Artist: Travis Scott
Album: Owl Pharaoh
Song Title: 16 Chapels
概要
トラヴィス・スコットのデビューミックステープ『Owl Pharaoh』に収録された本作は、タイトルの「16 Chapels」がバチカンの「システィーナ礼拝堂(Sistine Chapel)」の言葉遊び(Sixteen Chapels)となっていることからも分かる通り、彼特有の退廃的でサイケデリックな世界観と宗教的なモチーフが融合した一曲である。90年代のR&BやGファンクを彷彿とさせるメロウでスムーズなビートの上で、ドラッグによる酩酊感、女性との刹那的な快楽、そして将来の巨大な成功に対する渇望が語られている。まだ何者でもなかった若き日のトラヴィスが、ラスベガス(Sin City)での豪遊やハイファッションに身を包む自身の未来を強烈に幻視(ビジョン)する姿が、ストリートの生々しい欲望と共に描かれた初期の隠れた名曲だ。
和訳
[Chorus]
I don't know about you
お前はどうだか知らねえけど
Feel like I'm floating through the night
俺は夜の闇の中を宙に浮いてる気分さ
※「floating(浮遊する)」は、マリファナやリーン(咳止めシロップ)などのドラッグによる強烈な酩酊感やトランス状態を表す。この浮遊感こそが、トラヴィスの音楽全体を貫くサイケデリックなテーマの根幹である。
Slow move to the groove
グルーヴに合わせてゆっくりと体を動かす
Often the feeling feels right
たいていの場合、この感覚は間違っちゃいないんだ
(Dance like a 90s baby)
(90年代生まれみたいに踊りな)
Na na na, na na na, na na na, na na
ナナナ、ナナナ、ナナナ、ナナ
Feel like I'm floating through traffic
渋滞の中を宙に浮いてすり抜けていく気分さ
(Then it "poof" like magic)
(そして魔法みたいに「プンッ」と消えちまうんだ)
[Verse 1]
This shit be the coldest
これが一番冷たい(最高にクールな)シットだぜ
Wake up nigga, smell the Folgers
目を覚ませよ、フォルジャーズの匂いを嗅ぎな
※「Folgers(フォルジャーズ)」はアメリカの有名なインスタントコーヒーのブランド。「Wake up and smell the coffee(目を覚まして現実を見ろ)」という英語の慣用句をもじり、自分たちの圧倒的な才能と成功という「現実」をヘイターたちに直視させようとしている。
Fuck she throwing up last night
クソッ、あいつ昨日の夜ゲロ吐いてやがったな
Only if the dumb bitch did what I told her (Told her)
あのバカなビッチが、俺の言った通りにさえしてればな(言ってやったのに)
She feel me, I feel her
あの子は俺を感じて、俺もあの子を感じる
And she even let me move my fingers up her skirt
それに、あの子のスカートの中に俺の指を滑り込ませてくれたぜ
Fuck it live for the moment
クソくらえ、今この瞬間を生きるんだ
Had no bread, now the hoes spread like toast is
金(パン)もなかった俺だが、今じゃ女共がトーストみたいに脚を広げる(スプレッド)ぜ
※「bread」は「パン」と「金」のダブルミーニング。「spread」はトーストに塗るスプレッド(バターやジャム)と、女性が脚を開く(spread)行為を掛けた、ヒップホップらしいユーモラスな言葉遊び。
Her legs spread like Moses
あの子の脚はモーセみたいに大きく開くんだ
※旧約聖書の『出エジプト記』にて、預言者モーセ(Moses)が杖を掲げて紅海を真っ二つに割った(spread)という有名な奇跡のエピソードを、女性が脚を大きく開く生々しい性的描写に転用した、罰当たりで天才的なメタファー。曲名の「16 Chapels(礼拝堂)」という宗教的モチーフとも完璧にリンクしている。
On my way, raise your glass we can have a toast
俺の行く道で、グラスを上げな、乾杯しようぜ
※直前の「toast(トーストパン)」から「toast(乾杯)」への見事なライムの連想。
To the same ones that love talking that wild shit
デタラメな陰口を叩くのが大好きな連中に向けてな
Be the same ones who wanna be around the most
そういう奴らに限って、一番俺の周りに群がりたがるんだよ
Tony said soon enough niggas will have a two-tone
トニーが言ってたぜ、もうすぐ俺たちもツートンカラー(の高級車)を持てるようになるってな
※「Tony」はトラヴィスの初期のメンターであり、レーベルボスであるT.I.(本名も一部でTonyと呼ばれることがある)、あるいは映画『スカーフェイス』の主人公トニー・モンタナ(裏社会での大成功の象徴)を指しているとされる。「two-tone」はマイバッハやロールス・ロイスなどの超高級車のツートンカラー仕様、あるいは金と銀のツートンカラーのロレックスを意味し、確実な富の約束を示している。
Two blond chicks with the roof gone
屋根のないオープンカーに、2人のブロンド美女を乗せて
Complaining now that her breasts out
今度は胸が丸出しになってるって文句を言ってやがる
Well at least you could've thought to put the mink on
だったら、せめてミンクのコートを着るくらい考えればよかったのにな
[Chorus]
I don't know about you
お前はどうだか知らねえけど
Feel like I'm floating through the night
俺は夜の闇の中を宙に浮いてる気分さ
Slow move to the groove
グルーヴに合わせてゆっくりと体を動かす
Often the feeling feels right
たいていの場合、この感覚は間違っちゃいないんだ
(Dance like a 90s baby)
(90年代生まれみたいに踊りな)
Na na na, na na na, na na na, na na
ナナナ、ナナナ、ナナナ、ナナ
Feel like I'm floating through traffic
渋滞の中を宙に浮いてすり抜けていく気分さ
(Then it "poof" like magic)
(そして魔法みたいに「プンッ」と消えちまうんだ)
[Verse 2]
Wet dreams with the prom queen
プロムクイーンとの夢精(ウェット・ドリームス)
Now I'm tryna screw me a centerfold
今じゃ、雑誌のセンターフォールド(見開きヌードモデル)をヤろうとしてるぜ
Every nigga have their wild dreams
野郎には誰にだってワイルドな夢があるもんだ
Mines is to fly to the summer in my winter clothes
俺の夢は、冬服を着たまま(南半球の)夏へと飛んでいくことさ
※「冬の時期に暖かいリゾート地(LAやマイアミ、あるいは南半球)へ旅行できるほどの富裕層になること」、あるいは「季節外れのハイファッション(真夏にミンクのコートを着るなど)を堂々と着こなすロックスターになること」という、成金的な成功のビジョン。
Sin city is a mile away
シン・シティ(罪の街)まではあと1マイルだ
※「Sin city」は欲望とギャンブルの街、ラスベガスの愛称。
I see the devil in a skirt, but it's a nightgown
スカートを穿いた悪魔が見える、いや、あれはナイトガウンか
※前曲「Drive」でも引用された「プラダを着た悪魔」のメタファーの延長。ラスベガスの夜の街で誘惑してくる女性たちを、破滅をもたらす魅惑的な「悪魔」に例えている。
Hallelujah, does it even matter if it's night or day
ハレルヤ、昼か夜かなんて関係あるのか?
※ここでも「ハレルヤ(主を讃えよ)」という宗教用語を使い、カジノやクラブで24時間狂騒が続くラスベガスの時間感覚の喪失を表現している。
When we pull up, she gon' pull her shirt down
俺たちが車をつければ、あの子はシャツを引き下げる(胸を露出する)んだ
This where we find 'em
俺たちはこういう場所で女たちを見つけるのさ
Same niggas that sniff Donna
ダナ(キャラン)を嗅ぎ回るのと同じ野郎共さ
※「Donna」はファッションブランドの「DKNY(ダナ・キャラン・ニューヨーク)」の香水。あるいはコカイン(白人女性の名前で隠語にされることが多い)のメタファー。
And get drunk off the mimosa
そしてミモザ(カクテル)で酔い潰れる
Space green or designer
宇宙レベルの極上グリーン(大麻)か、デザイナーズブランドか
Hermes based off of drama
エルメスはドラマ(いざこざ)から生まれるんだ
※高級ブランドのHermes(エルメス)を手に入れるためには、ストリートでの危険なハッスルや人間関係のトラブル(ドラマ)を乗り越えなければならないという現実。
Call it spendin' yoda
それをヨーダを散財するって呼ぶんだよ
※「yoda」は映画『スター・ウォーズ』のキャラクター、ヨーダのこと。彼の体の色が緑色であることから、アメリカ紙幣(緑色)=お金(グリーンバック)を意味するヒップホップ・スラングとして用いられている。大金を湯水のように使うこと。
Six years catch me trying yoga
6年後には、ヨガに挑戦してる俺の姿が見られるかもな
※ストリートの混沌を抜け出し、将来はセレブのようにヨガをして心身の平穏を保つような、裕福で落ち着いた生活を送っていたいという願望。
In the Caesar Palace rocking a toga
シーザーズ・パレスでトーガを着こなして
※「Caesar Palace(シーザーズ・パレス)」はラスベガスの超有名高級ホテル。「toga(トーガ)」は古代ローマ市民が着ていた一枚布の衣装。シーザーズ・パレスが古代ローマ帝国をテーマにしていることに掛けた、非常に洒落た言葉遊び。
Throwing a toga party
トーガ・パーティーを開くんだ
※映画『アニマル・ハウス』などで有名な、シーツをトーガに見立てて巻きつけるアメリカの学生の乱痴気騒ぎ(トーガ・パーティー)のこと。
Chilling with your bitch and she extra naughty
お前のビッチとくつろいでる、あの子はとびきりエッチ(ノーティ)だぜ
Ahh
アァ
[Chorus]
I don't know about you
お前はどうだか知らねえけど
I don't know about you
お前はどうだか知らねえけど
(Dance like a 90s baby)
(90年代生まれみたいに踊りな)
Na na na, na na na, na na na, na na
ナナナ、ナナナ、ナナナ、ナナ
Feel like I'm floating through traffic
渋滞の中を宙に浮いてすり抜けていく気分さ
(Then it "poof" like magic)
(そして魔法みたいに「プンッ」と消えちまうんだ)
I don't know about you
お前はどうだか知らねえけど
Feel like I'm floating through the night
俺は夜の闇の中を宙に浮いてる気分さ
Slow move to the groove
グルーヴに合わせてゆっくりと体を動かす
Often the feeling feels right
たいていの場合、この感覚は間違っちゃいないんだ
Na na na, na na na, na na na, na na
ナナナ、ナナナ、ナナナ、ナナ
Feel like I'm floating through traffic
渋滞の中を宙に浮いてすり抜けていく気分さ
(Then it "poof" like magic)
(そして魔法みたいに「プンッ」と消えちまうんだ)
