Artist: Snoop Dogg
Album: 10 Til’ Midnight
Song Title: Leave That Dogg Alone
概要
本作「Leave That Dogg Alone」は、アルバム『10 Til’ Midnight』において、スヌープ・ドッグが現代の若手ラッパーやヘイターたちに向けて放つ最後通牒とも言える重厚な一曲だ。現在のスヌープは、オリンピックの聖火リレーに参加し、料理番組に出演するなど、アメリカを代表する「愛されるおじさん(Uncle Snoop)」としてのパブリックイメージを確立している。しかし本作では、その穏やかな沈黙を「牙を抜かれた」と勘違いし、名声目当てに噛み付いてくる若者たちに対し、「寝た子(凶暴な犬)を起こすな(Let sleeping dogs lie)」という古くからの諺と自身の名前「Dogg」を掛け合わせた強烈な警告を発している。数々のストリートの抗争(ビーフ)や裁判を生き延びてきた「傷だらけの山(OG)」が、いざ本性を現した時の圧倒的な恐怖と絶対的な力関係(王と農民)を、冷徹かつドープなフロウで描き出したギャングスタ・ラップの真骨頂である。
和訳
[Verse 1]
You keep pokin' at the gate
お前は門の向こうから突っつき続けてるな
※「pokin' at the gate」は、番犬がいる家の門を外から棒などで突っついて挑発する行為。安全な場所(SNSなど)からベテランをディスって注目を集めようとする現代の若手ラッパーの浅はかな行動を犬のメタファーで表現している。
Why you testin' fate?
なんで自ら運命(死)を試そうとするんだ?
Talkin' loud in the yard
庭でデカい口を叩いて
Tryna say you great
自分が偉大だとでも言いたいのかよ
You a pebble in the road
お前なんか道端の小石にすぎねえ
I'm a mountain made of scars
俺は無数の傷跡でできた巨大な山だ
※ストリートにおける圧倒的な経験値と格の違い。1990年代のデス・ロウ時代の血で血を洗う抗争や、殺人容疑での裁判など、スヌープが実際に負ってきた深い「傷(scars)」の積み重ねが、彼を揺るぎない「山」のような存在へと押し上げていることを示している。
I been sleepin' in the shade
俺は日陰で静かに眠ってきたんだ
※近年、ギャングスタとしての暴力的な側面を封印し、ビジネスマンやポップアイコンとして平和に過ごしているスヌープの現状。
Still remember every war
だが、俺はすべての戦争(抗争)を忘れたわけじゃねえぜ
※Suge Knightとの確執、イーストコーストvsウェストコーストのビーフなど、彼が生き延びてきた過酷な歴史。平和を愛しているが、闘い方は身体が覚えているというOGの凄み。
You a peasant tryna wrestle with a legend, huh
お前は伝説の王にレスリングを挑もうとする、ただの農民(ペザント)だろ
Tryna tug on my tail like it's nothin'
何でもないことのように、俺の尻尾を引っ張ろうとしてやがる
Bruh, think it's all fun jokes, all bark, no harm
ブラザー、お前はこれが楽しいジョークで、吠えるだけで害はない(オール・バーク・ノー・ハーム)と思ってるんだな
※「all bark and no bite(吠えるだけで噛みつかない)」という犬にまつわるイディオムを踏まえた表現。テレビで笑顔を振りまく現在のスヌープを「無害な存在」と舐め腐っているヘイターへの呆れ。
'Til I open up my eyes, see me reachin' for my crown
俺が目を覚まし、王冠に手を伸ばすのを見るまではな
[Chorus]
Leave that Dogg alone
あのドッグのことは放っておけ
※英語の古い諺「Let sleeping dogs lie(眠っている犬は寝かせておけ=厄介事をわざわざ引き起こすな)」と自身の名前「Dogg」を掛け合わせた曲のコアとなるパンチライン。
Let that old king rest
あの年老いた王を休ませてやれよ
'Fore he wake up, teeth out
奴が目を覚まして、牙を剥き出しにする前にな
Sink 'em right in your chest (Yeah, yeah)
その牙をお前の胸ぐらに深々と突き立ててやるぜ
Leave that Dogg alone
あのドッグのことは放っておけ
You know you dead wrong (Dead wrong)
自分が完全に間違ってる(死を意味する過ちだ)って分かってるだろ
Just a peasant tryna knock King Kong
キングコングを倒そうとしてる、ただの農民なんだよ
Dogg stay G, better move along (Ayy)
ドッグはいつまでもG(ギャングスタ)だ、さっさと失せな
[Verse 2]
You keep steppin' on the porch
お前はずっと俺のポーチ(縄張り)に足を踏み入れてるな
Tryna act big, bold, throwin' shade
デカく見せて、強がって、影を落として(ディスって)やがる
※「throw shade」は陰口を叩く、侮辱するという意味のAAVE。
Throwin' stones, tryna chip that gold
石を投げつけて、俺の純金(レガシー)を欠けさせようとしてる
He been quiet in the corner, but his legend run deep
奴はコーナーで静かにしてたが、その伝説の根は深いんだぜ
You confusin' every silence with a promise to sleep
お前は俺の沈黙を、永遠に眠り続ける(もう闘わない)という約束だと勘違いしてるんだ
※スヌープが大人の対応として若手の挑発を無視している(silence)のを、反撃できないのだと勘違いしている愚かさへの痛烈な指摘。
You keep laughin' wit' your boys, sayin', "Watch," say, "He done"
お前はダチと笑いながら、「見てろよ」「あいつはオワコンだ」なんて言ってるが
But your boys gettin' high every time I hit a blunt
お前のダチどもでさえ、俺がブラント(大麻)を吸うたびにハイになってるんだぜ
※スヌープの大麻ブランドの製品を敵の取り巻きでさえ愛用していること、あるいはスヌープが新曲(ブラント)をドロップするたびに、敵の陣営すらもその音楽に酔いしれてしまうという、影響力の圧倒的な差(文化的支配)を示す極めて高度なライン。
He been changin' the game since before you could crawl
お前が這い這いする前から、奴はこのゲーム(ヒップホップ)を変え続けてきたんだ
When I bang, when I ball, it's the motherfuckin' Dogg
俺がバン(ギャングとして行動)する時、俺がボール(大金を使う)する時、それは紛れもなくこのクソヤバいドッグのやり方さ
[Chorus]
Leave that Dogg alone
あのドッグのことは放っておけ
Let that old king rest
あの年老いた王を休ませてやれよ
'Fore he wake up, teeth out
奴が目を覚まして、牙を剥き出しにする前にな
Sink 'em right in your chest (Yeah, yeah)
その牙をお前の胸ぐらに深々と突き立ててやるぜ
Leave that Dogg alone
あのドッグのことは放っておけ
You know you dead wrong
自分が完全に間違ってるって分かってるだろ
Just a peasant tryna knock King Kong
キングコングを倒そうとしてる、ただの農民なんだよ
Dogg stay G, better move along (Ayy)
ドッグはいつまでもG(ギャングスタ)だ、さっさと失せな
[Verse 3]
Every growl is a warning
あらゆる唸り声が警告なんだ
Every yard and every stare, he ain't playing with your pride, he's just sparing you a tear
どの縄張りでも、どんな睨み合いでも、奴はお前のちっぽけなプライドを弄んでるわけじゃねえ、お前が泣きを見るのを免れさせて(情けをかけて)やってるだけだ
You keep reaching for his throne, keep pulling on his chain
お前は奴の玉座に手を伸ばし続け、奴の鎖(チェーン)を引き続けてる
※「pulling on his chain」は繋がれた犬の鎖を引っ張って怒らせる行為と、ラッパーの首飾り(チェーン)を奪おうとするストリートの強盗行為のダブルミーニング。
One snap, one moment, you remember his name
一度噛み付かれりゃ、一瞬にして、奴の恐ろしい名前(Snoop Dogg)を思い出すことになるぜ
[Chorus]
Leave that Dogg alone
あのドッグのことは放っておけ
Let that old king rest
あの年老いた王を休ませてやれよ
'Fore he wake up, teeth out
奴が目を覚まして、牙を剥き出しにする前にな
Sink 'em right in your chest (Yeah, yeah)
その牙をお前の胸ぐらに深々と突き立ててやるぜ
Leave that Dogg alone
あのドッグのことは放っておけ
You know you dead wrong
自分が完全に間違ってるって分かってるだろ
Just a peasant tryna knock King Kong
キングコングを倒そうとしてる、ただの農民なんだよ
Dogg stay G, better move along (Ayy)
ドッグはいつまでもG(ギャングスタ)だ、さっさと失せな
You dead wrong
お前は完全に間違ってるんだよ
