Artist: Snoop Dogg (feat. Peezy)
Album: 10 Til’ Midnight
Song Title: Dogg Wattup Doe
概要
本作「Dogg Wattup Doe」は、西海岸の首領スヌープ・ドッグが、ミシガン州デトロイトのストリートを代表するラッパーPeezy(ピージー)を客演に迎え、両都市の強力なコネクションを提示するバンガーだ。タイトルの「Wattup Doe(What up doe)」はデトロイト特有の定番の挨拶であり、スヌープが同市のフッド・カルチャーへ深い敬意を払っていることが伺える。Team Eastsideのメンバーとして名を馳せたPeezyは、特有のレイジーで生々しいハッスル・ラップを展開し、ロサンゼルスでスヌープやその家族(次男のコーデル、妻のボス・レディ)と共に過ごすラグジュアリーな日常と、かつての過酷なドラッグディールの記憶を交差させる。西海岸のバウンスとデトロイト・サウンドの冷たい質感が融合したビート上で、ベテランと現行シーンの顔役が互いのストリートの流儀をリスペクトし合う、ヒップホップの醍醐味が詰まった重要曲である。
和訳
[Intro: Snoop Dogg]
Detroit, stand up
デトロイト、立ち上がれ
※西海岸の王であるスヌープによる、デトロイトのストリートへの直接的なシャウトアウト。
Yay, yay
イェー、イェー
[Verse 1: Peezy, Snoop Dogg]
Yeah, Ghetto
ああ、ゲットーだぜ
※Peezyのシグネチャー・アドリブであり、自身のルーツであるゲットーの精神をレペゼンしている。
Smokin' on Lobster Butter, eatin' on lobster tail
ロブスター・バター(大麻)を吸いながら、ロブスターの尻尾を食らう
※「Lobster Butter」は強烈な香りで知られる大麻のハイブリッド・ストレイン(品種)。高級食材であるロブスター・テールを食べることと掛け合わせた、成功者ならではの豪快なフレックス。
Couple shots of '42, I bet the bitch come out her shell (Wow)
42を数杯引っかけりゃ、あのビッチも殻を破って本性を出すに決まってるぜ(ワオ)
※「'42」は夜の街の定番である高級テキーラ「Don Julio 1942」のこと。前の行の「lobster(甲殻類)」からの連想で、女が「come out her shell(殻を破る=心を開く、あるいは淫らな本性を出す)」という秀逸なワードプレイになっている。
Polo socks and drawers on, LV cover my lid
ポロの靴下とパンツを穿き、ルイ・ヴィトンの帽子で頭(フタ)を覆う
Blues in my pocket like I'm Crippin', might throw on the flag
ポケットにはクリップスみたいに青い札束(ブルーズ)がパンパンだ、青いバンダナ(フラッグ)でも巻こうかな
※「Blues」は青い帯が付いた新デザインの100ドル札の束を指すスラング。札束の「青」を、LA発祥の巨大ギャングでありスヌープが所属する「Crips(クリップス)」のシンボルカラーである青と掛け合わせている。
I'm on Melrose in the Phantom, just me and Cordell
ファントムに乗ってメルローズを流してる、俺とコーデルの二人でな
※メルローズ・アベニューはLAの有名な高級ショッピング・ストリート。ファントムはロールス・ロイスの最高級車。「Cordell(コーデル)」はスヌープ・ドッグの次男であるCordell Broadusのこと。PeezyがLAにおいて、スヌープの家族とも直接的で深い繋がりを持っていることを誇示している。
Black truck behind us, ain't no way you can get on our trail (Zoom)
後ろには黒のトラック(護衛)がついてる、俺らの尻尾を掴むなんて絶対無理だぜ(ズーム)
※要人や大物ラッパーの移動時によく見られる、黒塗りのSUV(キャデラック・エスカレードなど)による厳重な護衛車両の描写。
Bitch know I'm the cat, she wanna leave, I tell her, "Go 'head"
ビッチは俺がヤバい奴(猫)だって知ってる、帰りたがってるなら「勝手にしろ」って言ってやるよ
※「cat」はイケてる男、本物のプレイヤーを指す昔からのジャズ・ストリートスラング。客演の「Dogg(犬)」に対して、自身を気まぐれな「Cat(猫)」と表現する言葉遊びとも取れる。
Leanin' like a fuckin' kickstand, my cup full of red
キックスタンドみたいに傾き(リーンし)ながら、俺のカップは赤で満たされてる
※「Lean」は咳止めシロップ(コデイン/プロメタジン)とスプライト等を混ぜたドラッグ。飲むと酩酊して体が傾く(リーンする)ことから、バイクのキックスタンドに例えている。「red」はHi-TechやWockhardtなど、赤い液体の高級な咳止めシロップブランドを指す。
I can get 'em to your front door, you just send me the bread
ブツならお前の玄関先まで届けてやれる、お前はただ金(ブレッド)を送ればいい
Sеnd the trackin' number, when thеy land, you just meet me (They nervous)
追跡番号を送るから、ブツが着陸(到着)したら俺に会いに来い(あいつらビビッてるな)
※USPS(郵便公社)やFedExを利用して全米中にドラッグを郵送する「トラッピング」のリアルな手口。警察の介入を恐れる顧客(They nervous)の様子を描写している。
I can't let nobody catch me slippin', gotta stay prepared
誰にも隙(スリッピン)は見せられねえ、常に準備しておかないとな
Let 'em think I'm stupid, whole time, I'm three moves ahead
奴らには俺をバカだと思わせておけばいい、俺は常に3歩先を読んでるからな
※ストリートでの生存戦略。無知を装うことで敵や捜査機関を油断させ、チェスのように先の展開を支配するハスラーの高度な知能。
Think I might retire from the booth and go just do a film (Wow)
レコーディングブースから引退して、映画でも撮りに行こうかな(ワオ)
※スヌープのように音楽の枠を超えて俳優業や映像制作などハリウッド進出を目論む、ラッパーとしての次のフェーズを示唆。
Tired of niggas rappin' 'bout this shit we really do for real
俺らがマジでやってるリアルなシットを、ただラップしてるだけのフェイク野郎どもにはウンザリなんだよ
Raised to never back down from nothin', bitch, I'm divin' in
何事からも絶対に逃げないように育てられたんだ、ビッチ、俺は真っ先に飛び込むぜ
Been through so much that I'm surprised I ain't got gray hair (What?)
あまりにも多くの修羅場を潜り抜けてきたから、白髪が生えてないのが不思議なくらいさ(なんだって?)
[Chorus: Snoop Dogg]
Uncle Snoop, I set up shop
アンクル・スヌープ、俺は店(ビジネス)を構えたぜ
※長老としてヒップホップ・コミュニティから「アンクル(スヌープおじさん)」と慕われる絶対的な地位と、様々な合法ビジネス(大麻、アパレル等)を展開する確固たる基盤。
When I came, when I rock
俺がやって来た時、俺が揺らす時
When I swing with that thing
俺があのモノ(銃)を振り回す時
Let it bang and it pop
ぶっ放して、弾けさせてやる
They say it's cold up in the D
D(デトロイト)は冷たい街だって言われてるが
※「the D」はDetroitの愛称。ミシガン州の厳しい冬の寒さと、殺人発生率が高く冷酷なストリートの環境を掛けている。
Nigga, we don't give a fuck though
俺らはそんなこと全く気にしちゃいねえよ
My homies yellin' out, "Dogg, what up, though?"
地元のダチどもが叫んでる、「ドッグ、調子はどうだ(ワタップ・ドー)?」ってな
※デトロイトを象徴する挨拶「What up doe」を使用し、西海岸のOGでありながらデトロイトのストリートに完全に溶け込み、リスペクトを集めているスヌープの圧倒的なプロップスを示している。
We back on
俺らはまたシーンに戻ってきたぜ
[Interlude]
This right here is for the D
これはD(デトロイト)へ捧げる一発だ
Detroit, motherfuckers
デトロイトだ、クソ野郎ども
In other words, Detroit vs. everybody, nigga
言い換えるなら、「デトロイト対世界」ってことだぜ
※デトロイト出身のEminem(エミネム)が2014年に発表した同郷ラッパー大集合のアンセム「Detroit Vs. Everybody」のタイトルであり、デトロイト市民の不屈の反骨精神を象徴する有名なスローガンのサンプリング。
[Verse 2: Peezy]
Yeah, turn a half into a whole one, then I turn that one to two
ああ、ハーフ(半キロ)をホール(1キロ)に変え、それをさらに2倍に増やす
※コカインやクラックなどの純度の高い麻薬に重曹や不純物を混ぜて薄め(カットして)量を増やし、利益を倍増させるドラッグディーラーの違法な錬金術。
You pussy boys know what to do when you see me and Uncle Snoop
俺とアンクル・スヌープを見かけたら、お前らみたいな臆病者(プッシー)はどうすべきか分かってるはずだ
Connected with the Boss Lady, you know Ghetto in the loop
ボス・レディとも繋がってる、Ghetto(俺)が輪(ループ)に入ってるのは知ってるだろ
※「Boss Lady」はスヌープの長年の妻でありマネージャーも務めるシャンテ・ブローダス(Shante Broadus)の公式な愛称。単なる楽曲の客演というビジネスライクな関係ではなく、スヌープの家族ぐるみのインナーサークル(in the loop)にPeezyが深く入り込んでいる強固な絆を証明している。
I make a couple phone calls, everythin' gon' get approved
俺が電話を数本かければ、全てが承認されるのさ
Designer from my head to shoes, in a penthouse playin' pool
頭からつま先までデザイナーズブランドでキメて、ペントハウスでビリヤードをしてる
This life was hard, I made it cool, I ain't come in this game to lose
この人生は過酷だったが、俺がクールなものに変えたんだ、負けるためにこのゲーム(ラップ業界)に入ってきたわけじゃねえ
I go out and put the labor in, my kids enjoy the fruit
俺が外に出て労働(レイバー)するから、俺の子供たちがその果実(恩恵)を味わえるのさ
When you from the bottom, you deserve a mansion with a pool
どん底から這い上がってきたなら、プール付きの大豪邸に住む資格があるってもんさ
The streets taught me lessons that I could've never learned in school
学校じゃ絶対に学べないような教訓を、ストリートが俺に教えてくれた
If I can't show you nothin' else, I can show you how to move
他に何も見せてやれなくても、どうやって(賢く)動くべきかってことくらいは見せてやれる
Show you how to get back on your feet and get back in the groove
どうやって自立して、再び自分らしさ(グルーヴ)を取り戻すかをな
The loudest niggas talkin' be the brokest niggas in the room, Ghetto
部屋の中で一番デカい声で喋ってる奴が、一番の文無し(ブローク)野郎なんだよ、ゲットーだぜ
※「Empty vessels make the most noise(空き樽は音が高い)」と同義のストリートの真理。金を持っている本物のハスラーは静かに動くという「Move in silence」の美学を説いている。
[Chorus: Snoop Dogg]
Uncle Snoop, I set up shop
アンクル・スヌープ、俺は店(ビジネス)を構えたぜ
When I came, when I rock
俺がやって来た時、俺が揺らす時
When I swing with that thing
俺があのモノ(銃)を振り回す時
Let it bang and it pop
ぶっ放して、弾けさせてやる
They say it's cold up in the D
D(デトロイト)は冷たい街だって言われてるが
Nigga, we don't give a fuck though
俺らはそんなこと全く気にしちゃいねえよ
My homies yellin' out, "Dogg, what up, though?"
地元のダチどもが叫んでる、「ドッグ、調子はどうだ(ワタップ・ドー)?」ってな
We back on
俺らはまたシーンに戻ってきたぜ
