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Can’t Have Everything - Drake 【和訳・解説】

Artist: Drake

Album: More Life

Song Title: Can’t Have Everything

概要

2017年のプレイリスト・プロジェクト『More Life』に収録された「Can’t Have Everything」は、すべてを手に入れた絶対王者としての強欲さと、シーンに蔓延する嫉妬に対する苛立ちを叩きつけた、極めてアグレッシブな「Mob Boss」アンセムである。タイトルは「すべてを手に入れることはできない」という普遍的な教訓だが、Drakeはコーラスで「それでも俺はすべてが欲しい」と傲慢に言い放つ。バース内では、かつて自分にビーフを仕掛けたMeek Millやその背後にいるRick Ross、あるいは自身のフロウを模倣するTory Lanezなど、名前こそ出さないものの明確なサブリミナル・ディスを連発し、彼らのレベルの低さや矛盾を容赦なく冷笑している。しかし楽曲の最後には、Drakeの実母であるSandi Grahamのボイスメッセージが収録されており、泥仕合(ビーフ)に身を投じる息子に対して「他人が低きに流れても、私たちは高みを目指すのです」と諭す。この母の言葉によって、攻撃的なトラックから一転して『More Life(より良い人生)』というプロジェクト本来のテーマへと見事に着地する構成となっている。

和訳

[Intro: Drake]

Yeah

[Verse 1: Drake]

Aww, man, fresh up out the sand, February tan
ああ、砂浜から上がったばかりだ、2月だというのに日焼けしている
※真冬の2月でもトロピカルなリゾート地にいるという富のフレックス。

It's The Boy, but I'm still the man, come and get your mans
俺は「ザ・ボーイ」だが、依然として「ザ・マン(ボス)」でもある、お前らの仲間を回収しに来い
※Drakeの異名「The Boy」とボスの意味を持つ「The Man」の対比。「仲間を回収しろ(Come and get your mans)」は、ビーフで俺に叩きのめされたお前らのダチを片付けろという挑発。

I don't know, first, you caught the hands, then you took the stand
俺には分からないね、お前は最初に殴り倒されて、次に証言台に立った
※ストリートの揉め事でやられた挙句、警察にチクる(法廷の証言台に立つ)というギャングスタの掟に反するフェイクなラッパーへのディス。

It's a joke, but you say you real, I don't understand
冗談みたいだが、お前は自分が「リアル」だと言う、俺には全く理解できないな

On a yacht, me and all the dogs actin' like some dogs
ヨットの上で、俺と仲間たちは犬みたいに暴れ回っている

We evolved, used to think vacation meant Niagara Falls
俺たちも進化したもんだ、昔はバケーションといえばナイアガラの滝のことだと思ってたのにな
※トロントから車で約1時間半の定番観光地。地元から出られなかった過去と、世界中の海でヨットを貸し切る現在の対比。

Swear to God, shout to Buffalo, never duckin' low
神に誓って、バッファローにシャウトアウトを送る、俺は決して身を隠したりしない
※ナイアガラの滝の国境を越えたニューヨーク州バッファローへの言及。

I don't stop, man, I'm stuck on go, always hug the road
俺は止まらない、なあ、俺のギアは「前進」で固定されてる、いつも道路に張り付いて(ツアーをして)いるんだ

Fuck a opp, make his body roll, yeah, a lot of those
敵なんてクソくらえだ、奴の死体を転がしてやる、ああ、そういう奴らは腐るほどいる

Started out doin' college shows, Calipari flow
最初は大学でのライブから始まった、カリパリみたいなフロウさ
※ケンタッキー大学バスケットボール部の名将John Calipari。全米を回って有望な選手(ファン)をリクルートしていく様を重ねている。

Then I popped like you never seen, we with everything
それから誰も見たことがないレベルでブレイクした、俺たちはすべてのものを手にしてる

I went off in the '16, give me '17
2016年は完全に俺の年だった、2017年も俺によこしな

[Chorus: Drake]

Want a lot, can't have everything, can't have everything
多くを望むが、すべてを手に入れることはできない、すべては手に入らない

Want a lot, can't have everything, but I want everything
多くを望む、すべてを手に入れることはできないと分かっている、だけど俺はすべてが欲しいんだ

[Verse 2: Drake]

Bad attitude, tellin' who to calm down?
最悪の態度だな、誰に向かって落ち着けって言ってるんだ?

Tryna cool it all down, who's callin' my name?
事態を鎮火させようとしてるが、一体誰が俺の名前を呼んでる?

Who's involved now? Tell me who I gotta down
今度は誰が首を突っ込んできた? 誰をぶっ倒せばいいか教えてくれ

I'll do a song now, man
今すぐ曲を作ってやるよ、なあ

Even though there's way less to prove to y'all now, man
今となっては、お前らに証明しなきゃならないことなんてずっと少なくなったのにな

Everything that went around is comin' back around
巡り巡ったものは、必ず自分に返ってくるんだ

Y'all better hit the ground
お前らは地面に伏せていた方がいいぜ

Goddamn, beef forever unfinished
クソッ、ビーフは永遠に終わらない

Yeah, it's all open-ended, had me off for a minute
ああ、どれも結末の出ないオープンエンドだ、俺も一瞬だけ気を抜いちまった

Had you all since beginnin'
だが最初からお前らを完全に手玉に取ってたんだよ

Damn, I must be coachin', 'cause I'm not playin' with them
くそ、俺はコーチに違いないな、だってあいつらと同じフィールドでプレイ(お遊び)なんかしていないからだ

Can you not see the difference?
この圧倒的な格差が分からないのか?

I mean, I keep the fuckin' lights on in the buildin'
つまり、俺がこのビル(レーベルや業界全体)の電気代を払って(支えて)るってことさ

Man, my record deal should be five-houndred million, goddamn
なあ、俺のレコード契約は5億ドルであるべきだぜ、クソが

[Chorus: Drake]

Can't have everything, can't have everything
すべてを手に入れることはできない、すべては手に入らない

Want a lot, can't have everything, but I want everything
多くを望む、すべてを手に入れることはできないと分かっている、だけど俺はすべてが欲しいんだ

[Verse 3: Drake]

Finally got my mind in a free state
ようやく心から自由な状態になれた

Niggas tried to serve me up a cheesesteak
奴らは俺にチーズステーキを振る舞おうとしやがった
※チーズステーキはフィラデルフィアのソウルフード。フィラデルフィア出身のラッパーMeek Millが、Drakeに対してゴーストライター疑惑のディス(ビーフ)を仕掛けてきたことを指す。

I gave them back a clean plate
俺は綺麗になった皿を突き返してやったよ
※相手からのディス(チーズステーキ)をペロリと完食し、ディストラック「Back To Back」で完全勝利したというMob Bossの余裕。

Same niggas preein' cause they hate to see the team straight
同じ奴らが俺たちを監視してる、俺たちのチームが順風満帆なのが気に入らないからな
※「Pree」はパトワ語で監視する、じろじろ見ること。

Same niggas beakin', always duckin' my release dates
同じ奴らが文句を垂れているが、いつも俺のリリース日からは逃げ回っている
※「Beakin'」はカナダのスラングで「文句を言う、口答えする(鳥がくちばしを鳴らす様)」。文句を言いながらも、Drakeとアルバムの発売日が被ることを恐れてスケジュールをずらすライバルたちへの嘲笑。

That's when the phone starts ringin', like, "Are we straight?"
そういう時に限って電話が鳴り始めるんだ、「俺たちの関係は良好だろ?」ってな

Two-faced niggas back around with the three-face, damn
裏表のある(ツー・フェイスな)奴らが、さらに別の顔(スリー・フェイス)を持って戻ってきやがった、クソが

Ol' triple-double-Russ face, watch-with-the bust face
昔のトリプルダブルを決めた時のラッセルのような顔、ダイヤだらけの時計を見せびらかすような顔さ
※NBAのスター選手Russell Westbrookがスーパープレイを決めた際に見せる怒ったような表情(しかめっ面)と、高級時計(Bust down)をSNSで自慢するラッパーたち(特にMeek Mill)の表情の豊かさを揶揄している。

Never-met-the-plug-but-I-rap-about-the-plug face
仕入れ先(プラグ)に会ったこともないのに、プラグについてラップするような顔

Never-met-myself, I-don't-remember-who-I-was face
本当の自分に出会ったこともない、自分が誰だったのかすら覚えていないような顔

Y'all fuckin' hilarious
お前らマジで笑わせてくれるぜ

Y'all really think y'all niggas teamin' up is scarin' us
お前ら野郎どもが束になってかかってくれば、俺たちがビビるとでも本気で思ってるのか

Y'all niggas is arrogant, y'all sleep at the Sheraton
お前らは傲慢すぎるんだ、シェラトンホテルに泊まってるくらいでな
※シェラトンは高級ホテルだが、Drakeのような世界トップクラスのビリオネアが滞在する超VIPレベルではない。中途半端な成功で粋がっている相手への強烈な格付け。

All that shit embarrassin'
そういうのが全部、見ていて恥ずかしいんだよ

Tell your big homie I'm all for goin' there again
お前の兄貴分に伝えておけ、俺はもう一度そこ(ビーフ)に行く準備は完全にできてるってな
※Meek MillのボスであるRick Ross、あるいは当時Drakeと不和であったJay-Zなど、シーンの大物に対する牽制と解釈されている。

He ain't even die, and I ball with his inheritance
あいつは死んですらいないのに、俺はあいつの遺産(ポジション)を使って豪遊しているのさ

All that's in my account at the Bank of America
それが全部、俺のバンク・オブ・アメリカの口座に入っている

All that Drake hysteria
このドレイクの熱狂(ヒステリア)のすべてがな

6 side, East side, all that for my area
シックス・サイド、イースト・サイド、すべては俺の地元のためだ

[Outro: Sandi Graham]

You know, hun, I'm a bit concerned about this negative tone that I'm hearing in your voice these days
ねえ、あなた、最近あなたの声から聞こえる、このネガティブなトーンが少し心配なの

And I, I can appreciate where your uncertainty stems from
あなたのその不安がどこから来ているのか、私にはよく理解できるわ

And you have reason to question your anxieties and how disillusioned you feel
あなたが不安に駆られたり、幻滅を感じたりすることには十分な理由がある

As well as feeling skeptical about who you believe you can trust
誰を信じられるのか、疑心暗鬼になるのも当然よ

But that attitude will just hold you back in this life
でも、そういう態度は、この人生においてあなたを縛り付けるだけ

And you're going to continue to feel alienated
そして、あなたはこれからも疎外感を感じ続けることになるわ

Give some thought to this, because I'm confident in you
このことについて、少し考えてみてちょうだい。私はあなたを信じているから

And I know that you can reach your desired destination
あなたが望む目的地に必ず辿り着けるって分かっているの

And accomplish your goals much more quickly without this confrontation that I'm hearing in your tone these days
最近のあなたの声から聞こえるような「対立」がなくても、あなたはもっと早く目標を達成できるはずよ

When others go low, we go high
他人が低きに流れても、私たちは高みを目指すの
※Drakeの実母、Sandi Grahamのボイスメッセージ。最後のフレーズは、ミシェル・オバマ元大統領夫人が2016年の民主党大会で行った有名なスピーチからの引用。ヘイター相手に低俗なビーフを繰り広げる息子に対し、圧倒的な勝者として高潔であるべきだと諭し、プレイリスト全体のポジティブな着地点を示している。