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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

You & The 6 - Drake 【和訳・解説】

Artist: Drake

Album: If You’re Reading This It’s Too Late

Song Title: You & The 6

概要

「You & The 6」は、Drakeが実の母親であるSandi Grahamとの電話越しでの会話をそのまま楽曲に落とし込んだ、極めて私的でエモーショナルな告白録である。プロデューサーのBoi-1daと40によるミニマルで内省的なビートに乗せ、彼は音楽業界におけるトップスターとしての過酷な生存競争(裏切り者の喉を掻き切るMob Bossとしての顔)と、母親の前で見せる不器用で傷つきやすい一人の息子(Sad Boyとしての顔)という二面性を赤裸々に表現している。楽曲の後半では、両親の離婚の原因を作ったメンフィス出身の父親(Dennis Graham)に対する複雑な愛憎や、白人と黒人のハーフとしてトロント(The 6)で育ったゆえの「黒人らしさ」に関するアイデンティティの葛藤にも深く斬り込んでいる。単なる親孝行ソングにとどまらず、Drakeという人間の根源的な孤独と闘争心を浮き彫りにした、キャリア屈指の重要曲だ。

和訳

[Intro]

Rider shit
これはタフな話だ
※「Rider」はどんな困難にも立ち向かう、あるいは仲間のために命を懸ける者を指す。

[Verse 1]

Having conversations with mama, man, my life is a mess
母さんと話をしている、なあ、俺の人生はめちゃくちゃだ

Ain't been returning the texts, so she been reading the press
メールの返信をしていなかったから、母さんはゴシップ記事を読んでいた

She got Google Alerts, them shits go straight to her phone
母さんはGoogleアラートを設定していて、俺のニュースが直接スマホに届くんだ

She worry 'bout me from home, you know she raised me alone
家から俺のことを心配してくれている、女手一つで俺を育ててくれたからな

She said, "I heard you back with you know who"
母さんが言った、「『例のあの子』とヨリを戻したって聞いたわよ」
※ファンの間では、くっついては離れる関係を繰り返していたRihannaのことだと解釈されている。

I told her, "girl, I'm always back with you know who," yeah
俺は答えた、「母さん、俺はいつだって『例のあの子』の元に戻るんだよ」

And she like, "Who are we kidding? You're 27, you're just being you
すると母さんは言う、「誰をごまかそうとしてるの? あなたは27歳、ただあなたらしく生きているだけね

You're your father's child, man, thank God you got some me in you"
あなたは父親の血を引く子よ、ああ、私に似た部分も少しあって神様に感謝するわ」
※プレイボーイな気質は父親(Dennis Graham)譲りだと指摘しつつ、真面目な部分は自分(母親)譲りだと安堵する微笑ましいやり取り。

At least I always, at least I always see it through
少なくとも俺はいつだって、少なくとも俺はいつだって物事を最後までやり遂げる

At least I'm always being true to what you taught me
少なくとも俺はいつだって、母さんが教えてくれたことに忠実でいるよ

Retired teacher, but your words still got me evolvin'
引退した元教師、でも母さんの言葉は今でも俺を成長させてくれる

Never get sloppy drunk, but alcohol is problem solvin'
だらしなく泥酔することはない、でも酒が問題を解決してくれることもあるんだ

And look I hate it when you hate on all my girlfriends
なあ、母さんが俺の彼女たち全員に文句を言うのは勘弁してほしい

And assistants always convinced that there's someone better
アシスタントたちはいつも、もっと良い子がいるはずだって思い込んでる

Like that girl from your gym who trains you
母さんが通ってるジムの、あのパーソナルトレーナーの女の子とかな

I know you wanna arrange it, you told me she's free Thursday
母さんがお膳立てしたいのは分かってる、彼女は木曜が空いてるって言ってたよな

And I'm sure that she's an angel, but she don't want this life
きっと天使みたいに良い子なんだろうけど、彼女はこんな人生望んでないさ

The timing ain't right
タイミングが合わないんだ

Maybe one day, but even one day with us is the time of her life
いつかその時が来るかもしれない、でも俺たちと過ごすたった一日でさえ、彼女にとっては一生の思い出になるだろうな
※トップスターとしての非日常的すぎる生活に、一般人の女性はついてこられないだろうという傲慢さと孤独の入り混じった本音。

We do things that people pay to document
俺たちは、人が金を払ってでもドキュメンタリーにしたがるような生活をしてる

You got the sweetest heart
母さんは最高に優しい心の持ち主だ

But I'm not here to give out compliments
でも俺は、お世辞を言うためにここにいるんじゃない

Or boost nobody's confidence, momma
誰かの自尊心を満たしてやるためにいるわけでもないんだ、母さん

I got no friends in this, momma
この業界に俺の友達なんていないんだ、母さん

I don't pretend with this, momma
俺はごまかしたりしない、母さん

I'on joke with this, momma
冗談なんかじゃないんだ、母さん

I pull the knife out my back and I cut they throat with it, momma
自分の背中に刺さったナイフを引き抜き、それで奴らの喉を掻き切ってやるんだ、母さん
※裏切り者たちへの冷酷な復讐。ここで突然、音楽業界の覇者(Mob Boss)としての狂気的で暴力的なペルソナが顔を出す。

I'm Game of Thrones with it, momma
まるで『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいな権力闘争の世界だ、母さん

I'm Home Alone with it, momma
まるで『ホーム・アローン』みたいに孤軍奮闘してるんだ、母さん
※ドラマのような血みどろの権力争いと、映画のようにたった一人で家(自分の立場)を守らなければならない圧倒的な孤独のダブルミーニング。

I'm t-
俺は——

I really hate using this tone with you, momma
母さんにこんな口調で話すのは本当に嫌なんだ

I really hate gettin' aggressive on this phone with you, momma
電話越しで母さんに攻撃的な態度をとるなんて、本当に嫌なんだよ

I really hate wasting your time to check a clone or two, momma
クローンどもを牽制するために、母さんの時間を無駄にするのは本当に嫌なんだ
※「Clone」はDrakeのフロウやスタイルを真似て恩恵に与ろうとする同業者たちのこと。

It's just they cloning me, momma
ただ、奴らが俺の真似ばかりするんだ、母さん

Them niggas wannabes, momma
あいつらは俺になりたがってる、母さん

Its like - I'm the one they wanna be, momma
つまり、俺こそが奴らの憧れの的なんだよ、母さん

I just- I- I can't be out here being vulnerable, momma
俺はただ、この世界で弱みを見せるわけにはいかないんだ、母さん

I mean I kill 'em every time they do a song with me, momma
つまり、あいつらが俺と曲をやるたびに、俺は奴らを完全に食い殺してるってことさ、母さん
※いわゆる「Drake Feature Effect(ドレイク客演効果)」。客演に呼ばれた曲で主役以上のバースを蹴り、完全に曲を乗っ取ってしまうという自負。

I sing a hook they sing along with me, momma
俺がフックを歌えば、みんなが一緒に歌ってくれる、母さん

What more they want from me, momma?
奴らはこれ以上、俺に何を求めてるんだ、母さん?

Yeah, this is a crazy life
ああ、これは狂った人生だ

But you and the six raised me right
でも、母さんとシックス(トロント)が俺を正しく育ててくれた

"Don't ever take advice," that was great advice
「誰のアドバイスも受けるな」、あれは最高のアドバイスだったよ

You and the six raised me right, that shit saved my life
母さんとシックスが俺を正しく育ててくれた、それが俺の命を救ってくれたんだ

[Verse 2]

Yeah!

Having conversations with momma, we start talkin' 'bout dad
母さんとの会話で、親父の話になり始めた

You know he dropping a single, he saying this is his window
知ってるだろ、親父がシングルをリリースするんだ、「ここが勝負の窓だ」なんて言ってる

That nigga still wearing linen, that nigga still in the club
あの親父はまだリネンの服を着て、まだクラブに入り浸ってるんだ
※Drakeの父親Dennis Grahamは元ミュージシャンで、2010年代半ばから再びR&Bシンガーとして活動を再開した。還暦を過ぎても派手な服を着て夜遊びする父親への呆れと愛情。

Call him after we get off the phone and show him some love
電話を切ったら親父に電話して、少し愛情を示してやるか

That nigga Memphis for real, girl, he love you to death
あの親父は生粋のメンフィス気質なんだ、母さん、親父は死ぬほど母さんを愛してるぜ
※Dennis Grahamはテネシー州メンフィスの出身。

He made mistakes throughout his life that he still doesn't accept
親父は人生を通じて何度も過ちを犯してきたが、いまだにそれを認めようとしない

But he just want our forgiveness, and fuck it, look how we're living
でも、ただ俺たちの許しを求めているんだ、まあいいさ、今の俺たちの生活を見てみろよ
※過去に家族を捨てた父親へのわだかまりもあるが、現在これほど大成功を収めたのだからもう水に流そうという達観。

I'm content with this story, who are we not to forgive him?
俺はこの物語に満足している、親父を許さない権利なんて俺たちにあるのか?

At least I been to a prison, at least I know what it's like
少なくとも俺は刑務所に行ったことがある、少なくとも中の様子は知ってるんだ
※父親やその周囲の人間が服役していたため、少年時代に面会などで刑務所の空気を感じていたというストリートのルーツ。

I used to rap on the phone with one of his friends doing life
昔、終身刑を食らった親父のダチ相手に、電話越しでラップを披露したこともあったな

And now I got me a Grammy, that could be part of the reason
そして今、俺はグラミー賞を手にした、それも理由の一つかもしれない

Let's just call this shit even, we got some things to believe in
もうこれで貸し借りはなしにしようぜ、俺たちには信じるべきものがあるんだから

Do you remember back to Weston Road, Scarlett Road?
ウェストン・ロードやスカーレット・ロードの頃を覚えてるか?

Hangin' with Aaron Bell and Reny
アーロン・ベルやレニーと一緒に遊んでいた頃のことを
※トロントのリアルな地名と、少年時代の友人たちの名前。後にアルバム『Views』の「Weston Road Flows」でもこの頃の記憶が詳細に歌われることになる。

Shit could've gone south for me, he looked out for me, ma
俺の人生は悪い方向に転がる可能性もあった、でもあいつが面倒を見てくれたんだ、母さん

He never let me do drugs
あいつは絶対に俺にドラッグをやらせなかった

He let me shoot a gun one summer, but out there everyone does
ある夏、あいつは俺に銃を撃たせてくれたが、あの辺りじゃ誰だってやってることだ

He made me listen to his music, old music, soul music
親父は俺に自分の音楽を聴かせた、昔の音楽、ソウル・ミュージックをな

Shit that can only be created if you go through it
ああいう経験をしなければ、決して生み出せないような音楽さ

I used to get teased for being black
昔は黒人だってことでからかわれていたのに

And now I'm here and I'm not black enough
今ここまで登り詰めたら、今度は「黒人らしさが足りない」と言われる
※ユダヤ系の母親とアフリカ系の父親を持つDrakeが抱える、人種的アイデンティティの強烈な葛藤。白人コミュニティでは黒人として扱われ、ヒップホップコミュニティでは「ストリート出身の純粋な黒人ではない」と批判される不条理への怒り。

'Cause I'm not acting tough
俺がタフな振りをしないから

Or making stories up 'bout where I'm actually from, yeah
自分の本当の出身地について、ギャングスタのような作り話をしないからってな

But I just roll with it, momma, rolling stone with it, momma
でも俺はただ流れに乗るだけだ、母さん、転がる石のように生きていくんだ、母さん

Gotta be careful around Rolling Stone
『ローリング・ストーン』誌の周りじゃ気をつけなきゃならない

Or anyone that's tryna throw stones at me, momma
俺に向かって石を投げつけよう(批判しよう)とする奴ら全員にもな、母さん
※「転がる石(Rolling stone)」、音楽雑誌の「Rolling Stone」、そして自分に批判の「石を投げる(Throw stones)」ヘイターたちを掛けた巧みなトリプルミーニング。

I'm not condoning it, momma
俺はそんなこと絶対に許さないよ、母さん

They will not tear nothing down, I built this home for you, momma
奴らに何も壊させはしない、俺が母さんのためにこの家(帝国)を建てたんだからな

Know I don't call enough, momma
電話が少なすぎるのは分かってるよ、母さん

I just been working with so little time for personal, momma, yeah
ただずっと働き詰めで、自分の時間がほとんどないんだ、母さん

Hard labor let me pay the price
この重労働が、その代償を支払わせてくれる

You and the six raised me right, that shit saved my life
母さんとシックスが俺を正しく育ててくれた、それが俺の命を救ってくれたんだ