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the ends - Travis Scott (feat. André 3000) 【和訳・解説】

Artist: Travis Scott (feat. André 3000)

Album: Birds in the Trap Sing McKnight

Song Title: the ends

概要

トラヴィス・スコットの2ndアルバム『Birds in the Trap Sing McKnight』(2016年)の幕開けを飾る、極めてダークでシネマティックな楽曲。本作の最大のハイライトは、滅多に客演を行わない伝説的ヒップホップデュオOutKastのAndré 3000が参加している点だ。トラヴィスが名声に伴うパラノイアやヒューストンのフッド(the ends)のリアルをサイケデリックに語る前半から一転、後半ではAndré 3000が自身の幼少期にアトランタを震撼させた「アトランタ児童連続殺人事件(1979〜1981年)」の凄惨な記憶を冷徹なまでのリアリズムで回想する。一歩間違えれば自分が被害者になっていたかもしれないというトラウマを、静かなる狂気と共に吐露するこのヴァースは、ヒップホップ史に残る屈指のストーリーテリングとして高く評価されている。

和訳

[Intro: Travis Scott]

2 a.m., howlin' outside
午前2時、外で吠え声が響いてる

Lookin', but I cannot find
探してるが、見つからねえ

Don't you fall asleep this time
今回は眠り込まないでくれよ

I been on a long way drive
俺はずっと長い道のりをドライブしてきたんだ

Only you can stand my mind
俺の精神(マインド)に耐えられるのは君だけさ

Only you can fix inside
俺の内側を直せるのは君だけなんだ

So if I make it out tonight
だから、もし俺が今夜を生き延びられたら

Let's make it a badass time
最高にヤバい時間を過ごそうぜ

[Verse 1: Travis Scott]

Okay, I got it, copy
オーケー、分かった、了解(コピー)だ
※警察や軍隊の無線のやり取りのようであり、名声という戦場における警戒心を暗示している。

20/20 but I can't see nobody
視力は2.0(20/20)だが、誰の姿も見えやしねえ
※「20/20」は完璧な視力を意味するが、周囲に群がる人間がフェイクばかりで「本当の姿」が見えない、あるいは誰も信用できない孤独を表している。

One eye open, Illuminati
片目を開けてる、イルミナティみたいにな
※プロビデンスの目(万物を見通す目)。イルミナティの象徴であり、常に警戒して片目を開けて寝るほどのパラノイア(被害妄想)状態。

This might be the verse that make 'em drop me
これが、奴ら(レーベル)が俺をクビにするヴァースになるかもな

Ain't makin' friends, we just makin' hobbies (Yeah)
友達作りなんてしてねえ、俺たちはただ趣味に没頭してるだけさ(イェー)

No, that wasn't my girl, that was just a hobby (Yeah, yeah)
いや、あれは俺の彼女じゃない、ただの趣味(遊び)さ(イェー、イェー)

Call up 50, tell 'em load up the lobby
50に電話して、ロビーに待機しろ(ロードアップ)って伝えな

Elevator up, no need to find me, yeah, yeah
エレベーターで上へ行く、俺を探す必要はねえよ、イェー、イェー

X-ray vision, see through you niggas
X線の視力(ビジョン)、お前らの本性は透けて見えてるぜ

Newspaper stand, we press the issue (Press it, press it, press the issue)
ニューススタンドみたいに、俺たちは問題(イシュー)をプレスする(発行する/追及する)んだ
※新聞や雑誌の「発行(issue)」と、ストリートで敵を「物理的に追い詰める(press the issue)」ことを掛けた巧みなワードプレイ。

We ain't sendin' shots, we launchin' missiles (Yeah, right up at your hood up north)
俺たちは弾を撃ち込む(ディスる)だけじゃねえ、ミサイルをぶち込むんだよ(あぁ、北にあるお前らのフッドに直撃だ)

Checkin' Third Ward, I'm goin' mental
サード・ウォードを確認する、俺は気が狂いそうになってる
※「Third Ward」はテキサス州ヒューストンのゲットー地区(ビヨンセの出身地としても有名)。地元の過酷な状況をチェックして精神を病みそうになっている。

Fuckin' up my room, I've been rackin' up incidentals
ホテルの部屋をぶっ壊す、付帯費用(インシデンタルズ)が嵩みまくってるぜ

Cookin' on a tune, I've been cheffin' up instrumentals
曲(チューン)を調理する、俺はインスト(ビート)をシェフみたいに作り上げてる

Nothin' else to do when you're ridin' in the
他にやることなんてねえのさ

When you ridin' in the, in the back of the back seat (Back seat, back seat, back seat, back seat)
後部座席の後ろでドライブしてる時はな(バックシート、バックシート…)
※移動中の車やツアーバスの奥底で、ひたすらビートメイクに没頭している様子。

Driver run the miles up like I'm runnin' a track meet (Track meet, track meet, track meet, track meet)
運転手がマイル(距離)を稼いでいく、まるで俺が陸上競技(トラックミート)を走ってるみたいにな(トラックミート、トラックミート…)

Gotta watch my back now, 'cause these niggas at me
今は背中に気をつけなきゃならねえ、だってあの野郎共が俺を狙ってるからな

All black in a Benz when I pull up on ya
真っ黒のベンツでお前のところに乗り込むぜ

[Chorus: Travis Scott & André 3000]

They don't want to see me in the ends, in the ends
奴らは俺が「この場所(ジ・エンズ)」にいるのを見たくないのさ、このフッドでな
※「the ends」は元々イギリス(ロンドン)のスラングで「自分の地元、フッド」を指す。トラヴィスはヒューストンの自分の縄張り(または人生の極限状態)に自分がい続けることを敵が望んでいないと歌う。

Let me catch you creeping here past 10, in the ends
夜の10時過ぎにここでコソコソしてるお前を捕まえさせてくれよ、この場所でな

From a tribe of check-a-hoe like Indian
インディアンみたいな「チェック・ア・ホー」の部族(トライブ)の出身さ
※「check a hoe」はテキサスや南部のスラングで「女(ビッチ)を厳しく牽制する/思い知らせる」こと。Destiny's Child(ヒューストン出身)の曲名にもある。また、「Indian(ネイティブアメリカン)」の部族(Tribe)という言葉と掛けた言葉遊び。

Oh, yeah, oh, yeah, oh, yeah (Eh-hey)
オー、イェー、オー、イェー、オー、イェー(エヘイ)

[Verse 2: André 3000]

To them I'm a big dick, a cheque and some laughter (Ha-ha-ha)
奴らにとって、俺はデカいイチモツ、小切手、そして少しの笑い物にすぎない(ハハハ)
※ここからAndré 3000の伝説的なヴァース。女性や業界から「セックスの道具、金ヅル、エンタメ」としてしか消費されない虚無感。

I guess it's all survival but please be careful, uh
全ては生き残るためなんだろうが、頼むから気をつけてくれよ、アー

I gave up on the Bible long time ago, uh
俺はずっと昔に聖書(バイブル)を見限ったんだ、アー

Oh, I hope it ain't give up on me, I don't know, ha
あぁ、聖書(神)が俺を見限っていないことを祈るよ、分からないけどな、ハッ

I came up in the town, they were murderin' kids, hmm
俺が育った街じゃ、子供たちが殺されていたんだ、フーム
※1979年から1981年にかけてアトランタで発生した「アトランタ児童連続殺人事件」への言及。少なくとも28人の黒人の子供や青年が殺害された、アメリカ犯罪史に残る凄惨な事件。当時アンドレもアトランタで育つ少年の一人だった。

And dumped 'em in the creek up from where I live (Ay-ay-ay)
そして俺が住んでた場所のすぐ上の小川に、死体が捨てられてたのさ(アイ・アイ・アイ)
※実際に被害者の死体がチャタフーチー川などに遺棄されていた現実を語っている。

Bodies, bodies, bodies sprinkled around (Uh, uh)
死体が、死体が、死体がそこら中にばら撒かれていた(アー、アー)

We runnin' through the sprinkler lookin' around
俺たちはスプリンクラーの間を走り抜けながら、周囲を警戒して見回していたんだ
※死体が「sprinkled(ばら撒かれる)」と、子供が水遊びをする「sprinkler(スプリンクラー)」という無邪気な言葉を対比させ、日常の中に死が隣り合わせにあった恐怖を表現する恐るべきリリック。

Killer would show up with boxes of pizza, uh
殺人鬼は大量のピザの箱を持って現れて、アー
※逮捕された犯人ウェイン・ウィリアムズ(Wayne Williams)の実際の手口。彼は音楽プロデューサーを自称し、子供たちに「アイドルグループを作ってやる」と声をかけ、食事(ピザなど)で釣って誘拐していた。

And said he had a label recruitin' people (Uh-uh-uh)
人をスカウトするためのレーベルを持ってるって言ってたんだ(アー・アー・アー)

Put that on my grandma and everything, yeah
ばあちゃんに誓って、全て本当の話さ、イェー

My homie said he told 'em his name was Wayne
俺のダチは、あいつが「ウェイン」と名乗っていたと言っていた
※犯人のウェイン・ウィリアムズのこと。アンドレの身近な友人が実際に殺人鬼と接触していたという背筋の凍る事実。

It could've been me or could've been you too
被害者は俺だったかもしれないし、お前だったかもしれない

But what a memory, it may need interludes (Could've been me)
だがなんて記憶だ、インタールード(幕間/小休止)が必要かもしれないな(俺だったかもしれない)
※あまりにヘヴィで凄惨な記憶(トラウマ)を語ったため、聴き手にも自分にも「一呼吸置く時間」が必要だというメタ的な視点。

What's gon' patch up my inner tube
何が俺のインナーチューブ(心の穴)を塞いで(パッチアップして)くれるんだ?

So I could pop a wheelie and walk it too
そうすれば俺はウィリー(自転車の前輪を上げる技)をして、そのまま歩いていけるのに
※自転車のパンクしたタイヤ(インナーチューブ)と心のトラウマ(傷)を掛けた表現。傷が癒えれば、あの頃のように無邪気に自転車で遊んだり、前を向いて歩いていけるのに、という悲痛な叫び。

[Outro: Travis Scott]

Oh yeah, La Flame with the nappy fro' now, yeah
オーイェー、ラ・フレイムは今じゃ縮れ毛のアフロ(ナッピー・フロ)だぜ、イェー

In the ends, I'ma kick your door down, oh yeah
この場所(ジ・エンズ)で、俺はお前のドアを蹴り破ってやる、オーイェー

We keep wildin' out the Mo' now, oh yeah
俺たちは今でも「Mo(ミズーリ・シティ)」で暴れ回ってるぜ、オーイェー
※「the Mo」はトラヴィスの地元であるテキサス州ヒューストン郊外のミズーリ・シティ(Missouri City)の愛称。

Keep that 300 Z-Ro when I pull up on ya
俺がお前のところに乗り込む時は、300のZ-Roを維持しとけよ
※「300」は客演のAndré 3000、古代ギリシャのスパルタ兵300人(タフさの象徴)、またはクライスラー300。「Z-Ro」はヒューストンの伝説的なラッパー。二人のレジェンドの名前を組み合わせ、常に本物(リアル)でタフなマインドを保てというアウトロ。