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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

These Walls - Dua Lipa 【和訳・解説】

Artist: Dua Lipa

Album: Radical Optimism

Song Title: These Walls

概要

2024年リリースの3rdアルバム『Radical Optimism』の中盤に位置する、軽快なギターリフと切ないリリシズムが同居したミッドテンポのポップソング。テーム・インパラのケヴィン・パーカーらがプロデュースに参加した本作は、一見すると心地よいドライブ感のあるサウンドだが、その内実は「冷え切った関係の終焉」を冷徹なほど客観的に見つめた楽曲である。デュア・リパが本作で掲げる「急進的な楽観主義(Radical Optimism)」とは、単にポジティブであることではなく、目の前の残酷な現実を直視し、より良い未来のために潔く手放す勇気を持つことを指す。アルバムの中でも特に「誠実な痛み」が描かれており、言葉にできない重苦しい沈黙を、二人が住む部屋の「壁」という第三者の視点から代弁させる構成が、聴き手の共感を呼んでいる。

和訳

[Verse 1]

Maybe we should switch careers
いっそのこと二人で転職でもすべきかしら
※皮肉を込めた冒頭。本心を隠し通すのがあまりにも上手すぎる現状を、プロの役者や勝負師に例えている。

'Cause, baby, you know no one beats our poker faces
だってベイビー、私たちのポーカーフェイスには誰も敵わないでしょ
※「poker faces」は、お互いに冷めきっていることに気づかない振りをしている演技力の高さを示唆している。

And when the night ends up in tears
そうして夜が涙で終わっても

Wake up and we blame it all on being wasted
朝になれば「ただ酔っ払っていただけ」と酒のせいにするの
※二人の間の根本的な不和から目を背け、アルコールという一時的な言い訳に逃げ込んでいる危うい関係性の描写。

[Pre-Chorus]

Oh, this love is fadin'
ああ、この愛は消えかかっている

So much we're not sayin'
あまりにも多くのことを、口に出さないまま

[Chorus]

But if these walls could talk
けれど、もしこの壁が喋れるとしたら
※英語の慣用句「If these walls could talk」は、「もしこの場所で起きた隠し事をすべて話せたら」という意味。二人だけの沈黙と、その裏にある真実を壁が目撃しているというメタファー。

(They'd say) "Enough"
(壁はこう言うはずよ)「もう十分でしょ」

(They'd say) "Give up"
(壁は言うわ)「諦めなさい」

If these walls could talk
もしこの壁が喋れるなら

(They'd say) "You know"
(壁は言うでしょうね)「分かってるはずよ」

(They'd say) "You're fucked"
(壁は言うわ)「もう手遅れだって」
※「You're fucked」は、関係が完全に修復不可能(万事休す)であることを突きつける非常に強い言葉選び。一説には、このフレーズの唐突な鋭さが、関係を終わらせるための最後の一押しを象徴しているとされている。

It's not supposed to hurt this much
こんなに苦しいはずじゃなかったのに

Oh, if these walls could talk
ああ、もしこの壁が喋れるなら

They'd tell us to break up
私たちに別れろって告げるはずよ

[Post-Chorus]

(These walls, these walls, these walls)
(この壁が、この壁が、この壁が)

They'd tell us to break up
別れろって言うはずよ

(These walls, these walls, these walls, these walls)
(この壁が、この壁が、この壁が)

[Verse 2]

They'd tell us, "Go and face your fears"
「行って自分の恐怖と向き合いなさい」って、壁は言うでしょうね
※一人の孤独に戻ることへの恐怖から、惰性で一緒に居続ける二人への痛烈な助言。

It's getting worse the longer that we stay together
一緒にいればいるほど、状況は悪くなるばかり

We call it love, but hate it here
愛と呼んではいるけれど、私たちはここでの生活を忌み嫌っている

Did we really mean it when we said forever?
「永遠」なんて誓った時、本気でそう思っていたのかしら?
※かつての約束が、今や自分たちを縛り付ける呪いになっていることへの虚しさを表現している。

[Pre-Chorus]

Oh, this love is fadin'
ああ、この愛は消えかかっている

So much we're not sayin'
あまりにも多くのことを、口に出さないまま

[Chorus]

But if these walls could talk
けれど、もしこの壁が喋れるとしたら

(They'd say) "Enough"
(壁はこう言うはずよ)「もう十分でしょ」

(They'd say) "Give up"
(壁は言うわ)「諦めなさい」

(I know) If these walls could talk
(分かってる)もしこの壁が喋れるなら

(They'd say) "You know"
(壁は言うでしょうね)「分かってるはずよ」

(They'd say) "You're fucked"
(壁は言うわ)「もう手遅れだって」

It's not supposed to hurt this much
こんなに苦しいはずじゃなかったのに

Oh, if these walls could talk
ああ、もしこの壁が喋れるなら

They'd tell us to break up
私たちに別れろって告げるはずよ

[Post-Chorus]

(These walls, these walls, these walls)
(この壁が、この壁が、この壁が)

They'd tell us to break up
別れろって言うはずよ

(These walls, these walls, these walls)
(この壁が、この壁が、この壁が)

They'd tell us to break up
別れろって言うはずよ

[Bridge]

You don't wanna go (Go)
あなたは離れたくないのね

Don't wanna stop (Stop)
止めたくないんでしょ

Heaven knows I (I)
神様は知っているわ、私も

Don't wanna be the one to cut it off
自分から幕を引く役目なんて、引き受けたくないってことを
※誰もが悪役になりたくないがために、腐りきった関係の「死」を看取ることすら拒んでいる、人間心理のリアルな葛藤。

[Chorus]

But if these walls could talk
けれど、もしこの壁が喋れるとしたら

(They'd say) "Enough"
(壁はこう言うはずよ)「もう十分でしょ」

(They'd say) "Give up" (Give it up, give it up, give it up)
(壁は言うわ)「諦めなさい」

If these walls could talk
もしこの壁が喋れるなら

(They'd say) "You know"
(壁は言うでしょうね)「分かってるはずよ」

(They'd say) "You're fucked"
(壁は言うわ)「もう手遅れだって」

(Yeah, you know, yeah, you know you're fucked)
(ええ、分かってるでしょ、もう手遅れなのよ)

It's not supposed to hurt this much
こんなに苦しいはずじゃなかったのに

Oh, if these walls could talk
ああ、もしこの壁が喋れるなら

They'd tell us to break up
私たちに別れろって告げるはずよ

[Post-Chorus]

(These walls, these walls, these walls)
(この壁が、この壁が、この壁が)

They'd tell us to break up
別れろって言うはずよ

(These walls, these walls, they would tell us, "Break up")
(この壁が、この壁が、私たちに言うの「別れなさい」って)
※最後に「they would tell us, "Break up"」と言葉が変化することで、壁の声(=自分たちの心の奥底にある真実の声)を受け入れたかのような余韻を残している。