Artist: Drake
Album: Scorpion
Song Title: March 14
概要
2018年の記録的な2枚組アルバム『Scorpion』の最後を飾る「March 14」は、Drakeが自身のキャリア、そして人生において最も劇的な変化を告白した極めて重要な一曲である。制作途中にPusha Tによる凄惨なディストラック「The Story of Adidon」によって隠し子(Adonis)の存在を世界中に暴露されたことを受け、本作は彼が「父親」としての自覚と、バラバラになった家族の形を受け入れるまでの苦悩を綴る私的な手紙となった。タイトルの「3月14日」は、彼が息子の存在を法的に、あるいは自分の中で確信した日、あるいは初めて対面した日を示唆しているとされる。Boyz II Men風の哀愁漂うアウトロに至るまで、成功者としての「Mob Boss」の顔を完全に脱ぎ捨て、一人の「Sad Boy」として、そして「未熟な父親」としての後悔と決意を吐露する姿は、シーンに多大な衝撃を与えた。
和訳
[Intro]
Here we go
さあ、始めよう
Yeah
[Verse]
Yesterday morning was crazy
昨日の朝はとんでもなかった
I had to come to terms with the fact that it's not a maybe
「もしかしたら」じゃなく、それが現実なんだって受け入れなきゃならなかった
That shit is in stone, sealed and signed
もう確定したことだ、封印され、署名も済んでいる
※DNA鑑定の結果、あるいは法的な親子関係の合意がなされたことを指している。
She not my lover like "Billie Jean", but the kid is mine
彼女は「ビリー・ジーン」みたいな恋人じゃない、でもその子は俺の息子なんだ
※Michael Jacksonの「Billie Jean」の一節(The kid is not my son)を引用しつつ、逆の結果になった皮肉を歌っている。Drakeにとってこの子供の母親(Sophie Brussaux)は、真剣な交際相手ではなかったことを示唆している。
Sandi used to tell me all it takes is one time, and all it took was one time
サンディはいつも「たった一回で人生は変わる」って言ってた、そして本当に一回きりだった
※「Sandi」はDrakeの実母。一度の過ちが一生を左右するという教えを身を以て体験したことの吐露。
Shit, we only met two times, two times
クソ、俺たちはたった2回しか会ってないんだぜ
And both times were nothin' like the new times
その2回とも、今みたいな状況になるとは思いもしなかった
Now it's rough times, I'm out here on front lines
今は厳しい時期だ、俺は最前線に立たされている
Just tryin' to make sure that I see him sometimes
せめて時々は息子に会えるように、必死で動いてるんだ
It's breakin' my spirit
心が折れそうだ
Single father, I hate when I hear it
「シングルファーザー」なんて、聞くのも嫌な言葉だ
I used to challenge my parents on every album
これまでのアルバムでは、いつだって自分の親たちを批判してきたのに
Now I'm embarrassed to tell 'em I ended up as a co-parent
結局自分も「共同養育者」になったなんて、恥ずかしくて親には言えないよ
※自分の両親が離婚し、バラバラの家庭で育ったことを恨んでいたDrakeが、自分もまた同じ道を辿ってしまったことへの深い自己嫌悪。
Always promised the family unit
「完璧な家族」を作るといつも約束していた
I wanted it to be different because I've been through it
俺自身がそれを経験してきたからこそ、自分の時は違う形にしたかったんだ
But this is the harsh truth now
でも、これが今の冷酷な真実だ
And fairy tales are saved for the bedtime stories I tell you now
おとぎ話なんて、今俺が君に語って聞かせる寝物語の中だけのものさ
I don't want you worry 'bout whose house
誰の家に住んでいるかなんて、君に心配させたくない
You live at, or who loves you more or who's not there
誰が君をより愛しているか、誰がそこにいないかなんてことも
Who did what to who 'fore you got here
君が生まれる前に、誰が誰に何をしたかなんて
Nah, look, I'm too proud to let that come between me and you now
いや、そんなことを俺と君の間に挟ませるつもりはない、プライドにかけてな
Realize I gotta think for two now
今は二人のことを考えなきゃならないんだって分かってる
I gotta make it, I better make it
やり遂げなきゃならない、絶対にやり遂げてみせる
I promise if I'm not dead, then I'm dedicated
死んでない限り、俺は君のために全力を尽くすと約束するよ
This the first positive DNA we ever celebrated
これが俺たちが初めて祝福した「ポジティブなDNA」だ
※通常、DNA鑑定で「陽性(Positive)」が出るのは不名誉なスキャンダルだが、それを「肯定的なもの」として捉え直そうとする決意。
I can't forget the looks on they faces
あいつらの顔が忘れられないよ
Got the news in Miami that now we all got ones that we raisin'
マイアミでニュースを聞いたんだ、俺たち全員に育てるべき子供ができたんだってな
Tell Gelo bring some Mod Rosé and the Baccarats out
ジェロに、モッド・ロゼとバカラのグラスを持ってこさせてくれ
※「Gelo」はDrakeの身内。高級シャンパンと高級グラスで祝杯を挙げようとする、DrakeらしいMob Boss的セレブ演出。
For our cheers to the next generation
次の世代への乾杯のためにな
But this Champagne toast is short-lived
でも、このシャンパンでの祝杯は長続きしない
I got an empty crib in my empty crib
空っぽの俺の屋敷に、主のいないベビーベッドがある
I only met you one time, introduced you to Saint Nick
君には一度しか会えてない、サンタクロースを紹介してやったよな
※2017年のクリスマスに、フランスで息子アドニスと対面した際のこと。サンタに扮した人物と会わせたエピソード。
I think he must've brought you like twenty gifts
あいつ、君に20個くらいプレゼントを持ってきたはずだ
Your mother say you growin' so fast that they don't even really fit
君の母親は、君の成長が早すぎて服がもう合わないって言ってるよ
But man, you know
でもなあ、分かるだろ
I still had to get it for my boy though, you know
それでも俺の息子のためなんだ、買ってやらずにはいられないのさ
You haven't met your grandfather yet, that nigga a trip
まだおじいちゃんには会ってないな、あの親父は本当にぶっ飛んでるんだ
※実父Dennis Grahamへの言及。
He probably could'a did stand-up
あいつならスタンダップコメディアンにでもなれたはずだ
Yeah, but at the same time, he's a stand up
ああ、でも同時に、あいつは筋の通った男(スタンド・アップ・ガイ)でもある
And that's how you gon' be when it's time to man up
君も、一人の男として責任を取るべき時が来たら、そうなってほしい
October baby for irony's sake, of course
皮肉なことに、君は10月生まれなんだな、もちろんさ
※Drake自身のレーベル「OVO(October's Very Own)」の名前通り、彼自身も10月生まれ。息子も同じ月に生まれたという奇妙な縁。
I got this 11 tatted for somebody, now it's yours
誰かのために彫ったこの「11」のタトゥーは、これからは君のものだ
※かつては別の意味(誕生日など)で彫った「11」の数字を、アドニスの誕生日の象徴として上書きしたことの告白。
And believe me, I can't wait to get a hundred more
信じてくれ、これからもっとたくさんの思い出を作れるのが待ちきれないんだ
Sorry I'm ventin', tryna cover ground
愚痴ってすまない、なんとか状況を整理しようとしてるんだ
They said that in two weeks, you're supposed to come in town
あと2週間で、君がこの街に来るって聞いたよ
Hopefully by the time you hear this
君がこの曲を聴く頃には
Me and your mother will have come around
俺と君の母親も、歩み寄れているといいんだが
Instead of always cuttin' each other down
いつもお互いを貶め合う代わりにさ
God willin', I got a good feelin'
神の思し召しがあれば、良い予感がしてるんだ
You got a good spirit
君は素晴らしい魂を持っている
We'll talk more when you hear this, my G
君がこれを聴いた時、もっとゆっくり話そうぜ、俺の息子よ
[Outro]
I'm changing from boy to a man
俺は少年から大人へと変わっていく
No one to guide me, I'm all alone
導いてくれる人はいない、俺はたった一人だ
No one to cry on
泣きつける相手もいない
I need shelter from the rain, to ease the pain
雨から守ってくれる場所が必要だ、この痛みを和らげるために
Of changing from boy to a man
少年から大人へと変わっていく、この痛みを
No one to guide me, I'm all alone
導いてくれる人はいない、俺はたった一人だ
No one to cry on
泣きつける相手もいない
I need shelter from the rain, to ease the pain
雨から守ってくれる場所が必要だ、この痛みを和らげるために
Of changing from boy to a man
少年から大人へと変わっていく、この痛みを
I'm all alone
俺はたった一人だ
No one to cry on
泣きつける相手もいない
I need shelter from the rain, to ease the pain
雨から守ってくれる場所が必要だ、この痛みを和らげるために
Of changing from boy to a man
少年から大人へと変わっていく、この痛みを
Here we go again
また、ここから始まるんだ
