Artist: Drake
Album: Take Care
Song Title: Over My Dead Body
概要
「Over My Dead Body」は、2011年にリリースされ、ヒップホップ界に革命を起こした2ndアルバム『Take Care』のオープニングを飾る極めて重要な楽曲である。同郷カナダのシンガーChantal Kreviazukの儚げなボーカルと、プロデューサー40(Noah "40" Shebib)による哀愁漂うピアノのループが、アルバム全体の「内省的でメランコリック」なトーンを決定づけている。リリックにおいてDrakeは、前作の大成功で手にした莫大な富や名声を傲慢に誇示する(Mob Boss的要素)一方で、ストリップクラブでの失恋や周囲の嫉妬に悩まされる虚無感(Sad Boy的要素)を赤裸々に吐露する。ファンの間では、Pusha Tなど敵対するラッパーへのサブリミナルなディスが散りばめられていると考察されており、「嫉妬とは愛と憎しみが同時に存在することだ」という真理を突いたパンチラインは、現在も名言として語り継がれている。王座に就いた男の孤独と覚悟が詰まった、OVOの歴史に残る名イントロである。
和訳
[Intro: Chantal Kreviazuk]
How I'm feeling, it doesn't matter
私がどう感じているかなんて、どうでもいいこと
'Cause you know I'm okay
だって、私が平気だってこと、あなたは分かってるでしょ
Instead, I ask myself, "Why do you worry?"
その代わりに、自分に問いかけるの。「どうしてそんなに心配するの?」って
When you know, you know I'm the same
私が昔のままだって、あなたはちゃんと分かってるのに
I know, I know you don't love me, baby
分かってる、あなたが私を愛してないことくらい、ベイビー
They're trying to take you away from me
みんなが、あなたを私から引き離そうとしてる
Only over my dead body
私の死を乗り越えてからにしてちょうだい(絶対に渡さない)
※曲のタイトルにもなっている「Over my dead body(私の死体を越えていけ=絶対に許さない)」という強烈な執着心を歌うパート。Drakeの成功を妬み、彼を引き摺り下ろそうとする業界への宣言とも重なる。
[Verse 1: Drake]
I think I killed everybody in the game last year
去年、俺はこのラップゲームにいる全員をブッ殺した(圧倒した)と思うぜ
※2010年のデビューアルバム『Thank Me Later』の大ヒットと、数え切れないほどの客演でシーンを席巻した事実を誇示。
Man, fuck it, I was on, though
まぁいいさ、俺はとにかく絶好調だったんだ
And I thought I found the girl of my dreams at the strip club
それに、ストリップクラブで「夢の女」を見つけたとも思ってたな
※実在のストリッパー(Maliah Michelなど)との恋愛が破局したことを指す。成功の絶頂にありながら、私生活では騙され傷ついているというSad Boy的な対比。
Mmm-mmm, fuck it, I was wrong, though
うーん、クソ、俺が間違ってただけだったけどな
Shout out to all my niggas livin' tax-free
無税(非合法)で生きてる俺のダチ全員にシャウトアウトを送るぜ
Nowadays, it's six figures when they tax me
最近じゃ、俺が払う税金だけで6桁(数十万ドル)にもなるんだ
Oh well, guess you lose some and win some
まぁいい、失うものもあれば得るものもあるってことさ
Long as the outcome is income
結果(outcome)が収入(income)に繋がっている限りはな
You know I want it all and then some
俺がすべてを、いやそれ以上を欲しがってるのは知ってるだろ
Shout out to Asian girls, let the lights dim some
アジア系の女の子たちにシャウトアウト、明かりを少し暗くして(dim some)くれ
※「明かりを暗くする(dim some)」と、アジア料理の「点心(Dim sum)」をかけた巧みなワードプレイ。
Shots came, I don't know where they was sent from
ショット(酒/銃弾)が飛んできた、どこから送られてきたのかは知らないが
※クラブでの酒の差し入れと、ヘイターからのディス(Shots)のダブルミーニング。
Probably some bad hoes I'm 'bout to take the hint from
たぶん、俺がこれから誘いに乗ろうとしてるイイ女たちからだろうな
Yeah, you know me well, nigga, yeah
あぁ、お前は俺をよく分かってるよな、あぁ
I mean you ain't the only real nigga
つまり、リアルな男はお前だけじゃないってことさ
They got me on these white women like Seal, nigga
白人の女たちが俺に群がってくるんだ、まるでシール(Seal)みたいにな
※イギリスの黒人シンガーSealが、白人のスーパーモデルHeidi Klumと結婚していたことへのリファレンス。
Slave to the pussy, but I'm just playin' the field, nigga, yeah
女の奴隷になっちまってるが、俺はただ色んな相手と遊んでる(play the field)だけさ
Are these people really discussin' my career again?
こいつら、また俺のキャリアについて議論してるのか?
Askin' if I'll be goin' platinum in a year again?
1年経って、俺がまたプラチナディスクを獲れるかどうかって?
Don't I got the shit the world wanna hear again?
俺が世界が求めてるヤバい音楽を持ってることくらい、分かってるだろ?
Don't Michael Jordan still got his hoop earring in?
マイケル・ジョーダンは今でもフープピアスをつけてるだろ?
※バスケの神様Michael Jordanが引退後も現役時代と同じフープピアスをつけているように、自分も「常にトップのままで変わらない」という宣言。
Man, all of your flows bore me, paint dryin'
なぁ、お前らのフロウには退屈させられるよ、ペンキが乾くのを見てるみたいにな
※「ペンキが乾くのを見るように退屈だ(watching paint dry)」という英語の慣用句。
And I don't ever be trippin' off of what ain't mine
それに、俺は自分のものではないものに対して文句を言ったりしない
And I be hearin' the shit you say through the grapevine
お前が陰で言ってるクソみたいな悪口は、噂づて(grapevine)に耳に入ってるぜ
But jealousy is just love and hate at the same time, yeah
でも、「嫉妬」ってのは愛と憎しみが同時に存在してるだけのことだろ、あぁ
※Drakeのキャリアを代表する名パンチライン。ヘイターたちの批判の裏には、彼に対する強烈な関心(愛)が隠れているという鋭い分析。
It's been that way from the beginnin'
最初からずっとそうだったのさ
I just been playin', I ain't even notice I was winnin'
俺はただゲームを楽しんでただけで、自分が勝ってることすら気づかなかったんだ
And this is the only sound you should fear
そして、お前らが恐れるべきサウンドはこれだけだ
Man, these kids wear crowns over here and everything is alright
なぁ、ここでは俺たちみたいなガキが王冠を被ってる。だからすべて順調なのさ
※OVOという若いクルーが業界の王座を奪い取ったというMob Boss的な勝利宣言。
[Chorus: Chantal Kreviazuk]
Oh, I know you don't love me, baby
分かってる、あなたが私を愛してないことくらい、ベイビー
They're trying to take you away from me
みんなが、あなたを私から引き離そうとしてる
Only over my dead body
私の死を乗り越えてからにしてちょうだい(絶対に渡さない)
[Verse 2: Drake]
You say I'm old news, well, who the new star?
お前らは俺を「もう古い(過去の人だ)」って言うけど、じゃあ誰が新しいスターなんだ?
'Cause if I'm goin' anywhere, it's probably too far
俺がどこかへ行くとしたら、それはたぶんお前らの手の届かない遥か彼方だからな
Just performed at a bar mitzvah over in the States
アメリカの「バル・ミツワー(ユダヤ教の成人式)」でパフォーマンスしてきたばかりだ
※Drake自身もユダヤ系であり、大富豪の子供の成人式に超高額なギャラで呼ばれるほどのスターであることを示している。
Used half of the money to beat my brother's case
そのギャラの半分を使って、兄弟の裁判に勝ってやったよ
Red wine over fed time
連邦刑務所(fed time)に入るくらいなら、赤ワインを飲んで優雅に過ごすね
But shout out to the niggas that's doin' dead time
でも、無駄な時間(dead time=服役)を過ごしてるストリートのダチたちにはシャウトアウトを送るぜ
And shout out to the bitches there when it's bedtime
そして、ベッドタイムに隣にいてくれるビッチたちにもシャウトアウトだ
And fuck you to the niggas that think it's their time
ついでに、「今は自分たちの時代だ」なんて勘違いしてる野郎どもはクソ食らえだ
Yeah, don't make me take your life apart, boy
あぁ、俺にお前の人生をバラバラに破壊させないでくれよ、坊や
You and whoever the fuck gave you your start, boy
お前と、お前をフックアップしてキャリアをスタートさせたクソ野郎の人生をな
※ファンの間では、当時ビーフの火種がくすぶっていたPusha Tと、彼の所属レーベルのボスであるKanye Westに向けたサブリミナルな警告だと広く解釈されている。
Oh, you wanna be a motherfuckin' funny guy?
おや、ずいぶんと笑える(おかしな)奴になりたいみたいだな?
Don't make me break your Kevin Hart, boy
俺にお前のケヴィン・ハート(Kevin Hart)を壊させないでくれよ、坊や
※コメディアンの「Kevin Hart(面白い奴)」と、「heart(心臓/心)」を掛けた絶妙なワードプレイ。
Yeah, it's whatever
あぁ、何でもいいさ
You know, feelin' good, livin' better
分かってるだろ、気分は最高だし、人生はもっと良くなってる
I think maybe I was numb to it last year
たぶん、去年は忙しすぎて感覚が麻痺(numb)してたんだと思う
But you know I feel it now more than ever
でも今は、かつてないほどこの成功を実感してるぜ
My city love me like Mac Dre in the Bay
俺の街(トロント)は俺を愛してる、ベイエリアがマック・ドレ(Mac Dre)を愛してるようにな
※カリフォルニア州ベイエリアのヒップホップレジェンドであり、絶対的なカリスマであった故Mac Dreへのリスペクト。彼が地元で神格化されているように、自分もトロントの英雄であるという宣言。
Second album, I'm back pavin' the way
2枚目のアルバム、また俺が道を切り拓きに戻ってきたぜ
The backpackers are back on the bandwagon
バックパッカーどもが、また俺のバンドワゴン(流行)に乗っかってきやがった
Like this was my comeback season back, back in the day
まるで、昔『Comeback Season』(初期のミックステープ)を出したあの頃みたいにな
※「バックパッカー」とはアンダーグラウンド志向のヒップホップファンのこと。デビュー前にDrakeを支持していた彼らが、メインストリーム化で一度は離れたものの、このアルバムの完成度を聞いて再び手のひらを返して擦り寄ってきたことを皮肉っている。
And I met your baby moms last night
そういえば昨日の夜、お前の子供の母親(元カノ)に会ったぜ
We took a picture together, I hope she frames it
一緒に写真を撮ったんだ、彼女がそれを額縁に飾ってくれるといいな
※敵対するラッパーに対する極めて意地悪なマウント。相手のプライドを逆撫でするDrake得意の精神攻撃。
And I was drinkin' at the Palms last night
昨日の夜はパームス(ラスベガスのカジノホテル)で飲んでて
And ended up losin' everything that I came with, yeah
結局、持ってきたもの(金)を全部スッちまったよ、あぁ
Feel like I've been here before, huh?
なんだか前にもここに来たことがある気がするな?
I still got ten years to go, huh?
俺にはまだあと10年は(トップとして君臨する時間が)残されてるんだろ?
※実際にはこの曲のリリースから10年以上経った後も、彼はトップに君臨し続けている。
And this is the only sound you should fear
そして、お前らが恐れるべきサウンドはこれだけだ
Man, these kids wear crowns over here and everything is alright
なぁ、ここでは俺たちみたいなガキが王冠を被ってる。だからすべて順調なのさ
[Chorus: Chantal Kreviazuk]
Oh, I know you don't love me, baby
分かってる、あなたが私を愛してないことくらい、ベイビー
They're trying to take you away from me
みんなが、あなたを私から引き離そうとしてる
Only over my dead body
私の死を乗り越えてからにしてちょうだい(絶対に渡さない)
[Outro]
Three in the morning, still going down
午前3時、まだパーティー(人生)は終わらないぜ
