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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Hasta Luego - JID 【和訳・解説】

Artist: JID

Album: DiCaprio 2

Song Title: Hasta Luego

概要

JIDの2ndアルバム『DiCaprio 2』(2018年)のラストを飾る本作は、トラップ・ミュージックの重厚なビートの上で、彼が地元アトランタの過酷な環境から脱却し、成功を掴み取る決意を宣言するバンガーである。スペイン語で「またな(さようなら)」を意味するタイトル「Hasta Luego」が示す通り、貧困やストリートのしがらみ、フェイクな人間関係への決別がテーマとなっている。プロデュースはTravis Scott等を手掛けるWondagurlとCubeatzが担当。元々は2017年のデビューアルバム『The Never Story』期にSoundCloud等で公開され、ファンの間でカルト的な人気を誇っていた楽曲であり、本作をアルバムのエンディングに配置することで、過去の自分への決別と次なる高みへのステップアップを力強く印象付けている。

和訳

[Intro]

Hasta luego, I'm finna break
アスタ・ルエゴ(あばよ)、俺はここから抜け出すぜ
※「Hasta Luego」はスペイン語で「また後で/さようなら」の意。長年囚われていたアトランタのストリートや貧困の連鎖からブレイク(脱却・大成功)するという宣言。

[Verse 1]

All of my, all of my life
俺の、俺のこれまでの人生すべて

I been chasing a check and I never get it
ずっと金(小切手)を追いかけてきたのに、一度も手に入らなかった

Been around it, seen it, never had it
金の周りをうろつき、目にはしてきたが、自分のものになったことはねえ

Mama, daddy, whole family, broke family
母さん、親父、家族全員、貧乏な一家だったのさ

I'ma get it, told 'em I'll fuckin' handle it
俺が手に入れてやる、「俺がなんとかしてやる」って家族に言ったんだ

And murder the game so the service candlelit
そしてラップゲームを殺す。そいつの葬式(サービス)にキャンドルが灯るようにな
※「murder the game(シーンを制圧する)」というヒップホップの定型句を、キリスト教式の葬儀(church service)でキャンドルが灯される情景に結びつけた秀逸なライム。

Emergency lane and I'm swerving, damaging the whip
緊急車線を蛇行(スワーヴ)して、車(ウィップ)をぶつけちまってる
※成功を急ぐあまり、危険な道(違法な手段や無謀な生き方)を猛スピードで突き進み、身をすり減らしている状態のメタファー。

But shit, fuck it, I'm fucking vanishing
でもクソッ、知ったことか。俺はドロンさせてもらうぜ

Had to get out of Atlanta for a little minute
少しの間、アトランタから出なきゃならなかったんだ

You know that there's madness in the fuckin' city
あのクソみたいな街には「狂気(マッドネス)」があるって、お前も知ってるだろ

I thought it was love here
ここには愛があると思ってた

I thought I was good, I'm stuck in the mud here
上手くやってるつもりだったが、俺はここの泥沼から抜け出せずにいたんだ

I'm looking for drugs
ドラッグを探し回って

I'm looking for big butts with the good hair
髪の綺麗なケツのデカい女を探し回ってる

Or a ten-piece hot lemon pepper sprinkled
それか、ホット・レモンペッパーの粉がたっぷりかかった10ピースのウィングと

Fries crinkled, that's the lingo
クリンクルカットのポテトをな。それがこっちの言葉(リンゴ)さ
※アトランタ名物のチキンウィング店(American Deliなど)の定番メニュー。南部特有の食文化(lingo=地元民の共通言語)を誇りを持ってレペゼンしている。

If that's your girlfriend, she acting single
あれがお前の彼女なら、フリー(独身)みたいに振る舞ってるぜ

I caught the pass like I'm Ochocinco
オチョシンコみたいにパスをキャッチしてやる
※元NFLのスター・ワイドレシーバー、チャド・ジョンソンの愛称「オチョシンコ(スペイン語で「85」、彼の背番号)」。チャンス(パス)を絶対に逃さないというボースト。

I hit the gas down ocho cinco, like 85
「オチョ・シンコ(85)」でアクセルを踏み込む、「I-85」みたいにな
※背番号の「85」から、アトランタを貫く主要高速道路「Interstate 85」と、時速「85マイル」で爆走する姿を掛けた天才的なトリプル・ミーニング。

It's like 8 or 9 'o clock, my nine cocked
8時か9時くらいだな、俺の9ミリ口径は発射準備(コック)完了だ

If you on my guap, I won't stop 'til that boy go pop
俺の金(グワップ)に手を出そうもんなら、お前が弾け飛ぶ(ポップ)まで撃つのをやめねえぞ

They won't stop 'til they boy like Pac
あいつらは、2Pacみたいにハチの巣になるまで止まらねえんだ
※1996年に銃撃され命を落とした伝説的ラッパー2Pacを引き合いに出し、ストリートの暴力の連鎖と無軌道さを描写している。

They just pop 'til they brain fall out (Damn)
脳みそがこぼれ落ちるまで、薬(ポップ)をキメ続けるのさ(クソッ)
※「Pop」のもう一つの意味(錠剤を飲む)。死ぬまで銃を撃ち合うか、死ぬまでドラッグをやり続けるしかないフッドの絶望。

They never know what I be talking about
奴らには、俺が何を話してるかなんて永遠に分からねえよ

I only do it 'cause they never really talking about it
あいつらが絶対に語ろうとしない真実だから、俺が歌ってるだけだ

Bout it, bout it, turn the music louder, louder
気合いが入ってるぜ(バウディッ、バウディッ)、音楽のボリュームをもっと、もっと上げろ
※サザンヒップホップの先駆者、Master Pのクラシック曲「Bout It, Bout It II」へのオマージュ。「本気だ、覚悟ができている」という南部のスラング。

How the fuck did anyone assume the God
どうして誰もが「神」を名乗りたがるんだ

The Son, the Son of God, the runnin' from the money
「神の子(キリスト)」だとかな。金から逃げ回りながら血を流してるくせに

Bleed the blood just like the money, it's not Jumanji
金と同じように血を流してる、これは『ジュマンジ』じゃねえんだぞ
※映画『ジュマンジ』のようなゲームの世界やフィクションのジャングルではなく、アトランタのストリートは血が流れる現実のジャングルであるという警告。

I'm the doom that damned the dungeon
俺は「ダンジョン」を呪った破滅(ドゥーム)さ
※アトランタの伝説的ヒップホップ・コレクティヴ「Dungeon Family(OutKastらを輩出)」をリスペクトしつつ、自分がその歴史を終わらせる(塗り替える)ほどの存在になるという野心。

I'm the spoon that fed the hungry
俺は飢えた奴らに飯を食わせるスプーンだ

Stand for something, fall for nothing, all or nothing
信念を持て、無意味に倒れるな。オール・オア・ナッシング(全か無か)だ
※黒人解放運動の指導者マルコムXの名言「A man who stands for nothing will fall for anything(信念のない者は、何にでも容易く騙され倒れる)」の引用。

Y'all niggas balling, huh?
お前ら、羽振りがいい(ボーリング)んだろ?

Just to find out that shit is all for nothing
どうせ最後は、そんなもん全部無意味だったって気づくハメになるのにな

[Pre-Chorus 1]

I been going crazy, somebody pray for me
俺はおかしくなりそうだよ、誰か俺のために祈ってくれ

Take a second, take a knee
少しだけ時間を割いて、膝をついて祈ってくれ

It'll mean everything, it'll mean everything to me
それが俺にとってのすべて、すべてなんだよ

[Chorus]

I tell 'em to get out the way, I'm finna take it to 'em
奴らに「そこをどけ」って言え、俺が自らカマしてやるからな

Hasta luego, we finna make a move
アスタ・ルエゴ(あばよ)、俺らは行動を起こすぜ

Give me a break, what is you saying to 'em?
冗談だろ、お前は奴らに何を言ってやがる?

Give me the 'K, I'm finna spray the room
その「K」を寄こせ、この部屋中に弾をブチ撒けてやる
※「'K」はアサルトライフル「AK-47」のスラング。フェイクな連中を銃撃(ラップスキルで一掃)するという過激なボースト。

I'm finna spray the room (Shit, uh, okay)
この部屋中にブチ撒けてやるぜ(クソッ、アー、オーケー)

[Verse 2]

Ok, everybody rich, everybody skraight, yeah, everybody ballin'
よし、誰も彼もが金持ちで、誰もが「問題なし(スクレイト)」で、誰もが羽振りがいいってか
※「skraight」は「straight(大丈夫、問題ない)」のアトランタ訛り。

I never had shit, mind over matter, outside, I can't call it
俺には何一つなかった。精神力で乗り切るしかなかったんだ。外の世界がどうなるかなんて、俺には読めない

All my niggas finna get a job, or they already got it
俺のダチはみんな真っ当な仕事に就こうとしてるか、もう働いてる

Couple trapping, couple catching bodies
数人はトラップ(麻薬密売)をやって、数人は殺人(キャッチング・ボディーズ)で捕まったがな

Please don't come to East Atlanta, shawty
頼むからイースト・アトランタには来ないでくれよ、お嬢ちゃん

With your bullshit and your flex cap tryna' juug shit
お前のくだらねえ見栄っ張り(フレックス・キャップ)な態度で、詐欺(ジャグ)でも働こうってのか?

Nah nigga, you'se a good lick, be a good guy, you a good kid
やめとけ、お前は格好のカモ(リック)だ。いい奴でいろ、お前は「グッド・キッド」なんだからな
※「lick(強盗の標的)」。ケンドリック・ラマーの傑作『good kid, m.A.A.d city』へのオマージュ。ストリートの狂気(m.A.A.d city)に向いていない人間は、大人しく真っ当に生きろという忠告。

Never really understood this
俺にはこういう世界が、どうしても理解できなかった

But it's probably not for me to understand
でも多分、俺が理解するためのものじゃないんだろうな

I just played the cards I was fucking handed
俺はただ、配られたクソみたいな手札(カード)で勝負しただけさ

And dealt with it like a fucking man
一人の男として、それに立ち向かったんだ

You my nigga then you my nigga then
お前が俺のダチなら、お前はずっと俺のダチだ

Then we stick together like we Huck and Finn
俺たちは「ハックとフィン」みたいに、固い絆で結ばれてるんだ
※マーク・トウェインの小説『ハックルベリー・フィンの冒険』の主人公ハックと逃亡奴隷ジム(あるいは親友のトム・ソーヤ)の深い絆を引用し、仲間との決して切れない関係を表現している。

We gon' get the chicken while we fucking hens
俺たちはメンドリ(女たち)とヤりながら、チキン(金)を稼ぐのさ
※「chicken」はストリートスラングで「金/大金」。「hens(メンドリ)」と掛けたユーモア。

Don't let any nigga come fuck up the plan
誰にも俺たちの計画を台無しにさせるなよ

If we gotta ride, well then, fuck it, then
もし戦いに乗り込まなきゃならないなら、クソッ、やってやるさ

If a nigga die, it got out of hand
もし仲間が死んだら、そいつはもう手に負えねえ事態だ

If I touch the sky then my other guys
もし俺が「空に触れる(死ぬ/天国に行く)」ようなことがあったら、残されたダチたちは
※カニエ・ウェストの「Touch The Sky」からの引用とも取れるが、ここでは死のメタファー。

Recognize, must avenge
分かってるよな、必ず復讐(アヴェンジ)してくれ

Jeopardize, I publicize, justified
危険に晒し、公にさらし、正当化する

When we busted in, were you terrified?
俺たちが押し入った時、お前はビビってたか?

Was it televised when them rebel guys started busting heads
反逆者どもが奴らの頭を吹き飛ばし始めた時、それはテレビで放送(テレバイズ)されたか?
※ギル・スコット=ヘロンの有名なポエトリー・リーディング「The Revolution Will Not Be Televised(革命はテレビ中継されない)」の引用。ストリートのリアルな血流し合いは、メディアの綺麗な枠組みの中には収まらないという事実。

Over what a nigga said or do to JID?
誰かがJIDに言ったことや、やったことが原因でな?

These the crazy niggas that I grew up with
こいつらが、俺と一緒に育ったイカれたダチたちさ

In the shady city that I grew up in
俺が育った、この暗く影のある街(アトランタ)でな

They ain't doin' shit, but they doin' shit
奴らは(表向きは)何もしてないように見えるが、裏じゃ(ヤバいことを)やってるんだぜ

[Pre-Chorus 2]

Hasta luego, I gotta get up away from here
アスタ・ルエゴ(あばよ)、俺はここから離れなきゃならない

Hoping that somebody pray for me
誰かが俺のために祈ってくれることを願ってる

Telling you it'll mean everything
それが俺にとってのすべてなんだって、言ってるだろ

Everything you know what I mean
すべてなんだよ、言ってる意味分かるよな

There's no working no emergency
緊急事態でもなけりゃ、何も機能しねえ

I don't wanna be a burden, yeah
誰かのお荷物(負担)にはなりたくないんだ、イェー

I just really hope you love a nigga when he's hurting
俺はただ、傷ついている時の俺のことも愛してほしいと、心から願ってるだけなんだ

[Chorus]

I tell 'em get out the way, I'm finna take it to 'em
奴らに「そこをどけ」って言え、俺が自らカマしてやるからな

Hasta luego, we finna make a move
アスタ・ルエゴ(あばよ)、俺らは行動を起こすぜ

Give me a break, what is you saying to 'em
冗談だろ、お前は奴らに何を言ってやがる?

Give me the 'K, I'm finna spray the room
その「K」を寄こせ、この部屋中に弾をブチ撒けてやる

I'm finna spray the room
この部屋中にブチ撒けてやるぜ