Artist: Drake & 21 Savage
Album: Her Loss
Song Title: Circo Loco
概要
「Circo Loco」は、2022年のジョイント・アルバム『Her Loss』に収録された、数々の物議を醸したアルバム最大のハイライトの一つである。Daft Punkの伝説的アンセム「One More Time」を大胆にサンプリングした高揚感あふれるビートに乗せて、二人はストリートの過酷な現実と成功者ゆえの傲慢さをラップする。この楽曲が音楽業界を震撼させた理由は、Drakeのヴァースに含まれる二つの爆弾発言にある。一つは、女性ラッパーMegan Thee Stallionの銃撃事件を「嘘」だと仄めかしたとされるライン。そしてもう一つは、長年の宿敵Kanye Westとの歴史的「和解」が、ヒューストンのフィクサーJ. Princeの顔を立てるためのマフィア的政治(Mob ties)に過ぎず、本心では許していないという「Mob Boss」としての衝撃的な告白である。21 Savageもロンドンの公営住宅出身という自身のUKルーツを公に語り、両者のエゴとストリートのリアルが究極のレベルで融合したクラシックである。
和訳
[Intro]
One more—
もう一度—
※Daft Punk「One More Time」のボーカルサンプル。
[Verse 1: Drake]
I been blowin' through the money like it grow on trees
木にお金がなるかのように、俺は金を吹き飛ばしてきた
I been fuckin' on a French bitch, c'est la vie
フレンチのビッチとヤッてきた、セラヴィ(これが人生)さ
I just put 'em on a jet, now they all Italian
女たちをジェット機に乗せたら、今じゃ全員イタリア人気取りだ
Way I'm dressin' tell I been to a thousand islands
俺の服装を見れば、サウザンドアイランズに行ってきたって分かるだろ
※カナダとアメリカの国境にある「サウザンド諸島」と、ドレッシングの「サウザンドアイランド」をかけたドレイクらしいワードプレイ。
This bitch lie 'bout gettin' shots, but she still a stallion
このビッチは撃たれた(注射を打った)と嘘をつくが、それでも見事な種馬(スタリオン)だ
※「shot」に「銃撃」と「BBL(豊尻手術)の注射」のダブルミーニングを持たせている。Megan Thee Stallion(メーガン・ザ・スタリオン)がTory Lanezに足を撃たれた事件を「嘘」だと仄めかし、ヒップホップ界で大論争を巻き起こした歴史的かつ極めてToxicなパンチライン。
She don't even get the joke, but she still smilin'
彼女はジョークの意味すら分かってないが、それでも笑っている
Every night late night like I'm Jimmy Fallon
毎晩がレイトナイトだ、まるでジミー・ファロンみたいにな
※アメリカの大物司会者ジミー・ファロンの冠番組「The Tonight Show」にかけている。
Cro shoot from anywhere like he Ray Allen
クロはどこからでも撃ってくる、まるでレイ・アレンみたいにな
※「Cro」は兄弟分(Crodie)のこと。NBA屈指の3PシューターであるRay Allenと、どんな距離からでも銃を撃つヒットマンをかけている。
Crodie, turn me up
クローディ、俺をアゲてくれ
※「Crodie(クローディ)」はトロントで多用されるスラング。本来はクリップス(Crips)のメンバーが「Brodie(兄弟)」のBをCに変えて使う言葉だが、トロントではフッドの仲間を呼ぶ親愛の言葉として定着している。
Crodie, turn me up
クローディ、俺をアゲてくれ
Crodie, turn me up
クローディ、俺をアゲてくれ
Got a fur on in Tampa, got me burnin' up
タンパでファーのコートを着て、焼け死にそうに暑いぜ
※フロリダ州タンパの温暖な気候を無視して、成金趣味の毛皮を着ているフレックス。
Shorty say she graduated, she ain't learn еnough
あの子は卒業したって言うが、まだ十分に学んじゃいないな
Play your album, track one, 'kay, I heard enough
お前のアルバムの1曲目を再生する、「オーケイ、もう十分だ」
※敵対するラッパーの作品が、1曲目を聴いただけで駄作だと分かるという強烈なディス。
Girl, thе driver downstairs, better hurry up
ガール、運転手が下で待ってる、急いだ方がいいぜ
Savage got a new stick he wanna dirty up
サヴェージが新しいスティック(銃)を手に入れて、汚したがってるからな
Touch down in NY, tear the Mercer up (One more—)
NYに降り立ち、ザ・マーサー(超高級ホテル)をめちゃくちゃにしてやる
Ayy, Bottega shades with the grey tints
ああ、グレーのレンズが入ったボッテガのサングラス
Introduce me to her nigga, yeah, it make sense
彼女の男に俺を紹介する、ああ、筋が通ってるな
Gotta put her on the team, got a great bench
彼女をチームに入れなきゃな、俺のベンチは層が厚いぜ
Linking with the opps, bitch, I did that shit for J Prince
敵と手を組んだのは、ビッチ、J・プリンスのためだったんだ
※2021年、長年の宿敵であったKanye Westと和解し、同ステージ(Free Larry Hooverコンサート)に立ったことへの言及。ヒューストンの伝説的フィクサーであるJ. Princeの顔を立てて歩み寄っただけであり、本心から和解したわけではないという「Mob Boss」としての衝撃的な告白。
Bitch, I did it for the mob ties
ビッチ、マフィアの絆(モブ・タイズ)のためにやっただけだ
Feel like seventeen, two Percs, frog eyes
17歳みたいな気分だ、パーコセットを2錠キメて、カエルの目(見開いた目)になってる
And I never been the one to go apologize
それに俺は、自分から謝りに行くようなタチじゃない
Me, I'd rather hit 'em up one more time
俺ならむしろ、もう一度奴らを撃ちのめして(ヒットアップして)やるね
※2Pacの伝説的ディス曲「Hit 'Em Up」と、Daft Punkの「One More Time」をかけたライン。
Ayy, known the girl for six months, dinner up at my place
ああ、知り合って半年の女と、俺の家でディナーだ
But I got these diamonds on my neck, so it's a blind date
だが俺の首にはダイヤモンドが輝いてるからな、これはブラインド・デート(盲目のデート)さ
※本来は「初対面のデート」を意味するブラインド・デートだが、ここでは自分のジュエリーが眩しすぎて相手の目がくらむ(ブラインドになる)という見事なワードプレイ。
All my niggas on the roads raising up the crime rate
俺のダチは全員ストリートに出て、犯罪発生率を引き上げている
Your name not ringin' out here, it's on vibrate
お前の名前はここでは鳴り響いてない、バイブ設定になってるからな
※「ringin' out(名前が知れ渡る/着信音が鳴る)」と「vibrate(バイブレーション/影響力がない)」のワードプレイ。
And she took a score, now shorty gotta hydrate
彼女は20ドル分(のクスリ)をキメた、水分補給しなきゃな
And he did some dirt, now my crodie gotta migrate
あいつは汚い仕事(殺し)をやった、俺のクローディは高飛びしなきゃならない
Prolly won't see him for some years, when I do, though (One more—)
おそらく数年はあいつに会えないだろう、再会した時には(もう一度—)
Turn me up
俺をアゲてくれ
Crodie, turn me up
クローディ、俺をアゲてくれ
Crodie, turn me up
クローディ、俺をアゲてくれ
Ayy, Crodie, turn me
ああ、クローディ、俺を
Ayy, yeah, what? Crodie, turn me, what?
ああ、何だ? クローディ、俺を、何だ?
[Verse 2: 21 Savage]
(21) In a droptop Benz like it's '03
2003年みたいに、オープントップのベンツに乗ってる
(21) Had the shooters aim down from the nosebleeds
天井席(ノーズブリード)から、シューターたちに狙いを定めさせた
(21) Gotta get this passport, keep my nose clean (One more—)
パスポートを手に入れなきゃならない、厄介事には巻き込まれない(鼻をきれいに保つ)ようにな
※21 SavageはUK生まれであり、ビザのオーバーステイ問題でICE(米移民関税執行局)に長期間拘束された過去がある。アメリカの市民権とパスポートを取得するため、現在は犯罪やコカイン吸引(nose clean)から距離を置いているという彼ならではのリアルなライン。
Bitch tried to burn me up
ビッチが俺を燃やそう(性病をうつそう)とした
Keep a Magnum tucked (Yeah)
マグナムを隠し持っているぜ
※「マグナム」は銃器の名前であると同時に、Trojan社のコンドームのブランド名でもある。
I'll never slip (Never)
俺は絶対に隙を見せない(性的な意味でも、ストリートの抗争でも)
SF90 rims red like a poker chip (Pussy)
SF90のリムは、ポーカーのチップみたいに真っ赤だ(腰抜け)
Rich as hell, still hood, in the Stroker's VIP (Pussy)
死ぬほど金持ちだが、今でもフッドの心を持ってる、ストローカーズのVIPにいるぜ(腰抜け)
※「Stroker's」はアトランタにある有名なストリップクラブ。
Pink slip in the glove for the ownership (21)
ダッシュボード(グローブボックス)にはピンクスリップ(所有権証明書)が入ってる
※リースやローンではなく、高級車を現金一括で購入していることの誇示。
Limpin' with the .30 on like a broke hip (21)
股関節を折ったみたいに、30口径の銃の重みで足を引きずりながら歩いてる
Red flag giving blood on some donor shit (On God)
赤いバンダナ(ブラッズ)を掲げて血を与える、ドナーみたいにな(神にかけて)
All the opps get a bullet on some Oprah shit (One more—)
オプラみたいに、敵全員に弾丸をプレゼントしてやるよ
※アメリカの国民的司会者オプラ・ウィンフリーが番組で観客全員に新車をプレゼントした伝説のエピソード("You get a car! You get a car!")にかけ、「You get a bullet!(お前にも弾丸をくれてやる)」と表現した秀逸で残酷なジョーク。
Went from Angell Town Estate to a big estate
エンジェル・タウン・エステート(公営住宅)から、巨大なエステート(豪邸)へと成り上がった
※「Angell Town Estate」はロンドンのブリクストンにある公営住宅。21 Savageが幼少期を過ごしたイギリスのフッドへの言及。
Prolly woulda had a zombie on me if I woulda stayed (21)
もしあそこに留まっていたら、おそらくゾンビ(巨大なナイフ)を突きつけられていただろうな
Still a caught a case if I woulda stayed (Facts)
あそこに留まっていたとしても、どっちみち事件を起こして捕まってただろうが(事実だ)
I been thuggin' all my life, that's just how I play it (Facts)
俺は生涯ずっとサグとして生きてきた、それが俺のやり方さ(事実だ)
Still posted in the A where niggas fear me
今でもA(アトランタ)にたむろしてる、奴らが俺を恐れる場所にな
Still gotta see the Gunners win Premier League (21)
今でもガナーズがプレミアリーグで優勝するのを見なきゃならないんだ
※「Gunners」はイングランド・プレミアリーグのサッカークラブ「アーセナルFC」の愛称。ロンドン生まれの彼が、今でも故郷のチームの熱狂的なファンであるというUKルーツの証明。
Still gotta keep a gun that's always near me
今でも、常に銃(ガン)を身近に置いておかなきゃならない
And I'm down to hit 'em up
そして俺は、奴らを撃ちのめす覚悟ができてるぜ
[Chorus: Drake]
One more time
もう一度
Hit my line, you know that head was great
俺に電話してこい、最高のフェラだったって分かってるだろ
Oh, yeah, alright, don't do romancin'
ああ、いいさ、ロマンスなんていらない
One more time, you gotta run the fades
もう一度、お前はタイマン(フェイド)を張らなきゃならない
Oh, yeah, alright
ああ、そうさ
One more time
もう一度
[Outro]
One more—
もう一度—
One more—
もう一度—
One more time
もう一度
