Artist: Travis Scott (feat. Swae Lee)
Album: ASTROWORLD
Song Title: R.I.P. SCREW
概要
トラヴィス・スコットの故郷ヒューストンのヒップホップ・レジェンドであり、「チョップド&スクリュード」という独自の手法を生み出した故DJ Screwへの深遠なるトリビュート楽曲。レコードのテンポを極端に落とし、ピッチを下げるこの前衛的(アヴァンギャルド)な手法は、当時のヒップホップにおいてマジョリティからの強烈な逸脱であったが、現在ではメインストリームのサウンドデザインに不可欠な要素となっている。Swae Leeの浮遊感のあるボーカルと、本作でブレイクを果たした同郷のDon Toliverの隠し客演を交え、コデインシロップ(リーン)特有の酩酊感とテキサスのストリート・カルチャー(SLAB車文化など)を徹底的に再現した、南部ヒップホップ史への愛と鎮魂歌である。
和訳
[Intro: DJ Screw]
(Ya know? Southside)
(分かるか? サウスサイドだ)
※DJ Screw本人の肉声のサンプリング。サウスサイドはヒューストン南部を指し、彼が率いた「Screwed Up Click (S.U.C.)」の拠点であり、チョップド&スクリュード発祥の聖地である。
[Chorus: Travis Scott]
Rest in peace to Screw, tonight, we take it slowly (Yeah)
スクリューよ、安らかに眠れ。今夜はゆっくり(スローに)いこうぜ(イェー)
※DJ Screwへの追悼。彼が生み出した「チョップド&スクリュード(BPMを極端に遅くする手法)」と、彼が常用し死因ともなったコデインシロップ(リーン)による動作の遅延(スローダウン)を掛けている。
[Bridge: Swae Lee & DJ Screw]
I'm gonna let you know the move
次の一手(ムーブ)を教えてやるよ
I'm gonna let you know the move
次の一手を教えてやるよ
I'm gonna take you on a cruise
お前をクルーズ(ドライブ)に連れ出してやる
I'm gonna take you home and screw
お前を家に連れ帰って、ヤる(スクリューする)のさ
※「screw」は性行為を指すスラングだが、同時にDJ Screwの名前、そして彼のレコードを「スクリューする(ピッチを落とす)」ことへのトリプルミーニング。
(Southside)
(サウスサイド)
[Verse 1: Swae Lee & DJ Screw]
And that's all I've been sayin' (Southside)
俺がずっと言ってきたのはそれだけさ(サウスサイド)
If you fall for the games, then you're the one playin'
もし駆け引き(ゲーム)に引っかかるなら、遊ばれてるのはお前の方さ
Because it's too much money out here
だってこの街には、金が溢れかえってるからな
And there's too many honeys out here
それに、いい女(ハニーズ)も山ほどいる
Feel like I tripped off the drank, that's weird
ドランク(酒/リーン)でトリップしちまったみたいだ、妙な気分だな
※「drank」はパープル・ドランク(リーン)のこと。大量に摂取することで幻覚作用(トリップ)や現実感の喪失(weird)を引き起こす。
Feel like I tripped off the drank, that's weird
ドランクでトリップしちまったみたいだ、妙な気分だな
[Chorus: Travis Scott]
Rest in peace to Screw, tonight, we take it slowly
スクリューよ、安らかに眠れ。今夜はゆっくりいこうぜ
[Refrain: Travis Scott]
Oh my God, I just can feel the love
オーマイゴッド、愛を感じるぜ
Drop-top with the windows up
ドロップトップ(オープンカー)なのに、窓は閉め切ったままでな
※屋根を開けているのに窓を上げるという、論理的に矛盾した(ドランクで酩酊している)状態。あるいは、ヒューストンのカーカルチャーである「SLAB」に乗って車内でマリファナの煙を充満(ホットボックス)させている描写。
Jump inside, oh, won't you roll with us?
乗り込みな、あぁ、俺たちと一緒に流さないか?
Make the devil bite the angel dust
悪魔にエンジェルダスト(PCP)を噛ませてやる
※「angel dust」は強力な解離性麻薬PCPの隠語。悪魔(恐怖やパラノイア)すらもドラッグで麻痺させて退けるというサイケデリックな表現。また「Another one bites the dust(地を這う/死ぬ)」という慣用句にも掛けている。
Shawty got a thing for us, shawty, what you want?
あの子は俺たちに気があるみたいだ、お嬢さん、何が欲しいんだ?
Tell me what you like, tell me what you want
何が好きなのか、何が欲しいのか教えてくれよ
[Chorus: Travis Scott & Don Toliver]
Rest In Peace to Screw, tonight, we take it slowly, yeah (Ooh-ooh)
スクリューよ、安らかに眠れ。今夜はゆっくりいこうぜ、イェー(ウー)
※ここでクレジットなしのゲストとして、ヒューストン出身の若手Don Toliver(ドン・トリヴァー)のコーラスが入る。彼はこのアルバムへの参加を機に一気にスターダムへと駆け上がった。
[Verse 2: Travis Scott & Don Toliver]
I just took a four to the head like mane (Ooh-ooh)
たった今、4オンスを脳天に食らったところさ、なぁ(ウー)
※「four」は4オンスのコデインシロップ。「like mane(〜みたいな、なぁ)」はテキサスや南部のラッパーが頻繁に使うシグネチャー・アドリブ。このヴァースは全て「mane」で韻を踏み、徹底的な南部回帰を示している。
Drop the top on the slab like mane (Ooh-ooh)
スラブの屋根を下ろすぜ、なぁ(ウー)
※「SLAB(Slow, Loud And Bangin')」はヒューストン特有のカスタマイズカー。キャンディペイント、ワイヤーホイール(スワンガ)、巨大なウーファーを搭載した車文化。
Off the top of the dome like mane (Ooh-ooh)
ドームのてっぺんから(即興で)カマすぜ、なぁ(ウー)
※「Off the top of the dome」はフリースタイルラップのこと。DJ Screwのミックステープ(スクリューテープ)では、地元のラッパーたちが即興でマイクを回すのが伝統だった。
Nothin' beatin' home like mane (Ooh-ooh)
地元(ホーム)に勝る場所はねえよ、なぁ(ウー)
In the Screw tape zone like mane (Ooh-ooh)
スクリューテープのゾーンに入ってるぜ、なぁ(ウー)
※DJ Screwが制作した膨大な数のミックステープ(Screw tape)を聴いて、完全にリラックスして酩酊した状態(ゾーン)。
I go Pimp C on the phone like mane (Ooh-ooh)
電話口じゃピンプ・Cみたいに振る舞うぜ、なぁ(ウー)
※ヒューストンからほど近いポートアーサー出身の伝説的デュオ「UGK」の故Pimp C。彼の荒々しく自信に満ちた南部特有の話し方を真似ている。
Flip say platinum, don't do chrome like mane
フリップは「プラチナにしろ、クロームはダサい」って言ってたな、なぁ
※ヒューストンのレジェンド・ラッパーLil Flipの楽曲からの引用。SLAB車のリム(ホイール)や歯のグリルズには、安価なクロームメッキではなく、本物のプラチナを使えというテキサスの美学。
Had the Southside fade, now let the braids hang
昔はサウスサイド・フェードだったが、今じゃブレイズを垂らしてるぜ
※「Southside fade」はヒューストン特有のフェードカット(もみあげや襟足をシャープに整えた髪型)。下積み時代の短い髪から、大成して現在のトレードマークである長いブレイズヘアになった軌跡。
This shit S.U.C. smooth like mane
このシットはS.U.C.みたいにスムーズだろ、なぁ
※「S.U.C.」はDJ Screwが結成したヒューストンのヒップホップ・コレクティブ「Screwed Up Click」のこと。
Rest In Peace, Screw, like mane
安らかに眠れ、スクリューよ、なぁ
[Chorus: Travis Scott]
Rest in peace to Screw, tonight we take it slowly
スクリューよ、安らかに眠れ。今夜はゆっくりいこうぜ
[Refrain: Travis Scott]
Oh my God, I just can feel the love
オーマイゴッド、愛を感じるぜ
Drop top with the windows up
ドロップトップなのに、窓は閉め切ったままでな
[Outro: Travis Scott]
Screw found international sound because
スクリューは世界的な(インターナショナルな)サウンドを見つけ出した、なぜなら…
※DJ Screwの生み出したチョップド&スクリュードが、ヒューストンというローカルな枠を超え、A$AP Rockyをはじめとする現代の世界的ヒップホップサウンドの基盤となったことへの最大限の敬意。
Throughout the South, and it's new to, um
南部中に広まって、それにこれは新しい…えーと
Shawty got a thing for us
あの子は俺たちに気があるみたいだ
