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luther - Kendrick Lamar & SZA 【和訳・解説】

Artist: Kendrick Lamar & SZA

Album: GNX

Song Title: luther

概要

アルバム『GNX』の中盤に配置された「luther」は、Kendrick LamarとSZAというTDE(Top Dawg Entertainment)黄金期を支えた両雄による待望のコラボレーション楽曲である。タイトル「luther」はソウル・レジェンドのルーサー・ヴァンドロス(Luther Vandross)を示唆しており、マーヴィン・ゲイの古典的名曲でルーサーもカバーした「If This World Were Mine」を大胆に引用・サンプリングしている。苛烈なビーフやヒップホップ業界への怒りを吐き出す本作の中で、この楽曲はパートナーへの献身や「コンクリートに咲く薔薇」のようなストリートの純愛を描くオアシス的な役割を果たす。しかし同時に、「Not Like Us」を彷彿とさせるヘイターへの冷酷なラインも健在であり、R&Bのスウィートな音像とギャングスタの凄みが完璧なバランスで融合した傑作として、RedditやGeniusのリスナー間で高く評価されている。

和訳

[Intro]

If this world were mine
もしこの世界が俺のものなら
※マーヴィン・ゲイとタミー・テレルによる1967年の名曲「If This World Were Mine」からの直接的な引用。タイトルが示す通り、1982年にルーサー・ヴァンドロスとシェリル・リンがカバーしたR&Bクラシックへの深いオマージュとなっている。

[Verse 1: Kendrick Lamar]

Hey, Roman numeral seven, bae, drop it like it's hot
なあ、ローマ数字の7(VII)、ベイビー、熱いうちに落としな
※「ローマ数字の7(VII)」については複数の深い考察が存在する。一つは、ケンドリックのキャリアにおける7作目のメジャープロジェクトとしての『GNX』を指す説。もう一つは、キリスト教において「7」が完全・完璧を意味することから、彼の長年のパートナーであるホイットニー・アルフォードへの絶対的な愛と敬意を表しているという説だ。「Drop it like it's hot」は同郷コンプトンのレジェンド、スヌープ・ドッグの大ヒット曲へのシャウトアウトである。

If this world was mine, I'd take your dreams and make 'em multiply
もしこの世界が俺のものなら、君の夢を奪って何倍にも膨らませてやる

If this world was mine, I'd take your enemies in front of God
もしこの世界が俺のものなら、君の敵を神の前に引きずり出してやる
※愛する者を守るためなら、敵対者を「神の前(=死後の世界)」に送ることも辞さないという、ギャングスタ・ラップ的な究極の愛情表現。

Introduce 'em to that light, hit them strictly with that fire
あいつらにあの光を拝ませて、容赦なく銃火(ファイア)を撃ち込んでやるよ

Fah-fah, fah-fah-fah, fah-fah, fah
ファッファッ、ファッファッファッ、ファッファッ、ファ
※発砲音のオノマトペ。スウィートなR&Bのトラック上で唐突に銃声を響かせることで、ロマンティックなムードと常に隣り合わせにある過酷なストリートの死生観・緊張感を演出している。

Hey, Roman numeral seven, bae, drop it like it's hot
なあ、ローマ数字の7(VII)、ベイビー、熱いうちに落としな

If this world was mine, I'd take your dreams and make 'em multiply
もしこの世界が俺のものなら、君の夢を奪って何倍にも膨らませてやる

If this world was mine, I'd take your enemies in front of God
もしこの世界が俺のものなら、君の敵を神の前に引きずり出してやる

Introduce 'em to that light, hit them strictly with that fire
あいつらにあの光を拝ませて、容赦なく銃火(ファイア)を撃ち込んでやるよ

It's a vibe, do your dance, let 'em watch
いいバイブスだ、踊りなよ、奴らに見せつけてやれ

She a fan, he a flop, they just wanna kumbaya, nah
あの女はただのファン、あいつはオワコン、奴らはただ仲良く(クンバヤ)したいだけ、あり得ねえな
※歴史的ディス曲「Not Like Us」での「He a fan, he a fan...」というパンチラインを意図的にセルフサンプリングしている。「he a flop(あいつはオワコン)」はDrakeを指しており、ビーフの後に「kumbaya(キャンプファイヤー等で歌われる平和の歌=偽善的な和解や平和アピール)」を求めてくる業界の同業者たちを「nah(絶対にない)」と冷酷に突き放している。

[Chorus: SZA, SZA & Kendrick Lamar]

In this world, concrete flowers grow
この世界じゃ、コンクリートの中からでも花が育つんだ
※2Pacの有名な詩集『The Rose That Grew from Concrete(コンクリートから咲いた薔薇)』からの引用。過酷なゲットーの環境(コンクリート)からでも、美しさや成功(花)は生まれるというヒップホップにおける重要なメタファーをSZAがエモーショナルに歌い上げている。

Heartache, she only doin' what she know
胸の痛み、彼女は自分の知ってる生き方をしてるだけ

Weekends, get it poppin' on the low
週末には、こっそりとブチ上がるのさ

Better days comin' for sure
もっといい日々が確実にやって来る

If this world were—
もしこの世界が—

If it was up to me
もし私次第なら

I wouldn't give these nobodies no sympathy
あんな雑魚どもに同情なんか一切しないわ

I'd take away the pain, I'd give you everything
あなたの痛みを奪い去って、すべてを与えてあげる

I just wanna see you win, wanna see
ただあなたの勝つ姿が見たいの、見たいのよ

If this world were mine
もしこの世界が私のものなら

[Verse 2: Kendrick Lamar & SZA]

It go in (When you), out (Ride it), do it real slow (Slide)
入って(あなたが)、出て(乗って)、ゆっくりとヤる(スライドする)
※ケンドリックとSZAによるコール・アンド・レスポンス。ベッドルームでの親密なやり取りを表現しつつ、90年代のR&Bデュエット曲が持っていた官能的なバイブスを見事に現代に蘇らせている。

Baby, you a star, strike, pose
ベイビー、お前はスターだ、キメてみな、ポーズをとれ

When I'm (When you), with you (With me), everything goes (Slow)
俺が(あなたが)、君といる時(私といる時)、すべてが(ゆっくりと)進んでいく

Come and (Put that), put that (On my), on my (Titi), soul (Soul)
こっちに来て(それを)、それを誓ってくれ(私の)、叔母さんの(ティティの)、魂にかけて(魂に)
※"Titi"(ティティ)は黒人コミュニティ等で「Auntie(叔母)」を意味する親愛を込めた呼称。「On my Titi soul」はストリートで誓いを立てる際の「亡き家族の魂に誓って」という強い表現であり、2人の絆が絶対的であることを示している。

'Rari (Red), crown (Stack), wrist (Stay), froze (Really)
フェラーリ(赤色)、王冠(札束)、手首(常に)、凍りついてる(マジで)
※成功の象徴である高級車、権力、アイス(ダイヤモンドの時計)を羅列しているが、SZAのコーラスと絡み合うことで単なるフレックス(自慢)ではなく、共に戦い掴み取った勝利の証として機能している。

Drip (Tell me), pound (If you), on the way home (Love me)
ドリップして(教えて)、突き上げる(もしあなたが)、家へ帰る途中で(私を愛してるなら)

[Chorus: Kendrick Lamar & SZA]

In this world, concrete flowers grow
この世界じゃ、コンクリートの中からでも花が育つんだ

Heartache, she only doin' what she know
胸の痛み、彼女は自分の知ってる生き方をしてるだけ

Weekends, get it poppin' on the low
週末には、こっそりとブチ上がるのさ

Better days comin' for sure
もっといい日々が確実にやって来る

If this world were—
もしこの世界が—

If it was up to me
もし私次第なら

I wouldn't give these nobodies no sympathy
あんな雑魚どもに同情なんか一切しないわ

I'd take away the pain, I'd give you everything
あなたの痛みを奪い去って、すべてを与えてあげる

I just wanna see you win, wanna see
ただあなたの勝つ姿が見たいの、見たいのよ

If this world were mine
もしこの世界が私のものなら

[Verse 3: Kendrick Lamar & SZA]

I can't lie
嘘はつけないな

I trust you, I love you, I won't waste your time
君を信じてる、愛してる、君の時間を無駄にはしないよ

I turn it off just so I can turn you on
君をその気(オン)にさせるためだけに、俺はスイッチをオフにするんだ
※スーパースターでありラップの王者である「ケンドリック・ラマー」としてのスイッチを切り、ただの一人の男として愛するパートナーと向き合うという、深い誠意に満ちた愛情表現。

I'ma make you say it loud
大声で叫ばせてやるよ

I'm not even trippin', I won't stress you out
俺は取り乱したりしない、君にストレスなんか与えないさ

I might even settle down for you, I'ma show you I'm a pro
君のためなら身を固めてもいい、俺がプロだってことを証明してやるよ

I'ma take my time and turn it off
時間をかけて、スイッチをオフにする

Just so I can turn you on, baby
君をその気にさせるためだけにな、ベイビー

Weekends, get it poppin' on the low
週末には、こっそりとブチ上がるのさ

Better days comin' for sure
もっといい日々が確実にやって来る

[Outro: SZA]

I know you're comin' for
分かってるわ、あなたが来てくれるって

Better days
もっといい日々が

If this world were mine
もしこの世界が私のものなら

 

GNX

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