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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Drive - Travis Scott (feat. James Fauntleroy) 【和訳・解説】

Artist: Travis Scott (feat. James Fauntleroy)

Album: Owl Pharaoh

Song Title: Drive

概要

トラヴィス・スコットの原点であるテキサス州ヒューストンの音楽カルチャーへの最大限の敬意が込められた本作は、DJ Screw、Lil' Flip、Z-Roという地元レジェンドたちの楽曲をカセットテープの巻き戻し音と共にサンプリングする劇的なイントロから幕を開ける。ヒューストン名物の「チョップド&スクリュード」とリーン(咳止めシロップ)文化の薫りを漂わせながら、ビートはジェームス・フォントルロイが歌う浮遊感のあるメロウなフックへと展開していく。車を走らせる「ドライブ」と、成功への渇望や野心(Drive)、そして運転中のオーラルセックスを暗示するダブルミーニングがシームレスに交錯する。アウトロでは再び実家で父親に怒鳴られるスキットが挿入され、彼が巨大な夢想と鬱屈とした現実の間でもがいていた初期の姿をリアルに映し出している。

和訳

Cassette rewinding [Intro: DJ Screw]

10-201, you know what I'm sayin'?
10-201だ、俺の言ってることが分かるか?
※ヒューストンの伝説的DJであり「チョップド&スクリュード」の創始者であるDJ Screwのミックステープ『Chapter 201: 10-201』からのサンプリング。トラヴィスが自身の音楽的ルーツであるヒューストンのレジェンドを召喚し、敬意を払っている。

Smokin' big, drankin' syrup, know what I'm talkin' 'bout?
極上のウィードを吸って、シロップ(リーン)を飲んでる、俺の言ってる意味が分かるか?
※「syrup」はプロメタジンとコデインを含有する咳止めシロップ(通称リーン)。ヒューストンのヒップホップ・カルチャーと密接に結びついたドラッグである。

Cassette rewinding [Intro: Lil' Flip]

What, sucker free, what, what
なんだ、サッカー・フリーだ、なんだ、おい
※ヒューストンのラッパーLil' Flipの楽曲「I Can Do Dat」のサンプリング。「sucker free」はフェイクな奴らがいない、リアルな状態を意味する彼のレーベル名でもあった。

I can do that (I can do that right there)
俺にはそれができるぜ(あぁ、俺にはできる)

I can do that, ay
俺にはできるさ、エイ

If I spill drank on my clothes, I can do that
もし服にドランク(シロップ)をこぼしても、俺ならどうにかできる

It dont matter 'cause I buy me some more, I can do that
問題ねえよ、また新しい服を買えばいいだけだ、俺にはそれだけの金がある

I'ma spend about fifty in the mall, I can do that
モールで5万ドルくらい散財してやるよ、俺にはできるぜ

I'ma buy me a Bentley in the fall, I can do that
秋にはベントレーを買ってやる、俺にはできるぜ

I'ma stop weak niggas from rappin'—
ダサい野郎共がラップするのを止めさせてやるよ—

Cassette rewinding [Intro: Z-Ro]

It's a biggie beat
ビギーのビートだ
※ヒューストンのベテランラッパーZ-Roの楽曲「I Can't Leave Drank Alone」からのサンプリング。原曲はThe Notorious B.I.G.のビートをサンプリングしているため、このラインが入っている。

I, can't, leave, drank alone
俺は、ドランク(シロップ)を、手放すことができないんだ
※Z-Roの名曲のフック。リーン中毒の苦しみと快楽を歌った、ヒューストン・クラシックである。

It got me feenin' (Feenin', feelin' good)
こいつのせいで依存しちまってる(渇望してる、いい気分だ)
※「feenin' (fiending)」はドラッグなどを激しく欲求すること。

(Feelin' like a boss as I'm flipping through my hood)
(フッドをクルージングしながら、ボスのようないい気分を味わってるぜ)

Car driving and speeding with tires screeching [Verse 1: Travis Scott]

Feel like I'm on the drive to the moon
月へ向かってドライブしてる気分だ

Man, I thought the world was ending soon
なぁ、もうすぐ世界が終わっちまうと思ってたんだ
※どん底の状況や精神的に追い詰められていた過去の心境を吐露している。また、マヤ暦による「2012年人類滅亡説」が当時話題になっていたことへの言及という解釈もある。

Damn, the devil stay testin' and the devil wear Prada
クソッ、悪魔は常に俺を試してくる、しかも悪魔はプラダを着てやがるんだ
※映画『プラダを着た悪魔』の引用。ハイファッションに身を包んだ魅力的な誘惑(女性やドラッグ、名声など)が、トラヴィスを破滅させようと試してくる状況を表している。

(Just tryna go up the avenue)
(ただアベニューを上がって行こうとしてるだけなのに)

[Chorus: James Fauntleroy]

Sometimes I drive
時々、俺は車を走らせるんだ

While I'm staring in your eyes
お前の瞳を見つめながら

With my hands behind your head
俺の両手をお前の頭の後ろに回してな
※運転中であるにもかかわらず「相手の瞳を見つめ」「手を頭の後ろに回す」という状況から、Genius等の考察ではこれが「運転中に助手席の女性からオーラルセックスを受けている(Blowjob while driving)」描写であると広く解釈されている。ロックスター的な危険でスリリングな快楽のメタファー。

While you take me away
お前が俺を遠くへ連れ去ってくれる間に
※オーラルセックスによる絶頂感や、ドラッグによるトリップ(別の場所へ連れ去られる感覚)を表現している。

[Verse 2: Travis Scott]

Whether I'm shinin' all winter or chillin' all summer
冬中ずっと輝いていようが、夏中ずっとリラックスしていようが

We rockin' furs, look like I copped 'em straight out the jungle
俺たちはファーを着こなす、まるでジャングルから直接手に入れてきたみたいにな

Used to spend cheese up on the steez, yeah, I remember
昔はスタイル(スティーズ)を見せつけるために金(チーズ)を使い果たしてたよ、あぁ、覚えてるぜ
※「cheese」はお金。「steez」はスタイル。金がない頃から見栄を張ってファッションに全財産をつぎ込んでいた過去。

Used to take trips whippin' the Jeep that my mom loaned us
昔はお袋が貸してくれたジープを乗り回して出かけてたもんだ

Ridin' real slow
マジでゆっくりと車を走らせながらな
※ヒューストンの「Chopped and Screwed」カルチャーに影響を受けた、ゆったりとしたクルージング(Slow loud and bangin')の情景。

Mm-hm, that's the shit they didn't know
んー、奴らはそんなこと知りもしなかっただろうな

Cruisin' down 59 seeing niggas ridin' fours, I just stared at the stars
59号線を下りながら、野郎共が「フォー」を履いて走ってるのを見て、俺はただ星を見つめていたんだ
※「59」はヒューストンを通る州間高速道路(I-69/US 59)。「fours」はヒューストン名物のカスタムカー(SLAB)に装着される突き出したワイヤーホイール「Swangas (84s)」のこと。地元のギャングやハスラーがカスタムカーで誇示する中、若きトラヴィスは彼らとは違う次元の成功(星=スターダム)を夢見ていたという原風景。

And looked with my eyes closed 'cause it's driving me wild
そして目を閉じたまま見つめてたのさ、だってそいつが俺を狂わせる(ワイルドにさせる)からな
※「driving」という言葉が、物理的な運転と「精神を駆り立てる(drive me wild)」の両方の意味で使われている。

[Chorus: James Fauntleroy]

Sometimes I drive
時々、俺は車を走らせるんだ

While I'm staring in your eyes
お前の瞳を見つめながら

With my hands behind your head
俺の両手をお前の頭の後ろに回してな

While you take me away
お前が俺を遠くへ連れ去ってくれる間に

[Bridge: Travis Scott]

Hit the weed and just drive
ウィードを吸って、ただ走る

Hit the weed and just drive
ウィードを吸って、ただ走る

Hit the weed and just drive
ウィードを吸って、ただ走る

Hit the weed and just drive, oh, yeah
ウィードを吸って、ただ車を走らせるのさ、あぁ

[Chorus: James Fauntleroy]

Sometimes I drive
時々、俺は車を走らせるんだ

While I'm staring in your eyes
お前の瞳を見つめながら

With my hands behind your head
俺の両手をお前の頭の後ろに回してな

While you take me away
お前が俺を遠くへ連れ去ってくれる間に

[Outro: Travis Scott's Dad & Travis Scott]

Junior!
ジュニア!

Fuck!
クソッ!

Junior, turn that shit off!
ジュニア、そのクソみたいな音楽を止めろ!

Man, for what? Nigga, shut up!
なんだよ、なんでだよ? 黙ってろよ!

What'd I tell you about playin' that loud-ass music in this fuckin' house?
このクソみたいな家で、そんなバカでかい音楽を鳴らすなって言っただろ!

Fuck! Fuckin' drums crazy!
クソッ! クソみたいなドラムがイカれてやがる!
※アルバムの1曲目「Meadow Creek」の後半でも登場した、トラヴィスの父親(ジャック・ウェブスター)との口論のスキット。ジェームス・フォントルロイを客演に迎えたメロウでゴージャスな世界観から、一気にヒューストンの実家で親に怒鳴られながらビートを作っている現実へと引き戻される。彼がいかに周囲の無理解(「イカれたドラム」と一蹴される独自のサウンド)と闘いながら成功への執念(Drive)を燃やしていたかを示す、重要な演出である。