Artist: Doechii (feat. Mike Escanor)
Album: Coven Music Session, Vol. 1
Song Title: Mocking Bird
概要
『Coven Music Session, Vol. 1』収録の本作は、ゲストにMike Escanorを迎え、業界のコピーキャットたちや有害な人間関係を嘲笑いながらトップを目指す野心を綴った一曲。ハーパー・リーの小説や動物園のハランベ、アニメ『リック・アンド・モーティ』からWarren GのGファンク・クラシックまで、縦横無尽にカルチャーを横断する緻密なワードプレイが炸裂する。後半では客演のMike Escanorがレトロゲームや古典文学を引用しつつソリッドなヴァースをキック。アウトロには当時のYouTuber特有の「チャンネル登録よろしく」という定型句がそのままサンプリングされ、インターネット黎明期からDIYでハッスルしてきたZ世代アーティストとしてのDoechiiのルーツとユーモアが色濃く反映されたドープな名曲である。
和訳
[Intro: Doechii]
Mmm
うーん
Higher than a mockingbird
モッキンバードより高く飛んでるわ
※「Mockingbird(マネシツグミ)」は他者の鳴き声を真似る鳥。ここではオリジナリティのないフェイクなラッパーたち(コピーキャット)を見下ろしている。
Flip inside the silencer
サイレンサーの中でひっくり返す
Interrupt my caliber
ウチの器(キャリバー)に口出ししてきなよ
This gon' turn to how to kill no fuckin' bird
これは「クソ鳥を殺す方法」じゃ済まなくなるわよ
※ハーパー・リーの米文学の古典的名作『To Kill a Mockingbird(アラバマ物語)』のタイトルをもじった秀逸なワードプレイ。「マネシツグミを殺すには(罪なき者を殺すこと)」というテーマを引用し、自身に刃向かうフェイクな連中を文字通り「殺す(圧倒する)」という凶暴なプレイングを示唆している。
[Chorus: Doechii]
Give me the space that I deserve
ウチに相応しいスペース(居場所)を与えてよ
Give me a place where I can die
ウチが死ねる場所を与えてよ
Beautiful viper in disguise
変装した美しい毒蛇
※「viper(毒蛇)」は、一見魅力的だが実は有害な人間(恋人や業界の人間)や、華やかだが搾取的な音楽業界そのものを暗示している。
You are the cause of my demise
アンタがウチの破滅の原因なの
[Refrain: Doechii]
You are, you are, you are, you are
アンタが、アンタが、アンタが、アンタが
You are, you are, you are (Mmm)
アンタが、アンタが、アンタが(うーん)
You are, you are, you are, you are (Okay)
アンタが、アンタが、アンタが、アンタが(オーケイ)
You are, you are, you are
アンタが、アンタが、アンタが
[Verse 1: Doechii]
I'm joyriding on thе beat in a Challenger (Challеnger)
チャレンジャーに乗って、このビートの上をジョイライド(暴走)してるわ
※「Challenger」はダッジ・チャレンジャー(アメリカの象徴的なマッスルカー)。ビートを完全に自分のものにして乗りこなしているというフレックス。
You niggas my passengers (Passengers)
お前らはウチの助手席に乗るただの乗客よ
Donuts in the parking lot, Holy Moly Donut Shop
駐車場でドーナツスピン、ホーリームーリー・ドーナツショップみたいにね
※「Donuts」は車で円を描くように急旋回するドリフト走行(ドーナツターン)のこと。「Holy Moly Donut Shop」は映画『Friday』などに登場するドーナツ屋。車を暴走させる情景とドーナツ屋の名前を掛けた言葉遊び。
Pull up to your daddy job
アンタのパパの職場に乗り込んでやる
He gon' eat this booty after dark like it's butterscotch
アイツは夜になったら、このケツをバタースコッチみたいに貪るのさ
While I sip Menage A Trois
ウチがメナージュ・ア・トロワを啜ってる間にな
※「Menage A Trois(メナージュ・ア・トロワ)」はフランス語で「3人でのセックス(スリーサム)」を意味するが、ここではカリフォルニア産の同名の人気ワインブランドのこと。男に自身の尻を舐めさせながら、自分は優雅にワインを飲んでいるという、女性上位のドミナントな描写。
It's payday and he gon' do whatever I say, say
今日は給料日、アイツはウチの言うことなら何でも聞くの
It's me, you, and plus two, subtract your boo, I call that Treyway
ウチ(1)、アンタ(1)、それにプラス2人、そこからアンタの女(1)を引く。それを「トレイウェイ」って呼ぶの
※「1 + 1 + 2 - 1 = 3」。算数で答えが「3(Trey)」になるように計算している。「Treyway」は元々ラッパー6ix9ineが所属していた悪名高いニューヨークのギャング/レーベル名。数字の3とストリートの文脈を巧みに掛け合わせたドープなライン。
All these hoes, I feel like Bombay
このビッチ共を相手にしてると、ボンベイみたいな気分になるわ
※「Bombay」は人気ジンブランド「ボンベイ・サファイア」のこと。「酒が入って強気になっている」、あるいは「透明(中身がない)な奴らばかりだ」というダブルミーニング。
Actin' like children, I turn to Harambe
ガキみたいに振る舞うなら、ウチはハランベに豹変してやる
※「Harambe(ハランベ)」は2016年にシンシナティ動物園で、獣舎に転落してきた幼児を保護しようとした(または引きずり回した)末に射殺されたニシローランドゴリラ。ネットミームとして広く知られる。ガキ(子供)のように未熟な相手に対して、ゴリラのように凶暴化して暴れ回るというブラックなユーモア。
Think I'm a villain, took time to admit it
自分のことヴィラン(悪役)だと思うわ、認めるのに時間はかかったけど
They want me to pivot, I'm overcommitted
連中はウチに方向転換しろって言うけど、もう後戻りできないところまで来てる
They want an exhibit and I want to pop
連中は見せ物を求めてるけど、ウチはポップ(ブレイク)したいの
I need commission, it's part of the business
手数料はしっかりもらうわ、これもビジネスの一部だからね
It's all in the vision, man, how can I stop?
全部ウチのビジョンの中にある、どうやって立ち止まれって言うの?
I need the lot, I need the acre
土地が必要、エーカー単位の広大なヤツがね
Give me all forty
40エーカーすべて寄越してよ
※「40 acres and a mule(40エーカーの土地と一頭のラバ)」は、南北戦争後に解放された黒人奴隷に対して政府が約束した(そして反故にされた)賠償の象徴的なスローガン。ブラックカルチャーにおける正当な権利と対価の要求のメタファー。
Give me Top 40 before I hit forty
40歳になる前に、トップ40のヒットをちょうだい
※「Top 40」はビルボードチャートの上位40曲(メインストリームのヒット)を指す。「forty(40エーカー / トップ40 / 40歳)」でライムを畳み掛けながら明確な野望を宣言している。
I need a whip that look sporty
スポーティーな車が必要よ
I need to get a lil' shorty
イケてる可愛いコ(男/女)も必要ね
I need a friend who ain't boring
退屈じゃない友達が必要なの
Give me that Ricky and Morty, huh?
『リック・アンド・モーティ』みたいなのを寄越してよね
※アメリカの大人気SFブラックコメディアニメ『Rick and Morty』。退屈な人間を嫌い、アニメのキャラクターのようにクレイジーで次元を超越した刺激的な体験を求めているナード気質なライン。
[Refrain: Doechii]
You are, you are, you are, you are (Huh)
アンタが、アンタが、アンタが、アンタが
You are, you are, you are, you are (You are)
アンタが、アンタが、アンタが、アンタが
You are, you are, you are, you are (Escanor)
アンタが、アンタが、アンタが、アンタが(エスカノール)
You are, you are, you are, you are (Escanor)
アンタが、アンタが、アンタが、アンタが(エスカノール)
[Chorus: Mike Escanor]
Ayy
エイ
Give me the space that I deserve
俺に相応しいスペース(居場所)を与えてくれ
Give me a place where I can die
俺が死ねる場所を与えてくれ
Beautiful viper in disguise
変装した美しい毒蛇
You are the cause of my de—, uh
お前が俺の破滅の原—、アー
[Interlude: Mike Escanor]
Do, re, mi, fa, so, la, I need the dough, though
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、でも俺に必要なのは「ドウ(金)」だぜ
※「ド・レ・ミ」の音階の「Do(ド)」と、ストリートスラングで金(札束)を意味する「dough(ドウ)」を掛けたワードプレイ。音楽をやっているのは結局のところ金を稼ぐためだというハスラー精神。
Do, re, mi, fa, so, la, I need the dough, though
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、でも俺に必要なのは金だ
Do, re, mi, fa, so, la, I need the dough, though
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、でも俺に必要なのは金だ
Do, re, mi, fa, so, la, la-la-la-la-la like
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、ラララララ、まるで…
[Verse 2: Mike Escanor]
No photos, take this verse as quid pro quo
写真はNGだ、このヴァースを見返り(Quid pro quo)として受け取りな
My favorite color yellow, smokin' squares like Quasimodo
俺の好きな色は黄色、カジモドみたいにタバコを吸いまくってる
※「squares」はタバコ(紙巻きタバコ)のスラング。「Quasimodo(カジモド)」はヴィクトル・ユゴーの小説『ノートルダムの鐘』のせむし男。タバコを吸いすぎて背中を丸めて咳き込む様子、あるいはヘビースモーカーぶりをクラシック文学のキャラクターで比喩している。
She think the durag for show, tomorrow is a for sure
あの娘はドゥーラグがただの飾りだと思ってる、明日は確実にお持ち帰りだ
I ride the beat with windows down, remind me of my Corolla
窓を開け放ってビートに乗る、昔乗ってたカローラを思い出すぜ
It's no more sleepin' over
もうお泊まり会は終わりだ
Hard to sleep when I'm sober
シラフじゃ眠るのもキツいからな
So I be packin' doja
だからウィード(Doja)を巻き続ける
She say wanna be my boo, I say it's not October
あの娘は俺の「ブー(恋人)」になりたいって言うが、俺は「10月じゃないぜ」って返すんだ
※「boo」は恋人を呼ぶスラングだが、幽霊を脅かす時の「Boo!(ばぁ!)」とも掛かっている。「ハロウィンがある10月(October)じゃないんだから、Boo(お化け/恋人)にはなれないぜ」という洒落た断り文句。
I made you show 'em by the dang-a-lang, that's why she actin' boomerang
俺のブツ(dang-a-lang)を見せつけてやったから、あの娘はブーメランみたいに振る舞うのさ
And comin' back around, but act astounded when I say nah
何度も俺の元に戻ってくるくせに、俺が「ノー」って言うと驚いたフリをしやがる
And play no games, remind me of a Sega
俺はゲーム(遊び)はしないぜ、セガを思い出すな
※「Play no games(お遊びはしない、真剣だ)」というストリートの決まり文句の後に、あえて日本のゲームメーカー「Sega(セガ)」を引っ張り出してくる見事なパンチライン。
I leave lil' shorty limpin' to the whip, in fact
実際、あの娘を車まで足を引きずらせて歩かせてやったぜ
Beat up the beat and then gave it back
ビートをボコボコに叩きのめして、突き返してやる
Know that I'm hunchin' the thermostat
俺がサーモスタット(温度)をアゲまくってる(Hunchin')のを知ってるだろ
※「Hunchin'」は南部スラングで激しいセックス(腰を振る)を意味する。フロアの熱気や曲のバイブスを、性的なメタファーを用いて上げまくっているという表現。
Paint like a scroll, don't care what you told
巻物みたいに(長く深く)絵を描くぜ、お前が何を言われたかなんて気にならねえ
She fuckin' with me 'cause my zodiac
星座の相性が良いからって、あの娘は俺とヤッてるのさ
She treatin' the kid like a deity
俺(The kid)をまるで神(Deity)みたいに崇めてる
Holler, "Hoody-hoo," every time you see the boy
俺の姿を見るたびに、「フディ・フー!」って叫びな
※「Hoody-hoo」は、90年代後半に一世を風靡したサザン・ヒップホップの雄「Master P」や「No Limit Records」の象徴的な掛け声・チャント。南部ラップへの強烈なリスペクト。
When the daylight save and the time go back like your hairline
サマータイムが終わって、お前の生え際みたいに時間が後退する時にな
※「Daylight saving time(サマータイム)」が終了して時計の針が「後退する(go back)」ことと、相手の男の生え際(hairline)が「後退している(ハゲてきている)」ことを掛けた容赦ないコメディ・ディス。
Bet you choke up like a guillotine
ギロチンみたいにお前は息を詰まらせるに決まってる
Ask who the best, bet they pickin' me
誰が一番か聞いてみな、絶対に俺が選ばれるから
Nigga, I'm sippin' on creatine
俺はクレアチンを啜ってるんだぜ
※「Creatine」は筋肉増強のためのサプリメント。プロテイン同様、肉体的・精神的な強さやタフネスを誇示している。
Nigga, I'm sippin', now I'm in the Bay, I need a bae
俺は啜ってる、今はベイエリアにいるぜ、ベイ(恋人)が必要だな
Niggas switchin' up like every fuckin' day
野郎どもは毎日のように寝返り(心変わりし)やがる
Ask your sisters, your brother, your cousin
お前の姉ちゃん、兄貴、いとこにも聞いてみな
A beetle, your mom, your aunt, I'm buggin'
ビートル(虫)、お前のお袋、おばさん、俺はバグってる(気が狂いそう)ぜ
No Warren G, but, bitch, I regulate
俺はWarren Gじゃないが、ビッチ、俺がここを「レギュレート(支配)」してるんだ
※西海岸Gファンクの伝説的ラッパーWarren Gの1994年の特大ヒット曲「Regulate(feat. Nate Dogg)」のサンプリング。「regulate」は「取り締まる、支配する」の意。自分がストリートのルールを仕切っているという、HIPHOPクラシックへの最大のリスペクト。
No warranty when the payment too late
支払いが遅れたら「保証(ワランティ)」はねえからな
※前の行の「Warren G(ウォーレン・ジー)」と「warranty(ワランティ)」で見事に韻を踏んでいる。ビジネス(取引)において一切の情けは掛けないという冷徹なハスラー宣言。
No Warren G, but, bitch, I regulate
俺はWarren Gじゃないが、ビッチ、俺がここを支配してるんだ
No warranty when the payment too late
支払いが遅れたら保証はねえからな
[Outro: Doechii]
Congratulations
おめでとうございます
※楽曲の最後に唐突に挿入される、YouTubeクリエイターの定型アナウンスのパロディ。Doechiiが初期に自身のYouTubeチャンネルで音楽やVlogをアップロードし、自力でプロモーションを行っていたネット黎明期のハッスルとDIY精神をユーモラスに表現した、Z世代ならではのアウトロ。
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私のビデオを最後まで見てくれてありがとうございます、ご視聴感謝します
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The link is gonna be in the description below
リンクは下の概要欄に貼っておきます
And there's where you'll get the full iamdoechii experience
そこでは「iamdoechii(アイアムドーチ)」のフル体験ができちゃいます
And you can submit your requests to collaborate with me
私へのコラボの依頼もそこから送ることができますよ
Once again, thank you so much for watching and have a wonderful day
最後にもう一度、ご視聴本当にありがとうございました。素晴らしい一日をお過ごしください
