Artist: Doechii (feat. LEO CONOZA)
Album: Bra-Less
Song Title: Truth
概要
DoechiiのEP『Bra-Less』に収録された本作は、客演にLEO CONOZAを迎え、彼女がシーンの頂点へと登り詰める過程での圧倒的な自信と、周囲のヘイターやフェイクな同業者たちへの冷酷なまでの「真実(Truth)」を叩きつけるバンガーである。聖書の引用からルブタン、Apple社のキーノート、そして『不思議の国のアリス』まで、多彩なカルチャーを横断する彼女の高度なワードプレイとメタファーが炸裂する。後半ではLEO CONOZAが2000年代のブラック・ポップカルチャーを引用しながらソリッドなヴァースで応戦。メインストリームの画一的な枠(ピジョンホール)に収まることを拒絶し、インディペンデントな精神を持った次世代の女王として君臨する彼女の、恐るべき覇気とリリシズムが証明された一曲だ。
和訳
[Verse 1: Doechii]
Righteous livin', the sun promise a life prolific
正しく生きる、太陽が豊かな人生を約束してくれてるわ
※「Righteous livin'」はHIPHOPにおける成功と精神的充足の両立を指す。太陽(スポットライトや自然の恵み)が彼女の多作で実りあるキャリア(prolific)を照らしているというポジティブな幕開け。
I am the exhibit of wombs gifted, these niggas tempted
アタシは天賦の才を授かった子宮の展示品、野郎どもは誘惑されてる
I am underwritten and y'all scriptin' the stories twisted
アタシは過小評価されてるし、アンタらは捻じ曲げたストーリーの台本を書いてる
※「underwritten」は「保険などで過小に引き受けられる=過小評価されている」の意。メディアやヘイターが彼女の真実を捻じ曲げて(twisted)勝手な物語を作り上げていることへの批判。
It's misprinted
それは誤植よ
Nigga, you are in the presence of a new apprentice
なぁ、アンタらは今「新たな弟子(スーパールーキー)」の御前にいるんだぜ
I been reapin' blessings like I'm on a new subscription
新しいサブスクにでも登録したみたいに、次々と祝福(成功)を刈り取ってるのさ
Poppin' tags every day like a new prescription
新しい処方箋みたいに、毎日タグを引きちぎって(新品の服を下ろして)る
※「Poppin' tags」は買ったばかりの服の値札を切ること(散財のフレックス)。それを毎日薬局でもらう「処方箋(prescription)」に例え、成功のサイクルが完全に日常化していることを示している。
Nigga, shut up, listen
野郎ども、黙って聞きな
Soles of my feet red, these the Christians
足の裏は真っ赤、これがクリスチャンよ
※「Christians」は高級靴ブランド「Christian Louboutin(クリスチャン・ルブタン)」のこと。靴底が赤い(Red bottoms)のが特徴であり、HIPHOPにおける富と成功のクラシックな象徴。
Bitches wanna break brеad like Corinthians
ビッチ共はコリント人みたいにパンを分け合おう(利益に便乗しよう)とする
※「break bread」は「パンを分かち合う=食事を共にする、利益を分け合う」というスラング。新約聖書の『コリント人への第一の手紙』における聖餐式(パンを割く)の描写と掛け合わせており、ルブタン(Christians=キリスト教徒)のラインから宗教的なワードプレイを見事に連続させている。
You in my presencе, consider yourself gifted
アタシの御前にいられるんだから、自分は恵まれてる(ギフトだ)と思いなさい
Okay, we know you tellin' the tales
分かったわ、アンタが作り話をしてるのはお見通しよ
You know who ringin' the bells
誰が鐘を鳴らして(注目を集めて)るか、分かってるでしょ
You know who leavin' the trails
誰が道筋(トレンド)を作ってるか、分かってるでしょ
You know who got it
誰が天下を獲ってるか、分かってるわよね
Candles drippin', leave the wax on her body
キャンドルが滴り、彼女の体にロウを残す
Wake up to the smell of pussy, bitches doin' pilates
プッシーの匂いで目が覚める、ビッチ共はピラティスをしてるわ
※バイセクシュアルを公言する彼女ならではの、女性との生々しくも優雅なモーニング・ルーティンの描写。男性ラッパーのトロピックを奪い取り、ドミナントに振る舞っている。
Who got this shit wrapped up like a bonnet?
ボネットみたいに、このゲームをすっぽり包み込んで(掌握して)るのは誰?
※「bonnet(ボネット)」は黒人女性が就寝時に髪を保護するために被るナイトキャップ。「wrap up」は「ボネットで髪を包む」ことと、「ビジネスや状況を完璧に終わらせる・掌握する」ことのダブルミーニング。ブラックカルチャーの日常的なアイテムを用いて、シーンの覇者であることを示している。
Niggas bustin' off my flow, it's erotic
野郎どもがアタシのフロウでイッてる(絶賛してる)、エロティックね
And I know you know, but do she know?
アンタが分かってるのは知ってるけど、あの娘は分かってるのかしら?
Who else you know could break a neck without a push from Vevo?
Vevoのプッシュもなしに、ここまで首を振らせる(注目を集める)奴が他にいる?
※「break a neck」は振り向かせる(驚かせる)、または激しくノリに乗らせるという意味。「Vevo」は大手レコード会社が運営する巨大なミュージックビデオ・プラットフォーム。巨大資本によるプロモーションの恩恵を受けずとも、インディペンデントの力だけでブレイクした自身の圧倒的な実力を誇示している。
The only apple of my eye is the fuckin' keynote
アタシの目の中に入れても痛くない(一番の関心事)のは、クソみたいなキーノートだけ
※「apple of my eye(非常に愛おしいもの)」というイディオムに、Apple社のプレゼンテーション「Keynote(キーノート)」を掛けている。また「keynote」は音楽の「基調音」や「一番の重要事項(金やキャリア)」も意味する極めて高度な言葉遊び。
The only plane I'ma fly is a fuckin' G-note
アタシが飛ばす飛行機は、クソみたいなGノートだけよ
※「G-note」は「1000ドル札(大金)」のスラング。大金を紙飛行機のように飛ばす(散財する・稼ぐ)ことと、プライベートジェット(G5など)を飛ばすことを掛けている。
They peepin' through the peephole
連中はドアの覗き穴からこっちを覗き見てる
I'm peekin' through the people
アタシは群衆の隙間からこっそり見回してるの
And I ain't bein' cocky when I say they lookin' for me
「みんながアタシを探してる」って言うのは、決して調子に乗ってるわけじゃない
And I ain't talkin' Paula when I say they cookin' for me
「アタシのために料理してる」って言っても、ポーラのことじゃないわよ
※「Paula」はアメリカの有名な白人料理研究家、Paula Deen(ポーラ・ディーン)のこと。彼女は過去に人種差別発言で大炎上した経歴があり、ここでは「白人の権威に媚びているわけではなく、純粋に周囲が自分のために動いている(cookin')」という皮肉を込めたブラックジョーク。
These niggas 7shifts, that mean they bookin' for me
こいつらは「7shifts」、つまりアタシのためにシフト(予約)を組んでるのさ
※「7shifts」は飲食業界などで使われる従業員のシフト管理アプリ。自分はマネジメントされる側ではなく、他人のスケジュールを管理・予約(bookin')させる「ボス」の立場にあることを示している。
These niggas U-turn when they be lookin' for me
こいつら、アタシを探してる時はUターンして戻ってくるの
And if you hear a rumors 'bout me, just know that it's true
もしアタシについての噂を聞いたなら、それは全部「真実(True)」だと思いな
The labels can't afford the fact that I work 'til I'm blue
アタシが青ざめる(死ぬ)まで働くって事実を、レーベルは受け止めきれないのよ
I work 'til I'm fat, I burp and I brat
太る(腹が満たされる)まで働いて、ゲップをして、ワガママに振る舞う
They see me on the cover Wonderlandin', off with they heads, it's true
アタシが雑誌の表紙でワンダーランドしてるのを見て、「首をはねよ!」ってなるのさ、マジな話ね
※ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス(Alice in Wonderland)』に登場する「ハートの女王」の有名なセリフ「Off with their heads!(首をはねよ!)」の引用。Doechiiがシーンの絶対的な女王として君臨し、逆らう者やヘイターたちを容赦なく処刑(圧倒)するという過激なメタファー。
It's true
事実よ
You know that it's true
これが真実だって、分かってるでしょ
True
真実よ
[Verse 2: LEO CONOZA]
Pride of my family, man, no K. Pratt, yeah
俺は家族の誇り(Pride of my family)だ、K. Prattじゃないぜ、イェー
※「K. Pratt(カイラ・プラット)」は、アメリカの人気アニメ『The Proud Family(プラウド・ファミリー)』の主人公ペニー・プラウドの声を担当した黒人女優。「家族の誇り(Proud/Pride)」という言葉から即座に2000年代のブラック・ポップカルチャーのアイコンを引き出し、比喩に用いる秀逸なライン。
My bad we winnin', know you hate that
俺たちが勝っちまって悪かったな、お前らがそれを憎んでるのは知ってるぜ
It's in the sign, just watch and listen to this eight-track
兆候は出てるさ、ただ見て、この8トラック(楽曲)を聴きな
※「eight-track」は古いカセットテープの規格(8トラック・カートリッジ)を指すが、ここではヒップホップにおける「楽曲」や「録音物」そのものを意味する。
We step all on these niggas' necks just like a placemat, yeah
俺たちはランチョンマットみたいに、こいつらの首の上をガッツリ踏みつけるのさ
※「step on necks(首を踏みつける)」は相手を完膚なきまでに叩きのめす・圧倒するというストリートの定番スラング。それを食卓に敷く「placemat」に例えて、日常的かつ容赦なくヘイターを踏み台にしていることを強調。
I grind different, my soul in it, you can't miss it
俺のハッスル(grind)は別次元だ、魂がこもってる、お前らも見逃せないはずさ
My angels hold me, nigga, we ain't got the same limits
天使たちが俺を守護してくれてる、なぁ、俺とお前らじゃ限界のレベルが違うんだよ
We got the same view, but we ain't got the same vision
同じ景色を見ていても、俺たちのビジョン(先見の明)は別次元だ
We in the same pic, but we frame different
同じ写真(pic)に写ってても、俺たちのフレーム(骨格・額縁)は別次元だ
Fuck the spotlight, bitch, we fame different
スポットライトなんてクソ食らえ、ビッチ、俺たちの名声(fame)は別次元だ
Don't got the same drip, we rain different
同じドリップ(ファッション・滴)じゃねえ、俺たちの雨(rain)は別次元だ
※「different」で脚韻を踏み続けるフロウ。「drip(滴るようなカッコよさ・ファッション)」から「rain(雨)」へと、水に関連するワードを連想させている。
And here's a fair warning, I will get your main missin'
ここで親切に警告しといてやる、お前の本命の女(main)を行方不明にしてやるよ
We take the same shots, but we aim different
同じようにショット(銃・酒)を撃っても、俺たちのエイム(狙い)は別次元だ
Yeah, true
イェー、マジな話だぜ
Yeah, I'm aimin' at you
ああ、俺はお前を狙ってるんだ
Uh, and you know that it's true
アー、お前もそれが真実だって分かってるだろ
You know that it's—
分かってるはずだ—
[Verse 3: Doechii]
Uh, I'm here physically, I'm grown mentally
アー、肉体的にはここにいるけど、精神的にはもうずっと大人なの
I dream vividly, so don't trigger me
鮮明に夢を描いてるから、アタシを刺激しないで
I never pivot back, I never pigeonhole
絶対に後戻りしないし、型(ピジョンホール)にハマったりもしない
※「pigeonhole」は「型にはめる、分類する」の意。ジャンルやステレオタイプに分類されることを拒絶する、オルタナティブな彼女のスタンス。
And I could call him back, don't got his digits, though
アイツに電話をかけ直してやってもいいけど、あいにく番号(digits)を知らないのよね
True, you know that it's true
真実よ、これが真実だって分かってるでしょ
You know that it's true
これが真実だって分かってるでしょ
Ain't lookin' at you
アンタのことなんて見てないわ
But you know that it's true
でも、これが真実だって分かってるでしょ
