UGMKM

Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

UGMKM ARCHIVE

Find Music By Artist, Genre.

和訳・解説記事を、アーティスト名・ジャンルから探せます。

MY EYES - Travis Scott 【和訳・解説】

Artist: Travis Scott

Album: UTOPIA

Song Title: MY EYES

概要

トラヴィス・スコットの4thアルバム『UTOPIA』(2023年)に収録され、アルバムのハイライトとして批評家・ファンの双方から絶賛を浴びた2部構成のプログレッシブな傑作。前半(Part 1)は、Bon Iverのジャスティン・ヴァーノンとSampha(サンファ)の幽玄なボーカルをフィーチャーし、名声と孤独、そして麻痺していく感情をアンビエントなサウンドスケープで描く。そして後半(Part 2)への劇的なビートスイッチ後、トラヴィスは自身のキャリアで最高峰とも言える怒涛のラップを展開する。ここで語られるのは、2021年に10人の犠牲者を出した「アストロワールド・フェスティバルの悲劇」に対する、トラヴィス自身の生々しい本音とPTSD(心的外傷後ストレス障害)、そしてメディアへの強烈な反論である。「もし客席の惨状を知っていれば、ステージから飛び降りてでも子供を救った」という魂の叫びは、悪役(モンスター)として扱われた彼が世間に対して突きつけた、自らの「目(MY EYES)」を通して見た真実の記録である。

和訳

[Part I]

[Pre-Chorus: Justin Vernon]

When I stare in your eyes
君の目を見つめる時

You'll be there forever
君は永遠にそこにいるのだろう

To watch our life (To watch our life together)
俺たちの人生を見守るために(俺たちの人生を共に見守るために)

You just like going to Heaven (My heart)
まるで天国へ向かっているみたいだ(俺の心は)

More than anything (Oh, yeah, oh, yeah, oh, yeah, oh, yeah)
他の何よりもな(オー、イェー…)

I'm fallin' and I'm drownin'
俺は落ちていき、溺れかけている

But you're takin' me
それでも、君が俺を連れて行ってくれるんだ
※Bon IverのJustin Vernonによる幻想的なボーカル。名声の深淵で溺れかける自分を、愛する者(あるいはファン)が救い出してくれるというスピリチュアルな表現。

[Chorus: Travis Scott]

One thousand on my feet, stacks spreaded on my seat
足元には1000ドル(のスニーカー)、車のシートには札束(スタックス)が散らばってる

Ten thousand on my eyes (Eyes)
俺の目には、1万ドルの価値があるのさ(目に)
※「1万ドルの目」は、特注の超高級サングラス(Jacques Marie Mageなど)で目を隠していること。莫大な富を見せつけると同時に、サングラスの後ろにある「悲しみ」や「本当の視線」を世間から隠蔽している防衛本能の表れ。

[Verse 1: Travis Scott]

Rollie Pollie on my wrist
手首にはロレックス(ローリー)さ

Gotta make a flight, big day, slummin' no FaceTime
フライトに乗らなきゃならねえ、大事な日だ、FaceTimeしてる暇(スラム)なんてないぜ

50K, wonderin' why I'm stormin' off, no race
5万ドル払って、なんで俺が足早に立ち去る(ストーミン・オフ)のか不思議に思ってる、レースじゃねえのにな
※「storming off(怒って立ち去る/猛スピードで進む)」と、愛娘の名前「Stormi(ストーミ)」を掛けたワードプレイ。娘のために急いで帰る様子。

Emboldened by the bliss
至福の時に勇気づけられて

I was sworn in by a kiss
キスの誓いを受けたんだ

Latе from the country caters
田舎のケータリングから遅れてやってきた

No peacеmaker, I sweep up cases
調停者(ピースメーカー)じゃねえ、俺は訴訟(ケース)を片付けて(スウィープして)るんだ
※「cases」はアストロワールドの悲劇以降にトラヴィスが抱えた数百件の民事訴訟のこと。「Peacemaker(コルト・ピースメーカー/拳銃)」を引き抜くのではなく、弁護士と金で自らの訴訟を掃除している生々しい現実。

Goin' on a walk with a new suit armor
新しい甲冑(スーツアーマー)を着て散歩に出かけるのさ
※裁判所へ向かうための「スーツ(背広)」を、戦いへ赴くための「甲冑」に例えている。

New suit dead, Bottega, that's on it
新しいスーツは死ぬほどイケてる、ボッテガだ、こいつを着てるぜ
※「Bottega Veneta」のスーツ。葬儀(dead)に着ていくための高級スーツという意味も孕む。

Give me the heat from the sleep, then I harm her
眠りから覚める熱(興奮)をくれ、そしたら彼女を傷つけちまうかもな

Cupid creep in, sleep with a hammer
キューピッドが忍び込む、ハンマー(銃)を抱えて眠るのさ
※愛(キューピッド)と暴力・パラノイア(銃)が同居する精神状態。

Three time to get me T-T-T'd
俺を「T」にするには3回必要だぜ
※「T」はTurnt(最高にハイになること)、Tequila(テキーラ)、そしてTravis自身のイニシャル。

Still same phone, AT&T-T
いまだに同じ電話、AT&Tを使ってる

Still givin' news very vividly
いまだにニュースを鮮明に提供してるぜ

Beefin' up, fuck a beef
鍛え上げてる(ビーフ・アップ)、揉め事(ビーフ)なんてクソくらえだ

Smokin' on some vicious type of reefer
ヤバい種類のハッパ(リーファー)を吸ってるんだ

I need no beef, no cheese (Yeah)
ビーフもチーズもいらねえよ(イェー)
※「beef(揉め事)」「cheese(金)」。これ以上厄介な揉め事も、余計な金も必要ないという達観。

Even when I eat, they cheat (Uh)
俺が飯を食ってる(成功してる)時でさえ、奴らはズル(チート)をしやがる(アー)

Every time we meet, naive
顔を合わせるたびに、ナイーブな気分になるぜ

[Pre-Chorus: Justin Vernon]

When I stare in your eyes
君の目を見つめる時

You'll be there forever
君は永遠にそこにいるのだろう

To watch our life (To watch our life together)
俺たちの人生を見守るために(俺たちの人生を共に見守るために)

You just like going to Heav— (My heart)
まるで天国へ向かっているみたいだ(俺の心は)

[Chorus: Travis Scott]

One thousand on my feet, stacks spreaded on my seat
足元には1000ドル、車のシートには札束が散らばってる

Ten thousand on my eyes (Eyes)
俺の目には、1万ドルの価値があるのさ(目に)

[Verse 2: Sampha]

Yeah, it's mad how it gets so deep
あぁ、こんなにも深く沈んでいくなんて狂ってるよな
※イギリスの天才シンガー・ソングライターSamphaのコーラス。感情の底なし沼に沈んでいく感覚。

It's mad how I get so high
俺がこんなにもハイになるなんて狂ってる

It's mad how you get me by (By)
君が俺をどうやって乗り越えさせてくれるのか、狂ってるよ(乗り越える)

[Outro]

Tell me, tell me
教えてくれ、教えてくれ

Tell me, tell me
教えてくれ、教えてくれ

Yeah, yeah, yeah, yeah
イェー、イェー、イェー、イェー

[Part II]

[Intro]

It's me, it's me, it's me, it's me, it's me
俺だ、俺だ、俺だ、俺だ、俺だ
※ここからビートがBPMを上げ、高速のトラップへ劇的に変化する。トラヴィスの内なる本音が堰を切ったように溢れ出す。

[Verse: Travis Scott]

Look in my eyes, tell me your tale
俺の「目」を見ろ、お前の物語(言い分)を聞かせてくれ

Do you see the road, the map to my soul?
この道が、俺の魂へと続く地図が見えるか?

Look, tell me the signs whenever the smoke clear out of my face
なぁ、俺の顔から煙(スモーク)が晴れたら、そのサイン(真実)を教えてくれ

Am I picture-perfect or do I look fried?
俺は写真のように完璧(ピクチャー・パーフェクト)か? それとも疲れ切って(フライド)見えるか?
※世間が求める完璧なスーパースターのイメージと、裁判や批判で精神的にすり減っている実際の自分とのギャップへの問いかけ。

All of that green and yellow, that drip from your eyes is tellin'
その緑と黄色、お前の目から滴るものが全てを物語ってるぜ
※「緑と黄色」は嫉妬と臆病さの色。または、咳止めシロップ(プロメタジン/イエロー・グリーン)で濁った目のこと。

Tell you demise, I went to my side
お前に破滅(ディマイズ)を宣告する、俺は自分の陣地(サイド)に退いた

To push back the ceilin' and push back the feelings, I had to decide
天井(限界)を押し広げ、感情を押し殺すために、俺は決断しなきゃならなかった

I replay them nights, and right by my side, all I see is a city of people that ride wit' me
俺はあの夜(アストロワールドの夜)を何度もリプレイする、そして俺のすぐそばに見えるのは、俺と共に走ってくれる(信じてくれる)この街の連中だけさ

If they just knew what Scotty would do to jump off the stage and save him a child
もし奴らが、「スコッティ」がステージから飛び降りてでも、子供を救うために何をしたかを知っていればな
※本楽曲、そしてトラヴィスのキャリアにおいて最も重要で痛切なライン。「Scotty」は彼の愛称(本名はJacques Bermon Webster II)。アストロワールドの悲劇で10人が亡くなった際、メディアは彼を「観客が死んでいるのに歌い続けた怪物」と糾弾した。しかし彼は、もし群衆の真の惨状が見えていれば(MY EYES)、絶対にステージから飛び降りて彼ら(特に亡くなった9歳の少年エズラ君)を救ったはずだと、悲痛な自己弁護と後悔を吐露している。

The things I created became the most weighted, I gotta find balance and keep me a smile (Hah)
俺が創り上げたもの(フェス/名声)が、最も重い十字架(ウェイテッド)になっちまった。俺はバランスを見つけて、笑顔を保たなきゃならねえ(ハッ)
※ファンを楽しませるために作ったユートピア(アストロワールド)が、自分を責め立てる最大の呪縛となった悲劇のパラドックス。

Yeah, yeah
イェー、イェー

That shit wild, instead I'm a hero
マジで狂ってるぜ、本来なら俺はヒーローだったはずなのに

I took it from zero, LaFlame Usain
俺はゼロから築き上げたんだ、ラ・フレイム・ウサインさ
※人類最速の男ウサイン・ボルト(Usain Bolt)のように、猛スピードで底辺から駆け上がったこと。

I run it for miles, this shit wasn't luck
何マイルも走り続けてきた、これは単なる運なんかじゃねえ

They got me fucked up, I put you on bus and take you around
奴らは俺をめちゃくちゃにしようとした。俺はお前をバスに乗せて、連れ回してやるよ
※メディアの偏向報道に対する怒り。

A couple of guys inside of the school, I gave 'em the tools to get it off ground
学校(シーン)の中にいる何人かの奴らに、俺は(キャリアを)立ち上げるための道具(ツール)を与えてやったんだ

They say they the ones when they make the errors
奴らは自分がミスを犯したくせに、「自分こそが選ばれし者だ」と主張しやがる

Can't look in the mirror (That shit wild)
鏡で自分の顔を見ることもできねえくせにな(マジで狂ってるぜ)

I stand on the stage, I give 'em the rage
俺はステージに立つ、奴らに熱狂(レイジ)を与えるんだ

No turnin' it down, can't tame it, can't follow it
ボリュームを下げる気はねえ、こいつは手懐けられないし、誰にも真似できねえ

We do in the streets, we do it for keeps
俺たちはストリートでやる、永遠に残る(フォー・キープス)ためにやるんだ

We do it for rights, got fifty-two weeks
俺たちは権利(正しさ)のためにやる、1年52週間ぶっ通しでな

This shit ain't for pleasure, I'm comin' to tweak
遊び(プレジャー)でやってるんじゃねえ、俺は覚醒(トウィーク)しに来てるんだ

This shit is forever and infinity
このシットは永遠であり、無限(インフィニティ)さ

Number eight, yeah, we write it and wrap it around
「8」の数字だ、イェー、それを書いて、横に倒してやる
※数字の「8」を横に倒すと「∞(無限/Infinity)」になるという、前行の「infinity」を受けたワードプレイ。また、コービー・ブライアント(背番号8)へのオマージュとも取れる。

I take me a bean and I turn to a beast
ビーン(ピル)を一つキメて、野獣(ビースト)に変わるのさ

Bought the crib on a hill, made it harder to reach
丘の上に家(クリブ)を買った、誰も簡単には近づけない(リーチできない)ようにしたんだ
※世間との物理的・精神的な隔離。

Bought a couple more whips 'cause I needed more speed
さらに何台か車(ウィップ)を買った、もっとスピードが必要だったからな

Bought a couple more watches, I needed more time
さらに何本か時計を買った、もっと「時間」が必要だったからな
※どんなに大金を払って最高級の時計を買っても、失われた命や時間は巻き戻せないという富の無力感と詩的な対比。

Didn't buy the condo, it was smarter to lease
コンドミニアムは買わなかった、リースにした方が賢かったからな

And I bought some more ice 'cause I brought in the heat
そして俺はさらにアイス(ダイヤ)を買った、だって俺が熱(ヒート)をもたらしたからな
※自分がもたらした熱狂(Heat/事件)を冷ますために、氷(Ice)が必要だという比喩。

Made a cast of my dick, so she never gon' cheat
俺のイチモツの型(キャスト)を取ったぜ、これでもう彼女が浮気することはない
※伝説的グルーピーのシンシア・プラスター・キャスター(ジミ・ヘンドリックスなどの男性器の石膏型を取った人物)へのオマージュ、あるいは強烈にエキセントリックなフレックス。

If I gave you a day in my life or a day in my eyes, don't blink
もしお前に、俺の人生の1日を、あるいは俺の「目(MY EYES)」で見る1日を与えたなら、絶対に瞬きするなよ
※お前ら(世間)には、俺が見ているこの圧倒的な世界も、背負っている重圧も、一瞬たりとも直視できないだろうという、楽曲を締めくくる究極のパンチライン。