Artist: Lil Wayne & Ty Dolla $ign (feat. XXXTENTACION)
Album: Spider-Man: Into the Spider-Verse (Soundtrack From & Inspired by the Motion Picture)
Song Title: Scared of the Dark
概要
本楽曲は、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』のサウンドトラックの中でも最も重厚で悲劇的なオーラを放つヒップホップ・バラードだ。Ty Dolla $ignのソウルフルなフック、Lil Wayneの詩的なワードプレイ、そして2018年に20歳の若さで凶弾に倒れたXXXTENTACIONの死後に収録された生々しいボーカルが奇跡的に融合している。劇中において、主人公マイルス・モラレスが愛する叔父アーロンの死という耐え難い喪失に直面し、ヒーローとしての孤独や恐怖(暗闇)を乗り越えようとする極めてエモーショナルなシーンと完璧にシンクロしている。「星は暗闇を恐れない」というコーラスのメッセージは、スパイダーマンの覚悟を示すと同時に、悲劇的な死を遂げてもなおヒップホップ界で永遠に輝き続けるXXXTENTACIONという「星」への深いレクイエムとして、ファンの間で伝説的に語り継がれている。
和訳
[Chorus: Ty Dolla $ign]
I'm not scared of the dark
暗闇なんて怖くねえ
※スパイダーマンとして直面する死の恐怖や孤独(暗闇)に対するマイルスの覚悟。Ty Dolla $ignのソウルフルな歌声が、映画の悲劇的なシーンに重厚感を与えている。
I'm not running, running, running
逃げ隠れなんかしない
No, I'm not afraid of the fall
ああ、落ちていくことすら恐れちゃいない
※「the fall(落下)」は、高層ビルから飛び降りるスパイダーマンの「Leap of Faith(信仰の飛躍)」と、人生における「転落(失敗や死)」のダブルミーニング。
I'm not scared, not at all
少しも怖くなんかないさ
Why would a star, a star ever be afraid of the dark?
星が、どうして暗闇を恐れる必要があるんだ?
※この曲の核となるパンチライン。「暗闇(困難や死)」があるからこそ「星(ヒーロー、あるいはラッパーというスター)」はより一層輝くことができるという、ストリートで這い上がってきた者たちの真理を突いている。XXXTENTACIONという若くして散った「星」へのレクイエムとしても深く響く。
I'm not scared
怖くねえよ
I'm not scared, neither are the stars
怖くねえ、星たちだって同じさ
I'm not scared of the dark
俺は暗闇なんて恐れちゃいない
Of the dark, mmm
暗闇なんてな、うーん
[Verse 1: Lil Wayne]
Tunechi
トゥーンチ
※Lil Wayne自身の愛称。
I ain't never scared and I ain't never horrified
俺は一度もビビったことなんてねえ、恐怖に怯えたことすらねえよ
I just look down at my Rolex, it said it's the darkest times
手首のロレックスを見下ろせば、今が「最も暗い時代」だって針が指してる
※高級時計のロレックス(Rolex)を見下ろすフレックス(自慢)を交えつつ、文字盤に反射する暗闇から「人生における最も困難な時期(the darkest times)」を読み取るというLil Wayne特有の詩的なワードプレイ。
I ain't never terrified, I ain't never petrified
震え上がったこともなけりゃ、石みたいに固まったこともねえ
You know I see dead people, I just tell 'em get a life
死人が見えるぜ、だから奴らに「まともな人生を送れ」って言ってやるんだ
※映画『シックス・センス』の有名な台詞「I see dead people(死人が見える)」の引用。「get a life」は「自分の人生を生きろ(余計なお世話だ)」というスラング。亡くなった同業者やストリートの亡霊たちに囲まれながらも、俺は今を生き抜いているというタフな姿勢。XXXTENTACIONの死へのメタ的な言及とも取れる。
I ain't never scurred, I'm not sure if that's a word, but
俺は一度も「スカード(ビビる)」したことねえ、そんな言葉があるか知らねえがな
※「Scurred」は「scared(怖い)」の南部訛り・スラング。Bone Crusherの2003年のヒット曲「Never Scared」のフックを連想させる。Lil Wayneは自身の独特な発音を自虐的に言葉遊びにしている。
I meant every word, feelin' like do not disturb, wait
俺が言う言葉に嘘はねえ、「邪魔しないでくれ(Do not disturb)」って気分だぜ、待てよ
Let me testify, I have never testified
証言させてくれ、俺は今まで一度も「証言」なんかしたことねえってな
※「Testify」のダブルミーニング。神や世間に対して「自分の無実や覚悟を証明する」という意味と、ストリートや法廷において「警察に仲間を売る(密告する、スニッチする)」という意味。ギャングスタ・ラップにおける絶対的な掟「No Snitching(密告禁止)」を遵守してきたキャリアを誇示している。
And I'm married to my pride, I ain't never— the bride
俺は俺のプライドと結婚したんだ、俺が「花嫁」になることなんて絶対にねえ
※「the bride(花嫁)」は、誰かに服従する立場(女役、あるいは刑務所でのスラングとしての屈辱的立場)の暗喩。自身のプライド(男としての矜持)を何よりも優先するという宣言。
I got eyes like marbles, if I cry, they sparkle
俺の目はビー玉みたいだ、涙を流せばそいつがキラキラと輝くのさ
※ドラッグ(リーンやマリファナ)で瞳孔が開いている状態や、冷酷なストリートで感情を失いガラス玉のようになった目を「marbles」と表現。同時に、その無機質な目から流れる涙が暗闇の中で星のように輝くという、悲哀に満ちた美しい描写。
You know I can read your mind like I'm the author
俺はお前の心を、まるで自分が書いた本の著者みたいに読めるんだぜ
There's a line for tomorrow and that line's gettin' shorter
明日を待つ奴らの行列があるが、その列はどんどん短くなってる
※「line(行列)」は、死への順番待ちのこと。ストリートの暴力やドラッグによって、明日を迎えられずに死んでいく若者たちが後を絶たず、自分の死の順番も確実に近づいているという無常観。
I'm behind the trigger, what if I am the target?
俺は引き金を引く側にいる、だがもし俺自身が標的だったとしたら?
※ギャングスタのパラドックス。自分が誰かを殺す(引き金を引く)側にいるという絶対的な力と、いつ報復されて殺される(標的になる)か分からないという恐怖の表裏一体を描いている。ヒーローとヴィランの境界線の曖昧さともリンクする。
Deep sigh, a sayōnara, I ain't afraid to die
深くため息をつき、「サヨナラ」を告げる、俺は死ぬことなんて怖くねえ
※日本語の「sayōnara」を使用。別れの挨拶であり、死への恐怖を超越した境地を示している。
It's either goodbye or good mornin', and the skies start to fallin'
「さよなら」か「おはよう」のどっちかだ、そして空が落ちてきやがる
※目を覚まして生き延びる(Good mornin')か、そのまま死ぬ(Goodbye)か。ストリートの日常は常に生と死のロシアンルーレットであるという事実。
And I'ma shine in the darkness
それでも俺は、この暗闇の中で輝き続けるんだ
I look back down at my Rollie, it says time for the chorus
もう一度ロレックスを見下ろすと、針が「コーラスの時間だ」って指してるぜ
※メタ・リリック。自分のヴァースが終わるタイミングを高級時計で確認するという、Lil Wayneらしい洒落た締めくくり。
You know I'm not scared
分かってるだろ、俺は怖くなんかないって
[Chorus: Ty Dolla $ign & Lil Wayne]
I'm not scared of the dark
暗闇なんて怖くねえ
(I ain't never scared, I ain't never scared)
(一度だってビビったことなんてねえよ)
I'm not running, running, running
逃げ隠れなんかしない
No, I'm not afraid of the fall
ああ、落ちていくことすら恐れちゃいない
(Yeah, yeah, yeah, yeah)
(イェー)
I'm not scared, not at all
少しも怖くなんかないさ
(I ain't never scared, I ain't never scared)
(一度だってビビったことなんてねえよ)
Why would a star, a star ever be afraid of the dark?
星が、どうして暗闇を恐れる必要があるんだ?
(Yeah, yeah, yeah, yeah)
(イェー)
I'm not scared
怖くねえよ
(Yeah, yeah, yeah, yeah)
(イェー)
I'm not scared, neither are the stars
怖くねえ、星たちだって同じさ
(Yeah, yeah, yeah, yeah)
(イェー)
I'm not scared of the dark
俺は暗闇なんて恐れちゃいない
(I ain't never scared, I ain't never scared)
(一度だってビビったことなんてねえよ)
Of the dark, mmm
暗闇なんてな、うーん
(I ain't never scared, I ain't never scared)
(一度だってビビったことなんてねえよ)
Yeah, yeah, yeah, yeah
イェー
[Verse 2: XXXTENTACION]
Yeah, yuh
イェー、ヤァ
Okay, put my heart to the side
オーケイ、俺の心(感情)は横に置いといて
※XXXTENTACIONの複雑な内面とトラウマ。愛や悲しみといった「感情」を封印しなければ、冷酷なストリートや人間関係をサバイブできないという悲痛な決意。
In my feelings, ****, let's ride
感情に浸っちまうが、クソ、さあ行くぞ
※前行で「感情を横に置く」と言いつつも、結局は自分の感情(In my feelings)に飲み込まれてしまうXの矛盾と脆さ。「let's ride」は車で出かける、あるいは困難に向かっていくこと。
Big MAC to the side
デカいMAC(銃)を傍らに置いてな
※「Big MAC」はMAC-10やMAC-11などのマシンピストル(銃器)。危険と隣り合わせの生活における自己防衛。
If she call, I'm gon' slide
もし彼女が呼ぶなら、俺は滑り込む(駆けつける)ぜ
※「slide」は敵対組織への襲撃(drive-by)の意味もあるが、ここでは女性の元へ素早く駆けつけるというスラング。
That my baby, boy, you crazy
あの子は俺のベイビーだぜ、お前ら狂ってんな
She might get a new Mercedes
彼女には新しいメルセデスを買ってやるかもな
She say she want me, ooh-wee
俺のことが欲しいんだとさ、オー・ウィー
Okay, lil' shawty, let's do this, uh-huh
オーケイ、可愛い子ちゃん、やろうぜ、アハ
[Bridge: XXXTENTACION]
If I could count the tears I've cried
俺が今まで流した涙の数を数えられたらな
※Xの代表曲で見られるような深い鬱と絶望。ストリートのフレックス(自慢)を歌うVerse 2から一転し、Bridgeではむき出しの悲痛な魂の叫びへと変貌する。
So many times, I swear I've died
神に誓って、俺は何度も死んだような気分を味わってきた
※肉体的な死ではなく、裏切りやトラウマによる精神的な死(エゴの死)。彼が短い生涯の中で経験してきた耐え難い苦痛を物語っており、彼自身の死後にリリースされたこの楽曲において、最もリスナーの胸を抉るラインとなっている。
I'm trying, but it's still not right
頑張ってはいるんだ、でもやっぱり何かが間違ってる
The only time I want her is night
俺が彼女を欲しくなるのは、決まって夜(暗闇)だけなんだ
※日中の明るい時間(意識がはっきりしている時)は強がれるが、夜(Dark)になって孤独や暗闇への恐怖が襲ってきた時にだけ、人の温もりや愛にすがりたくなるという、Xの抱える孤独と依存のパラドックス。「Scared of the Dark」というテーマに対する、あまりにも生々しい彼自身の回答。
[Chorus: Ty Dolla $ign & Lil Wayne]
I'm not scared of the dark
暗闇なんて怖くねえ
(I ain't never scared, I ain't never scared)
(一度だってビビったことなんてねえよ)
I'm not running, running, running
逃げ隠れなんかしない
No, I'm not afraid of the fall
ああ、落ちていくことすら恐れちゃいない
(Yeah, yeah, yeah, yeah)
(イェー)
I'm not scared, not at all
少しも怖くなんかないさ
(I ain't never scared, I ain't never scared)
(一度だってビビったことなんてねえよ)
Why would a star, a star ever be afraid of the dark?
星が、どうして暗闇を恐れる必要があるんだ?
(Yeah, yeah, yeah, yeah)
(イェー)
I'm not scared (Yeah, yeah, yeah, yeah)
怖くねえよ(イェー)
(I ain't never scared, I ain't never scared)
(一度だってビビったことなんてねえよ)
I'm not scared (Yeah, yeah, yeah)
怖くねえよ(イェー)
Neither are the stars (Yeah, yeah, yeah, yeah)
星たちだって同じさ(イェー)
I'm not scared of the dark (I ain't never scared, I ain't never scared)
俺は暗闇なんて恐れちゃいない(一度だってビビったことなんてねえよ)
(I ain't never scared, I ain't never scared)
(一度だってビビったことなんてねえよ)
Of the dark (I ain't never scared)
暗闇なんてな(一度だってビビったことなんてねえよ)
Mmm, yeah, yeah, yeah, yeah
うーん、イェー
