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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Wasted - Travis Scott (feat. Juicy J) 【和訳・解説】

Artist: Travis Scott (feat. Juicy J)

Album: Rodeo

Song Title: Wasted

概要

トラヴィス・スコットのデビューアルバム『Rodeo』(2015年)に収録された本作は、南部ヒップホップの血統を色濃く受け継ぐヘヴィなドラッグ・アンセムである。客演にはメンフィスを代表するThree 6 Mafiaのレジェンド、Juicy Jを迎え、フックにはテキサス・ヒューストンの伝説的ラッパー、故Pimp C(UGK)の肉声をサンプリングしている。タイトルの「Wasted(泥酔・酩酊)」が示す通り、リーン(コデイン)やピルによって意識が混濁していくロックスターの退廃的なライフスタイルを描きつつ、トラヴィスがいかにしてヒューストンの偉大な先人たちの「トリル(Trill)」な精神を継承しているかを証明する、南部愛に溢れた重要曲だ。

和訳

[Intro: Travis Scott]

Wasted or nah? (Aw, aw, yeah, aw)
泥酔(ウェイステッド)してるか? それともシラフか?(アゥ、アゥ、イェー、アゥ)
※「Wasted」はドラッグやアルコールで限界まで酔い潰れ、意識が飛んでいる状態を指すスラング。

Are you wasted or nah? Wasted or nah? Wasted at night
お前は泥酔してるのか? それともシラフか? 夜に酔い潰れる

[Verse 1: Travis Scott]

Take a sip, drownin' in this shit, coppers on my hip, I hold my head
一口すする、このシット(酒)に溺れてる、腰にはサツ(コッパー)がいる、俺は頭を抱える
※「copper」は警察官の隠語だが、同時に「銅銭(小銭)」の意味も持つ。ドラッグでハイになりながら、腰に隠し持った銃や警察の影に怯えるパラノイア(被害妄想)の描写。

I been takin' risks to make that money flip, shots to the head
金を倍(フリップ)にするためにずっとリスクを負ってきた、頭にショット(酒/銃弾)を撃ち込む

I ain't order it, I can't afford this shit
俺はこんなの頼んでない、こんなシットに払う余裕(時間)はねえよ

Go to war with this, you overboard, I'm over-bored with shit
これで戦争に行く、お前はやりすぎだ(オーバーボード)、俺はこんなシットにはもう退屈(オーバー・ボード)してる
※「overboard(船から落ちる=やりすぎる)」と「over-bored(退屈しすぎる)」を掛けたワードプレイ。

Now, it's pay a player, pay a nigga, got a day-to-day to stack and still, I pay accountants
今じゃ、プレイヤーに払い、ダチに払う、日々(金を)積み上げても、未だに会計士に払ってる
※スターとして莫大な金を稼いでも、取り巻きや税金、会計士の支払いに追われる成功者のリアルな愚痴。

Twenty racks to show just a little allowance
ライブ1回で2万ドル(約300万円)、ちょっとしたお小遣いさ
※「rack」は1000ドルの束。デビュー当時の彼のショーのギャラを小遣い(allowance)と呼ぶフレックス。

Only come to Houston if the boy allow it
あのボーイ(俺)が許可した時だけ、ヒューストンに来いよ
※ヒューストンは自分の縄張りであり、自分がその街を代表する「ボス」であるという地元レペゼン。

Bow your head to a real one, comin' down with them main niggas
本物の男(リアル・ワン)に頭を下げな、メインの野郎共と一緒に降りていく(カミン・ダウン)ぜ
※「Comin' down」はヒューストンのカスタムカー文化(スラブ)で、派手な車でストリートをクルージングすることを示す伝統的なスラング。

H-Town, don't play with us, them with-it boys stay with-with-with it
H-Town(ヒューストン)、俺たちを舐めるなよ、イケてる(ウィズ・イット)奴らは常にキマってるんだ

I been grindin', slavin' over time since I was a fan
ただのファンだった頃から、残業続きの奴隷みたいに身を粉にして働いてきた

Lookin' in the mirror like, "One day, Jacques, you gon' be the man"
鏡を見て「いつかお前はトップになるぞ、ジャック」って言い聞かせてた
※「Jacques(ジャック)」はトラヴィス・スコットの本名(Jacques Webster II)。何者でもなかった少年時代の決意の回想。

One skinny, tatted nigga, blunt flicker, young La Flame, hot spitter who can't hold his liquor, yeah
ガリガリでタトゥーだらけの黒人、ブラントの火を揺らす、若きラ・フレイム、酒に弱いホットなスピッターさ、イェー
※「can't hold his liquor」は酒に弱い(すぐに吐いてしまう)という意味。トラヴィス自身がハードリカーに弱く、すぐに酔い潰れてしまう体質であることを自嘲気味に語っている。

[Chorus: Pimp C]

It's really goin' down in the goddamn South
ガッデムなサウス(南部)じゃ、マジでヤバいことが起きてる

I'm trill, I'm country 'til the end
俺はトリルだ、死ぬまでカントリー(田舎者/南部出身)さ
※ヒューストンの伝説的デュオ「UGK」の故Pimp Cのフリースタイル音声のサンプリング。「Trill(True + Real)」という南部ヒップホップの最重要概念と、南部出身者としての誇りを強調している。

It-it-it-it's really goin' down in the goddamn South
ガッデムなサウスじゃ、マジでヤバいことが起きてる

I'm trill, I'm country 'til the end
俺はトリルだ、死ぬまでカントリーさ

[Bridge: Juicy J & Travis Scott]

There's a lot of motherfuckers that can't handle they liquor
自分の酒量をコントロールできないクソ野郎共がたくさんいる

Can't handle these drugs (Wasted or nah?)
このドラッグをコントロールできない奴らがな(泥酔してるか?)

It's only real niggas that can handle their shit, man (Wasted or nah?), yeah (Wasted or nah?)
自分のシット(酒やドラッグ)をコントロールできるのはリアルな野郎だけさ、なぁ(泥酔してるか?)、イェー(泥酔してるか?)
※ここからメンフィスの重鎮、Juicy Jの語り。トラヴィスの「酒に弱い」というラインを受けて、ドラッグや酒に飲まれるのではなく、それを乗りこなしてこそ「リアル」だという先輩からのアドバイス。

So if you tryna get lit, wanna pour up?
だから、もしお前がキメて(リットになって)、酒を注ぎたいなら

Make sure you stay on our level, 'cause we go up, let me see you up
俺たちのレベルについてこれるか確認しな、だって俺たちは上に行くからな、お前が上に行くのを見せてみろ

[Verse 2: Juicy J]

Is you wasted, baby? One shot, two shots and you still talkin' crazy (Trippy)
泥酔してるのか、ベイビー? 1杯、2杯飲んで、お前はまだ狂ったこと言ってやがる(トリッピーだぜ)

Three shots and you faded, freaks comin' out at night and they gettin' X-rated
3杯で完全にフェイデッド(酩酊)だ、夜になると変態女(フリークス)たちが現れて、X指定(過激)なことを始める

Four shots now, she wanna do the clique, any more shots, she ain't gon' remember shit
4杯目、あの子は俺のクルー全員とヤりたがってる、これ以上飲んだら、あの子は何も覚えちゃいないぜ

Smokin' on extendos, no clips, project hoes goin' up in the Ritz (Trippy)
エクステンド(極太のブラント)を吸う、マガジン(クリップ)じゃねえよ、プロジェクト(公営住宅)のビッチたちがリッツ・カールトンで盛り上がってる(トリッピーだぜ)
※「extendo」は銃の拡張マガジン(クリップ)を指すスラングだが、ここでは延長して巻いた巨大な大麻(ブラント)のこと。ゲットーの女たちを最高級ホテル(Ritz)に連れ込んでいるフレックス。

She gon' do it for a G, anything for me, bruh, she just wanna fuck and drink and chief all the weed up
あの子は1000ドル(G)のためにヤるのさ、俺のためなら何だってするぜ、兄弟、あの子はただヤって、飲んで、ウィードを全部吸い尽くしたいだけなんだ

Sexy bitch, pop that pussy 'cause you in your prime, pour that purple over ice, call it "turtle time"
セクシーなビッチ、そのアソコを弾かせな、だってお前は今が全盛期(プライム)なんだから、氷の上にそのパープル(リーン)を注げ、それを「タートル・タイム」って呼ぶんだ
※パープル・ドランク(コデイン入りのシロップ)を飲むと、中枢神経が抑制されて亀(タートル)のように動作や思考が極端に遅くなる現象のこと。

Shawty never been a hesitator, got her goin' down on the elevator
あの子は絶対に躊躇しない、エレベーターの中で(フェラを)させるんだ

Heard the pussy bomb, I'ma detonate her, fuck her from the back, keep the neck for later
アソコが爆弾(最高)だって聞いたぜ、だから俺が起爆させてやる、後ろからヤって、首元(フェラ)は後回しだ

No magic trick, but I levitate her, with the magic stick, nothin' less than great
手品じゃないが、俺はあの子を宙に浮かせるぜ、この「魔法の杖(イチモツ)」でな、最高としか言いようがない

When I hit her with the dope D, I'm gone, don't text me later, no extra favors
極上のD(ディック/ドラッグ)をキメたら、俺は帰る、後でテキストを送ってくるなよ、特別なサービスは無しだ

[Chorus: Pimp C]

It's really goin' down in the goddamn South
ガッデムなサウスじゃ、マジでヤバいことが起きてる

I'm trill, I'm country 'til the end
俺はトリルだ、死ぬまでカントリーさ

It-it-it-it's really goin' down in the goddamn South
ガッデムなサウスじゃ、マジでヤバいことが起きてる

I'm trill, I'm country 'til the end
俺はトリルだ、死ぬまでカントリーさ

[Outro: T.I.]

Hmm, weed, lean, MDMA, he say, she say
ふむ、ウィード、リーン、MDMA、噂話(ヒー・セイ・シー・セイ)
※ここからアルバムのナレーターであるT.I.のスポークンワード。主人公トラヴィスの狂騒的な生活を俯瞰する。

All the products of a young man gone the long way
全ては、遠くまで来てしまった若者の産物だ

From the home that he known, 'til he roamed where he at
彼が知っていた故郷から、彼が今いる場所を彷徨うようになるまで

And the phone break up, unknown wake up
そして電話の電波が途切れ、見知らぬ場所で目を覚ます

Several one-night-stands, hung up phone, break up
いくつものワンナイトスタンド、電話を切り、別れを迎える

If he fall, will he fly? Sure, it wouldn't take much
もし彼が落ちたら、彼は飛べるのだろうか? 確かに、少しのことかもしれない

For you to find out, jump, have you took that plunge?
君がそれを見つけるには、ジャンプすることだ、君はその飛び込み(プランジ)を経験したことがあるか?

If not in the same spot, how could you judge?
もし同じ立場(場所)にいないのなら、どうして彼を裁く(判断する)ことができるんだ?
※大スターになり、酒とドラッグと女に溺れる(Wasted)トラヴィスの道徳的な乱れを世間が批判することに対する、傍観者への鋭い問いかけ。自らそのロデオ(狂騒)に飛び込んだことがない者に、彼を非難する資格はないというアルバムの重要なテーマ。

(H-h-how could you judge? C-c-could you judge?)
(ど、どうして裁けるって言うんだ? さ、裁けるのか?)