Artist: Lil Wayne
Album: Tha Carter II
Song Title: Mo Fire
概要
2005年にリリースされたリル・ウェインの傑作『Tha Carter II』に収録された本作は、ジャマイカのダンスホール・レゲエのバイブスをサウスの重厚なヒップホップに融合させた特異なトラックである。プロデューサーのYonnyが手掛けた燃え上がるようなビートに乗せ、ウェインは自身の富や圧倒的なストリートの覇権を誇示するだけでなく、亡き継父(ラビット)への敬愛や母親への想いをエモーショナルに吐露している。タイトルの「Mo Fire(もっと火を)」や「Battyman(弱虫・オカマ野郎を指すパトワ語)」など、レゲエ文化からの明白な引用が見られ、自らのドレッドヘアを「百獣の王ライオンの鬣(たてがみ)」になぞらえるなど、ラスタファリアニズムの力強いメタファーが曲全体に野生的な緊迫感を与えている。
和訳
[Intro]
Mo' fire, Weezy
もっと火(熱)をくれ、ウィージー
Mo' fire (Put yuh light inna di air)
もっと火を(お前のライターを空に掲げな)
※ジャマイカのパトワ語「Put your lighters in the air」。ダンスホールやレゲエの現場において、最高の曲やDJへのリスペクトを示すためにライターの火を掲げる定番の合図。
Mo' fire, give 'em
もっと火を、奴らにくれてやれ
Mo' fire
もっと火を
[Verse 1]
I Diddy Bop, my fifty cocked
俺はディディ・バップで歩き、50口径は発射準備完了だ
※「Diddy Bop」は肩を揺らしながらリズムに乗って歩く、ストリート特有の気取った歩き方(スワッグ)。
My city hot, I'm dodging the city cop
俺の街はホット(危険)だ、市警のポリ公をかわしてるぜ
I play 'em like Pitty Pat, yeah, I'm kicking back, yeah
ピティ・パットみたいに奴らをあしらって、俺はリラックスしてる
※「Pitty Pat」はルールが非常にシンプルなトランプゲーム。警察や敵対者を子供の遊びのように簡単に操れるという余裕の表れ。
I'm getting stacks, these bitches is really rats
札束を積み上げてるが、このビッチどもはマジでネズミ(裏切り者)だ
I fuck 'em and give 'em back, yeah, I really mack, yeah
ヤッてから送り返してやる。ああ、俺は本物のマック(ピンプ)だからな
How real is that? You love 'em, you really wack
これがリアルってやつだ。お前は女を愛してるみたいだが、マジでダサいぜ
I hustle and bend my back, my muscle is intact
背骨が曲がるほどハッスルするが、俺の筋肉(力)は健在だ
My biceps and triceps is ah, yes
二頭筋も三頭筋も、ああ、最高に仕上がってるぜ
※肉体的な強靭さだけでなく、ストリートでの軍事力や経済力が衰えていないことを誇示している。
[Chorus]
Mo' fire, Weezy
もっと火をくれ、ウィージー
Mo' fire (Put yuh light inna di air)
もっと火を(お前のライターを空に掲げな)
Mo' fire, I give 'em
もっと火を、奴らにくれてやる
Mo' fire
もっと火をな
[Verse 2]
I'm coming through in something new
新車のニューモデルに乗って通り抜けるぜ
The color is Smurf blue, I'm puffin' that purple
色はスマーフ・ブルーだ。俺はパープル(大麻)を吹かしてる
※青いキャラクター「スマーフ」のような鮮やかなカスタムペイントの車体と、上質な大麻「パープル・ヘイズ」の色彩のコントラスト。
Believe it, if I talk it, I walk it like Herschel
信じな、俺は口にしたことは必ず実行する。ハーシェルみたいにな
※「Talk the talk, walk the walk(有言実行)」という慣用句を、ジョージア大学やNFLで活躍した伝説的ランニングバック「ハーシェル・ウォーカー(Herschel Walker)」の圧倒的な走り(Walk)に掛けた秀逸なパンチライン。
I get it like it is on a commercial, first too
コマーシャルみたいに手に入れるぜ、しかも一番乗りでな
This is verse two, it is worse too
これがヴァース2だ。さっきよりさらに凶悪(ワース)だぜ
I'll murk you like I birthed you
お前を産み落としたかのように、お前の命を奪って(マークして)やるよ
※「自分がこの世に生を与えた存在なのだから、命を奪う権利もある」という、親の絶対的権力に例えた神視点の残虐なレトリック。
You niggas small bubbles (Baby), I'll burp you (Hey, hey)
お前らなんて小さな泡(赤ん坊)だ。ゲップさせてやるよ
※赤ん坊の背中を叩いてゲップ(Burp)させることと、敵を銃で撃って破裂(小さな泡を潰す)させることを掛けた言葉遊び。
And spit you out and have your girlfriend slurp you
そんでお前を吐き出して、お前の女にお前を啜らせてやる
My jewelry earth blue, some say it's earth green
俺のジュエリーは地球(アース)のようなブルー。ある奴らはアース・グリーンだと言う
※巨大なサファイアやエメラルド、ダイヤモンドが光の反射によって地球のように青や緑に輝く様子。天体規模の富のフレックス。
I'm like whatever, my shit mean and obscene
俺からすりゃ「どっちでもいい」さ。俺のブツはヤバくて卑猥(オブシーン)な輝きだからな
Now, I've been seen on a lot of different scenes
今や俺は、いろんなシーン(現場)で目撃されてる
That mean I got a lot of different cream
つまり、いろんな種類の「クリーム(金)」を稼いでるってことさ
※「Cream」はWu-Tang Clanの「C.R.E.A.M. (Cash Rules Everything Around Me)」に由来する金のスラング。
[Chorus]
Mo' fire, Weezy
もっと火をくれ、ウィージー
Mo' fire (Put yuh light inna di air)
もっと火を(お前のライターを空に掲げな)
Mo' fire, I give 'em
もっと火を、奴らにくれてやる
Mo' fire
もっと火をな
[Verse 3]
I raise more fire to the man up higher
もっと火を掲げるぜ、遥か高いところにいる男へ向けて
I lick a shot to let him know that I'm a rider
銃を空にブッ放して、俺がライダー(闘う男)だってことをヤツに知らせるんだ
※「Lick a shot」はダンスホール・レゲエでリスペクトや賛同を示すために空砲を撃つ行為。「Man up higher(天国にいる男)」は、ウェインが最も慕っていた亡き継父ラビット(Rabbit)を指している。
My dreads hang to let him know that I'm a lion
垂れ下がる俺のドレッドヘアが、俺がライオンだってことをヤツに証明してる
※ラスタファリ運動における「ザイオンのライオン」のイメージ。ドレッドヘアを百獣の王の鬣(たてがみ)に見立て、誇りと強さの象徴としている。
Represent the jungle when the others just tryin'
他の奴らがただ「やろうとしてる」間に、俺はこのジャングル(ストリート)を背負って立ってる
I represent my mother like, "Baby, stop cryin'"
オフクロを代表して言ってやる、「ベイビー、もう泣くのはやめな」ってな
I know my papa gone, but guarantee he see us shinin', yeah
親父がもういないのは分かってる。でも、俺たちが輝いてる姿を絶対にあっちは見てるはずさ
※継父を亡くし悲しむ母親(Cita)を慰め、自分が大黒柱として家族を守り、成功(Shine)している姿を天国のラビットに報告している感動的なライン。
Now you are looking at New Orleans' finest
今、お前はニューオーリンズの最高傑作(ファイネスト)を見てるんだ
Now you are bein' blinded by European diamond
そして、俺のヨーロピアン・ダイヤモンドの輝きに目が眩んでる
And you are seein' two or three times and
あまりの眩しさにお前の視界は二重、三重にブレてやがる
Got your vision all fucked up, now you can't even find me
視界が完全にイカれちまって、俺の姿を見つけることすらできねえだろ
And I ain't even hidin', naw, I'm right here, baby (Right here, baby)
俺は隠れてなんかいねえよ。俺はすぐここにいるぜ、ベイビー
She wanna walk and shit, I'm like, "Yeah, baby" (Yeah, baby)
彼女が歩きたいとか抜かすから、俺は「ああ、ベイビー」って返すのさ
Battyman get the shotty to his head
オカマ野郎(バティマン)の頭にショットガン(ショーティ)を突きつけてやる
※「Battyman」はジャマイカのパトワ語で同性愛者を指す蔑称だが、ダンスホール文化やギャングスタラップにおいては「男らしくない奴、弱虫、裏切り者」を罵倒する言葉として頻繁に使われる。
Rockabye his ass to sleep, rock it, lay him down to bed
子守唄(ロッカバイ)を歌ってヤツを永遠の眠りにつかせる。揺らして、ベッド(墓)に寝かせてやるよ
I'll put you in my pocket right next to the condoms, homie
お前を俺のポケットの中、コンドームの隣にねじ込んでやるよ、ホーミー
※敵をポケットに入るほどの「小物」扱いし、コンドーム(いつでも使い捨てにできる道具)と同列に見なす屈辱的なライン。
You ain't nothin' but a profit
お前なんてただの利益(プロフィット)にすぎねえんだよ
[Chorus]
Mo' fire, Weezy
もっと火をくれ、ウィージー
Mo' fire (Put yuh light inna di air)
もっと火を(お前のライターを空に掲げな)
Mo' fire, I give 'em
もっと火を、奴らにくれてやる
Mo' fire, yeah
もっと火をな、イェア
Mo' fire
もっと火を
Mo' fire, Weezy
もっと火をくれ、ウィージー
Mo' fire
もっと火を
Mo' fire, give 'em
もっと火を、奴らにくれてやれ
Mo' fire
もっと火を
