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No More Hiding - SZA 【和訳・解説】

Artist: SZA

Album: SOS Deluxe: LANA

Song Title: No More Hiding

概要

歴史的メガヒットを記録した2ndアルバム『SOS』のデラックス・エディション『LANA』に収録された本楽曲は、SZAの代名詞とも言える「徹底的な自己開示と自己嫌悪」が、これまでにないほど痛切な形で表現されたR&Bトラックだ。彼女はこれまで、不安(インセキュア)や嫉妬、見栄を張ってしまう等身大の弱さを歌い、世界中のリスナーの共感を集めてきた。しかし本作において彼女は、自分を守るための「隠れ蓑(オーバーサイズの服やフェイクな振る舞い)」をすべて脱ぎ捨て、火傷を負ってでも「本物(Real)」の感情や自分自身に直面しようと決意する。執着を手放し、一度すべてを破壊しなければ本当の成長はないという破壊と再生のテーマは、ポップアイコンとしての重圧の中で彼女が辿り着いた、極めてスピリチュアルで血の通った境地である。

和訳

[Verse 1]

No more hiding
もう隠れるのはやめるわ

I wanna feel sun on my skin
肌に太陽の光を感じたいの
※日陰に隠れて自分を守るのをやめ、世間の光(あるいは真実)の元へ自らを晒す決意。

Even if it burns or blinds me
たとえそれが肌を焼き、目をくらませるものだとしても
※真実を知ることや本音で生きることは痛みを伴い、時には自分を傷つけるリスクがあることを完全に理解した上での受容。

I wanna be purified within
内側の奥深くから浄化されたいの
※炎や強烈な光による浄化(カタルシス)のメタファー。

No more hiding
もう隠れるのはやめるわ

I wanna be in love for real though
本気で恋に落ちてみたいの
※これまでの傷つかないための予防線を張った恋愛(フェイクな愛)への決別。

Don't care what it costs me
どんな代償を払うことになっても構わない

I'll trade anything to feel now
何かを感じられるなら、今なら何だって差し出すわ
※感情が麻痺してしまったような空虚な状態から、痛みを伴ってでも「生きた感情」を取り戻したいという切実な渇望。

[Chorus]

Searching for real, trying for real
本物を探して、本気で試して

Failing for real, lost in the real
本気で失敗して、現実の中で迷子になって

Hurting for real, chasing for real
本気で傷ついて、本物を追いかけて

Anything real
本物ならなんでもいいの
※「real(本物、現実、本気)」という言葉の執拗な反復。ポジティブな感情だけでなく、失敗や痛みであっても、それが「本物」であるならば価値があるという彼女の特異な美学。

[Post-Chorus]

Don't gotta say it 'cause I already know, mm
言わなくていい、もう分かっているから

Don't gotta say it 'cause I already know
言わなくていい、もう分かっているから

Everything I love, I gotta let go
私が愛するすべてのものを、手放さなきゃいけないって
※何かに執着することが苦しみを生むという、東洋哲学や仏教的な「手放す(Let go)」の思想への到達。

Gotta break it if you want it to grow
成長させたいなら、一度壊さなきゃいけないの
※筋肉が破壊されて超回復するように、あるいは古い価値観を壊さなければ新しい自分にはなれないという、破壊と再生の法則。

Had to build everything twice over
すべてを二度も一から作り直さなきゃいけなかった
※『SOS』の制作が難航し、幾度も楽曲を作り直した彼女自身のリアルな苦闘の背景、あるいは人間関係の再構築のメタファーと考察されている。

Don't tell me 'cause I know
言わないで、分かっているから

[Bridge]

Let go
手放すの

Let go
手放して

[Verse 2]

No more hiding
もう隠れるのはやめるわ

I wanna be real me, ugly
醜くてもいいから、本当の私になりたいの
※SZAの最大の魅力である自己開示の極致。美しい姿を取り繕うことに疲れ果てた心の叫び。

No morе fake me fighting
フェイクな私が戦うのはもう終わり

I wanna know what's undernеath, oh
その奥に何があるのか知りたいの

Mask off, I get more oversized down talkin' face off
仮面を外して、オーバーサイズな自己卑下との対決を始めるの
※非常に複雑でギミックに満ちたライン。「oversized」は体型を隠すために彼女が好んで着るオーバーサイズの服のことであり、同時に肥大化した不安や自己卑下(down talkin')を指している。自分を覆い隠すものをすべて剥ぎ取り(Mask off / Face off)、本当の自分と直面するという意味。

Cut myself open to see what I'm made of
自分が何でできているのかを見るために、自分を切り開いてみる
※外科手術のように自らの内面を解剖し、痛みを伴う自己分析を行う過激な表現。

I guess I'm guilty of giving out fake love
私自身も、偽物の愛を与えていた罪人なんだと思う
※他人のせいにするのではなく、自分自身も傷つくことを恐れて「フェイクな愛」でお茶を濁していた加害者側であったという、鋭い客観視と自責の念。

I'm so fake, fuck
私って本当にフェイクね、クソ
※飾らない言葉で吐き出される強烈な自己嫌悪。

[Chorus]

Crashing for real, trying for real
本気でぶつかって、本気で試して

Earning for real, hurting for real
本気で手に入れて、本気で傷ついて

Passion for real, risky for real
本物の情熱、本気のリスク

Anything real
本物ならなんでもいいの

[Post-Chorus]

Don't gotta say it 'cause I already know, mm
言わなくていい、もう分かっているから

Don't gotta say it 'cause I already know
言わなくていい、もう分かっているから

Everything I love, I gotta let go (Let go)
私が愛するすべてのものを、手放さなきゃいけないって(手放すの)

Gotta break it if you want it to grow (Let go)
成長させたいなら、一度壊さなきゃいけないの(手放して)

Had to bury everything twice over
すべてを二度も埋葬しなきゃいけなかった
※1回目のコーラスの「build(建てる)」が「bury(埋める)」に変化している。過去の執着や愛したものを完全に葬り去る痛切な描写。

Done asking 'cause I know
もう誰にも聞かない、自分で分かっているから

[Outro]

Let go (Let go)
手放すの(手放して)

(You just gotta let go) Let go, oh
(ただ手放さなきゃいけないの)手放すの

Let go (Let go)
手放すの(手放して)

Go and let go (Let go)
さあ、手放して(手放すの)
※執着やフェイクな自己を脱ぎ捨てるためのマントラのように「Let go」が繰り返され、浄化されるような余韻とともに楽曲が幕を閉じる。