Artist: Drake
Album: Scorpion
Song Title: Survival
概要
2018年にリリースされた2枚組のメガアルバム『Scorpion』のオープニングを飾る「Survival」は、Drakeのキャリアにおいて最も過酷だった時期の直後に放たれた、文字通りの「生存宣言」である。本作の直前、Pusha Tとの熾烈なビーフ(隠し子騒動の暴露など)やKanye Westとの確執、さらには過去のMeek MillやDiddyとの衝突など、彼を取り巻く状況はまさに「無秩序(Disorder)」の極みにあった。しかしDrakeは、傷を負いながらも玉座から降りることを拒否し、自らを「マウントラッシュモアの4つの顔すべて」と豪語する「Mob Boss」としての圧倒的なエゴを見せつける。ヒップホップ・シーンにおける無数のヘイトや暴力的な諍いを生き延びてきた彼の、冷徹でありながらどこか哀愁(Sad Boy的要素)を帯びたパラノイアが、アルバム全体のダークなトーンを決定づけている。
和訳
[Intro]
I been waitin' on this
これ(この瞬間)をずっと待っていたんだ
Yeah
[Verse]
All of this disorder, no addressin'
このすべての無秩序について、あえて弁明するつもりはない
※Pusha Tとのビーフや隠し子騒動など、世間を騒がせた混沌(Disorder)に対して直接的な回答はしないという宣言。
The crown is broken in pieces, but there's more in my possession
王冠は粉々に砕け散ったが、俺の手元にはまだいくつもある
※ビーフによって「無敗の王者」としての王冠には傷がついたが、それでも自分が頂点に君臨するための王冠(実績や権力)は無数に持っているというMob Bossとしての傲慢なフレックス。
There's a whole lot in my possession
俺の手の中には、数え切れないほどのものがあるんだ
Who do you really love? Well, that's sure to be in question
お前が本当に愛しているのは誰だ? まあ、それは間違いなく疑問の余地があるな
※周囲の人間たちの忠誠心を疑うパラノイアの表れ。
My Mount Rushmore is me with four different expressions
俺にとってのマウントラッシュモアは、4つの異なる表情をした「俺自身」さ
※マウントラッシュモア(米国の偉大な大統領4人の顔が彫られた山)に例え、ヒップホップ界のトップ4はすべて自分の様々なペルソナ(ラッパー、シンガー、Sad Boy、Mob Bossなど)で埋め尽くされているという究極の自己愛。
Who's givin' out this much return on investment?
これほどの投資利益率(リターン)を弾き出している奴が他にいるか?
After my run, man, how is that even a question?
俺がこれだけ走り続けた後だぜ、なあ、どうしてそんなことが疑問になるんだ?
After this summer, man, how is that even a—
この夏を越えた後で、なあ、どうしてそんな—
※Pusha Tとの激しいビーフがあった「過酷な夏」を経てもなお、自分の業界での価値は揺るがないという主張。
I've had real Philly niggas try to write my endin'
フィラデルフィアのリアルな野郎どもが、俺の物語を終わらせようとしてきたこともあった
※フィラデルフィア出身のMeek Millからゴーストライター疑惑で攻撃された過去のビーフを指す。
Takin' shots with the GOAT and talked about shots that we sendin'
史上最高の男と一緒にショットを飲み交わし、俺たちが放ったショットについて語り合った
※「GOAT(史上最高)」はJay-Zを指し、「shots」は酒のショットと銃撃(ディス)のダブルミーニング。Jay-Zと共に他のラッパーをディスった(「Talk Up」など)ことを示唆しているとファンの間では解釈されている。
I've had scuffles with bad boys that wasn't pretendin'
バッド・ボーイズと乱闘になったこともあった、奴らは遊びじゃなかったぜ
※2014年のマイアミのクラブで、Diddy(Bad Boy Recordsの創設者)と実際に殴り合いの乱闘事件を起こしたことへの言及。
I've had too many nights to mention, that's just the beginnin'
語り尽くせないほどの夜を越えてきた、だがこんなのはまだ始まりに過ぎない
I'm pretty sure we got a label, I'm still independent
俺たちにはレーベルがあるはずだが、俺は未だにインディペンデントのままだ
※Cash Money/Young Moneyレーベルに所属していながら、実質的には自分自身(OVO)で全てを動かしているという事実。Birdmanらとの契約問題への不満も孕んでいる。
I fell back a hundred times when I don't get the credit
正当な評価を得られない時は、100回だって一歩引いてやった
Seen this movie a hundred times, I know where it's headed
この映画なら100回は見たよ、結末がどうなるかなんて分かってる
Realize someone gotta die when no one'll dead it
誰もこの諍いを終わらせないなら、誰かが死ななきゃならないってことに気づくのさ
※ストリートの抗争における冷酷な真理。「dead it(終止符を打つ)」と「die(死ぬ)」の言葉遊び。
Niggas gamblin' with they life for some content
野郎どもはネットのコンテンツ(話題作り)のために、自分の命を懸けてギャンブルしてやがる
That's the type of lottery that could get your top picked
それはお前の頭が狙われる類の宝くじだぜ
※ネット上のバズ(Content)目的で安易にビーフを仕掛ければ、ヒットマンに頭(Top)を撃ち抜かれることになるというMob Bossとしての残忍な警告。宝くじ(Lottery)の数字を選ぶ(Pick)ことと掛けている。
I am a cream-of-the-crop nigga
俺は極上の中の極上さ
You niggas pop mollies, my 'Malis pop niggas
お前らはモリーをキメるが、俺のソマリ人たちは野郎どもを弾き飛ばす
※「Molly(MDMA)」と「'Malis(トロントのソマリ系ギャング)」を掛けた秀逸なワードプレイ。「Pop」にはドラッグを飲むことと、銃を撃つことの二つの意味がある。
House on both coasts, but I live on the charts
両海岸に家を持っているが、俺が本当に住んでいるのはチャートの上だ
※LAとトロント(またはNY)に豪邸を持ちつつ、常に音楽チャートの頂点に居座っているという無敵のフレックス。
I have tea with the stars and I swim with the sharks
俺はスターたちと紅茶を飲み、サメどもと一緒に泳いでいる
※華やかなセレブ界隈(stars)と、裏切りや搾取が横行する冷酷な音楽業界・裏社会(sharks)の両方を渡り歩いていること。
And I see in the dark, wasn't this cold at the start
そして俺は暗闇の中でも見通せる、最初からこんなに冷酷だったわけじゃない
※何度も裏切られた結果、闇の世界に適応し、冷徹な人間になってしまったSad Boyの哀愁。
Think my soul has been marked, there's a hole in my heart
俺の魂には傷跡が刻まれている気がする、心の中にポッカリと穴が空いているんだ
Yeah, I was about to— Man, I thought about it
ああ、俺は危うく— なあ、本気で考えてたんだ
It's unsettlin' to talk about it
それを口にするのは、あまりにも気が滅入る
Free all of my niggas that they caught with it
ブツを持っていて収監された俺の仲間たちを解放してくれ
RIP my niggas that they caught without it
ブツを持たずに捕まり、命を落とした仲間たちに安らかに眠れ
※「it」は銃器(Weapon)を指す。銃を持っていたために刑務所に入った仲間と、銃を持っていなかったためにストリートで殺された仲間の両方を悼む、ギャングスタ・ライフの過酷なジレンマ。
This just the intro, let me not get ahead of myself
これはただのイントロだ、あまり先走らないようにな
This is God's plan, young man, you said it yourself
これは神の計画だ、若き男よ、お前自身がそう言ったじゃないか
※自身のメガヒット曲「God's Plan」を引用し、今の状況すべてが神の導きであると自らに言い聞かせている。
Always got a ace up my sleeve for whatever was dealt
どんな手札を配られようと、俺の袖の中には常にエースが隠されている
Daddy got suits like Bernie Mac, he dresses himself
親父はバーニー・マックみたいなスーツを持っている、自分で着こなしてるんだ
※Drakeの実父Dennis Grahamは、コメディアンの故Bernie Macのような派手なスーツを好んで着ることで知られている。
I stopped askin' myself and I started feelin' myself
自問自答するのはやめだ、俺は自分の感覚を信じ始めたんだ
Now I gotta deal with all this drama and deal with myself
今、俺はこのすべてのドラマと向き合い、自分自身とも折り合いをつけなきゃならない
I ain't even have to cut the tie, it severed itself
俺から繋がりを断ち切る必要すらならなかった、それは勝手に千切れていったからな
※かつての仲間やビジネスパートナー(BirdmanやKanyeなど)との関係が、自然崩壊的に切れていったことへの冷めた視線。
This just the intro, let me not get ahead of myself
これはただのイントロだ、あまり先走らないようにな
