Artist: Drake
Album: Certified Lover Boy
Song Title: 7am On Bridle Path
概要
「7am On Bridle Path」は、2021年のアルバム『Certified Lover Boy』に収録された、Drakeのキャリアにおいて伝統的に配置される「AM/PM」シリーズの楽曲である。タイトルにある「Bridle Path」とは、トロントに位置する彼の豪邸がある超高級住宅街のことだ。この曲は、長年にわたり愛憎の念を抱き合ってきた宿敵Kanye Westに対する、アルバム内で最も直接的かつ痛烈なディス・トラックとして広く認識されている。Kanyeがアルバムリリース前にSNSでDrakeの自宅住所を晒すという暴挙に出たことへの完全なるアンサーが含まれており、相手の嫉妬やネット上での空騒ぎを「Mob Boss(ストリートのボス)」としての絶対的な余裕で一刀両断している。張り詰めた緊張感の中で、息を呑むようなダブルミーニングや言葉遊びが連射される、ヒップホップにおける歴史的ビーフを象徴するクラシックだ。
和訳
[Intro]
Yeah (Gold Squad)
ああ(ゴールド・スクワッド)
Ayy
Look
なぁ
[Verse]
I wish everyone could tell me exactly what they need from me
誰もが俺に何を求めているのか、ハッキリ伝えてくれたらいいのにな
The first second they speak to me, I'm not with all the secrecy
俺に話しかける最初の1秒でさ、俺はそういう隠し事とか腹の探り合いはごめんだ
Secretly beefin' me behind closed doors
密室で、こっそりと俺にビーフを仕掛けてきやがる
But playin' it peacefully for the streets to see
でも、世間(ストリート)の目があるところでは平和を装ってるんだ
My nigga, have some decency
なぁ、少しは礼儀ってもんを持てよ
Don't move like a puto
プートみたいに振る舞うな
※「puto」はスペイン語で男娼、腰抜け、ビッチなどを意味する侮蔑語。
Could at least keep it a buck like Antetokounmpo
少なくともアデトクンボみたいに「100(バック)」を保てよ
※「keep it a buck」は「100%リアルで嘘をつかない」という意味のスラング。NBAミルウォーキー・バックス(Bucks)に所属するスーパースター、ヤニス・アデトクンボ(Giannis Antetokounmpo)とかけた極めて秀逸なワードプレイ。
I'm made north of the border like Vito Rizzuto
俺はヴィト・リズートみたいに、国境の北側で作られた男だ
※Vito Rizzutoはカナダ・モントリオールを拠点とした実在の強力なマフィアのボス。「国境の北(カナダ)」の絶対的な権力者であるというマウント。
Throwin' parties in Miami, they lovin' us mucho
マイアミでパーティーを開けば、あいつらは俺たちをムーチョ(最高に)愛してくれる
With the ho ratio, I'm like David Caruso
女の比率なら、俺はまるでデヴィッド・カルーソだ
※「ho ratio(女の比率)」と、大ヒットドラマ『CSI:マイアミ』の主人公ホレイショ(Horatio)役の俳優「David Caruso」をかけた見事なライム。
Thеre's a mad shortage of peoplе givin' me kudos
俺に正当な称賛(クードス)を与えてくれる人間が圧倒的に不足してるな
I been doin' this since T-Pain was pourin' us Nuvo
T-Painが俺たちにヌーヴォを注いでいた頃から、俺はずっとこれをやってるんだ
※「Nuvo」は2000年代後半にヒップホップ界隈で大流行したピンク色のリキュール。古くからシーンのトップに君臨していることの証明。
You tell 'em I run the country, they'll say, "True, though"
俺がこの国を仕切ってるって奴らに言えば、みんな「確かにそうだな」って答えるぜ
Papi chulo, grippin' culo
パピ・チュロ(イケてる男)、女のケツ(culo)を掴む
And I got the flows niggas steal like boot toes
そして俺には、奴らがブーツのつま先(ティンバーランドなど)みたいに盗んでいくフロウがある
You boys reachin' new lows
お前らは底辺を更新し続けてるな
Lettin' me take the rap for that Casper the Ghost shit
あの「キャスパー・ザ・ゴースト」みたいな騒動で、俺に罪を被せやがって
※「take the rap」は罪を被る、批判を浴びるの意。Drake自身のゴーストライター騒動(Meek Millとのビーフ)を指すとともに、Kanye自身もゴーストライターを多用しているのに、Drakeだけが矢面に立たされた業界の矛盾への苛立ち。
While you findin' all of the loopholes
お前が抜け穴をすべて見つけ出している間にな
You niggas move too cold
お前らのやり方はあまりにも冷酷だ
See the watch collection and assume I got time
時計のコレクションを見て、俺に暇(時間)があると思い込むなよ
※腕時計(時間)と「I got time(俺には相手をする暇がある)」をかけたパンチライン。
'Cause of the ruby rose two-tone
ルビーローズのツートーンカラーのせいか
Or switch it to the one I call "R.I.P. Nipsey"
それとも「R.I.P. ニプシー」と呼んでる時計に付け替えるか
'Cause I swear to God the bezel got sixty of them blue stones
神に誓って、そのベゼルには60個のブルーストーンが埋め込まれてるからな
※2019年に亡くなったラッパーNipsey Hussleへの追悼。彼が所属していた「Rollin 60s Neighborhood Crips」にちなみ、「60」個の「青い(Cripsのカラー)」石が使われている特注時計。
Maybe I'm gettin' too stoned
たぶん、俺はちょっとハイ(stoned)になりすぎたみたいだ
※宝石の「石(stone)」とマリファナでハイになることのダブルミーニング。
Calacatta marble for my tombstone
俺の墓石にはカラカッタの大理石を頼む
Here lies a nigga that never lied in his new song
「ここに眠るは、新曲の中で一度も嘘(Lie)をつかなかった男(Lies)」
Or any of his old songs
もちろん、昔の曲の中でもな
They sing them shits like folk songs
奴らは俺の曲を、まるでフォークソング(民謡)みたいに歌う
Kumbaya, boom-ba-ye
クンバヤ、ボンバイエ
Know the owl stay on me
フクロウ(OVO)が常に俺についてるって分かってるだろ
Bad bitches tryna come through and lay on me
イケてるビッチどもが俺のところにやって来て、俺の上で横たわろうとする
Tryna get the Earl Grey on me
俺からアールグレイを引き出そうとしてる
※「Tea」はゴシップや噂話のスラング。Earl Grey(紅茶)とかけている。
But I ain't really into talkin' names
だが、俺は人の名前を出すようなお喋りは好きじゃないんだ
Only tee you're getting from me is one for the walk of shame
君が俺から手に入れられるティー(Tシャツ)は、朝帰りのためのものだけさ
※「tee」と前の「Earl Grey (Tea)」をかけつつ、ワンナイトの後に着て帰るための男物の大きなTシャツ(walk of shame)のこと。
Heart is on my sleeve and my body is in the hall of fame
心は袖の上(包み隠さず)にあり、俺の体は殿堂入りしている
High fashion and my life is full of climaxes
ハイファッション、俺の人生はクライマックスの連続だ
And my wishes come true without blowin' eyelashes
抜けたまつ毛を吹き飛ばさなくても、俺の願いは叶うのさ
※抜けたまつ毛を指に乗せて息で吹き飛ばすと願いが叶うという迷信。
Up in 'Bron crib, fishbowl wineglasses
レブロンの家で、金魚鉢みたいなデカいワイングラスを傾ける
※NBAの帝王LeBron Jamesとの交流。
That's how we passin' time
それが俺たちの時間の潰し方さ
Hundred thousand on the line
10万ドルを賭ける
At the table prayin' banker shows a natural nine
カジノのテーブルで、バンカーがナチュラル9を出すことを祈りながらな
※バカラにおける最強の手「ナチュラル9」。
It never happens half the time
そんなの半分の確率でしか起きないけどな
My losing nights are still a vibe
俺にとっては、負けた夜でさえバイブス(良い雰囲気)なんだ
That's the things I accept
それが俺の受け入れているものさ
You over there in denial, we not neck and neck
お前はそっちで現実逃避してるが、俺たちは首位争い(互角)なんかしてないぜ
It's been a lot of years since we seen you comin' correct
お前が真っ当なやり方で挑んでくるのを見なくなってから、随分と年月が経ったな
Man, fuck a "Respectfully," I just want my respect
なぁ、「リスペクトを込めて」なんて言葉はクソ食らえだ、俺はただ正当な敬意(リスペクト)が欲しいんだ
※Kanye周辺のインフルエンサーであるJustin Laboyのキャッチフレーズ「#Respectfully」を引用した、Kanye陣営への直接的なディス。
They tried to label me mean, I say what I mean
奴らは俺に「意地悪(mean)」のレッテルを貼ろうとしたが、俺は本心(mean)を言ってるだけだ
People that could've stayed on the team
チーム(味方)に留まることだってできた奴らが
They played in-between
どっちつかずのコウモリみたいな真似をしたのさ
※KanyeとDrakeのビーフにおいて、中立を保とうとしたり裏切ったアーティストたちへの失望。
Clouds is hanging over you now, 'cause I'm reigning supreme
今、お前の頭上には暗雲が垂れ込めている。なぜなら俺が最高位に君臨し、雨を降らせている(reigning/raining)からだ
Some of these niggas say what they mean, it ain't what it seems
こいつらの中には本音を言ってる奴もいるが、見かけ通りじゃない
Had to pull my niggas out the mud like I'm trainin' Marines
海兵隊を訓練するみたいに、仲間たちを泥沼から引きずり出さなきゃならなかった
You niggas hot to them little kids, you ain't famous to me
お前らはガキ共には人気があるみたいだが、俺にとっては有名人でもなんでもない
Told you I'm aimin' straight for the head, not aiming to please
頭を真っ直ぐ狙うと言っただろ、お前を喜ばせるつもりなんてない
※『No Friends In The Industry』と重なる、容赦ない攻撃の宣告。
I could give a fuck 'bout who designing your sneakers and tees
お前のスニーカーやTシャツを誰がデザインしていようと、俺の知ったこっちゃない
※KanyeのYeezyブランドや、アパレルビジネスへの冷笑。
Have somebody put you on a Gildan, you play with my seed
俺の子供をからかうなら、誰かに頼んでお前をギルダンにプリントしてやるぞ
※「seed(種=子供)」。KanyeやPusha TがDrakeの息子Adonisについて言及したことに対する最後通牒。Gildan(ギルダン)の安価なTシャツに顔がプリントされる=ストリートで死者が追悼Tシャツにされること(死の宣告)。同時に、Kanyeが過去にGildanのボディでマーチを売っていたことへの皮肉でもある。
Trust me, there's some shit you really gotta come see to believe
信じろよ、この世には自分の目で見なきゃ信じられないようなヤバい現実があるんだ
That's why your people not believers, they all leavin' ya
だからお前の周りの人間は信者になれず、みんなお前から離れていくのさ
That's why you buyin' into the hype that the press feedin' ya
だからお前は、メディアが与える誇大広告(ハイプ)を真に受けてるんだ
You know the fourth level of jealousy is called medea
嫉妬の第4段階は「メデイア」と呼ばれるって知ってるか
※ギリシャ神話の「メデイア」は嫉妬から我が子を殺した女性。Tyler PerryのキャラクターMadeaや、メディア(media)とも音が掛かっている。Kanyeの常軌を逸した嫉妬を指摘している。
Isn't that an ironic revelation?
皮肉な啓示だと思わないか?
Give that address to your driver, make it your destination
その住所を運転手に伝えて、そこを目的地に設定しろよ
'Stead of just a post out of desperation
ヤケクソになってSNSに投稿する代わりにな
※アルバムリリース直前、KanyeがInstagramでDrakeのトロントの自宅住所(Bridle Path)を晒すという暴挙に出た事件への強烈なアンサー。ネット上で粋がるのではなく、直接ここまで来いというマフィアのボスのような凄み。
This me reachin' the deepest state of my meditation
これは俺が瞑想の最も深い領域に到達した姿だ
Why you over there tryna impress the nation?
なぜお前はそっち側で、国中を感動させようと必死になってるんだ?
※Kanyeがスタジアムで大規模なリスニングパーティーを開き、注目を集めようとしていたことへの冷笑。
Mind's runnin' wild with the speculation
推測ばかりで心が暴走している
Why the fuck we peacemakin', doin' the explanations
なんで俺たちが仲直りしたり、説明なんてしなきゃならないんだ?
If we just gon' be right back in that bitch without hesitation?
どうせ躊躇なく、すぐにまたこのクソみたいな争いに戻るってのに
But let me digress on behalf of the association
だが、組織を代表して少し話を逸らさせてもらう
I'll play it cool with you, then mark a nigga like Copenhagen
お前にはクールに振る舞っておいて、コペンハーゲンのように奴をマーク(標的)にするのさ
※「mark」はストリートスラングで「標的にする、襲撃する」。デンマーク(Denmark)の首都コペンハーゲンにかけている高度なワードプレイ。
See, they gettin' loose with the lyin' like open cages
ほらな、奴らは開いた檻から逃げ出したライオンみたいに、好き勝手に嘘(lying/lion)をつき始めている
In the LaFerrari, my emotions racin', dancin' out a condo, ocean bathin'
ラ・フェラーリの中で、俺の感情はレースしてる、コンドミニアムから飛び出して踊り、海で泳ぐ
Niggas textin' "Bro," but we are not of no close relation
奴らは「兄弟」ってメールしてくるが、俺たちは親しい関係なんかじゃない
I was down to give these niggas credit, but hold the payment
こいつらにクレジット(称賛/信用)を与える気はあったが、支払いは保留だ
Somehow I'm the greatest in the game, to my own amazement
どういうわけか、俺はこのゲームで史上最高になっちまった、自分でも驚いてるよ
The greatest in the world, there's no debatin'
世界で一番だ、議論の余地もない
You boys 'bout to will me to defeat like we rollerbladin'
お前らは俺を敗北へと追いやろう(ホイール)としてる、まるで俺たちがローラーブレードをしてるみたいにな
※「will(〜する意志がある)」と「wheel(車輪、ローラーブレードのタイヤ)」の同音異義語を使ったダジャレ。
Far as the Drake era, man, we in the golden ages
ドレイクの時代に関して言えば、なぁ、俺たちは今まさに黄金時代にいるんだぜ
Look at the total wages
稼ぎ出した総額を見てみろよ
And look at the heroes fallin' from grace in their older ages
そして、年老いて恩寵を失い、転落していくかつてのヒーローたちを見てみろ
If we talkin' top three, then you been slidin' to third like stolen bases
もしトップ3の話をしているなら、お前は盗塁みたいに3塁(3位)へ滑り落ちているぜ
※野球の「盗塁(スライディング)」にかけて、かつてのナンバーワンが今や3位以下に転落しているという、Kanye(あるいは他のベテランアーティスト)への痛烈なマウント。
Toss around Rollies with the frozen faces
文字盤が凍りついた(ダイヤだらけの)ロレックスを放り投げる
They used to tell me back in the day, "Boy, you're going places"
昔、大人は俺によく言ったものさ、「坊や、君は必ず大物になる(色んな場所へ行ける)よ」ってな
Never understood where I could really take it
俺自身、どこまで行けるかなんて本当に分かっちゃいなかったのさ
[Outro]
Yeah
ああ
