Artist: Lil Wayne
Album: Tha Carter II
Song Title: Feel Me
概要
2005年リリースの名盤『Tha Carter II』の終盤を飾る本作は、ジャーナリストによるインタビューに答える形式のインタールードを交えながら進行する、非常に自己言及的でコンセプチュアルなトラックである。Doe Boyzによるミニマルで緊迫感のあるビートに乗せ、Wayneは自身の原動力(モチベーション)が「金」と「ストリート(フッド)」にあることを明確に宣言する。当時、東海岸を中心としたヒップホップ・メディアからの南部ラッパーへの偏見や「リリシズムの欠如」という批判に対し、彼自身の圧倒的なスキルとストリートでのリアルな経験をもって反論している。ハリケーン・カトリーナ後のニューオーリンズへの言及や、自身を「病気(白血病やインフルエンザ)」に例える狂気的なメタファーなど、彼が「現役最高のラッパー(Best Rapper Alive)」としての自覚と覚悟を決定づけた重要なマニフェストである。
和訳
[Intro]
So, Lil Wayne, what's your motivation?
「それで、Lil Wayne、あなたのモチベーション(原動力)は何ですか?」
※女性インタビュアーからの質問形式で楽曲がスタートする。ヒップホップメディアからの典型的な質問に対する、Wayneの苛立ちと傲慢さがここから展開される。
Is that really a question? (Yeah, shawty)
それ、マジで聞いてるのか?(あぁ、嬢ちゃんよ)
Do you really have that written down in your notepad? (You already)
本当にそのノートにそんな質問を書き留めてきたのか?(分かってんだろ)
You should be ashamed of yourself (C2)
恥を知った方がいいぜ(Carter 2だ)
You smell me, girl, I smell like money (Why not? What's better?)
俺の匂いが分かるか、ガール。俺からは金の匂いがするだろ(他に何がある? 金よりマシなものがあるか?)
※「You smell me」は「俺の言ってることが分かるか?」というスラング「You feel me? / You hear me?」のバリエーション。それに「匂い」という文字通りの意味をかけ、自分から放たれる圧倒的な富(金)の匂いを嗅がせている。
See, that's what they don't understand (Not a goddamn thing)
ほら、奴らはそこんところが分かっちゃいねえんだ(何一つな)
To me, it was always get money or die (Yeah)
俺にとっては、いつだって「金を稼ぐか、死ぬか」の二択だった
I come up under Birdman, the Number One Stunna, you know what I mean?
俺は「ナンバーワン・スタナ(大金持ち)」こと、Birdmanの元で育ったんだ。意味分かるだろ?
※Cash Money Recordsの創始者であり、Wayneの「父親」的存在であるBirdman(Baby/Stunna)の徹底した資本主義的(金第一主義的)な教育を受けて育った生い立ち。
I'm Stunna Jr. (Yeah), and that's all I know, that's all I ever knew
俺は「スタナ・ジュニア」だ。俺が知ってるのはそれだけさ、それしか教わってこなかった
Get money or get nothing, you know what I'm saying? (I feel)
金を稼ぐか、何も得られないか。俺の言ってること分かるか?(感じてるぜ)
And I feel that way (I feel it), for real
俺はマジでそう感じてるんだよ
[Verse 1]
So hard I go, I keep pushing (Yeah)
だから俺はハードに攻める、プッシュし続けるんだ
The game so crazy, I'm in it like deep pussy (Yeah)
このゲームは狂ってる。俺はその奥深くまで入り込んでるぜ、深いプッシーみたいにな
※ラップゲーム(ヒップホップ業界やストリートのビジネス)に完全に没入している状態を、セックスに例えたストリート特有の表現。
I got chip from tryna get the whole cookie
クッキーを丸ごと手に入れようとしたら、欠片(チップ)しか手に入らなかった
※「Cookie」は莫大な富や成功の全体。「Chip」は金銭や少額の利益。すべてを独占しようとする強欲さ(ハングリー精神)と、その過程で得るもの(あるいは失うもの)の比喩。チョコチップクッキーともかけている。
Used to make a thousand dollars every time I played hooky (Yeah)
学校をサボる(hooky)たびに、1000ドル稼いでたもんさ
※10代前半でCash Moneyと契約し、学校を辞めてストリートとラップで大金を稼いでいた過去のフレックス。
Dwayne Carter absent, keep lookin' (Bitch)
ドウェイン・カーター(本名)は欠席だ。探し続けな(ビッチ)
I'm present on the block, I'm a legend on the block (Yeah)
俺はブロック(ストリート)には出席してるぜ、ブロックの生ける伝説さ
Ice so bright like heaven on the watch (Yeah)
時計に乗ったアイス(ダイヤ)は、天国みたいに輝いてる
Yeah, nigga, I done dropped one-eleven on the watch (Uh)
あぁ、俺は時計一つに11万ドル(one-eleven)も注ぎ込んだからな
※約1000万円以上する超高級時計のフレックス。
So watch and see what I do (Yeah, yeah)
だから俺のやる事を見て(watch)な
※前のラインの「watch(時計)」と「watch(見る)」のワードプレイ。
Breeze by you so fast, got you sneezin', hachoo
お前らの横を猛スピードで通り過ぎる(ブリーズ)ぜ、クシャミが出るだろ、ハックション!
※「Breeze」は冷たい風。他のラッパーを置き去りにして猛スピードで駆け抜けるため、その風圧(冷気)で風邪を引かせてクシャミ(hachoo)をさせるというコミカルかつ秀逸なパンチライン。
They got the shivers, man, I got the fever
奴らは震え上がってるぜ。俺は熱(フィーバー)を持ってるからな
※「風邪」のメタファーの継続。ヘイターは恐れと寒さで震え(shivers)、自分は最高にホット(fever=熱狂、才能の爆発)であるという対比。
I gotta bring the hood back after Katrina
ハリケーン・カトリーナの後に、俺がフッドを復興させなきゃならねえ
※2005年8月に地元ニューオーリンズを壊滅させたハリケーン・カトリーナへの言及。このアルバムはその直後にリリースされており、自分が街の希望としてフッドを背負って立つという決意表明。
Weezy F Baby, now the F is for FEMA
Weezy F Baby、今の俺の「F」はFEMA(連邦緊急事態管理庁)のFさ
※Wayneのお決まりのフレーズ「Weezy F BabyのFは〇〇のFだ」。ここでは、カトリーナ被災時の対応の遅れで猛批判を浴びた政府機関「FEMA」を引き合いに出し、機能不全のFEMAに代わって、俺(Weezy)がフッドを救済する存在になるという強烈なポリティカル・パンチライン。
Sick nigga, bitch, I spit that leukemia (Bitch)
俺は病的な(最高にヤバい)ニガだ。ビッチ、俺の吐き出すラップは白血病(ルケミア)レベルさ
※「Sick」は「病気」と「最高にイケてる」のダブルミーニング。自分のラップの威力を、不治の病である白血病の致死性に例えたダークなフレックス。
Yeah, no cure, no help
あぁ、治療法もなけりゃ、助けもねえ
So me, so good, so hard, so felt
これが俺だ、最高で、ハードで、心に突き刺さるだろ
Feel me
俺を感じろ(俺の言ってることが分かるか?)
[Interlude]
And that's just my point right there
まさに俺が言いたいのはそこなんだ
That's what I'm always trying to stress, know what I'm saying?
俺がいつも強調しようとしてるのはそこさ、分かるか?
If you don't understand me, if you don't feel me, then you ain't real
もし俺を理解できねえなら、俺を感じられねえなら、お前はリアルじゃねえってことだ
In my eyes, and that's all that count to me, you know?
俺の目から見ればな。そして俺にとって重要なのはそれだけさ。
So, is your music considered the voice of urban America or America period?
「では、あなたの音楽はアーバン・アメリカ(黒人層やストリート)の代弁者だとお考えですか? それともアメリカ全体の声ですか?」
I mean, I would say the voice of the hood 'cause that's who I speak for
俺はフッドの声(代弁者)だと言うね。だって俺が語りかけてるのは彼らだからな
And myself, you know what I mean? My family, that's who I represent
それに俺自身のためさ。俺の家族、俺がレペゼンしてるのはそこだ
My homies (Yeah), my girl, my life, you know?
俺のダチ、俺の女、俺の人生さ。
[Verse 2]
C'mon, bang this shit, nigga, pump my shit (Yeah)
カモン、この曲をガンガン鳴らせ。ボリュームを上げろ
You gotta bang that wimp and go and dump that bitch (Yeah)
あの弱虫(ヘイター)をブチのめして、あのビッチを捨てちまえ
You gotta claim that strip and go and flood that bitch (Yeah)
あのストリップ(通り)を自分の縄張りにして、商品を氾濫させろ
※「Flood」はドラッグ(商品)を市場に大量に供給して独占すること。
You gotta aim that shit and straight bust that shit
銃の狙いを定めて、真っ直ぐにブッ放すんだ
Like motherfuck them niggas, what they wan' do? I'm ready
あんな奴らクソ食らえだ。奴らはどうしたいって? 俺はいつでも準備できてるぜ
Tevin Campbell, no homo, black Rambo (Yeah, yeah)
テヴィン・キャンベルさ(ノー・ホモ)、俺は黒いランボーだ
※Tevin Campbellの1993年の大ヒット曲「Can We Talk(俺たち話せるかな?/お近づきになれないかな?)」にかけて、「俺とやれるもんならやってみろ(Can We Talk?)」と敵を挑発している。ただしTevin Campbellが男性であるため、同性愛的な意味合い(男に声をかける)を否定するために「no homo」と付け加え、直後に自分は武装した「黒いランボー」であると男性性を強調している、当時のヒップホップ特有のややこしい言い回し。
Fuckin' with the boy, baby, that's a gamble (Yeah)
この俺に手を出そうなんて、それはギャンブルだぜ、ベイビー
If he won in Vegas, leave him on the crap table (Come on)
もし奴がベガスで勝ったとしても、クラップスのテーブルに死体を残してやるよ
※「Crap table」はサイコロを使ったカジノのゲーム「クラップス」のテーブルと、「Crap(クソ、ゴミ)」のような死体のダブルミーニング。ギャンブル(俺に挑むこと)で運良く勝てたとしても、生きては帰さないという脅し。
I'm willing and I'm able to come run up in your stable (Yeah)
俺にはお前の家(厩舎)に乗り込んでやる意志も能力もあるぜ
Like nobody make a sound, where the paper? Where the paper?
「誰も音を立てるな。金(ペーパー)はどこだ? 金はどこだ?」ってな
※強盗(ホームインベージョン)のシーンを演じている。
Gotta get it, gotta have it (Yeah), once I got it, I'ma spend it (Yeah)
どうしても手に入れなきゃならねえ。そして手に入れたら、全部使ってやる
Then it's back to doing any damn thing just to get it (Yeah)
そしたらまた、金を手に入れるためならどんな事でもやる生活に戻るのさ
※手に入れた大金を派手に使い果たし、また危険なハッスルに戻るという終わりのないストリートの資本主義のサイクル。
The re-ups be like birthday parties (Huh?)
再仕入れ(リーアップ)の時は、まるで誕生日パーティーみたいだぜ
※「Re-up」はドラッグの在庫を再仕入れすること。大量の「商品」が届き、大金が動く高揚感をパーティーに例えている。
No room to park the cars in the garages (Huh?)
ガレージには車を停めるスペースも残っちゃいねえ
So outside the cribs, all you see is 'Erraris
だから家の外には、フェラーリがズラリと並んでるのさ
If I ain't say it right, fuck it, I ain't foreign
もし発音が間違ってたとしても、知ったことか。俺は外国人(外車)じゃねえからな
※前のラインの「'Erraris(フェラーリのHを取り除いた発音)」にかけて、「外車の正確なイタリア語の発音なんて知らねえよ、俺はアメリカのゲットー育ちだからな」という開き直りのフレックス。
Feel me
俺を感じろ
[Interlude]
And see, that's where everybody gettin' me wrong at, you know what I mean?
ほら、そこがみんな俺のことを誤解してる部分なんだよ、分かるか?
I got that heat rock, for real
俺は本物の「ヒート・ロック(極上のヤバい音楽)」を持ってるんだ
Why do you think other rappers lack the impact of your music?
「なぜ他のラッパーたちは、あなたの音楽のようなインパクトに欠けているのだと思いますか?」
That's because they ain't got that heat rock like me, you know what I mean?
それは奴らが俺みたいな「ヒート・ロック」を持ってないからさ、分かるだろ?
They ain't spitting like me
奴らは俺みたいにラップ(スピット)できねえんだ
They spitting, but, know what I mean, they ain't got colds
奴らもラップ(ツバを吐く)はしてるが、風邪(コールド)すら引いちゃいねえ
I got the flu over here, man (Yeah), for real
こちとらインフルエンザ(フル)に罹ってんだよ、マジでな
※Verse 1の「sick(病的なほど最高)」のメタファーの続き。「Spit(ラップする/ツバを吐く)」「Cold(風邪/冷酷)」「Flu(インフルエンザ/異常なほどヤバいスキル)」という病気関連のワードプレイで、他のラッパーとの格の違いを主張している。
I need relief
俺には休息(薬)が必要だ
Y'all help me, for real (Yeah)
お前ら、マジで助けてくれよ
I know y'all sick of me, 'cause I'm tired of y'all, for real
お前らが俺に「ウンザリ(sick)」してるのは分かってる。だって俺も、お前らにマジでウンザリ(tired)してるからな
[Verse 3]
And based on the bank, I'm doin' much better than a lot of these niggas
銀行口座(の残高)を基準にすりゃ、俺はそこらのニガ共よりよっぽど上手くやってるぜ
I'm tired of these niggas
俺はこんな奴らにウンザリしてるんだ
Yawnin' when I see 'em, make me stretch and pull the burner (Yeah)
奴らを見ると欠伸(あくび)が出ちまう。背伸びをしながらバーナー(銃)を抜いてやるよ
※他のラッパーたちが退屈すぎるため欠伸が出てしまい、その退屈しのぎにリラックスした状態(stretch)で銃を突きつけてやるという余裕の描写。
I'm cockin' back and passin'
撃鉄を起こして、パスを出すぜ
They catch 'em in they sternum
奴らはそれを胸骨(みぞおち)でキャッチすることになる
※アメフトのパス(弾丸)を胸骨(sternum)で受け止める=胸を撃ち抜かれるという比喩。
Ooh-ooh, that gon' probably burn ya (Yeah)
おっと、そいつは多分お前を熱く燃やす(痛めつける)だろうな
That gon' probably learn ya (Yeah)
そいつで多分、お前も思い知る(学ぶ)だろうさ
To never, ever, ever (What?)
絶対に、二度と、絶対に(なんだって?)
Ever, ever, ever come around here no more
二度とこの辺りをうろつくんじゃないって事をな
Rich gangsters over here, you gotta die with the broke bitch
こっちは金持ちのギャングスターだ。お前らは一文無しのビッチとして死ぬ運命さ
I'm the god, I should ride with the Pope
俺は神だ。ローマ教皇と一緒に車に乗るべき存在さ
But the boy so hood, I just ride with my ho (Yeah)
だが俺は根っからのフッド育ちだからな。自分の女(ホー)と一緒に乗るだけさ
Yeah, and tell her 'bout Hollygrove
あぁ、そして彼女にホリーグローブ(地元)の話をしてやるんだ
Tell her 'bout my last show, tell her 'bout my last ho
俺の前のライブの話や、俺の昔の女の話をな
You know, just born to mack
分かるだろ、俺は生まれついてのマック(女たらし/ピンプ)なのさ
Call me Deion Sanders, bring the corner back, yeah
ディオン・サンダースと呼べ。コーナー(ストリートの角)を取り戻すぜ
※「Deion Sanders」はNFL(アメフト)の伝説的コーナーバック(Cornerback)。ストリートの角(corner)で麻薬を売る「コーナーボーイ」としての自身のルーツ(back)と、ポジション名をかけた完璧なダブルミーニング。
I'm in my prime, niggas falling back (Okay)
俺は今が全盛期(プライム)だ。他の奴らは後退していくぜ
※ディオン・サンダースの愛称が「Prime Time」であることにかけている。
That's right, I'm coming, baby, yeah, hard as crack
その通りだ、俺の時代が来るぜベイビー。あぁ、クラック(麻薬)みたいに最高にハードにな
Feel me
俺を感じろ
[Outro]
And that's just what it is, nigga (Yeah)
そしてこれが真実ってもんさ、ニガ
If you don't like my shit, then fuck you and your shit, man, straight up
もし俺の音楽が気に入らねえなら、お前もお前の音楽もクソ食らえだ。マジな話
That's how I was taught, that's how I was brought up, and that's how I'ma go down, man, for real
俺はそう教わってきたし、そう育てられてきた。そして俺はそうやって死んでいく(貫き通す)つもりさ。マジでな
Cash Money Young Money in your motherfuckin' throat, bitch
Cash MoneyとYoung Moneyを、お前らのマザーファッキンな喉の奥にブチ込んでやるよ、ビッチ
Swallow slow
ゆっくり飲み込みな
Weezy F Baby, this interview is over
Weezy F Babyだ。このインタビューはこれで終わりだ
Go to the next song, bitch
次の曲へ行け、ビッチ
