Artist: Travis Scott (feat. A$AP Ferg)
Album: Owl Pharaoh
Song Title: Uptown
概要
トラヴィス・スコットの初期作『Owl Pharaoh』に収録された本作は、テキサス州ヒューストンのダークなスクリュード・サウンドと、ニューヨーク・ハーレム(Uptown)の荒々しいストリートの空気が見事に融合したバンガーである。客演にはA$AP Mobの特攻隊長であるA$AP Fergを迎え、両者の狂気的なエネルギーがぶつかり合う。当時若干16歳だった天才プロデューサー、ワンダガール(Wondagurl)との共同制作によって生み出された不気味なベースラインと儀式的なドラムは、カニエ・ウェストの「Monster」の系譜を継ぎつつ、トラヴィス自身の「La Flame」というダークヒーロー的なペルソナを決定づけた。ヒューストンのリーン(咳止めシロップ)文化とハーレムのドラッグ・ハッスルが交錯し、のちのヒップホップ・シーンを席巻するトラップ・サウンドの青写真がここにある。
和訳
[Intro: Travis Scott]
Uh
あぁ
Mm
んー
[Chorus: Travis Scott & A$AP Ferg]
I'm ridin' up uptown (Woo)
アップタウンへと車を走らせる(ウー)
※「Uptown」はニューヨークのハーレム地区やブロンクスを指す。A$AP Fergの地元であるハーレムに向かって車を走らせている情景であり、同時にサウス(南部)出身のトラヴィスが東海岸のカルチャーと交わることを象徴している。
I'm a motherfuckin' monster (Woo)
俺はマジでバケモンだぜ(ウー)
One hand on the wheel, one hand on my dick
片手はハンドルに、もう片方の手は俺のイチモツを掴んでる
※運転中の極度なリラックス状態や、傍若無人な態度を示すフレックス。「Monster」としての傲慢さと、誰にも媚びないロックスター的なライフスタイルを表現している。
I'm a motherfuckin' monster (Woo)
俺はマジでバケモンだぜ(ウー)
You ridin' up uptown (Woo)
お前もアップタウンへ向かってるんだろ(ウー)
One hand on the wheel, one hand on my dick, uh (Woo, woo, woo)
片手はハンドルに、もう片方の手は俺のイチモツを掴んでる(ウー、ウー、ウー)
[Verse 1: Travis Scott]
At the green light, I'm speedin'
青信号でぶっ飛ばす
Fourth wheel on, I'm weavin'
四輪バイクに乗って、車線を縫うように走るぜ
※「Fourth wheel」は四輪バギー(ATV)のこと。ヒップホップ、特にラフ・ライダーズや南部のストリートカルチャーにおいて、公道でATVを乗り回すのは反逆的なフレックスの一つである。
I got red eyes and swag seizures
目は真っ赤で、スワッグのあまり発作を起こしそうだ
※「red eyes」はウィード(大麻)を吸って血走った目のこと。「swag seizures(スワッグによる発作)」は、自身の溢れ出るスタイル(Swag)や、リーン(コデイン)などのドラッグの過剰摂取によって体が痙攣(seizure)するほど極限状態にあることを示すダークなメタファーである。
All my concerts fillin' them bleachers
俺のライブは観客席(ブリーチャー)までパンパンだぜ
Ooh, girl, with this camo' on, they can't see us
なぁガール、この迷彩服を着てりゃ、奴らには俺たちが見えねえよ
※当時BAPE(A Bathing Ape)などのカモフラージュ柄がストリートで大流行していた。ファッションのフレックスと、「迷彩だから見えない」という古典的なジョークを交えたライン。
Tossed in a lil' more dank and a lil' more drank than La Flame might need
ラ・フレイムが必要とする以上に、極上のウィード(ダンク)とコデイン(ドランク)を放り込んだ
※「dank」は高品質の大麻、「drank」はプロメタジン・コデイン入りの咳止めシロップ(リーン)。自分の限界を超えてドラッグを摂取し、自らを「Monster」へと変貌させる儀式的な描写である。
Tito Puente with the candy top
ティト・プエンテみたいに、キャンディー塗装の車を乗り回す
※ティト・プエンテ(Tito Puente)は「マンボの王様」として知られる伝説的なラテン・パーカッション奏者で、スパニッシュ・ハーレム(Uptown)の象徴的人物。彼の軽快なリズムと、テキサス特有の「Candy top(キャンディーペイントを施したローライダー)」を掛け合わせ、地域間のカルチャーをミックスしている。
Fuck around, make the Latinas pop (Mm)
遊び回って、ラティーナのギャルたちを興奮させるんだ(んー)
※スパニッシュ・ハーレムの文脈から、ラテン系の女性(Latinas)を惹きつけるというプレイボーイ的なアピール。
It's a new world order (Mm)
新世界秩序(ニュー・ワールド・オーダー)の始まりだ(んー)
※既存のヒップホップのルールを破壊し、自分たちが新たなシーンの支配者になるという野心。
Never had my head on my shoulders, uh
俺の頭がまともに肩の上に乗ってたことなんてねえよ、あぁ
※常にドラッグでハイになっていて「首から上が吹っ飛んでいる(イカれている)」状態であることの比喩。
Beware of the monsters
モンスターたちには気をつけな
Ain't that what your preacher told ya? (Uh)
教会の牧師がそう教えてくれただろ?(あぁ)
La Flame, five hundred degrees
ラ・フレイム、500度の灼熱だ
※Juvenileの1999年の大ヒットアルバム『400 Degreez』や、Lil Wayneの『500 Degreez』へのオマージュ。南部ヒップホップのレジェンドたちを引き合いに出し、自分が最も熱い存在(Flame)であることを誇示している。
From the uptown to the Magnolia
アップタウンからマグノリア・プロジェクトまでな
※ニューヨークの「Uptown」と、ニューオーリンズの悪名高い公営住宅「Magnolia Projects(キャッシュ・マネー・レコードの発祥の地)」を結びつけるパンチライン。東海岸から深南部まで、自分のストリートのプロップス(支持)が全米に轟いていることを宣言している。
[Chorus: Travis Scott]
I'm a motherfuckin' monster (Woo)
俺はマジでバケモンだぜ(ウー)
I'm a motherfuckin' monster (Woo)
俺はマジでバケモンだぜ(ウー)
Uh, I'm ridin' up uptown (Woah)
あぁ、アップタウンへと車を走らせる(ウォウ)
I'm a motherfuckin' monster (Woo)
俺はマジでバケモンだぜ(ウー)
One hand on the wheel, damn (Uh, mm)
片手はハンドルに、クソッ(あぁ、んー)
[Verse 2: Travis Scott & A$AP Ferg]
"Damn, you gorgeous", tell me something I don't know
「マジでゴージャスね」なんて、俺の知らないことを教えてくれよ
※女性から褒められても「そんなことは分かりきってる」と返す、傲慢な自信。
Dice on the corner with the lights low
薄暗い街角でダイス(サイコロ)を振る
※ストリートでのギャンブル(クラップスなど)の情景。
Got the base in my sock, fuck the 5-0
靴下にコカインの塊を隠してる、サツなんてクソ喰らえだ
※「base」はフリーベース・コカイン(クラック・コカイン)のこと。「5-0」は警察(ドラマ『Hawaii Five-O』に由来)を指すスラング。
Damn, you conscious, gon' get your head off the plate, though
クソ、お前は意識高い系か、ならその首を皿から退けてもらうぜ
※「conscious」はコンシャス・ラップ(社会派ラップ)を好むような真面目な層を指す。「head off the plate」はおそらく、首を撥ねて皿に乗せる(処刑する)という残酷な脅し文句であり、自分の狂気的な「Monster」の世界線には合わない連中を排除する意思表示。
Let me show you lil' Yamamoto, take a lil' lick of the mayo
ちょっとしたヤマモトを見せてやる、マヨを少し舐めてみな
※「Yamamoto」は世界的な日本人デザイナー、山本耀司(Yohji Yamamoto)のブランド(Y-3など)を指す。ハイファッションへの傾倒。「mayo」はマヨネーズの色から、純白のコカインを意味するストリート・スラング。高級ブランドで着飾りながらドラッグを売り捌くという強烈なコントラスト。
Out on 135th, spendin' them pesos
135丁目でペソ(金)を散財してるぜ
※「135th」はA$AP Fergの地元であるニューヨーク・ハーレムの135丁目。「pesos」はスペイン語で通貨を指し、A$AP Mobの初期の代表曲「Peso」へのシャウトアウトでもある。
Tell my nigga Fergie Ferg, "Keep the back locked", c'ause we got a lil' bit of Tango (Yeah)
ダチのファーギー・ファーグに「後ろを警戒しとけ」って伝えるんだ、俺たちには少しばかりタンゴ(敵)がいるからな(イェー)
※「Tango」は軍事用語や警察用語の「Tango(=Target、標的、敵)」を意味する。ドラッグの取引やストリートでの諍いにおいて、Fergに背後の警戒(バックアップ)を頼んでいる。
Real nigga from the South to the East of Philly, nigga
サウスからフィリーのイーストまで、リアルな野郎だぜ
※テキサス(South)からフィラデルフィア(East)など、東海岸のリアルなハスラーたちとの繋がりを強調している。
Bangin' wax since a nigga get a wait, take a little taste
一丁前になった頃からワックスをキメてる、ちょっと味わってみな
※「wax」は高濃度のTHC(大麻成分)が詰まった大麻ワックス(ダブ)のこと。
Leave you numb feelin' in the face
顔面の感覚が麻痺するくらいにな
I'll pass if that pint ain't sealed, I'll make your weekend hell
そのパイント(コデインの瓶)の封が切られてるならパスだ、お前の週末を地獄にしてやるよ
※パイント(約473ml)の咳止めシロップを買う際、未開封(sealed)でないものは偽物や水増しの危険があるため絶対に手を出さないという、ストリートの厳格なルール。偽物を掴ませようとした売人には報復するという脅し。
XX know that we gon' die for this and probably keep it trill, mm
俺たちがこれに命を懸けてるって奴らは分かってる、多分ずっとリアルでい続けるさ、んー
※「XX」はアルバムの元々のタイトル候補だった『XX』や、彼らの親しいクルーを指すと考えられる。「trill」は「True」と「Real」を合わせた南部特有のスラング。ヒューストンの伝説的ラッパーPimp Cが広めた言葉で、テキサス出身のトラヴィスにとって重要なアイデンティティ。
Chain links, by nigga, popular demand, nigga
極太のチェーン・ネックレス、俺の周りの野郎共、圧倒的な人気だぜ
My bitch pearls from the clams, nigga
俺のビッチの真珠は、クラム(貝)から取り出した本物だぜ
She can ride the dick, no hands, mm
あの子は手を使わずにイチモツに乗れるんだ(んー)
[Chorus: Travis Scott]
While I'm ridin' uptown (Woo, haha, woo)
俺がアップタウンへ車を走らせてる間にな(ウー、ハハ、ウー)
I'm a motherfuckin' monster (Woo, mm, woo)
俺はマジでバケモンだぜ(ウー、んー、ウー)
[Interlude: A$AP Ferg]
Huh
ハッ
[Verse 3: A$AP Ferg]
It's that young Fergenstein (Little Frankenstein)
若きファーゲンシュタインの登場だ(リトル・フランケンシュタイン)
※トラヴィスの「Monster」というテーマに合わせ、A$AP Fergが自身をフランケンシュタインの怪物をもじった「Fergenstein」と名乗っている。
Pockets full of Benji Franklins, teacher, stay in line (Yeah)
ポケットにはベンジャミン・フランクリンがパンパンだ、先生、列を乱すなよ(イェー)
※「Benji Franklins」は100ドル札(ベンジャミン・フランクリンの肖像)のこと。「teacher(先生)」と呼びかけることで、自分が富の面で教える立場にあり、他者に説教や指示(stay in line)を出せるほど成功していることを誇示。
Can not take a break, in time, I'll take ya shine
休んでる暇はねえ、そのうちお前の輝き(スポットライト)も奪ってやるよ
Take your bitch, hit it from the back, I'll break her spine (Yeah)
お前のビッチを奪って、後ろからヤッて、背骨をへし折ってやる(イェー)
※ヒップホップにおける典型的な誇張された性的フレックス。
I'm a lady, your bitch look like Shanaynay (Yeah)
俺はレディ(上等な女)を連れてるが、お前のビッチはシャネイネイみたいだな(イェー)
※「Shanaynay(Sheneneh)」は90年代の人気シットコム『Martin』でマーティン・ローレンスが女装して演じた、ガサツでうるさいステレオタイプなスラムの女性キャラクター。相手の女性のルックスと品性を強烈にディスしている。
Margiela so cold, feel like Tommy gettin' his payday (Wow)
マルジェラがクールすぎて、まるで給料日を迎えたトミーみたいな気分だぜ(ワオ)
※「Margiela」は高級ブランドのメゾン・マルジェラ。「Tommy」は映画『Martin』の登場人物トミー・ストローン(定職に就いていないとよくいじられていた)が、珍しく給料日を迎えて得意げになっている様子を掛け合わせた巧みな言葉遊び。
Goin' nuts like a Payday (Wow), bitches thinkin' I'm crazy (Yeah)
「ペイデイ(PayDay)」みたいにナッツになり(イカれ)そうだ(ワオ)、ビッチ共は俺が狂ってると思ってるぜ(イェー)
※「PayDay」はピーナッツ(Nuts)がぎっしり詰まったアメリカの有名なキャンディバー。英語のスラング「Goin' nuts(気が狂う、大暴れする)」と、お菓子のナッツを掛けた秀逸なダブルミーニング。
My fraternity is the burna heat (Wow), I'm a Kappa nigga with an AK-ay (Yeah)
俺のフラタニティ(友愛組織)は銃の熱だ(ワオ)、俺はAKを持ったカッパのメンバーだぜ(イェー)
※「fraternity」はアメリカの大学の男子学生クラブ。「Kappa(Kappa Alpha Psi)」は歴史ある黒人のフラタニティで、杖(ケイン)を回すステッピング(ダンス)で有名。ここでは杖の代わりに「AK-47(アサルトライフル)」を振り回すギャングスタ版のフラタニティとして自身の所属(ASAP Mob)の凶暴性をアピールしている。
Barkin' loud like Q-Dogs (Woo), movin' niggas like U-Hauls (Woo)
キュー・ドッグスみたいに大声で吠え回る(ウー)、ユーホールのトラックみたいに奴らを引越し(退場)させてやるよ(ウー)
※「Q-Dogs(Omega Psi Phi)」も有名な黒人フラタニティで、メンバーが犬のように吠えるパフォーマンスが特徴。彼らのような獰猛さで敵を威嚇し、「U-Haul(アメリカの大手引越しレンタルトラック)」のように敵を根こそぎ別の場所へ強制移動(排除)させるというパンチライン。
Pussy niggas so RuPaul (Wow), you pussies get me tight like blue balls
女々しい野郎共はまるでル・ポールだな(ワオ)、お前らのおかげでブルーボールズみたいにイライラ(窮屈)するぜ
※「RuPaul」は世界的に有名なドラァグクイーン。タフぶっているだけのフェイクなラッパーたちを女装家だと揶揄している。「blue balls」は性的興奮が満たされず睾丸が鬱血して痛む状態(欲求不満)。軟弱な連中を相手にしているとフラストレーションが溜まって爆発しそうになるというA$AP Ferg特有の過激なユーモア。
(Woo, woo, woo, woah)
(ウー、ウー、ウー、ウォウ)
[Outro: Travis Scott]
I'm ridin' up uptown
アップタウンへと車を走らせる
I'm a motherfuckin' monster
俺はマジでバケモンだぜ
I'm ridin' up uptown (Mm, woo, mm)
アップタウンへと車を走らせる(んー、ウー、んー)
Hand on my dick
片手は俺のイチモツに
I'm ridin' up uptown
アップタウンへと車を走らせる
