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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

MIA - Travis Scott 【和訳・解説】

Artist: Travis Scott

Album: Owl Pharaoh

Song Title: MIA

概要

トラヴィス・スコットのデビューミックステープ『Owl Pharaoh』に収録された本作は、タイトルの「MIA(Missing In Action=戦闘中行方不明、転じて雲隠れや連絡が取れない状態)」が示す通り、ストリートの貧しい環境から突如として世界的なスターダムへと飛躍し、かつての仲間からは手の届かない存在になった彼の現状を描いている。カニエ・ウェスト(Yeezy)の教えを受け、ハイファッションや超高級クラブ(Soho House)、中東の富裕層の世界へと足を踏み入れたトラヴィスが、単なるラッパーの枠を超え、楽曲制作から映像監督までを手掛ける「真のクリエイター」へと覚醒していく姿が、ダークでスペイシーなビートの上で不遜に語られている。彼がのちに帝王として君臨する未来を予言したかのような、初期の重要曲である。

和訳

[Intro]

M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-I-M-I-M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-MI
※「MIA」は「Missing In Action(行方不明)」の略。成功を収めて世界中を飛び回り、地元の連中からは手の届かない存在(MIA)になったというトラヴィスの現状を呪文のように反復している。

[Verse 1: Travis Scott]

Lifted, I'm feelin' so gifted, trippin', I'm constantly fallin'
ハイになってる、才能に溢れてる気分だ、トリップして、常に落ちていく感覚さ

Channel view of the whole villa, plottin' while burnin' a Marley
ヴィラ全体を見渡すチャンネル・ビュー、ボブ・マーリー(ウィード)を燃やしながら企んでる
※「burnin' a Marley」はレゲエの神様ボブ・マーリーにちなみ、極上の大麻を吸うことのメタファー。

Damn these rare thoughts is so endless, bougie bitch whippin' the 'Rari
クソ、この希少な思考は無限に湧いてくる、気取ったビッチがフェラーリを乗り回してる

Out in the jungles, make it rumble, she get wet like safari (Rrr)
ジャングルの中、轟音を響かせろ、あの子はサファリみたいに濡れまくってるぜ(ルルル)

Bitches don't know, I teach 'em the ropes, Scottie the Pope
ビッチ共は何も分かっちゃいねえ、俺が手取り足取り教えてやるよ、教皇スコッティ様がな
※「Scottie」はトラヴィスの愛称。自分を「Pope(ローマ教皇)」に見立て、無知な女性たちにハイエンドな世界を啓蒙する絶対的な存在として君臨している。

Now only Giuseppe, Celine, Bottega
今やジュゼッペ、セリーヌ、ボッテガ

Proenza, the Schouler is all that she know
プロエンザ・スクーラー、あの子が知ってるのはそれだけさ
※Giuseppe Zanotti、Celine、Bottega Veneta、Proenza Schoulerといったハイファッション・ブランドの羅列。トラヴィスがストリートの女性を高級ブランド漬けのセレブリティへと洗脳したというフレックス。

Might let the drop top, and she's Lamb' fam
オープンカーの屋根を開けるかもな、あの子はランボルギーニ・ファミリーだ

Whippin' Trans Am, keep it low
トランザムを乗り回す、目立たないようにな

She pulled out the hard white on the highway
ハイウェイの上であの子が固い白玉(コカイン)を取り出した

For the line, listen, pimpin'
ライン(吸うための粉)を引くためさ、聞けよ、ピンプの流儀を

Your bitch just might physic my disick, disick all business
お前のビッチは俺の「ディシック」を物理的に愛撫するかもな、ビジネスは全部ディシック流だ
※「Disick」は、カーダシアン家の長女コートニーと交際していたスコット・ディシック(Scott Disick)のこと。女遊びと派手なライフスタイルで知られる彼と、自身の名前「Scott」を掛けている。奇しくも数年後、トラヴィス自身がカイリー・ジェンナーと交際してカーダシアン家の一員となることを予言していたかのような、Reddit等でも度々話題に上がる不気味なパンチライン。

Might blizzard, roll up, crib look like the tele
ブリザード(大雪=大量のコカイン)かもな、巻きな、俺の家はテレビの中みたいだぜ
※「tele」はテレビ(television)やホテル(hotel/motel)の略。

Left jelly all over her biscuit
あの子のビスケットにゼリーをぶちまけてやった
※女性器(biscuit)に精液(jelly)をかけるという露骨な性的メタファー。

Last spring I lost 10K in teeth
去年の春、俺は1万ドル分の歯を失くしちまった

I copped it but now I don't miss it
買ったばかりだったが、今はもう未練はねえよ
※「1万ドル分の歯」とは、特注で作らせた高価なゴールドやダイヤのグリルズ(差し歯のアクセサリー)のこと。それを紛失しても痛くも痒くもないという圧倒的な財力の誇示。

Whoever found it, teeth probably glistenin'
それを見つけた奴の歯は、今頃キラキラ輝いてるだろうな

In fact that nigga prolly missin'
実際のところ、そいつは今頃行方不明(MIA)になってるだろうけどな
※「俺の1万ドルのグリルズを盗んだり着服したりした奴は、報復として殺されて行方不明(missing)にされているだろう」というストリートの掟と、曲のタイトル「MIA」を見事に回収したダークなオチ。

[Chorus: Travis Scott]

These choppers and these planes
チョッパー(ヘリコプター)と飛行機

They all doin' the same, they take me overseas
どれも役割は同じだ、俺を海外へと連れ出してくれる

M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-I-M-I-M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-MI

These choppers and these planes
チョッパー(ヘリコプター)と飛行機

They all doin' the same, they take me overseas
どれも役割は同じだ、俺を海外へと連れ出してくれる

M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-I-I

[Verse 2: Travis Scott]

Speedin', and damn I'm leanin' on a Kawasaki
スピードを上げる、クソ、俺はカワサキのバイクに寄りかかってる(リーンをキメてる)
※日本のバイクメーカー「カワサキ(Kawasaki)」に乗りながら体を傾ける(lean)ことと、咳止めシロップのドラッグ「リーン(Lean)」を掛けている。

In the lobby, then we 'dro codeinin', out in Abu Dhabi
ロビーにて、俺たちはハイドロコドンとコデインをキメる、アブダビの地でな
※「'dro codeinin'」は医療用麻薬のハイドロコドン(Hydrocodone)とコデイン(Codeine)を摂取すること。中東の富裕層が集まるアブダビにまで足を伸ばすという、国際的なロックスター・ライフ。

Chain beamin', man, I hope you ain't anemic
チェーンが眩しく輝いてる、なぁ、お前が貧血じゃないことを祈るぜ

'Cause you might feel drowsy
だって、めまい(眠気)を感じるかもしれないからな
※大量のダイヤモンドをあしらったチェーンネックレスが「冷たすぎる(Cold)」ため、周りの人間が貧血(anemic)を起こしてしまうというヒップホップ特有の誇張表現。同時にドラッグによる眠気(drowsy)も掛けている。

Out in Sweden, it's just me and four women
スウェーデンにて、俺と4人の女たちだけ

And we all playin' hockey
俺たち全員でホッケーをして遊んでるのさ
※スウェーデンやホッケーという「極寒」の要素を並べ、自分のライフスタイルがいかに「Cold(クールでイケている)」であるかをアピール。4人の女性との乱交のメタファーでもある。

Blowed, Scott La Flame, pimp with no cane
煙を吹かす、スコット・ラ・フレイム、杖を持たないピンプさ
※伝統的なピンプ(ポン引き)はステッキ(cane)を持つが、トラヴィスはそんな古臭い道具に頼らずとも女たちを従えることができるという自信。また、コカイン(cane / cocaine)無しでも飛べるというダブルミーニング。

Rockin' a robe in your hood with no pass
お前らのフッド(地元)でローブを羽織って歩く、通行許可証(パス)なんて無しでな
※他人の縄張り(フッド)を歩くには地元のギャングの許可(パス)が必要だが、トラヴィスは王様のようにバスローブ姿で堂々と歩けるほどリスペクトを得ているというフレックス。

Fuck up the flow, nothin' but fam 'cause niggas be hoes
フロウを狂わせる、身内(ファム)以外はいらねえ、他の野郎共はビッチだからな

You can have that, pass that, light it up and then blow
それはお前にやるよ、回しな、火をつけて煙を吐き出せ

Imagery abstract, it's like NASDAQ
抽象的なイメージ、まるでナスダック(NASDAQ)みたいだ

When I stock it up and then go
株(ストック)を溜め込んで、そこから一気に上昇するんだ
※自分の頭の中のビジョンが複雑で抽象的であることを、アメリカの株式市場(NASDAQ)のチャートに例えている。「Stock it up」には「株を買う」と「財産/武器/ドラッグを溜め込む」の二重の意味がある。

Packed it up and moved to Goldman Sachs
荷物をまとめて、ゴールドマン・サックスへ乗り込む

My nigga Yeezy done taught me that
ダチのイージー(カニエ・ウェスト)が俺にそれを教えてくれたんだ
※カニエ・ウェスト(Yeezy)はヒップホップをストリートのビジネスから、ウォール街(ゴールドマン・サックス)に匹敵する超一流の企業ビジネスへと昇華させた。トラヴィスもその薫陶を受け、単なるラッパーではなく実業家・ビジョナリーとして頂点を目指している。

Young niggas in the Soho house
ソーホー・ハウスに集まる若き黒人たち
※「Soho House」はクリエイターやセレブリティだけが入会できる世界的な超高級メンバーズクラブ。ストリート出身の若者がそこに出入りしているという成功の証。

Spillin' booze wherever the Barbie at
バービー人形(みたいなイイ女)がいる場所ならどこでも酒をぶちまけるぜ

Damn homie, this a movie nigga
なぁ兄弟、これはまるで映画の世界だぜ

Take a picture of somethin', where your Kodak at?
何かの写真を撮りなよ、お前のコダック(カメラ)はどこにあるんだ?

If Scottie ain't totin' or swimmin' in women
もしスコッティが銃を持ち歩いたり、女の海を泳いだりしていない時は

He writin', producin' and scorin' and filmin' it
俺は曲を書き、プロデュースし、映画のスコアを作り、それを撮影してるのさ
※ただのギャングスタやプレイボーイではなく、楽曲制作から映像監督までこなす完璧なクリエイター(Auteur)であるという、トラヴィス・スコットのアイデンティティの核心を突く見事なライン。

[Chorus: Travis Scott]

These choppers and these planes
チョッパー(ヘリコプター)と飛行機

They all doin' the same, they take me overseas
どれも役割は同じだ、俺を海外へと連れ出してくれる

M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-I-M-I-M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-MI

These choppers and these planes
チョッパー(ヘリコプター)と飛行機

They all doin' the same, they take me overseas
どれも役割は同じだ、俺を海外へと連れ出してくれる

M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-I-I

M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-I-M-I-M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-MI

M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-I-I

[Outro]

M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-I-M-I-M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-MI

M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-I-M-I-A

M-I-A-MI-M-I-M-I-A-I-I