Artist: Snoop Dogg
Album: 10 Til’ Midnight
Song Title: Lied 2 U
概要
スヌープ・ドッグのアルバム『10 Til’ Midnight』に収録された「Lied 2 U」は、彼の女性に対して根も葉もない噂を吹き込む「ヘイター(嫉妬する男)」に向けた痛烈なアンサーソングだ。一見するとストリートにおける痴話喧嘩や三角関係を描いているように思えるが、その裏には、数十年にわたりシーンのトップアイコンとして君臨する彼に対する、業界内の嫉妬やフェイクニュースへの冷笑が込められている。1993年の殺人事件公判など、リアルなストリートの修羅場を潜り抜けてきたスヌープにとって、安全な場所から自身のステータスや過去を否定する「フェイク」な男たちの言葉は滑稽でしかない。西海岸特有のレイドバックしたバウンスに乗せ、自らのストリート・クレディビリティを静かに、しかし絶対的な自信を持って証明するベテランならではの一曲である。
和訳
[Chorus]
I know he told you that you didn't mean much to me
あいつが「お前は俺にとって大した存在じゃない」なんて吹き込んだのは分かってるぜ
※自身のパートナーに対して、ライバルの男がスヌープの愛情を疑わせようとしている状況。同時に、ヒップホップシーンにおいて他のラッパーがスヌープの求心力を削ごうと画策するゴシップのメタファーとしても機能している。
Well, that nigga lied to you
まあ、あいつはテメェに嘘をついたってことだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは真っ赤な嘘だぜ
I know he told you that you didn't mean much to me
あいつが「お前は俺にとって大した存在じゃない」なんて吹き込んだのは分かってるぜ
Well, that nigga lied to you
まあ、あいつはテメェに嘘をついたってことだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは真っ赤な嘘だぜ
[Verse 1]
That boy is a trip, poppin' his lips
あのガキはマジでイカれてる、口先ばっかでペチャクチャとよ
※「trip」は常軌を逸している、おかしい状態を指すスラング。「poppin' lips」は無駄口を叩く、中身のないことを喋りまくること。ストリートにおいては、行動が伴わず口先だけで粋がる人間(Studio Gangster)を最も軽蔑する文化があり、その典型例として描いている。
Tellin' you that I ain't shit
俺がクソみたいな底辺野郎だなんて抜かしてやがる
※「ain't shit」は何の価値もない、役立たずの意味。数々のビジネスを成功させている世界的アイコンに対して浴びせられる、最も陳腐なディスである。
That nigga lied to you
あいつはテメェに嘘をついたんだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは嘘だぜ
And even though he said that I got chicks
俺の家に毎晩いろんな女が
Comin' in and out of my crib
出入りしてるなんて言ってたらしいが
※「crib」は家、アジトを指すスラング。スヌープは過去にポン引き(Pimp)としてのペルソナを強く押し出していた時期があるため、ヘイターはあえてその古いパブリックイメージを利用して女性の不安を煽っている。
That nigga lied to you
あいつはテメェに嘘をついたんだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは嘘だぜ
He claim he that boss, and he well off
あいつは自分がボスで、金持ちだって言い張ってるらしいな
But I'm the nigga that fell off
そのくせ、俺のことはオワコンになったヤツ扱いかよ
※「fell off」は人気や実力が落ち目になること。ラップ・ゲームにおいて、新興の成金ラッパーがベテランを「時代遅れ」とディスる典型的な構図。スヌープは長年第一線で活躍し続けているため、この嘘がいかに現実離れしているかを皮肉っている。
That nigga lied to you (Woo)
あいつはテメェに嘘をついたんだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは嘘だぜ
And he said he saw my phone log
あいつは俺の通話履歴を見たなんて言いやがる
And he forwarded all your calls
お前からの電話を全部転送してやったとかな
※プライバシーを侵害し、テクノロジーを使って人間関係を操作しようとする現代的な嫌がらせの手口。
That nigga lied to you (Woo)
あいつはテメェに嘘をついたんだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは嘘だぜ
[Chorus]
I know he told you that you didn't mean much to me
あいつが「お前は俺にとって大した存在じゃない」なんて吹き込んだのは分かってるぜ
Well, that nigga lied to you
まあ、あいつはテメェに嘘をついたってことだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは真っ赤な嘘だぜ
I know he told you that you didn't mеan much to me
あいつが「お前は俺にとって大した存在じゃない」なんて吹き込んだのは分かってるぜ
Well, that nigga lied to you
まあ、あいつはテメェに嘘をついたってことだ
That nigga liеd to you
あいつの言うことは真っ赤な嘘だぜ
[Post-Chorus]
That nigga lied to you
あいつはテメェに嘘をついたんだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは嘘だぜ
That nigga lied to you
あいつはテメェに嘘をついたんだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは嘘だぜ
[Verse 2]
You see all that talk 'bout what he bought
あいつが何を買っただのって自慢話ばっかしてただろ
And all them battles he fought
それに、自分がどんな修羅場を潜り抜けてきたかってな
※物質的な豊かさ(買ったもの)とストリートでの武勇伝(戦ったこと)を過剰に誇張するのは、フェイクなラッパーやギャングワナビーの典型的な振る舞いである。
That nigga lied to you
あいつはテメェに嘘をついたんだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは嘘だぜ
Tellin' you I ain't no star, I'm just a fraud
俺はスターなんかじゃねぇ、ただのペテン師だなんて吹き込みやがって
※「fraud」は詐欺師、偽物。ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームにも星を持ち、スーパーボウルのハーフタイムショーを飾った世界的スターであるスヌープを「フェイク」と否定するのは、ヘイターの異常な嫉妬心を浮き彫りにしている。
Ridin' in my homeboy's car
俺がダチの車に便乗してるだけだとな
※自分の車を持たず、他人の車(homeboy's car)で見栄を張ることは、ヒップホップにおいて最もダサい行為の一つ。膨大なクラシックカー・コレクションを持つスヌープに対する見え透いた嘘である。
That nigga lied to you
あいつはテメェに嘘をついたんだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは嘘だぜ
He said I just be actin' tough and ain't no thug
俺がタフぶってるだけで、本物のサグ(不良)じゃねぇとか言ってたらしいな
And never been in no handcuffs
手錠すら掛けられたことがねぇ、ってよ
※この曲の中で最も強烈なパンチライン。スヌープは1993年に殺人事件の共犯として起訴され、長期の裁判の末に無罪を勝ち取ったという、ヒップホップ史に残る過酷な修羅場を経験している(アルバム『Doggystyle』リリース時期)。彼が「手錠をかけられたことがない」というのは、彼の歴史を知る者からすれば自らの無知を晒すだけの滑稽な嘘である。
That nigga lied to you (Woo)
あいつはテメェに嘘をついたんだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは嘘だぜ
Said I wouldn't show you no love, I'm up to no good
俺がお前を愛してない、ロクなこと企んでないとか抜かしてやがる
※「up to no good」は悪巧みをしている、ろくでなしである状態。Dr. Dreのクラシック「Nuthin' But A "G" Thang」でもスヌープ自身が用いたフレーズだが、ここでは女性への不誠実さをでっち上げられている。
Just another scrub from the hood
フッドにいる、ただの甲斐性なし(スクラブ)だとな
※「scrub」は金もなく、自立しておらず、女性に依存するような男性を指すAAVE。TLCの大ヒット曲「No Scrubs」によって世界的に広まったスラング。自身をG(ギャングスタ)やボスではなく「スクラブ」扱いするヘイターへの呆れが見える。
But that nigga lied to you, girl
でもな、あいつはテメェに嘘をついたんだよ、ガール
But that nigga lied to you
あいつの言うことは全部嘘だぜ
[Chorus]
I know he told you that you didn't mean much to me
あいつが「お前は俺にとって大した存在じゃない」なんて吹き込んだのは分かってるぜ
Well, that nigga lied to you
まあ、あいつはテメェに嘘をついたってことだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは真っ赤な嘘だぜ
I know he told you that you didn't mean much to me
あいつが「お前は俺にとって大した存在じゃない」なんて吹き込んだのは分かってるぜ
Well, that nigga lied to you
まあ、あいつはテメェに嘘をついたってことだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは真っ赤な嘘だぜ
I know he told you that you didn't mean much to me
あいつが「お前は俺にとって大した存在じゃない」なんて吹き込んだのは分かってるぜ
Well, that nigga lied to you
まあ、あいつはテメェに嘘をついたってことだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは真っ赤な嘘だぜ
I know he told you that you didn't mean much to me
あいつが「お前は俺にとって大した存在じゃない」なんて吹き込んだのは分かってるぜ
Well, that nigga lied to you
まあ、あいつはテメェに嘘をついたってことだ
That nigga lied to you
あいつの言うことは真っ赤な嘘だぜ
