Artist: Drake
Album: For All The Dogs
Song Title: 8am in Charlotte
概要
「8am in Charlotte」は、2023年のアルバム『For All The Dogs』に収録された、Drakeのキャリアを象徴する「時間+場所」シリーズ("5AM in Toronto" や "4PM in Calabasas" など)の最新作である。プロデューサーにGriselda作品などで知られるConductor Williamsを迎え、ソウルフルなブーンバップ・ビートの上で、Drakeが純粋なリリシストとしての恐るべきペンゲーム(作詞能力)を披露している。楽曲全体を通して、オーソン・ウェルズの『市民ケーン』やジョーダン・ピールの映画、そしてシャナイア・トゥエインのラインダンスに至るまで、極めて高度で多層的なダブルミーニングが息つく暇もなく連発される。また、Kanye Westが彼にひれ伏した謝罪映像(USB)を隠し持っているという不穏な仄めかしや、J. Princeに泣きつくラッパーたちへの冷笑など、「Mob Boss」としての底知れぬ権力と静かなる怒りが随所に散りばめられている。ポップスターとしての顔を捨て、純粋なMCとしての格の違いを見せつけたマスターピースである。
和訳
[Intro]
In God's hands (Conductor)
神の御手の中に(コンダクター)
※プロデューサーであるConductor Williamsのビートタグ。
Be grateful
感謝しなさい
That He was there
神がそこにいたことを
Glory (Yeah)
栄光あれ(ああ)
I'm out here on the road
俺は今、ツアーで外に出ている
You can hear it in the voice (Glory)
この声を聞けば分かるだろ(栄光あれ)
Still get this shit off, though
それでもこのシット(リリック)を吐き出すぜ
Look
見な
[Verse 1]
The money speakin' for itself, I call it fortune-tell
金が自ら語り出している、俺はそれを占い(フォーチュン・テリング)と呼んでる
※富(fortune)が語る(tell)ことと、占い(fortune-tell)をかけたワードプレイ。
Fire top from a bitch that work at corporate sales
法人営業で働くビッチからの最高のフェラ(トップ)
Chinchilla ushanka, we skiin' out in Courchevel
チンチラのウシャンカ(ロシア帽)、俺たちはクールシュヴェルでスキーをしてる
Breakin' news, they tried to kill him, but the boy prevails
ニュース速報だ、奴らは彼を殺そうとしたが、ザ・ボーイ(ドレイク)は生き延びたぜ
I leave for tour and my niggas fuckin' go to jail
俺がツアーに出ると、俺のダチどもは刑務所に入りやがる
Preachin' to the dogs 'bout wantin' more for themselves
ダチ(犬)たちに、もっと自分自身のために欲を持てと説教しているんだ
It's weighin' heavy on my moral scale
俺の道徳の天秤に重くのしかかっている
Knowin' they gon' sell another citizen 'caine, they think they Orson Welles
あいつらがまた別の市民にコカインを売ると分かっている。奴らは自分のことをオーソン・ウェルズだとでも思ってるらしい
※「市民(citizen)にコカイン(caine)を売る」と、オーソン・ウェルズの伝説的映画『市民ケーン(Citizen Kane)』をかけた見事なダブルミーニング。
Walk in Chanel, they like, "How the fuck you need more Chanel?"
シャネルの店に入ると、店員が「どうしてこれ以上シャネルが必要なんですか?」って顔をする
※「citizen 'caine」の行の「sell(売る)」と「Chanel(シャネル)」の踏韻。
I got these cats tuckin' tails on fourth-quarter sales
第4四半期の売り上げで、この猫(ラッパー)どもに尻尾を巻かせてやってるぜ
※「dogs(犬/仲間)」に対する「cats(猫/敵)」の対比。年末(第4四半期)のリリースラッシュで売上トップを独占することの誇示。
I'm used to seein' tears drop over enormous meals
豪華な食事の席で涙がこぼれ落ちるのを見るのには慣れてるさ
The restaurant clears out, faint echoes of Lauryn Hill
レストランから人がいなくなり、ローリン・ヒルの微かな残響が聴こえる
I say, "We gotta talk about us," I feel like Jordan Peele
俺は「俺たち(US)について話さなきゃならない」と言う。ジョーダン・ピールみたいな気分だ
※映画監督ジョーダン・ピールのホラー映画『アス(Us)』と「俺たち(us)」をかけたライン。
Could tell I'm gettin' under your skin like a orange peel
俺がお前のイラつきの種になっている(皮膚の下に潜り込んでいる)のが分かるぜ、オレンジの皮(ピール)みたいにな
※「Peele」と「peel(皮)」、そして「get under one's skin(イライラさせる/皮の下に入る)」の高度なワードプレイ。
'Cause your words don't match your actions like a foreign film
だってお前の言葉は行動と一致していない、まるで外国映画の吹き替えみたいにな
And now it's silence in the Lamb' like the horror film
そして今、ランボルギーニの中は沈黙している、あのホラー映画みたいにな
※高級車ランボルギーニ(Lamborghini / Lamb)と、名作ホラー映画『羊たちの沈黙(The Silence of the Lambs)』をかけたリファレンス。
Things get quiet after me statin' the obvious
俺が当たり前の事実を口にすると、その場が静まり返る
Things get kinky after fifteen years of dominance
15年間も頂点を支配(ドミネンス)していると、物事は変態的(キンキー)になってくるんだ
※「dominance」にはSM的支配の意味も含まれる。
That October sky is lookin' ominous
この10月の空は不吉な予感がするぜ
※OVOの月である10月(アルバムリリースの月)。
The money is autonomous
金は自動的に生み出される
Shout' to Oliver North, he out in Rome doin' Toronto shit
オリバー・ノースにシャウトアウト、あいつはローマにいて、トロントのシット(仕事)をこなしてる
※「Oliver North」はOVOの共同創設者であるOliver El-Khatibのこと。
And Jeremiah the watchdog, you niggas know what time it is
そして番犬のジェレマイア、お前らも今がどういう時か分かってるだろ
I'm in and out of Houston Hobby so much, I'm a hobbyist
ヒューストンのホビー空港を出たり入ったりしすぎて、俺はホビイスト(趣味人)になっちまった
※「Houston Hobby(ヒューストンにある空港)」と「Hobbyist(趣味に没頭する人)」の掛詞。
Hoes waitin' on Cench in the lobby, that boy a lobbyist
ビッチどもがロビーでセンチを待っている、あいつはロビイストだな
※「Cench」はUKの人気ラッパーCentral Ceeの愛称。「lobby(ロビー)」と「lobbyist(ロビイスト)」の言葉遊び。
Savage got a green card straight out of the consulate
サヴェージは領事館から直接グリーンカードを手に入れたぜ
※UK生まれでビザ問題により長年アメリカ国外に出られなかった21 Savageが、ついに永住権(グリーンカード)を獲得しDrakeのカナダ公演に参加できるようになったことの祝福。
Where I go, you go, brother, we Yugoslavian
俺が行くところにお前も行くんだ、兄弟、俺たちはユーゴスラビア人だ
※「You go, slavin'(お前も行くぞ、兄弟)」と「Yugoslavian(ユーゴスラビア人)」をかけた、くだらなくも秀逸なダジャレ。
Formal is the dress code, dawg, so many checks owed
ドレスコードはフォーマルだ、ダチよ。借りのある小切手(チェックス・オウド)が山ほどあるからな
I feel Czechoslovakian, nigga, what the fuck?
まるでチェコスロバキア人になった気分だ、なあ、一体どうなってる?
※「Checks owed, slavin'」と「Czechoslovakian(チェコスロバキア人)」をかけた連発ジョーク。
[Interlude]
Nah, I'm movin' different right now, for real, like
いや、今の俺は別の次元で動いてるんだ、マジで
I feel like if Mike switched out the glove for the pen, like
まるでマイクが、グローブをペンに持ち替えたみたいな気分だ
※マイケル・ジャクソン(MJ)が象徴的な片手グローブを外し、リリシストとしてペンを握った状態=史上最高のエンターテイナーかつ最高のリリシストであるという強烈な自負。
This shit just too enticing right now, you know?
今、このシットが魅力的すぎるんだよ、分かるか?
Look
見な
[Verse 2]
Diamonds do the silly dance, I raise up the wine glass
ダイヤモンドがバカみたいに踊っている(輝いている)、俺はワイングラスを掲げる
Metal detectors beepin' and security bypass
金属探知機が鳴っているが、セキュリティは素通りだ
The numbers goin' up, someone pull up the line graph
数字が上がり続けている、誰か折れ線グラフ(ライングラフ)を出してくれ
The days are goin' by, it's like I'm livin' in time-lapse
日々が過ぎ去っていく、まるでタイムラプスの中で生きているみたいだ
Been talkin' to Adel like he majored in finance
アデルと話していると、あいつが金融を専攻していたんじゃないかと思えてくる
※「Adel」はDrakeの長年のビジネスパートナーであるAdel "Future the Prince" Nurのこと。
Shania Twain, notepad, I'm makin' it line-dance
シャナイア・トゥエイン、メモ帳、俺はそれをラインダンスさせている
※カナダ出身の世界的カントリー歌手シャナイア・トゥエインの「ラインダンス(カントリーの定番ダンス)」と、メモ帳の「罫線(ライン)が踊る(リリックを書く)」ことの秀逸なワードプレイ。
You tryna rob me, and it's gon' feel like you sittin' at your favorite restaurant 'cause, nigga, that's where you dyin' at
俺から奪おうとしているようだが、それはお気に入りレストランに座っているような気分になるぜ。だって、お前はそこで死ぬことになるからな
※マフィア映画(『ゴッドファーザー』など)で、ターゲットがお気に入りのレストランで食事中に暗殺される定番シーンのメタファー。Mob Bossとしての冷酷な警告。
Mob ties, I swear we like a bitch with fine sisters and fine cousins, the family all bad
モブの絆(マフィアの繋がり)だ。俺たちはイイ女の姉妹やいとこがいるビッチみたいなもんさ、家族全員が最高(バッド)だからな
※「bad」はスラングで「セクシー、最高」という意味。OVOクルー全員が強力であることの比喩。
I'm preachin' to the dawgs about cleanin' they images
俺はダチどもに、自分たちのイメージをクリーンにするよう説教している
I swear I'm like a young T.D. Jakes to my menaces
誓って言うが、俺は俺の厄介者たちにとって、若きT.D.ジェイクスみたいな存在だ
※T.D. Jakesはアメリカの有名な黒人牧師。ストリートの仲間たちを更生させようとする姿を牧師に重ねている。
Long-kiss goodnight, PDA for my nemesis
おやすみのロングキス、俺の宿敵に対するPDA(人前での愛情表現)さ
※『The Long Kiss Goodnight』は暗殺者を主人公にしたアクション映画のタイトル。敵を確実に始末する(殺しのキス)という表現。
Three hunnid acres, PGA on the premises
300エーカーの土地、敷地内にはPGA(ゴルフコース)があるぜ
That's what's really brackin' like this verse in parentheses
それが本当にブラッキン(起こっていること)だ、このヴァースが括弧(パレンセシス)の中にあるようにな
※「brackin'」は血が流れる、盛り上がるというブラッズ(ギャング)のスラング。それが「brackets(括弧)」と似ているため、この歌詞(カッコ内の言葉)と掛けたライム。
I'm givin' hits to niggas on some, don't even mention it
俺は野郎どもにヒット曲を提供してやってる、「礼には及ばないぜ(don't mention it)」って感じにな
※他のラッパーに客演して大ヒットをもたらしてやっているという事実の誇示。
[Interlude]
Like, don't even worry about it, like
「気にしなくていいよ」みたいな
You can hit me back whenever, or
「いつでも返してくれればいいし」とか
Or don't, you know?
「返さなくてもいいよ」、ってな
It is what it is, I guess
まあ、そういうことだ
Yeah, hm
ああ、ふむ
Look
見な
[Verse 3]
You young boys take some of that money and set it aside
お前ら若い連中は、その金の一部を取っておけよ
Not havin' enough to pay your tax is a federal crime
税金を払えないのは連邦犯罪だからな
※急に大金を手にして散財する若手ラッパーへの、大御所からのリアルな忠告。
You niggas obsessed with me, and it's not on no hetero vibe
お前ら俺に執着しすぎだろ、しかもヘテロ(異性愛者)のバイブスじゃないぜ
※Drakeの動向にいちいち反応してネットで文句を言うヘイターや同業者たちを、「まるで俺に恋してるゲイみたいだ」と嘲笑する強烈なディス。
Handle beef so quiet, you think that I'm lettin' it slide
俺はビーフ(抗争)を静かに処理する、お前らは俺が見逃してやったと思ってるだろうがな
Next thing you know, we tip-toein' past enemy lines
気づいた時には、俺たちは敵の防衛線を抜き足差し足で通り抜けてるのさ
Diss me so long ago, we making your memories fly
ずっと昔に俺をディスった奴ら、お前の記憶を空に飛ばして(命を奪って)やるよ
Conspiracy theories start floatin' 'round like the Kennedy guy
陰謀論が飛び交い始める、あのケネディの事件みたいにな
※XXXTentacionの殺害事件などにDrakeが関与しているといった、ネット上の様々な陰謀論に対する言及。
I'll prolly hold a grudge against you guys 'til I'm seventy-five
俺はたぶん75歳になるまで、お前らへの恨みを抱き続けるだろうな
※Drakeの異常なまでの執念深さ(Sad Boy/Petty King)の告白。
Ayy, niggas lyin' for a livin', I couldn't relate
エイ、息を吐くように嘘をついて生きてる野郎ども、俺には共感できないね
We all gotta lay in the bed we make, but that couldn't be Drake
俺たちはみんな自分が作ったベッドで寝なきゃならない(自業自得だ)が、それはドレイクには当てはまらない
※「lay in the bed you make(自分の行いの報いを受ける)」という慣用句。
You forced a lot of fake love when real ones stood in your face
お前は目の前に本物が立っていた時に、たくさんの偽物の愛を押し付けてきやがった
That's why you got deserted by your niggas like puddin' and cake
だからお前は仲間たちに見捨てられた(デザートされた)んだ、プリンやケーキみたいにな
※「deserted(見捨てられた)」と「dessert(デザート)」の言葉遊び。Kanye Westなど、周囲から人が離れていった特定のアーティストへのサブリミナル・ディスと解釈されている。
I got you on camera bowin' down, but the footage is safe
お前がひれ伏している映像を持ってるが、そのフッテージは安全なところに保管してあるぜ
※ファンの間では、かつてビーフを一時休戦した際に、Kanye WestがDrakeに対して頭を下げて謝罪した瞬間の映像をDrakeが隠し持っているという裏設定として語られている、極めて危険なライン。
Thank God, another USB to put in the safe
神に感謝だ、金庫に入れるUSBがまた一つ増えた
Thank God, at the crib, dippin' my foot in the lake
神に感謝だ、家で湖に足を浸している
※トロントの自宅(The Embassy)の豪華な暮らし。
I swear that y'all turned me into the villain, I couldn't escape
誓って言うが、お前らが俺を悪役(ヴィラン)に変えたんだ、逃れることはできなかった
Not sayin' I'm the best at what I do
自分がやってること(ラップ)で一番だとは言わない
I'm just sayin' that it's me versus whoever wanna lose
俺が言ってるのは、「俺 VS 負けたい奴なら誰でもいい」ってことさ
Pick any one of the Who's Whos, I got .22s for new crews
名士録(Who's Who)に載ってる奴なら誰でも選べ、新しいクルーどもには22口径を用意してある
R.I.P. to the DJ from Houston, we loose screws
ヒューストンから来たDJよ安らかに、俺たちはネジが緩んでる(スクリューされてる)んだ
※ヒューストンの伝説的DJ、DJ Screwへの追悼と、「loose screws(頭がおかしい)」をかけたライン。
Helicopters, cop lights, and news crews
ヘリコプター、パトカーのライト、そしてニュースの取材班
Niggas steady cryin' to my daddy, well, boo-hoo
野郎どもは俺の「親父」に絶えず泣きついている、まあ、可哀想にな(ブーフー)
※KanyeやPusha Tなどの敵対者が、Drakeとのビーフを止めるためにJ. Prince(ヒューストンのドンであり、Drakeの後ろ盾的な存在=daddy)に泣きついたことへの冷笑的な言及。
You prolly heard a lot about the boy, well, true, true, haha
お前らもザ・ボーイ(俺)について色んな噂を聞いたはずだ。まあ、どれも事実だけどな、ハハ
[Outro]
(In God's hands) Yeah
(神の御手の中に)ああ
(Be grateful)
(感謝しなさい)
(That He was there)
(神がそこにいたことを)
