Artist: Drake & 21 Savage
Album: Her Loss
Song Title: Rich Flex
概要
「Rich Flex」は、2022年にリリースされたDrakeと21 Savageのコラボレーション・アルバム『Her Loss』のオープニングを飾る強烈なバンガーである。前半では、Drakeが21 Savageに対して「俺のために一肌脱いでくれないか(do somethin' for me)」と甘えるように語りかける独特のイントロがTikTok等で爆発的なミームを生み出した。しかし楽曲が後半の「Part II」に突入するとビートが急展開し、Drakeは「Sad Boy」の仮面を脱ぎ捨て、「Mob Boss」としての攻撃的で研ぎ澄まされたフロウを披露する。トロントの警察管轄(51 Division)や数字を用いた高度なワードプレイ、そしてアトランタの「Slaughter Gang」とトロントの「OVO」が完全に融合したマフィア的な連帯感を見せつける。富と権力をひけらかす(Rich Flex)と同時に、ヒップホップ・シーンにおける絶対的な王者の座を再確認させるクラシックな一曲だ。
和訳
[Part I]
[Intro: 21 Savage & Young Nudy]
Go buy a zip of weed, hit the club
ウィードを1オンス買って、クラブに繰り出す
Pay for 'bout ten niggas to get in
ダチ10人分くらいの入場料を払ってやる
We crunk, lit, in this bitch, yeah
このクソみたいな場所で、俺たちは最高にブチ上がってる
Know we walk around the world
俺たちが世界中を歩き回ってるって分かってるだろ
Steppin', not givin a damn 'bout where our feet land at, yeah
踏み荒らしてやる、自分たちの足がどこに着地するかなんて気にも留めない
Get your ass mushed, smooshed (6ix)
お前のケツを潰して、ペチャンコにしてやる
※「6ix」はプロデューサーであるTay Keithのプロデューサータグの一部であり、Drakeの地元トロントの呼称でもある。
Yeah, 21, the biggest
ああ、21、最大級だ
Put a nigga in the chicken wing, pussy
あの野郎をチキンウィングの形にへし折ってやるよ、腰抜けが
※腕を後ろにねじり上げるプロレス技、あるいは文字通り骨を折るという暴力的なストリートのスラング。
[Chorus: Drake & 21 Savage]
21, can you do somethin' for me? (21)
21、俺のために一肌脱いでくれないか?
Can you hit a lil' rich flex for me? (21)
俺のために、ちょっと金持ちのフレックス(自慢)を見せつけてくれないか?
And 21, can you do somethin' for me? (21, 21)
なあ21、俺のために何かしてくれないか?
Drop some bars to my pussy ex for me
俺のクソみたいな元カノに向けて、いくつかバースを落としてくれよ
Then 21 (21), can you do somethin' for me? (Yeah)
なあ21、俺のために一肌脱いでくれないか?
Can you talk to the opps' necks for me? (Okay)
敵の首元に刃を突きつけて、俺の代わりに話をつけてくれないか?
※Drakeが21 Savageをヒットマン(あるいは頼れる兄貴分)のように扱い、甘えるように依頼するこのフックは、ネット上で「Drakeは21 Savageの熱狂的なファンガール」としてミーム化し大流行した。
21, do your thing 21, do your thing (21)
21、お前のやり方でやってくれ、お前のやり方で
Do your thing, 21, do your thing
お前のやり方でやってくれ、21、お前のやり方で
[Verse: 21 Savage]
Yellow diamonds in the watch, this shit cost a lot
時計にはイエローダイヤモンド、こいつは相当高くついたぜ
Never send a bitch your dot, that's how you get shot
ビッチに自分の位置情報なんて絶対に送るな、そうやって撃たれることになるんだ
※「dot(現在地のピン)」。位置情報を女性に教えて待ち伏せされ、殺害されるストリートのトラップ(セットアップ)に対する警告。
I DM in Vanish Mode, I do that shit a lot
俺は消えるメッセージでDMする、しょっちゅうやってるぜ
※Instagramの「Vanish Mode」。証拠を残さずに女性を口説くプレイボーイの常套手段。
Took her panties off and this bitch thicker than the plot
パンティーを脱がせてみたら、このビッチは映画のプロットよりも肉厚だった
※「the plot thickens(事態が複雑になる)」という慣用句と、女性の体が「thick(肉感的でグラマー)」であることをかけたワードプレイ。
All my exes ain't nothin', them hoes busted
俺の元カノなんて大したことない、あの女たちは終わってる
If my opps ain't rappin', they ass duckin'
もし俺の敵がラップしてないなら、あいつらは尻尾を巻いて逃げ隠れしてるってことだ
You ain't ready to pull the trigger, don't clutch it
引き金を引く覚悟がないなら、銃を握りしめるな
I know you on your period, baby, can you suck it?
生理中だってことは分かってるよ、ベイビー、咥えてくれないか?
I'm a savage (21)
俺はサヴェージ(野蛮)だからな
Smack her booty in Magic (21, 21)
マジックで彼女のケツを引っぱたく
※「Magic」はアトランタにある有名な老舗ストリップクラブ「Magic City」のこと。
I'll slap a pussy nigga with a ratchet (Pussy)
腰抜けの野郎をラチェット(銃)で引っぱたいてやる
I might slap a tracker on his whip and get the addy (Pussy)
あいつの車に追跡機(トラッカー)を仕掛けて、住所を特定するかもしれないぜ
Don't call me on Christmas Eve, bitch, call your daddy (21)
クリスマスイブに俺に電話してくるな、ビッチ、自分の父親にでも電話しな
Bitch, call your uncle (21), bitch, don't call me (21)
ビッチ、お前の叔父にでも電話しろ、ビッチ、俺には電話するな
Always in my ear, your ho a flea (Fuck)
いつも俺の耳元でうるさい、お前の女はノミみたいだな
Why my opps be posting guns and only use they feet? (21)
なんで俺の敵は銃の写真を投稿するくせに、逃げるために足しか使わないんだ?
Paid like an athlete, I got—
アスリート並みに稼いでる、俺には—
[Segue: Drake]
All you hoes, all of you hoes need to remember who y'all talkin' to
お前らビッチども、お前ら全員、自分が誰と話してるのか思い出す必要があるぜ
It's a Slaughter Gang CEO
スローター・ギャングのCEOだぞ
※Slaughter Gangは21 Savageのレーベルおよびクルー。Drakeが自分もその一員、あるいは同格のボス(Mob Boss)であると宣言している。
I got dick for you if I'm not workin', girl
もし仕事中じゃなきゃ、お前にくれてやるモノはあるぜ、ガール
If I'm busy then fuck no
忙しい時は絶対に無理だがな
You need to find you someone else to call
電話するなら他の誰かを見つけな
When your bank account get low, you need to find you someone—
銀行口座の残高が減ってきたら、他の誰かを見つけな—
[Part II]
[Intro: Drake]
Ayy, ayy, ayy, ayy, ayy
I'm on that Slaughter Gang shit, ayy, murder gang shit
俺はスローター・ギャングのシットに乗ってる、殺人ギャングのシットにな
Ayy, Slaughter Gang shit, ayy, murder gang shit, ayy
スローター・ギャングのシット、殺人ギャングのシットだ
[Verse: Drake]
Sticks and stones, chrome on chrome
スティック(銃)とストーン(宝石)、クローム(銃のメッキ)の上にクローム
That's just what a nigga on
それが俺のスタイルさ
Internet clones, got 'em kissin' through the phone
インターネット上のクローンども、電話越しにキスさせてやるよ
Pussies cliquin' up so they don't feel alone, ayy
腰抜け共が群れてやがる、孤独を感じないようにな
※自分に対抗するために他のラッパーたちが徒党を組んでいる状況(Kanye West周辺など)を皮肉っている。
Nan' nigga seein' me, I'm Young Money CMB
俺の姿を捉えられる奴はいない、俺はヤング・マネー、CMBだ
※デビュー当時から所属するレーベルYoung Moneyと、その親玉Birdmanが率いるCash Money Billionaires (CMB)への忠誠とシャウトアウト。
I used to roll with CMG, the house is not a BNB
昔はCMGとつるんでいた、この家は民泊(BNB)じゃないぜ
※CMGはYo Gottiのレーベル。誰でも泊まれるAirBNBのような安い場所ではないというマウント。
The bad bitches waitin' on a nigga like I'm PND
イケてるビッチたちが俺を待っている、まるで俺がPNDみたいにな
※OVO所属のR&Bシンガー、PARTYNEXTDOOR (PND)のこと。彼の甘い歌声に女性が群がる様子に例えている。
I'm steady pushin' P, you niggas pushing PTSD
俺は常に本物であることをプッシュし続けてる、お前らはPTSD(トラウマ)をプッシュしてるだけだ
※Gunnaの大流行したスラング「Pushin' P(Player/本物であることを押し進める)」と、「PTSD」をかけた見事なワードプレイ。
I told her ass to kiss me in the club, fuck a TMZ
クラブで俺にキスしろと彼女に言った、TMZなんてクソくらえだ
※パパラッチ・メディア「TMZ」の目を気にせず、堂々と遊び回るプレイボーイの態度。
I used to want a GMC, when Woe was doing B&E
ウォウが空き巣をやってた頃、俺はGMCのトラックが欲しかった
※「Woe」はトロントの仲間(Working On Excellenceの略)、「B&E」はBreaking and Entering(不法侵入・空き巣)。何もない下積み時代の回顧。
We revvin' up and goin' on a run like we DMC
俺たちはエンジンを吹かして走り続ける、まるでRun-D.M.C.のようにな
※「goin' on a run(連勝する、走り続ける)」と、伝説のヒップホップグループ「Run-D.M.C.」をかけたライム。
I layup with her for a couple days, then it's BRB
彼女と数日間ベッドで過ごして、それから「またすぐ戻る(BRB)」と告げる
※「layup(一緒に過ごす)」とテキストスラングの「BRB (Be Right Back)」の組み合わせ。
You rappers love askin' if I fucked, when you know we did
お前らラッパーは俺がヤったかどうか聞くのが好きだよな、もうヤったって分かってるくせに
When you know we did
もうヤったって分かってるくせに
※他のラッパーの恋人や妻と関係を持ったという、度々噂されるDrakeのストリートでのゴシップに対する傲慢な返答。業界の人間関係をかき乱すMob Bossの振る舞い。
She came in heels but she left out on her cozy shit
彼女はヒールを履いてやって来たが、帰る時はリラックスした楽な格好だったぜ
Ayy, I'm livin' every twenty-four like Kobe did
ああ、俺は24時間すべてをコービーのように生きてる
※バスケットボールの伝説、Kobe Bryantの背番号「24」と「24時間」をかけたライン。
Shoutout to the 6ix, R.I.P. to 8
6にシャウトアウト、8よ安らかに眠れ
※「6」はトロント。「8」は、Drakeの親友でありトロントのギャングメンバーで殺害されたAnthony "Fif" Soares、またはKobeのもう一つの背番号「8」のダブルミーニング。
Swear this shit is gettin' ate, I'm on ten for the cake
誓って言うが、この状況を食い尽くしてやる、ケーキ(金)のためにテン(完璧)でいるぜ
Get a lot of love from twelve, but I don't reciprocate
12からは随分と愛されてるが、俺は愛を返しちゃいない
※「12」は警察のスラング。警察にマークされているが協力はしない(No snitching)というアピール。6, 8, 10, 12と偶数でカウントアップしていく極めて高度なライムスキーム。
Fifty-one division stay patrollin' when it's late
51分署は夜遅くでもパトロールを続けてやがる
※「51 Division」はトロント警察の管轄区域の一つ。
21 my addy, so the knife is on the gate
俺の住所は21だ、だからゲートにはナイフが飾られてる
※「21」と21 Savageの額にあるダガー(ナイフ)のタトゥーをかけている。「addy」は住所(Address)と同時に、集中力を高めるドラッグのアデロール(Adderall)のダブルミーニング。
All the dawgs eatin' off a Baccarat plate
俺のダチは全員、バカラの皿でメシを食ってる
Niggas see Drake and they underestimate
奴らはドレイクを見て、過小評価しやがる
Take it from a vet', that's a rookie-ass mistake, ayy
ベテランから言わせてもらうと、それはルーキー並みのクソみたいなミスだぜ
[Outro: Drake & Young Nudy]
Ah, what? What?
ああ、なんだ? どうした?
Slaughter Gang shit, ayy, murder gang shit
スローター・ギャングのシット、殺人ギャングのシットだ
Ayy, Slaughter Gang shit, ayy, murder gang shit
スローター・ギャングのシット、殺人ギャングのシットだ
Ayy, Slaughter Gang shit, ayy, murder gang shit
スローター・ギャングのシット、殺人ギャングのシットだ
On God
神にかけて
Boy, look, you the motherfuckin' man, boy, you, ooh
なあ、見ろよ、お前は最高にヤバい男だ、なあ、お前は
You is the man, you hear me?
お前は最高の男だ、聞いてるか?
※21 Savageの従兄弟であるアトランタのラッパーYoung Nudyによる、Drakeへの最大限のプロップス(称賛)で締めくくられる。
