Artist: Beyoncé & Travis Scott
Album: UTOPIA
Song Title: DELRESTO (ECHOES)
概要
トラヴィス・スコットの4thアルバム『UTOPIA』(2023年)に収録された、現代最高峰のポップアイコンであるBeyoncé(ビヨンセ)、そしてBon IverのJustin Vernon(ジャスティン・ヴァーノン)を客演に迎えたアヴァンギャルドなハウス・トラック。ビヨンセの大ヒットアルバム『RENAISSANCE』の系譜を受け継ぐような四つ打ちのダンスビートと、トラヴィス特有のサイケデリックでダークなサウンドスケープが見事に融合している。「エコー(反響)」と「手放すこと(let go)」をテーマに掲げ、莫大な富や名声による隔離された生活(数十億ドルの預託金、防弾ガラス)の中で生じる孤独やパラノイアからの解放を歌う。スタジアム級のスーパースターたちが抱える重圧と、そこから逃れて「Delresto(安息の地/手放す境地)」へと向かう魂の軌跡を描いた、アルバムの中でも特異な輝きを放つスピリチュアルな傑作である。
和訳
[Intro]
I believe in, I believe in love
俺は信じてる、愛ってやつを信じてるんだ
Ah
アァ
Ah
アァ
Ah
アァ
Ah
アァ
[Verse 1: Beyoncé]
Statues in the next room
隣の部屋には彫像(スタチュー)が並び
Billions in escrow (Ah)
数十億ドルがエスクロー(第三者預託)に入っている(アァ)
※ビヨンセとジェイ・Zの圧倒的な資産(ビリオネア)と、まるで美術館のような豪邸の描写。「escrow」は不動産取引などで使われる預託金のこと。富の極致にいるがゆえの外界から隔離された環境を示唆している。
Bulletproof the whole thing
全てを防弾ガラス(バレットプルーフ)で覆い尽くす
Ignore the dress code
ドレスコードなんて無視するのさ
Step into the ballroom
ボールルーム(舞踏会)へ足を踏み入れる
※ビヨンセのアルバム『RENAISSANCE』でも大々的にフィーチャーされたLGBTQ+の「ボール・カルチャー」へのシャウトアウト、あるいはプレッシャーから解放された豪華なパーティ空間。
So hard to let go (Ah)
手放す(レット・ゴー)のは、とても難しい(アァ)
※地位や権力、あるいは過去への執着を手放すことの困難さ。
Things that never give life
決して命(生命力)を与えてはくれないものたち
※富やステータスといった物質的なものは、人間の魂を真に生かすことはできないという悟り。
I can see the echoes
私にはそのエコー(反響/過去の残響)が見えるの
[Verse 2: Travis Scott & Beyoncé]
Ridin' through the thunder
雷鳴(サンダー)の中を駆け抜け
Tryna see the summer
夏(サマー)の光を見つけようとしてる
It's the echoes that I wait for
俺が待ち望んでいるのは、そのエコー(反響)さ
It's the echoes that I'm made for
俺はそのエコー(影響/残響)のために作られた存在なんだ
Recognize delresto
デルレストを認識しろ
※「Delresto」は明確な意味を持たないトラヴィスの造語だが、「Del Resto(スペイン語/イタリア語で"残りのもの")」や「休息(Rest)」を含んだ言葉遊びとされ、名声の重圧から解放された安息の地(UTOPIAの精神状態)を意味していると考察されている。
Recognize the let go
手放すこと(レット・ゴー)を認識するんだ
Breakin' through the echoes (Made for)
エコー(過去の残響)を打ち破って進む(そのために作られた)
Breathin' through the echo (Walk)
エコーの中を呼吸して進む(歩き出せ)
[Pre-Chorus: Beyoncé]
It's only echoes I escape for (Walk, walk)
私が逃げ出す目的は、ただエコーのため(歩け、歩け)
Only echoes on the return (Walk, walk)
戻ってくるのはエコーだけ(歩け、歩け)
Walkin' on the numbers (Walk, walk)
数字(大金/チャート)の上を歩き続ける(歩け、歩け)
Stay the night
今夜はここにいて
[Chorus: Beyoncé]
It's the let go (Walk)
手放すことなの(歩け)
The let go (Walk)
手放すこと(歩け)
The let go (Walk)
手放すこと(歩け)
The let go (Walk)
手放すこと(歩け)
That I wait for (Walk)
私が待ち望んでいるのは(歩け)
I'll wait for (Walk)
待っているわ(歩け)
I'll wait for (Walk)
待っているわ(歩け)
I'll wait for you (Walk)
あなたを待っているわ(歩け)
[Verse 3: Justin Vernon & Beyoncé]
Watch you, watch you, watch you get the medical
君がメディカル(治療)を受けるのを見守るよ
Listen at your waist to stay hospitable
君の腰元に耳を当てて、優しく(ホスピタブルに)寄り添うのさ
Infected with your vaccine, this ain't critical
君のワクチン(愛)に感染した、これは致命的(クリティカル)なものじゃない
※Bon IverのJustin Vernonによるボーカル。相手の愛や存在を「ワクチン」に例え、それに感染することで傷ついた心が癒やされているという詩的なメタファー。
Let me vibe with your green eyes (—dom-dom-dom-dom)
君の緑色の目(グリーン・アイズ)と一緒にバイブスを感じさせてくれ(ドム・ドム…)
[Bridge: Travis Scott]
The starry nights, they start to fade (Come on)
星降る夜、それらは色褪せ始める(カモン)
At times, for miles I see your face, yeah
時折、何マイルも先に君の顔が見えるんだ、イェー
I drive, I drive alone, you wait
俺は車を走らせる、一人で車を走らせ、君は待っている
Your time, your time, your time, you take
君の時間を、君の時間を、君の時間を、君は費やしていく
You take
費やしていく
[Verse 4: Travis Scott]
Drivin' reckless through a storm and
嵐の中を無謀(レックレス)にドライブしてる
It's you or breakfast in the mornin'
朝のブレックファーストか、それとも君かさ
※「朝食を食べるか、朝から君を食べる(セックスする)か」という性的なアプローチ。
My nights is abnormal, advice ain't informal
俺の夜は異常(アブノーマル)だ、アドバイスは非公式(インフォーマル)なもんじゃないぜ
I did try to warn you before they went and swarmed you
奴らが君に群がる(スウォームする)前に、俺は警告しようとしたんだ
※「swarm(群がる)」はパパラッチや狂信的なファン、メディアが押し寄せること。ビヨンセの熱狂的なファンベースの名称「BeyHive(蜂の群れ)」の「Swarm」にも掛けた見事なワードプレイ。
The height we made is paranormal
俺たちが到達した高さ(成功)は、超常現象(パラノーマル)レベルさ
We shake and wake up the paranoia
俺たちはパラノイア(被害妄想)を揺り起こし、目を覚まさせる
Won't let it destroy you, won't let it annoy you
そいつに君を壊させやしない、君を悩ませたりもしない
I'm tryin' to enjoy you in front of the foyer
ホワイエ(玄関の広間)の前で、君を堪能(エンジョイ)しようとしてるんだ
[Verse 5: Beyoncé]
We can't seem to break through out the logical (Ah)
私たちは論理的(ロジカル)な枠を打ち破れないみたい(アァ)
To see it in the day, you gotta free your soul (Breakin' through the echoes)
白日の下にそれを見るには、魂を解放(フリー)しなきゃならないのよ(エコーを打ち破って)
You wanna reign supreme and never let them go (Ah)
あなたは最高権力者(スプリーム)として君臨し、決してそれらを手放したくないのでしょう(アァ)
We filmin' live from the kingdom-dom-dom-dom
私たちは王国(キングダム)から、生放送(ライブ)で撮影しているのよ(ドム・ドム…)
※ビヨンセとトラヴィスという、音楽界の絶対的な王と女王が、自分たちの「王国(トップの座)」から世界に向けて発信している様子。
[Pre-Chorus: Beyoncé]
Only echoes that I wait for (Ah)
私が待ち望んでいるのはエコーだけ(アァ)
Only echoes on the return
戻ってくるのはエコーだけ
Walkin' on the numbers (Walk, walk)
数字の上を歩き続ける(歩け、歩け)
I find (Walk, walk)
私は見つけるの(歩け、歩け)
It's the echoes that I wait for (Walk, walk)
私が待ち望んでいるのは、そのエコーなの(歩け、歩け)
It's the echoes on the return (Walk, walk)
戻ってくるのはエコーなのよ(歩け、歩け)
Stay the night
今夜はここにいて
[Chorus: Beyoncé]
It's the let go (Walk)
手放すことなの(歩け)
The let go (Walk)
手放すこと(歩け)
The let go (Walk)
手放すこと(歩け)
The let go (Walk)
手放すこと(歩け)
That I wait for (Walk)
私が待ち望んでいるのは(歩け)
I'll wait for (Walk)
待っているわ(歩け)
I'll wait for (Walk)
待っているわ(歩け)
I'll wait for you (Walk)
あなたを待っているわ(歩け)
[Outro: Justin Vernon]
Ah
アァ
Ah
アァ
Ah
アァ
Ah
アァ
Hey, now, you will report to me
ヘイ、さあ、お前は俺に報告(レポート)することになる
Hey, now, you will report to me
ヘイ、さあ、お前は俺に報告することになる
Hey, now
ヘイ、さあ
Hey, now, you will report to me (Hey, now, you will report to me)
ヘイ、さあ、お前は俺に報告することになる(ヘイ、さあ、お前は俺に報告することになる)
Hey, now
ヘイ、さあ
Hey, now, you will report to me
ヘイ、さあ、お前は俺に報告することになる
※「report to me」は「自分の下につく」「自分の元へ帰還する」という意味。名声やエコー(反響)の果てに、最終的には自己の根源や神(あるいは愛)の元へと帰還するという、アルバム全体に通じる神秘的なアウトロ。
