Artist: Lil Wayne
Album: Tha Carter
Song Title: On the Block #1
概要
本作は、リル・ウェインの出世作『Tha Carter』において、アルバムの没入感を高めるために挿入された「スキット(寸劇)」である。本作を含む「On the Block」シリーズは、リスナーをニューオーリンズのストリート(ブロック)の日常へと引き込む役割を果たしている。ここでは、かつての仲間や街の住人が去ったことに対する哀愁と、それを振り切るかのようなストリートの冷徹なリアリズムが描かれている。特に、ウェインのキャリア初期を支えたグループ「Hot Boys」のメンバーとの確執や離別といった、当時のCash Money Recordsを取り巻く不穏な空気が背景に投影されているとの考察も根強い。単なる幕間劇ではなく、アルバム全体の「孤独な帝王」としてのテーマを補完する重要なピースだと言える。
和訳
[Skit]
Man, fuck, man
ああ、クソ、なんてこった
Boy, what's wrong with you?
おい、どうしちまったんだよ?
Man, that's fucked up how that went down, man
なあ、あんな結末になっちまうなんて、マジで最悪だよな
※「How that went down」は、ある出来事がどのように展開し、終結したかを指す表現。ここでは具体名は伏せられているものの、ニューオーリンズのストリートで頻発する殺人事件や逮捕劇、あるいは前述したCash Money内の人間関係の崩壊を暗示している。Genius等では、ウェインが一人残された当時のレーベルの状況に対する比喩的な嘆きとも解釈されている。
That was fucked up, huh?
ひどい話だったよな、そうだろ?
Yeah, I'ma miss them niggas
ああ、あいつらがいなくなって寂しくなるぜ
※「Miss them niggas」というフレーズは、亡くなった仲間への追悼、あるいは袂を分かったかつての友人たち(B.G., Juvenile, TurkらHot Boysのメンバー)への複雑な感情を示唆している。アルバム全体の「独り立ち」という文脈において、過去への惜別を表現している非常にエモーショナルな瞬間である。
Man, I'ma miss them niggas, too
ああ、俺もあいつらのことが恋しいよ
I don't know, fuck, man, that's fucked up
分かんねえけどよ、クソ、とにかく最悪だ
Man, fuck all that dumb shit, pass the weed
なあ、そんなシ気た話はもういい。そのウィード(大麻)をこっちに回せ
※「Fuck all that dumb shit」という台詞は、ストリートの冷徹な生存本能を表している。悲しみに暮れていても現実は変わらず、ドラッグで現実を忘却して次のステップへ進むしかないという、当時のウェインのバイブスを象徴する幕引きである。
