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With That - Young Thug (feat. Lil Duke) 【和訳・解説】

Artist: Young Thug (feat. Lil Duke)

Album: Barter 6

Song Title: With That

概要

本楽曲は、Young Thugのキャリアを決定づけた2015年のミックステープ『Barter 6』に収録された、アトランタ・トラップの金字塔的アンセムだ。名プロデューサーLondon on da Trackが手掛けた不穏かつバウンシーなビートの上で、Thugは特有の変則的なフロウと予測不能な言葉遊びを展開している。ドラッグ、大金、暴力といった典型的なトラップ・ミュージックのトピックを扱いながらも、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」や「リュダクリスのアフロ」といったポップカルチャー・リファレンスを突飛な形で引用することで、彼独自のシュールでサイケデリックな世界観を確立している。また、当時YSLクルーの若手であったLil Duke(旧名Duke)をフィーチャーし、ヴァースの最後からコーラスへのシームレスなバトンタッチを見せるなど、楽曲構成の面でも非常に独創的なアプローチが光る一曲である。

和訳

[Intro: Young Thug & Skooly]

Yeah
イェー

I'm so through with that
あんなのもうウンザリだぜ
※「be through with that」は「終わらせる」「見切りをつける」の意。ストリートのくだらない諍いや、貧困の連鎖から抜け出したことを宣言している。

I'm so through with that
マジでウンザリなんだよ

(We got London on da Track)
(ウィー・ゴット・ロンドン・オン・ダ・トラック)
※Young Thugと数々の名曲を生み出したアトランタ出身のプロデューサー、London on da Trackのアイコニックなプロデューサータグ。声の主はラッパーのSkooly。

[Chorus: Young Thug]

Hundred bands, hundred bands dropped on the head of any nigga want it, man (Woo)
10万ドル、文句ある奴の首には10万ドルの懸賞金を懸けてやるぜ(ウー)
※「Bands」は1000ドルの札束。100 Bands=10万ドル(約1500万円)という大金を、敵対する相手の暗殺費用(hit)としてポンと出せるほどの圧倒的な財力を誇示している。当時Birdmanと共にLil Wayneへの襲撃事件に関与したと噂されていた状況を鑑みると、非常に生々しく響くラインである。

Pop me a Xanny, I'm fast, I'm so fast, I'm so faster than Sonic, man (Woo)
ザナックスをキメる、俺は速い、超速い、ソニックより速いぜ(ウー)
※抗不安薬「Xanax(ザナックス)」は強力なダウナー系ドラッグであり、通常は動作が鈍くなる(slow down)。しかしThugは逆に「セガのキャラクターであるソニック・ザ・ヘッジホッグよりも速くなる」と表現している。これはドラッグによる時間の感覚の歪みや、彼の異常なワーカホリックぶり(信じられないスピードで曲を録音する)を暗示する、Thug特有の逆説的かつサイケデリックなメタファーであるとファンの間で考察されている。

True the man, true the man, true to my nigga True Religion Buddha man (Woo)
トゥルーだ、俺は真の男、トゥルー・レリジョンのブッダみたいにな(ウー)
※2000年代から2010年代初頭のヒップホップ・シーンで一世を風靡した高級デニムブランド「True Religion」と、同ブランドのロゴマークである「ギターを弾くブッダ(仏陀)」への言及。ブランド名と自身の生き方の「True(真実、本物)」を掛け合わせたワードプレイ。

My money stack tall as Ludacris afro and I swear I'ma shoot with that (Woo)
俺の札束はリュダクリスのアフロくらい高く積み上がってる、マジでそいつでブッ放してやる(ウー)
※2001年のアルバム『Word of Mouf』リリース時など、初期のLudacris(アトランタ・ヒップホップの偉大な先駆者)のトレードマークであった巨大なアフロヘアを、積み上がった大金の高さに例えたパンチライン。アトランタのレジェンドへの強烈なオマージュである。

I just hit for nine birds, what I'ma do with that?
9キロのコカインをパクったばかりだ、これで何をしてやろうか?
※「Bird」はコカイン1キログラム(キロ)の隠語。「Hit for」は強盗や窃盗を成功させること。ストリートで莫大な価値を持つ大量の麻薬を手に入れたが、すでに金持ちであるため持て余しているという余裕の表れ。

Pull up on the curb, then you hop out and be through with that (Ooh)
縁石に車を停めて飛び出し、さっさとケリをつけるのさ(ウー)
※「Curb(縁石)」に車を寄せて降り、標的を銃撃(ドライブバイ)してすぐに終わらせるという、冷酷で機械的な殺しの描写。

I'm so fresh like dish detergent, if you not fresh, you so through with that (So fresh)
俺は食器用洗剤みたいにフレッシュ(清潔)だ、お前がフレッシュじゃねえなら、お前はもう終わりだ(超フレッシュ)
※ファッションセンスやスタイルが洗剤のように「Clean(イケてる)」であることをアピール。トラップ・ラップにおける日用品の奇抜な比喩表現の代表例。

If you are a nerd, everything here, you not cool with that
もしお前がストリートを知らねえオタクなら、ここで起きてること全てにビビるだろうな

[Verse 1: Young Thug]

Yes, you not cool
ああ、お前はイケてねえ

No, you not bool (What?)
いや、お前はブールじゃねえよ(なんだと?)
※Bloodsのメンバーは「C」から始まる単語を避ける(Cripsを連想させるため)風習があり、「Cool」のCをBに変えて「Bool」と発音している。ギャングとしての所属とアイデンティティの強調。

I don't give no damn, I'm not calling you boo (Uh-huh)
知ったこっちゃねえ、お前を「ブー」なんて呼ばねえよ(アーハン)
※「Boo」は恋人や親しい人を呼ぶ愛称。敵に対して親愛の情など一切持ち合わせていないという拒絶。

My bitch, she a jewel (Woah)
俺の女は宝石みたいだぜ(ウォー)

You can't prove a point, boy, you know you so doomed (You dig?)
お前じゃ何も証明できねえよ、坊や、お前はもう終わってんだ(わかるか?)

You know you so doomed (Yeah)
お前は破滅する運命なんだよ(イェー)

I swear I'm so lost with no clue
マジで俺は何のヒントもなく迷子になっちまってる
※トラップハウスでの大量のドラッグや現金に囲まれた生活、あるいはドラッグによる酩酊状態で、自分がどこに向かっているのか分からなくなるほどの狂騒の中にいるという描写。

Don't know what to do (What?)
どうすりゃいいか分からねえよ(なんだと?)

Overlap, overlap (Yeah)
オーバーラップ、周回遅れにしてやる(イェー)

I overlap on these niggas, ain't know how to milk these cows
あいつらを完全に周回遅れにしてるぜ、こいつらは牛の乳の搾り方すら知らねえんだからな
※陸上競技などで他者を追い抜く(Overlap)ように、ラップゲームで他を圧倒していることの比喩。「Milk these cows(牛の乳を搾る)」は「機会を最大限に利用して金を稼ぐ」という慣用句のストリート的解釈。ハスリングの才能がない同業者たちを見下している。

She made that dick grow, now it's big like a tower
あの女が俺のモノを大きくした、今じゃタワーみたいにデカいぜ

Yow, front pockets filled up with bands, no Bible
ヤオ、前のポケットは札束でパンパンだ、聖書なんか入ってねえよ
※ホテルの引き出しやポケットに入っているはずの「Gideon Bible(ギデオン協会の聖書)」ではなく、大金(Bands)が詰まっている。宗教的な救いよりもストリートの現金(資本主義)を信仰しているという、Thugの物質主義的な価値観を示す強力なメタファー。

[Chorus: Young Thug & Lil Duke]

Hundred bands, hundred bands dropped on the head of any nigga want it, man (Woo)
10万ドル、文句ある奴の首には10万ドルの懸賞金を懸けてやるぜ(ウー)

Pop me a Xanny, I'm fast, I'm so fast, I'm so faster than Sonic, man (Woo, woo)
ザナックスをキメる、俺は速い、超速い、ソニックより速いぜ(ウー、ウー)

True the man, true the man, true to my nigga True Religion Buddha man (True it, woo)
トゥルーだ、俺は真の男、トゥルー・レリジョンのブッダみたいにな(トゥルーだ、ウー)

My money stack tall as Ludacris afro and I swear I'ma shoot with that (Sheesh, sheesh)
俺の札束はリュダクリスのアフロくらい高く積み上がってる、マジでそいつでブッ放してやる(シーシュ、シーシュ)

I just hit for nine birds, what I'ma do with that? (Sheesh, sheesh)
9キロのコカインをパクったばかりだ、これで何をしてやろうか?(シーシュ、シーシュ)

Pull up on the curb, then you hop out and be through with that (Skrrt)
縁石に車を停めて飛び出し、さっさとケリをつけるのさ(スカート)

I'm so fresh like dish detergent, if you not fresh, you so through with that (Clean)
俺は食器用洗剤みたいにフレッシュだ、お前がフレッシュじゃねえなら、お前はもう終わりだ(クリーン)

If you are a nerd, everything here, you not cool with that (Hey, dork)
もしお前がオタクなら、ここで起きてること全てにビビるだろうな(おい、マヌケ)

[Verse 2: Lil Duke]

Pull up, hop out the block, they tuck in they tail, I go, "Who the clan?" (Cacaw, cacaw)
ブロックに乗り込んで車を降りる、連中は尻尾を巻いて逃げる、「誰がボス(クラン)だ?」ってな(カカウ、カカウ)
※Lil Dukeのヴァース。「Tuck tail」は犬が恐怖で尻尾を巻く様。Dukeがストリートに現れると敵は恐れおののく。「Cacaw」は鳥の鳴き声であり、Birdmanが率いるRich Gangや、空を飛ぶ鳥(ストリートの監視者)のメタファーとして機能している。

We dressed in all-black, I'm always on the road just like a Uber man (I'm textin')
俺らは全身黒づくめでキメる、まるでUberの運転手みたいにいつも路上にいるぜ(メッセージを送ってる)
※全身黒の服装は強盗や暗殺(Hit)に向かう際の典型的なスタイル。同時に、ドラッグの配達などで四六時中車を運転しているハスラーの日常を、当時普及し始めていた配車サービス「Uber」になぞらえている。

We wrappin' and sendin' them packs, soon as they land, we movin' 'em (Wrapped, shipped)
パケを包装して発送する、到着した瞬間にすぐ捌くんだ(包装完了、出荷完了)
※他州から密輸された麻薬のパッケージ(Packs)を小分けにし、ストリートに素早く流通させるトラップのロジスティクスを語っている。

Blame it on the OGs, they influenced me (I'm ridin' with felons and fugitives)
俺がこうなったのはOG(先輩ギャング)たちのせいさ、奴らに影響されたんだ(重罪犯や逃亡犯と一緒に乗ってるぜ)
※自分の犯罪的なライフスタイルは、環境とストリートの先輩たちの背中を見て育った結果であるという、フッドの宿命論。

Ain't gonna count money, nigga (Uh-uh, nah)
いちいち金なんて数えねえよ(アーア、いや)

I ain't just met money, nigga (Ain't just met money, nigga)
最近金を持っただけの成金じゃねえんだよ(最近じゃないぜ)
※Old Money(昔からの金持ち)のように、金があるのが当たり前であるため、新参者のようにいちいち札束の額を確認しないというフレックス。

I put lipstick on the 'Rari, she say "That's delicious" (Skrrt-skrrt-skrrt-skrrt)
フェラーリにリップスティックを塗ったぜ、女が「美味しそう」って言うんだ(スカート、スカート)
※赤いフェラーリ(あるいは内装が赤いフェラーリ)を、女性の真っ赤なリップスティックに例えている。車を擬人化し、セクシャルな魅力を持たせる洗練された比喩。

Who that is in that Crown Vic? He look suspicious (Oh, him, shh)
あのクラウン・ビクトリアに乗ってるのは誰だ? 挙動不審だぜ(あぁ、あいつか、シッ)
※「Ford Crown Victoria」は長年アメリカの警察車両(特に覆面パトカー)として使用されていた代表的な車種。ストリートでこの車を見ることは「サツ(警察)の監視」を意味し、ギャングたちは瞬時に警戒モードに入る。

I just jugged a hundred pounds, I made a…
たった今100ポンドのマリファナをパクってきた、俺が手に入れたのは…
※「Jugg」は盗む、強盗する、あるいは機転を利かせて大金を手に入れるというアトランタ・スラング。100ポンド(約45キロ)という法外な量の大麻を捌いたことで手に入れた「大金」を説明しようとする場面で、Dukeのヴァースが途切れ、そのままThugのコーラスの最初のフレーズ「Hundred bands(10万ドル)」へと完璧に接続される。HIPHOP史に残る極めてスムースなヴァースからコーラスへのトランジションである。

[Chorus: Young Thug]

Hundred bands, hundred bands dropped on the head of any nigga want it, man (Woo, woo)
10万ドル、文句ある奴の首には10万ドルの懸賞金を懸けてやるぜ(ウー、ウー)

Pop me a Xanny, I'm fast, I'm so fast, I'm so faster than Sonic, man (Woo, woo)
ザナックスをキメる、俺は速い、超速い、ソニックより速いぜ(ウー、ウー)

True the man, true the man, true to my nigga True Religion Buddha man (Sheesh, woo)
トゥルーだ、俺は真の男、トゥルー・レリジョンのブッダみたいにな(シーシュ、ウー)

My money stack tall as Ludacris afro and I swear I'ma shoot with that (Yeah, sheesh, sheesh)
俺の札束はリュダクリスのアフロくらい高く積み上がってる、マジでそいつでブッ放してやる(イェー、シーシュ、シーシュ)

I just hit for nine birds, what I'ma do with that? (Hey)
9キロのコカインをパクったばかりだ、これで何をしてやろうか?(ヘイ)

Pull up on the curb, then you hop out and be through with that (Skrrt-skrrt)
縁石に車を停めて飛び出し、さっさとケリをつけるのさ(スカート、スカート)

I'm so fresh like dish detergent, if you not fresh, you so through with that (Fresh)
俺は食器用洗剤みたいにフレッシュだ、お前がフレッシュじゃねえなら、お前はもう終わりだ(フレッシュ)

If you are a nerd, everything here, you not cool with that
もしお前がオタクなら、ここで起きてること全てにビビるだろうな

[Outro: Young Thug]

Yeah, you not cool with that
イェー、お前には無理だ

No, you not cool with that
いや、お前じゃ到底無理な話だ

No, you not cool with that
お前には到底ついてこれねえよ

Yeah
イェー