Artist: Justin Bieber & Druski
Album: SWAG
Song Title: THERAPY SESSION
概要
アルバム『SWAG』に収録された「THERAPY SESSION」は、前トラック「SOULFUL」に引き続きコメディアンのDruskiをフィーチャーしたスキット(寸劇)である。ここでは、ジャスティンが抱える「常に世間の監視下に置かれ、メンタルヘルスを心配されすぎる鬱陶しさ」というメガスター特有のリアルな苦悩が赤裸々に語られる。SNSでの何気ない投稿さえ「精神崩壊だ」と騒ぎ立てるメディアへの痛烈な皮肉や、世間から「問題を抱えた人間」というレッテルを貼られることへのフラストレーションを吐露するジャスティンに対し、Druskiが「俺がカウンセラーになってやる」と安物の葉巻を勧めるという、シリアスさとユーモアが絶妙に交差する名インタールードだ。
和訳
[Skit: Druski & Justin Bieber]
Even sometimes where I know you're trollin' (Yeah)
時にはお前がふざけて(トロールして)投稿してるって分かってる時でさえ(そうだな)
※「trollin'(ネット上でわざとふざけたり、煽ったりすること)」。ジャスティンがInstagram等で変顔や奇抜なファッション、意味深な投稿をして単に遊んでいるだけの状況を指す。
And they don't even understand it, like, "Oh my God, he's fuckin' losin' his mind" (Yeah)
世間はそれを理解しようともせず、「ヤバい、あいつ頭がおかしくなってるぞ」なんて騒ぎ立てるんだ(そうそう)
※ジャスティンの過去の奇行や精神的ブレイクダウンの歴史があるため、メディアや大衆が彼の些細な行動をすぐに「メンタルヘルスの悪化」と結びつけて過剰報道する現状への強烈な皮肉。
And he's like, "Nah, I think he's just bein' a human bein'
でも俺はこう思うね、「いや、あいつはただの人間として振る舞ってるだけだろ」って
He's enjoyin' social media like the fuckin' rest of us
「俺らと同じように、ただSNSを楽しんでるだけじゃないか」ってな
He's just doin' it his own way" (Yeah), yeah
「あいつなりのやり方でやってるだけだ」って(そうなんだよ)、あぁ
And that's been a tough thing for me recently (Mm)
最近、それが俺にとってすごくキツいんだよ(うーん)
It's feelin' like, you know, I have had to go through a lot of my struggles as a human, as all of us do really publicly (Yeah)
つまりさ、誰もが経験するような人間としての葛藤を、俺は常に公衆の面前で乗り越えなきゃいけないように感じてるんだ(そうだな)
※「publicly(公衆の面前で)」。10代前半から世界的なスターダムに置かれ、青春時代の過ちや恋愛のいざこざ、精神的な苦悩のすべてを世界中に消費されてきた彼の中核的なトラウマの吐露。プライバシーの欠如に対する諦めと疲労感が滲み出ている。
And so people are always askin' if I'm okay (Yeah)
だから、みんな常に「大丈夫?」って聞いてくるんだよ(あぁ)
And that starts to really weigh on mе (Yeah)
それが本当に重荷になってくるんだ(分かるぜ)
You know? 'Cause I'm—
だろ? だって俺は—
Becausе it's like, when somebody keeps sayin', "Why you cryin'? Why you cryin'?"
なぜかっていうと、誰かに「どうして泣いてるの? なんで泣いてるんだ?」ってずっと聞かれ続けるとさ
It's like, "Bitch, I'm not, but now I am, fuck" (Yeah, yeah), you know what I'm sayin'?
「泣いてねぇよ、でもそう言われるから泣きたくなってきたわ、クソッ」って気分になるんだよ(あぁ、そうだな)、言ってる意味わかるだろ?
※心理学でいう「レッテル貼り(Labeling)」の弊害。周囲から「精神的に病んでいるかわいそうなジャスティン」として扱われ続けることで、本来平気だったはずの精神状態までネガティブに引っ張られてしまうという、非常にリアルで深刻な悩みの告白である。
It starts to make me feel like I'm the one with issues and everyone else is perfect (Exactly)
まるで自分だけが問題を抱えていて、他のやつらは全員完璧なんだって錯覚し始めるんだ(まさにその通りだ)
(You know what I'm sayin'?) See, that's why I say, I'ma be your counselor (Mhm)
(言いたいこと分かるか?) ほら、だから俺が言っただろ、俺がお前のカウンセラーになってやるって(ふふっ)
※シリアスになりかけた空気を一気に自分のコメディ・ペースに引き戻すDruskiの絶妙な切り返し。形式的なセラピーではなく、フッドのノリ(ストリートの友人同士の会話)こそが最高のセラピーであるというヒップホップ的な価値観の提示。
I'ma tell you, you start smokin' these Black & Milds with me, bro, you gon' feel way better
いいか、俺と一緒にこの「ブラック・アンド・マイルド」を吸い始めれば、兄弟、マジで気分が良くなるから
※前トラック「SOULFUL」のオチから直結する展開。「Black & Mild」はアフリカ系アメリカ人のコミュニティで愛好される安価なパイプタバコ・シガー。ハリウッドの高級なセラピーや精神安定剤の代わりに、地元の仲間と吸う安い葉巻を「特効薬」として勧めるというブラックジョーク。
I just started doin' this shit, I feel ten times better
俺も最近吸い始めたばかりだけど、10倍くらい気分がいいぜ
These wood tips, I swear to God, bro, your voice may change, Justin
このウッドチップ(木製の吸い口)、神に誓って言うけどさ、兄弟、お前の声が変わっちゃうかもしれないぜ、ジャスティン
But I'm tellin' you one thing, it'll tune everything out
でも一つだけ言っておく、これさえあれば世間のノイズなんて全部シャットアウトできるんだ
You ever had a jazz tip? You j—, haha, boy, I tell you—, hahaha
ジャズチップって吸ったことあるか? お前さ—、ハハッ、マジで言うけど—、ハハハッ
※「jazz tip」はBlack & Mildの特定の吸い口の種類。ジャスティンの深刻な悩みを、最終的には安い葉巻の話題と笑い声で吹き飛ばしてしまうエンディング。重圧に苦しむジャスティンにとって、Druskiのような「スター扱いせず、ただバカ話をしてくれる友人」の存在がいかに救いとなっているかを示す、温かくもユーモラスな「セラピーセッション」である。
