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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

K-I-SS-I-N-G - Nas 【和訳・解説】

Artist: Nas

Album: I Am...

Song Title: K-I-SS-I-N-G

概要

本作は、1999年にリリースされたNasの3rdアルバム『I Am...』に収録された、彼のディスコグラフィにおいては比較的珍しいストレートなラブソングである。プロデュースはNasの長年の盟友であるL.E.S.とAl Westが手掛け、メロウで艶やかなR&Bバイブスを醸し出している。楽曲のコンセプトは、アメリカの子供たちが歌う古典的な囃子歌「K-I-S-S-I-N-G(First comes love, then comes marriage...)」をフックに引用しつつ、そこに「F-U-C-K-I-N-G」という大人のストリートの現実を露骨に掛け合わせている点にある。リリックでは、マフィオソ的なハスラーの日常の中で出会った「完璧な女性」との理想的な結婚生活の妄想から始まり、最終ヴァースでは泥沼の離婚騒動と財産分与、そしてメイクアップ・セックス(喧嘩のあとのセックス)で関係を修復するというリアルな男女の愛憎劇が描かれている。理想と現実のギャップをシニカルかつロマンチックに描写した、Nasのストーリーテラーとしての成熟を感じさせる隠れた名曲である。

和訳

[Chorus]

Picture us married, you and me; K-I-S-S-I-N-G
俺たち2人が結婚してる姿を想像してみな。K-I-S-S-I-N-G(キスをして)
※アメリカの子供たちがカップルをからかう際に歌う童謡「(男の名前) and (女の名前) sitting in a tree, K-I-S-S-I-N-G. First comes love, then comes marriage, then comes the baby in the baby carriage...」からの引用。プラトニックな恋愛と結婚の象徴。

I remember the first time, girl, you and me; F-U-C-K-I-N-G
初めての時のことを覚えてるぜ、ガール。お前と俺で、F-U-C-K-I-N-G(ヤりまくったこと)をな
※無邪気な童謡のフレーズの直後に、ストリートの生々しい肉体関係の現実をアルファベット綴りで対比させる、Nas特有のユーモアと毒気。

Girl picture us married, you and me; K-I-S-S-I-N-G
なぁ、俺たちが結婚してる姿を想像してみなよ。K-I-S-S-I-N-G(キスをして)

I remember the first time, girl, you and me; F-U-C-K-I-N-G
初めての時のことを覚えてるぜ、ガール。お前と俺で、F-U-C-K-I-N-G(ヤりまくったこと)をな

[Verse 1]

She was the modern Isis, honey thought she was priceless
彼女は現代のイシスさ、あのハニーは自分のことをプライスレス(お金では買えない価値がある)だと思ってた
※「Isis(イシス)」は古代エジプト神話における豊穣の女神であり、理想の妻・母親の象徴。黒人女性をアフリカの女神に例えるのは、Nasがよく用いるアフロセントリズム(アフリカ中心主義)的なリスペクトの表現。

Perfect definition what a wife is, I like this
「妻」とは何かってことの完璧な定義だ。俺はこういうのが好きでね

Showed me how excitin' life is
人生ってやつがどれだけエキサイティングかってことを、俺に教えてくれたんだ

I used to hang around dudes that use ice picks
昔の俺は、アイスピックを凶器に使うような連中とつるんでた
※マフィアやギャングが暗殺の道具として使うアイスピック。血生臭いストリートの過去を描写している。

The sheistiest, put you on they heist list
最高にタチの悪い(sheisty)野郎どもさ、お前を強盗(heist)のターゲット・リストに載せるような奴らだ

How we met must've been fate
俺たちの出会いは、きっと運命だったに違いない

First date — crushed grapes, we ate lobster and steak
初デート――砕かれたブドウ(ワイン)を飲み、ロブスターとステーキを食った
※「crushed grapes」はワインの詩的な表現。ストリートのハスラーが成り上がり、高級なディナーで女性をもてなす優雅なデートの風景。

She kept askin' questions how the cash made, how my rent's paid
彼女はずっと質問してきた。どうやって金を稼いでるのか、家賃はどうやって払ってるのか

How many guns I sprayed, and huns I laid
どれだけの銃をブッ放し、どれだけの女(huns)と寝てきたのかってな
※「huns」はhoneyの複数形で女性のこと。危険なギャングスタの世界に惹かれる女性の好奇心を描写している。

She said she want to have a family raised, kids someday
彼女は言ったよ。いつか家庭を持ち、子供を育てたいって

Like out in Beverly Hills she wanna live one day
いつかビバリーヒルズみたいな場所で暮らしてみたいってな

I can get with that
俺ならその夢、叶えてやれるぜ

I drop you off home, I call, you hit me back
お前を家まで送り届け、俺が電話して、お前がかけ直してくる

I wanna dig that, and did I? I did that
俺は深く掘り下げ(ヤり)たかった。俺はそうしたか? ああ、やったとも

Put it way up where her ribs at, her future kids at
彼女のあばら骨(ribs)がある場所、彼女の未来の子供たちが宿る場所(子宮)まで、奥深くにブチ込んでやったのさ
※極めて生々しく性的なメタファー。「肋骨」というワードは、Verse 3で登場するアダムとイヴのメタファーへの伏線ともなっている。

You held out for two weeks, longer than these hoodrats
お前は2週間も俺にヤラせずに焦らしたな。その辺のフッドラット(尻軽女)どもよりずっと長かったぜ

You precious, more precious than lost treasure
お前は尊い。失われた財宝よりもプレシャスだ

Matter of fact, I'm kinda hopin' we can stay together, word
実際のところ、俺たちずっと一緒にいられたらって願ってるんだ、マジでな

[Chorus]

Picture us married, you and me; K-I-S-S-I-N-G
俺たち2人が結婚してる姿を想像してみな。K-I-S-S-I-N-G(キスをして)

I remember the first time, girl, you and me; F-U-C-K-I-N-G
初めての時のことを覚えてるぜ、ガール。お前と俺で、F-U-C-K-I-N-G(ヤりまくったこと)をな

Girl picture us married, you and me; K-I-S-S-I-N-G
なぁ、俺たちが結婚してる姿を想像してみなよ。K-I-S-S-I-N-G(キスをして)

I remember the first time, girl, you and me; F-U-C-K-I-N-G
初めての時のことを覚えてるぜ、ガール。お前と俺で、F-U-C-K-I-N-G(ヤりまくったこと)をな

[Verse 2]

I see you dressed up in white, face covered in veil
白いドレスに身を包み、顔をベールで覆ったお前の姿が見える

Do I hear wedding bells? My dogs throwin' rice
ウェディングベルが聞こえるか? 俺のダチどもがライスシャワーを投げてる

And it's the day that your father give you away
そしてお前の親父さんが、お前を送り出す日だ

To a real man that gently put the ring on your hand
お前の手に優しく指輪をはめる、本物の男(俺)の元へな

Do we vow to stay faithful? Do more than try to
俺たちは誠実でいると誓うか? 努力する以上のことをするさ

Now, look me in my eyes and say, "I do"
さあ、俺の目を見て「誓います(I do)」と言ってくれ

Drivin' off in the Rolls Royce, just married on the plates
ナンバープレートに「Just Married(新婚)」と掲げたロールスロイスで走り去る

We can spend our honeymoon in the States
ハネムーンはアメリカ国内のどこかで過ごそうぜ

You can throw your friend the bouquet
お前の友達に向かってブーケを投げればいい

Somethin' in the back of my head say, "Why us two?"
頭の片隅で何かが語りかけてくる、「なぜ俺たち2人なんだ?」ってな

Maybe 'cause I love you
たぶん、俺がお前を愛してるからだろうな

Hug you, squeeze you, touch you, tease you
お前を抱きしめ、強く抱き、触れて、焦らす

As long as we together, it's heaven for me to please you
俺たちが一緒にいる限り、お前を喜ばせることが俺にとっての天国なのさ

Won't stop 'til I tell you me to, beautiful
お前が「やめて」と言うまで、俺は止めないぜ。ビューティフル

Deeper and harder, love layin' new with you
もっと深く、もっと激しく。お前とベッドに横たわるのは、いつだって新鮮な愛だ

Runnin' my fingers through your hair
お前の髪に指を絡ませながら

It's like days can go by while I'm with you, and I won't even care, word
お前と一緒にいると何日も過ぎ去っていくような感覚だ。それでも俺は全く気にしねえよ、マジでな

[Chorus]

Picture us married, you and me; K-I-S-S-I-N-G
俺たち2人が結婚してる姿を想像してみな。K-I-S-S-I-N-G(キスをして)

I remember the first time, girl, you and me; F-U-C-K-I-N-G
初めての時のことを覚えてるぜ、ガール。お前と俺で、F-U-C-K-I-N-G(ヤりまくったこと)をな

Girl picture us married, you and me; K-I-S-S-I-N-G
なぁ、俺たちが結婚してる姿を想像してみなよ。K-I-S-S-I-N-G(キスをして)

I remember the first time, girl, you and me; F-U-C-K-I-N-G
初めての時のことを覚えてるぜ、ガール。お前と俺で、F-U-C-K-I-N-G(ヤりまくったこと)をな

[Verse 3]

She been with young dudes, old guys, Hindus, papi's
彼女は若い奴ら、年寄り、ヒンドゥー教徒、ラテン系の男(papi's)たちとも付き合ってきた

Colombians who cut pies, but none of them can touch Nas
パイ(コカインの塊)を切り分けるコロンビアの麻薬カルテルともな。だが、奴らの誰もNasには敵わねえ
※「pies」はキログラム単位のコカインの塊を指すスラング。彼女が裏社会の大物たちとも浮名を流してきたファム・ファタール(魔性の女)であることを示している。

Thug ones to those soft as baby shit
ハードなサグから、赤ん坊のクソみたいにソフト(軟弱)な奴らまで

She been with hoodlums, and those who had crazy chips
チンピラどもや、イカれたほどの大金(crazy chips)を持ってる奴らとも一緒にいた

'Til one day she decided to flip
ある日、彼女が突然態度を豹変(flip)させるまではな

It was nuttin' I can do about it, like she the boss and shit
俺にできることは何もなかった。まるで彼女がボスか何かみたいだったぜ

Started talkin' this divorcin' shit
「離婚する」なんてクソみたいな話を始めやがったんだ
※Verse 2までの甘い結婚の妄想から一転、結婚後の泥沼の現実が容赦なく描かれる。

I gave her my half rib, half my crib, half my cake half my car
俺は彼女に俺の肋骨の半分、家の半分、金の半分、車の半分を渡したってのに
※旧約聖書の創世記における「神はアダムの肋骨(rib)からイヴを創った」というメタファーと、離婚における莫大な財産分与(家=crib、金=cake、車)を巧みに掛け合わせたパンチライン。

Half my kids? Can't get that
子供の半分だって? それだけは渡さねえぞ

Tried to swing on the God, had to dip that
彼女は神(俺)に向かって拳を振り下ろしてきたから、俺はそれを避け(dip)なきゃならなかった
※「the God」はNas自身のこと。Five-Percent Nation(5% Nation)の教義において、黒人男性は自らを「神(God)」と定義する。

Yo, push her on the bed, lift her leg, had to rip that
ヨォ、彼女をベッドに押し倒し、脚を持ち上げて、激しくヤる(rip)しかなかったのさ

All she wanted was rough sex, with her slick ass
あの狡猾な女が本当に求めてたのは、ラフなセックスだけだったんだ
※激しい口論や暴力の直後に燃え上がるメイクアップ・セックス(仲直りのセックス)。ドロドロの愛憎劇の結末。

Had to sit back, smoke a blunt and just look
俺はソファに深く座り、ブラント(葉巻に詰めたマリファナ)を吸いながら、ただ見つめるしかなかった

With a fine-ass body and a damn good cook
極上のボディと、クソ美味い料理の腕を持つあの女をな

For some reason, yo, she had me stuck, and I had her in my web too
どういうわけか、ヨォ、俺は彼女に身動きが取れなくされてた。そして俺も彼女を、俺の蜘蛛の巣(web)に捕らえてたんだ

You my queen, God bless you
お前は俺のクイーンだ。神の祝福があらんことを

[Chorus]

Picture us married, you and me; K-I-S-S-I-N-G
俺たち2人が結婚してる姿を想像してみな。K-I-S-S-I-N-G(キスをして)

I remember the first time, girl, you and me; F-U-C-K-I-N-G
初めての時のことを覚えてるぜ、ガール。お前と俺で、F-U-C-K-I-N-G(ヤりまくったこと)をな

Girl picture us married, you and me; K-I-S-S-I-N-G
なぁ、俺たちが結婚してる姿を想像してみなよ。K-I-S-S-I-N-G(キスをして)

I remember the first time, girl, you and me; F-U-C-K-I-N-G
初めての時のことを覚えてるぜ、ガール。お前と俺で、F-U-C-K-I-N-G(ヤりまくったこと)をな

Picture us married, you and me; K-I-S-S-I-N-G
俺たち2人が結婚してる姿を想像してみな。K-I-S-S-I-N-G(キスをして)

I remember the first time, girl, you and me; F-U-C-K-I-N-G
初めての時のことを覚えてるぜ、ガール。お前と俺で、F-U-C-K-I-N-G(ヤりまくったこと)をな

Girl picture us married, you and me; K-I-S-S-I-N-G
なぁ、俺たちが結婚してる姿を想像してみなよ。K-I-S-S-I-N-G(キスをして)

I remember the first time, girl, you and me; F-U-C-K-I-N-G
初めての時のことを覚えてるぜ、ガール。お前と俺で、F-U-C-K-I-N-G(ヤりまくったこと)をな

Picture us married, you and me; K-I-S-S-I-N-G
俺たち2人が結婚してる姿を想像してみな。K-I-S-S-I-N-G(キスをして)