露している。
All my exes still love me
元カレたちはみんな、いまだに私を愛してる
Call me up, he wanna freak
電話してきて、ヤりたがってるわ
All my opps lookin' distressed
敵(オップス)どもはみんな、打ちのめされたような顔をしてる
How you copy then compete?
私の真似をしておいて、どうやって私と競うつもり?
※SZAの独特なフロウやビジュアルを模倣する新人アーティストやライバルへの痛烈な皮肉。
Oh, you just mad that your nigga want me
ああ、あんたの男が私を欲しがってるのが腹立たしいのね
Oh, you just mad that we went ten weeks
ああ、私たちが10週間も(チャートや関係で)独走したのが悔しいのね
Oh, you just mad that your ass ain't free
ああ、あんたの体は自由じゃないから腹が立つのね
Scared to say shit so you fake kiki
文句を言うのが怖くて、裏で「キキ」なんて楽しんでるフリをして
※「kiki」はパーティーや噂話を楽しむことを指すスラング。表面的には仲良く振る舞う偽善者へのディス。
Scared to cut a nigga so I left, ski-ski
男を切るのが怖かったけど、私は去ったわ、サヨナラ
※「ski-ski」は「skrrt skrrt」と同様に、車で走り去る時の音を模したスラング。
I ain't scared of shit so I swing my meat
私は何も怖くない、だから自分の実力を見せつけてやる
※「swing my meat」は本来男性的な表現だが、ここでは自分のパワーや地位を誇示する比喩として用いられている。
I ain't scared of shit so I let mine go
何も怖くないから、本音を解き放つのよ
Pop my shit 'cause I can, I know
自慢させてもらうわ、それができる立場にいるんだから
[Pre-Chorus]
I been up 'til midnight, drivin' to nowhere (Nowhere, nowhere)
真夜中まで起きて、どこへ行く当てもなく車を走らせている
Bumpin' a slow song, can't get my head clear
スローな曲を鳴らしているけれど、頭の中は晴れないまま
I been up 'til sunrise, headed to nowhere
日の出まで起きて、どこへ行く当てもなく向かっている
Hopin' that someone's missin' me somewhere
どこかの誰かが、私のことを恋しがってくれていると願いながら
[Chorus]
Drivin', just drivin' (Just drivin')
運転している、ただ運転し続けている
Just tryin', just tryna get my head right
ただ、正気を保とうとしているの
It'll all be better when, when I
すべては良くなるはずよ、私が、私が……
When I, just gotta get my head right
私が、ただ正気を取り戻せさえすれば
[Verse 2]
And I can't lose my focus, I know if hope is the goal
集中を切らすわけにはいかない、「希望」がゴールだと言うのなら
Then I can't succumb like these cum-guzzlers at all (Nope)
こんな卑しい連中みたいに屈するわけにはいかないの
※「cum-guzzlers」は非常に卑猥な罵倒語。利益や男のために自分を安売りする人々を軽蔑的に指している。
And I know that if love is my purpose
愛が私の生きる目的なのだとしたら
I can't waste energy looking for enemies, I just dub it all
敵を探すことにエネルギーを浪費しちゃダメね、全部無視してやるわ
※「dub it」は拒絶する、無視するという意味。
I'm anti-beef, half y'all bitches be too cheap
私は争いごとなんてお断り、あんたたちの半分は安っぽすぎるもの
※「anti-beef」はヒップホップ的な抗争を避ける姿勢。格下の相手と喧嘩をする価値もないという宣言。
Half a milli when I bling, fuck I look like on my knees?
輝く装飾一つで50万ドルよ、私が膝をついて慈悲を乞うように見える?
You really just mad 'cause I make it look easy
あんたが腹を立ててるのは、私がすべてを簡単そうにこなすからでしょ
I'm really this bad, you should see it 3D
私は本当にこれほどイケてるの、3D(目の前)で拝むといいわ
Brought you this bag, you should spend it on me
この利益をあんたにもたらしてあげたんだから、私に尽くすべきよ
All of my time precious, so be
私の時間は貴重なの、だから相応しく振る舞って
[Pre-Chorus]
I been up 'til midnight, drivin' to nowhere (Nowhere, nowhere)
真夜中まで起きて、どこへ行く当てもなく車を走らせている
Bumpin' a slow song, can't get my head clear
スローな曲を鳴らしているけれど、頭の中は晴れないまま
I been up 'til sunrise, headed to nowhere
日の出まで起きて、どこへ行く当てもなく向かっている
Hopin' that someone's missin' me somewhere
どこかの誰かが、私のことを恋しがってくれていると願いながら
[Chorus]
Drivin', just drivin' (Just drivin')
運転している、ただ運転し続けている
Just tryin', just tryna get my head right
ただ、正気を保とうとしているの
It'll all be better when, when I
すべては良くなるはずよ、私が、私が……
When I, just gotta get my head right
私が、ただ正気を取り戻せさえすれば
※出口のない夜のハイウェイを走り続けるような、孤独な反復とともに楽曲はフェードアウトしていく。
