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CATFISH - Doechii 【和訳・解説】

Artist: Doechii

Album: Alligator Bites Never Heal

Song Title: CATFISH

概要

フロリダ出身の異端児Doechiiによるミックステープ『Alligator Bites Never Heal』に収録された本作は、SNS上で偽りの姿を演じるフェイクな同業者やヘイターたちを容赦なく切り捨てるアグレッシブなバンガーだ。タイトルの「CATFISH」は、ネット上で別人になりすます行為(キャットフィッシュ)を指し、ギャングを気取るラッパーや偽善的な活動家たちのメッキを痛烈に剥がしていく。重厚なビートの上で、自身のルーツであるフロリダの泥臭さ(Swamp)とハイブランドを交差させ、「スワンプの支配者(Swamp Ruler)」としての絶対的な権力と卓越したリリシズムを見せつける、彼女の覇気が凝縮された一曲である。

和訳

[Intro]

Boom, boom, boom, boom, boom!
ブーン、ブーン、ブーン、ブーン、ブーン!

[Chorus]

Tell a bitch, "Hoorah"
ビッチに「フーラー(万歳)」って言ってやりな

Step up in this bitch, I look too fly
この場所に足を踏み入れる、アタシのルックスはイケすぎてるわ

Copped the Dior shit on Ventura
ベンチュラでDiorのアイテムをゲットしたの
※「Ventura(ベンチュラ・ブルバード)」はロサンゼルスにある高級ブティックが立ち並ぶショッピングストリート。西海岸での成功とラグジュアリーなライフスタイルを誇示している。

Took a midnight swim in my jeweler
真夜中にアタシの宝石の中で泳ぐのさ
※大量のダイヤモンドやジュエリーが水のように澄んで光り輝く様子(Ice / Drip)を、「宝石の中で泳ぐ」と表現するヒップホップ特有の詩的なフレックス。

Hatin' bitches clog my medulla
ヘイトするビッチ共がアタシの延髄(脳)を詰まらせる
※「medulla(延髄)」は脳の一部。有象無象のヘイターたちのノイズが頭の中にこびりつき、頭痛の種になっていることへの苛立ち。

I showed the bitch my pen, then I schooled her
あのビッチにアタシのペン(作詞スキル)を見せつけて、教育してやったの
※「pen」はリリシストとしての作詞能力。「school」はスラングで「(圧倒的な実力差で)相手に教訓を与える、叩きのめす」ことを意味する。

Shout out ese them and my chulas
エセ(ホームボーイ)たちと、アタシのチューラ(可愛い女の子たち)にシャウトアウト
※「ese」はメキシコ系アメリカ人(チカーノ)のスラングで「仲間、ブラザー」。「chula」はスペイン語で「美しい女性」。自身を支持するラテン系コミュニティへの連帯と愛を示している。

Doechii the Don, Doechii the dean
ドン・ドーチ、学部長のドーチ
※「Don(マフィアの首領)」と「Dean(大学の学部長)」。ストリートにおける権力と、アカデミック(知的)な権威の双方を兼ね備えた絶対者としての自己定義。

Doechii supreme, the Swamp Ruler
至高のドーチ、沼地(スワンプ)の支配者よ
※自身のルーツであるフロリダの湿地帯(Swamp)をレペゼンし、そこから這い上がってきた頂点に君臨する存在であることを宣言している。

[Verse 1]

Freaky lil', sneaky lil', creepy lil' whack bitch
キモくて、コソコソしてて、気味が悪い、ダサいビッチ

Creepin' on me, speakin' on me, sleepin' on me, mattress
アタシに忍び寄り、陰口を叩き、アタシの価値を見落としてる(スリープしてる)、マットレスみたいにな
※「sleep on someone(誰かの価値や才能を過小評価する)」というスラングから、「sleep」に掛けて「mattress(マットレス)」を導き出す小粋なワードプレイ。

Now I got some bands to burn and bars to bend 'em backwards
今じゃ燃やすほどの札束(バンド)があって、連中をのけぞらせる(圧倒する)ほどのヴァース(バー)がある
※「bands(札束)」と「bars(ラップの小節/鉄格子)」で頭韻を踏みつつ、経済的な成功とラッパーとしての圧倒的なスキルの両立を誇示している。

It's time to wake em up 'causе they been sleepin' on the tracklist
目を覚まさせてやる時間よ、連中はアタシのトラックリストの価値を見落としてたからね

Body so attractive
カラダは超魅力的

Y'all bе giving catfish
アンタらはみんなキャットフィッシュ(ネットの偽物)みたいね
※タイトルの回収。「catfish」はSNSや出会い系サイトで他人の写真を使ったり、経歴を偽ったりする「なりすまし」のこと。ネット上でだけ強気に振る舞う同業者たちをフェイクだと一蹴している。

Log 'em off the web and every gangsta's giving actress
ネットからログアウトさせてみれば、ギャング気取りの奴らもみんな「女優」みたいに演じてるだけ
※インターネットという安全圏(Web)を取り払えば、ストリートのギャングを自称するラッパーたちも、実際には台本通りにタフな振る舞いを演じているだけの「役者(actress)」に過ぎないという痛烈なリアルへの言及。

Gangsta's giving actress and all these fake activists
ギャングは女優気取りで、フェイクな活動家ばかり

Leave me baffled, bewildered, relax a bit
マジで困惑するし、呆れちゃうわ、少しリラックスさせてよ

Let me relax a bit, I think I need to cool it off
ちょっとリラックスさせて、頭を冷やさなきゃ

I put some pep up in my step, and then I do it up
足取りに活気(ペップ)を注入して、派手にブチかますの

I shine my cutlery and hit my jeweler up
カトラリー(刃物)を磨いて、宝石商(ジュエラー)に連絡するわ
※「cutlery(刃物)」は彼女の研ぎ澄まされたラップスキル(言葉の刃)の暗喩。それを磨き上げた上で、その成功の証としてさらなる宝石(Ice)を買い求めるというハスラーのルーティン。

[Chorus]

Tell a bitch, "Hoorah"
ビッチに「フーラー」って言ってやりな

Step up in this bitch, I look too fly
この場所に足を踏み入れる、アタシのルックスはイケすぎてるわ

Copped the Dior shit on Ventura
ベンチュラでDiorのアイテムをゲットしたの

Took a midnight swim in my jeweler
真夜中にアタシの宝石の中で泳ぐのさ

Hatin' bitches clog my medulla
ヘイトするビッチ共がアタシの延髄を詰まらせる

I showed the bitch my pen, then I schooled her
あのビッチにアタシのペンを見せつけて、教育してやったの

Shout out ese them and my chulas
エセたちと、アタシのチューラにシャウトアウト

Doechii the Don, Doechii the dean
ドン・ドーチ、学部長のドーチ

Doechii supreme, the Swamp Ruler
至高のドーチ、沼地の支配者よ

[Verse 2]

Niggas dick ride, the dick-riders gon' dick ride
野郎どもは媚びへつらう(ディックライドする)、ディックライダーはどうせディックライドするのさ
※「dick ride」は成功者や権力者にすり寄る、便乗するというスラング。

Make a few bands and switch tribes they switch sides
はした金(バンド)を稼いでは部族(トライブ)を乗り換え、寝返りやがる

Niggas flip scripts like B sides, who these guys?
B面(裏面)みたいに台本(態度)をひっくり返す野郎ども、こいつらマジで誰なの?
※「flip scripts(態度を豹変させる、裏切る)」という表現を、アナログレコードの「B sides(B面)」をひっくり返す(flip)動作に掛けた巧みなワードプレイ。

Only thing switching on me, is thick thighs
アタシの中で切り替わる(スイッチする)のは、この極太の太ももくらいよ
※他人のように忠誠心や態度を「スイッチ(裏切る)」することはなく、アタシが「スイッチ」させるのは歩くたびに揺れる太もも(Switch thighs=腰を振って歩く様)だけだという、女性特有のボディ・フレックスを交えた秀逸なアンサー。

I been did the black slugs, then I did the clown face
ブラックスラッグ(弾丸)はもうやったし、ピエロのメイク(道化)も演じてきた
※「black slugs」は発射された弾丸を指し、ハードコアなストリートのペルソナのこと。「clown face」は彼女の過去のMVや奇抜でオルタナティブなビジュアル表現のこと。あらゆるスタイルをすでに網羅・経験してきたという多才さの誇示。

Took 'em to the swamp meet, that was on a Saturday
連中をスワンプ・ミート(沼地の集会)に連れて行った、あれは土曜日のこと
※アメリカのフリーマーケットを指す「Swap meet(スワップ・ミート)」を、自身のアイデンティティであるフロリダの沼地「Swamp」に置き換えた言葉遊び。

Mud on the Prada boot and that was on a bad day
プラダのブーツに泥がつく、あれは最悪な日だったわ
※ハイエンドなラグジュアリー(Prada)と、泥臭いフッドの現実(Mud)が同居する彼女の特異な立ち位置を象徴するライン。

I'm the hardest rapper, this yo' motherfucking training day
アタシは最強のラッパー、これはアンタらのクソみたいな「トレーニング デイ」よ
※デンゼル・ワシントン主演の2001年の名作映画『トレーニング デイ』のサンプリング。新人警官がストリートの残酷な現実を教え込まれる同作のように、フェイクなラッパーたちにラップゲームの厳しさをアタシが叩き込んでやるというドミナントな宣言。

[Chorus]

Tell a bitch, "Hoorah"
ビッチに「フーラー」って言ってやりな

Step up in this bitch, I look too fly
この場所に足を踏み入れる、アタシのルックスはイケすぎてるわ

Copped the Dior shit on Ventura
ベンチュラでDiorのアイテムをゲットしたの

Took a midnight swim in my jeweler
真夜中にアタシの宝石の中で泳ぐのさ

Hatin' bitches clog my medulla
ヘイトするビッチ共がアタシの延髄を詰まらせる

I showed the bitch my pen, then I schooled her
あのビッチにアタシのペンを見せつけて、教育してやったの

Shout out ese them and my chulas
エセたちと、アタシのチューラにシャウトアウト

Doechii the Don, Doechii the dean
ドン・ドーチ、学部長のドーチ

Doechii supreme, the Swamp Ruler
至高のドーチ、沼地の支配者よ

[Outro]

Hehe-hahahaha
ヘヘッ、ハハハハハ