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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

THANK GOD - Travis Scott 【和訳・解説】

Artist: Travis Scott

Album: UTOPIA

Song Title: THANK GOD

概要

トラヴィス・スコットの4thアルバム『UTOPIA』(2023年)の2曲目に配置された、ゴスペルとトラップが交錯する荘厳な楽曲。元々はKanye West(Ye)の『DONDA』期のセッションで「God's Country」というタイトルで制作されていたデモに端を発しており、客演のKayCyyのボーカルにその名残を強く感じさせる。2021年の「アストロワールド・フェスティバル」での悲劇以降、激しいバッシングとキャンセルカルチャーの標的となった彼が、今なお頂点に立ち、息をしていることへの「神への感謝」を捧げている。後半のビートスイッチ後には、2019年のグラミー賞敗北への消えない怒りや、愛娘ストーミ(Stormi)の愛らしいカメオ出演が組み込まれており、アーティストとしての執念と父親としての顔が同居する極めてパーソナルで完成度の高い一曲である。

和訳

[Verse 1: Travis Scott]

I won't doubt it, I won't
疑うつもりはねえ、絶対に

He won't mislead all His followers
神(He)は信者たちを間違った道へ導いたりしねえ

Prayin' on the process, mind and spirit
このプロセス、心と魂に祈りを捧げる
※アストロワールドの悲劇以降、世間からの激しい非難や幾多の訴訟といった過酷な試練(プロセス)を乗り越えるための祈り。

Feel like
まるで

Like I'm
俺は

Floatin' in my prime time
全盛期(プライムタイム)の中を漂っているみたいだ

[Pre-Chorus: Travis Scott]

One life, live it right now
一度きりの人生、今を生きるんだ

One life, live it in
一度きりの人生、のめり込むのさ

[Chorus: KayCyy]

Goodbyes, that's life
別れ、それが人生さ
※カニエ・ウェストの『DONDA』にも深く関わったアーティストKayCyyによるコーラス。神聖なゴスペルのバイブスをもたらしている。

Fun times for life
一生分の楽しい時間

For life, from down my eyes
一生分さ、俺の目から涙がこぼれ落ちる

Thank God I'm free tonight
今夜、俺が自由であることに神へ感謝する

[Verse 2: Travis Scott & Teezo Touchdown]

Got God on the line
神と電話(ライン)が繋がってるぜ

Tell the devil I'm fine
悪魔には「俺は元気だ」と伝えておけ
※世間のバッシングやキャンセルカルチャー(悪魔)に対して、自分が完全に復活したことを告げる冷徹な宣言。

He always tryin'
奴(悪魔)はいつも試してきやがる

Tryin' his best (No question)
全力で引きずり降ろそうとしてくるんだ(間違いない)
※ここで気鋭のアーティストTeezo Touchdownの奇抜なアドリブが挿入される。

Top of the pole
頂点(トップ)に立つ

Me and my bros
俺と俺の兄弟たちでな

When the story get told
この物語が語り継がれる時

It's gon' be BMF (Muchas gracias)
それはBMF(ブラック・マフィア・ファミリー)みたいな伝説になるぜ(本当にありがとう)
※「BMF」は米国史上最大の麻薬密売組織であり、ヒップホップ界において「究極の成功と揺るぎない兄弟の絆」の象徴として語り継がれる伝説の組織。

This shit sound hard
この曲、クソヤバく聞こえるだろ

It wasn't made easy
簡単に作られたわけじゃねえんだ

You can't live twice
二度生きることはできねえ

Thank God I'm breathin' (We gon' fuck it up)
今息をしていることに神へ感謝するぜ(俺たちがブチカマしてやる)
※アストロワールドの圧死事故という重すぎる背景を踏まえると、「自分が今、呼吸できていること」への痛切で重みのある感謝の念と解釈できる。

We gotta go now
今すぐ行くぞ

[Pre-Chorus: Travis Scott]

One life, live it right now
一度きりの人生、今を生きるんだ

One life, live it in
一度きりの人生、のめり込むのさ

[Chorus: KayCyy & Teezo Touchdown]

Goodbyes, that's life
別れ、それが人生さ

Fun times for life
一生分の楽しい時間

For life, from down my eyes
一生分さ、俺の目から涙がこぼれ落ちる

Thank God I breathe tonight (Fuck it up)
今夜、俺が息をしていることに神へ感謝する(ブチカマせ)

[Segue: Travis Scott]

Oh
オー

[Verse 3: Travis Scott & Stormi Webster]

Still no pressure
いまだにプレッシャーなんてねえよ
※ここからビートが不穏で攻撃的なトラップへとスイッチし、神聖な祈りからラッパーとしてのエゴへモードが切り替わる。

Thank God, I breathe
神に感謝する、俺は息をしている

'Cause shit I speak is what they need, I tell no lies
だって俺の語る言葉が奴らには必要なんだ、嘘はつかねえよ

I'm still up top, they still can't drop, but what if they not? (Uh)
俺はまだ頂点にいる、奴らはまだ作品をドロップ(リリース)できない、だがもし奴らがそうじゃなかったらどうだ?(アー)

Yeah (Yeah)
イェー(イェー)

Last tape was filled up with slaps, I guess gotta run this shit back
前のテープ(ASTROWORLD)は名曲(スラップス)だらけだった、だからもう一回このシットを繰り返さなきゃな

Didn't like the way that shit went down at the awards, I admit it, it turned to a beast
アワードでのあのクソみたいな負け方は気に入らなかった、認めるよ、あれで俺は野獣に変わっちまった
※2019年のグラミー賞で、大本命だった『ASTROWORLD』が最優秀ラップアルバム賞を逃し、Cardi Bの『Invasion of Privacy』が受賞したことに対する消えない怒り。この敗北が『UTOPIA』を作る巨大な原動力(野獣)となった。

This that shit right here that get me goin', after I pop me a piece
このシットこそが俺を突き動かすんだ、ピース(薬/銃/女)をヤった後にな

Way that we killin' the critics and killin' the hate, might gotta talk to a priest
批評家共を黙らせ、ヘイトをぶっ殺してきたやり方を見れば、牧師に懺悔しなきゃならないかもな

The way we evolved and knocked down walls, this shit's outrageous (Ooh)
俺たちが進化し、壁をぶち壊してきたその軌跡、マジで常軌を逸してるぜ(ウー)

A quarterback calls, I don't like 12, except Tom Brady
クォーターバックが指示を出す、俺は「12」は嫌いだが、トム・ブレイディだけは例外さ
※「12」は警察の隠語。ACAB(警察嫌い)のストリートのスタンスを示しつつ、NFL史上最高のクォーターバックであるトム・ブレイディ(背番号12)だけは認めるという秀逸なワードプレイ。

Can't short my stock, I still stack tall, you still can't trade me
俺の株を空売り(ショート)することはできねえ、俺はいまだに山積み(スタック)にしてる、お前らにはいまだに俺をトレード(交換)することなんてできないのさ
※金融用語(空売り)とスポーツ用語(トレード)を交え、自分の価値は絶対に下がらないというフレックス。

Storm's a minor but you know she livin' major (That's right, daddy)
ストームは未成年(マイナー)だが、あの子がメジャー(最高)な暮らしをしてるって分かってるだろ(その通りよ、パパ)
※元パートナーであるカイリー・ジェンナーとの愛娘、Stormi Webster(ストーミ)の実際の肉声をサンプリング。「minor(未成年/マイナー)」と「major(一流/メジャー)」を対比させた親バカなパンチライン。

When you flyin' up this high, it ain't no cables
ここまで高く飛んでいると、命綱(ケーブル)なんてねえんだ

Shit so lit, what happen in Vegas, it stay in Vegas
最高にキマッてる、「ラスベガスで起きたことは、ラスベガスに置いていく(秘密にする)」ってやつさ
※「What happens in Vegas, stays in Vegas」という有名なアメリカの格言。

Mornin' time, we check the news, we made the papers
朝になってニュースをチェックする、俺たちは新聞のトップを飾ってるのさ