Artist: Lil Nas X
Album: October 31st
Song Title: Grab That!
概要
2018年発表のEP『October 31st』に収録された、女性たちをフロアで躍らせるための典型的なストリップクラブ/トゥワーク・アンセム。本作の最大の特筆すべき点は、後に同性愛者であることをカミングアウトし、クィア・アイコンとして世界のポップカルチャーを牽引することになるLil Nas Xが、ブレイク前夜において「異性愛規範的なマチズモ(男らしさ)」と「女性の性的対象化」というヒップホップ・トラップの古典的な定型(トロープ)を極めて忠実に“演じて”いる点にある。Juvenileの「Back That Azz Up」やDrakeの系譜を継ぎ、あらゆる職業の女性を羅列して讃えつつも、そこに「ピッグ・ラテン」や「オバマ」といったネットミーム的なナンセンス・ユーモアを差し込む手腕には、彼特有のインターネット・トロールとしてのDNAが色濃く反映されている。過渡期のアトランタ・ラップ特有のバイブスと彼の知性が入り混じった、タイムカプセルのような一曲である。
和訳
[Intro]
Uh, I ain't made one for the ladies yet
アー、まだレディーたちに向けた曲を作ってなかったな
This one for y'all
これは君たちへ捧げるぜ
Uh, uh, yo, yo, yo, yo, yo, yo
アー、アー、ヨー、ヨー、ヨー、ヨー、ヨー、ヨー
[Chorus]
Ayo, throw that ass back
エイヨー、そのケツを後ろに突き出しな
If you tryna get this money, get this fat stack
この金、この分厚い札束が欲しいならな
※「fat stack」は輪ゴムで束ねられた大量の100ドル札のこと。ストリップクラブでダンサーにバラ撒くための大金。
I must admit, you is the shit, I wanna grab that
認めざるを得ない、お前は最高だ、そのケツを掴ませてくれ
Put that putty on my Woodie, that's a fat cat
俺の股間にそのプッシーを押し当てな、極上のデカいアレをな
※「putty(パテ)」は女性器の暗喩、「Woodie」は勃起したペニスを指すスラング。「fat cat」もふくよかな女性器(ファット・プッシー)を指す、南部ヒップホップ特有の露骨な性的メタファー。2019年にゲイであることを公表した彼が、ここでは意図的にトラップミュージックのストレートなマッチョイズムを「演じて」いる点に、初期作品ならではの批評的価値がある。
Uh, ayo, throw that ass back
アー、エイヨー、そのケツを後ろに突き出しな
If you tryna get this money, get this fat stack
この金、この分厚い札束が欲しいならな
I must admit, you is the shit, I wanna grab that
認めざるを得ない、お前は最高だ、そのケツを掴ませてくれ
Put that putty on my Woodie, that's a fat cat
俺の股間にそのプッシーを押し当てな、極上のデカいアレをな
[Verse 1]
Uh, ayo, I guess tonight she going in
アー、エイヨー、今夜の彼女は気合いが入ってるみたいだな
Throwin' and she rollin' and she hoein' wit her friends
ケツを振って、ハイになって、ダチと一緒にビッチみたいに遊んでる
Slowin' with the motion, gotta hit em with the spins
動きをスローにして、次はスピンを見せつけるんだ
She ain't showin no emotions, no, she got some thick skin
感情なんて表に出さねえ、あぁ、彼女のツラは分厚いからな
So I asked her if she ever fucked a rap nigga
だから聞いてみたんだ、ラッパーとヤッたことあるかって
Said she did, but they really couldn't rap nigga
あるって答えたが、そいつらはろくにラップもできなかったらしいぜ
Said she was a shooter, so you know she like to clap niggas
彼女はシューター(ハスラー)だ、だから男どもを撃ち抜く(クラップ)のが好きなのさ
Said, "Nas, do you wanna see it clap, nigga?"
彼女は言った、「Nas、このケツが鳴る(クラップ)のを見たいの?」
※「clap」のダブルミーニング。前行では「銃を撃つ」、この行では「トゥワークして尻の肉を激しく打ち合わせて音を鳴らす(clap)」ことを意味する。ストリートの暴力とストリップクラブの性描写をリンクさせる高等テクニック。
Yeah, she a meanie
あぁ、彼女は意地悪だ
Her body poppin' like genie
ジニー(魔神)みたいにボディを弾ませてる
She molly poppin', get steamy
モリー(MDMA)をキメて、熱気を帯びてる
She probably got me, she dreamy
完全に俺を虜にしてる、夢みたいに最高な女さ
She twerking that fuckin' thang
そのヤバいモノをトゥワークさせてる
Her pussy poppin', she creamy
プッシーを弾ませる、彼女は濡れてるぜ
She working up at the flame
あの『ザ・フレイム』で働いてるんだ
※「the flame(炎)」とアトランタに実在するストリップクラブやナイトクラブの名前を掛けている可能性が高い。南部ラップの文脈への目配せ。
She clocking in when she leave me
俺の元を去る時、彼女は出勤のタイムカードを切るのさ
She building up and she stackin'
コツコツ稼いで、札束を積み上げてる
Packin' and never lackin'
銃(パック)を携帯して、絶対に隙を見せねえ
Ass fillin' up, it's clapping
ケツに肉が詰まってる、激しく鳴ってるぜ
Throw backwards like it's pig latin
ピッグ・ラテンみたいに後ろへ突き出すんだ
※「Pig Latin」は英語の言葉遊び(最初の文字を単語の後ろに移動させる隠語)。尻を後ろへ突き出す(throw backwards)動作を、文字を後ろへ回すピッグ・ラテンのルールに例えた非常に知的なパンチライン。Geniusでも高く評価されているラインである。
From trenches like she be trappin'
トレンチ(底辺)の出身で、まるでトラップ(密売)してるみたいにな
Full of herself, no cappin'
自信に満ち溢れてる、マジで嘘じゃねえ
No snitchin', she never yappin'
チクリもしない、余計な口は絶対に叩かない
Hit bitches, she steady slappin', uh!
気にくわないビッチは、容赦なく平手打ちするのさ、アー!
[Chorus]
Ayo, throw that ass back
エイヨー、そのケツを後ろに突き出しな
If you tryna get this money, get this fat stack
この金、この分厚い札束が欲しいならな
I must admit, you is the shit, I wanna grab that
認めざるを得ない、お前は最高だ、そのケツを掴ませてくれ
Put that putty on my Woodie, that's a fat cat
俺の股間にそのプッシーを押し当てな、極上のデカいアレをな
Uh, ayo, throw that ass back
アー、エイヨー、そのケツを後ろに突き出しな
If you tryna get this money, get this fat stack
この金、この分厚い札束が欲しいならな
I must admit, you is the shit, I wanna grab that
認めざるを得ない、お前は最高だ、そのケツを掴ませてくれ
Put that putty on my Woodie, that's a fat cat
俺の股間にそのプッシーを押し当てな、極上のデカいアレをな
[Interlude]
Uh, yeah, yeah
アー、イェー、イェー
Why? 'Cause you beautiful, girl!
なんでかって? 君が美しいからさ、ガール!
Uh, alright
アー、よし
I need everybody to the dance floor
みんなダンスフロアに集まってくれ
Yeah, you too, you over there
あぁ、お前もだ、そこのお前も
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah
イェー、イェー、イェー、イェー、イェー
[Verse 2]
If you a CNA, a teacher
もし君が看護助手(CNA)でも、教師でも
※「CNA」はCertified Nursing Assistant(認定看護助手)。エッセンシャルワーカーから夜の仕事まで、あらゆる職業の女性を讃えて踊らせる、Juvenileの「Back That Azz Up」やDrakeの系譜を継ぐクラブアンセムの定型展開。
Twerk that ass all on the bleachers
観客席でそのケツを振りな
Cashier or a nurse
レジ打ちでも、看護師でも
Pop that pussy, then disperse
プッシーを弾ませて、散らばるんだ
If you a stripper or a maid
もし君がストリッパーでも、メイドでも
Make it clap like a parade
パレードみたいに(ケツを)鳴らしな
Even if you unemployed
たとえ無職だとしても
Twerk that ass, fuck what they say
そのケツを振れ、他人の言うことなんて気にするな
CEO? Gotta degree?
CEOか? 学位を持ってるのか?
Pop that pussy like Nicki
ニッキーみたいにプッシーを弾ませな
※圧倒的な「ケツ」のアイコンであり、ヒップホップ界の女王Nicki Minajへのシャウトアウト。Lil Nas Xが音楽活動以前に熱狂的なニッキーのファン(Barb)であった事実と深くリンクしている。
Even if you a social worker
たとえ君がソーシャルワーカーでも
Man, I know that you a twerker
ザーメン、君が最高のトゥワーカーだってことは分かってるぜ
Retail clerkers?
小売店の店員か?
Them bitches flippin' burgers?
ハンバーガーを焼いてるビッチか?
Oh my god, you killin' shit
オーマイガー、最高にイケてるぜ
Issa fuckin murder
マジで殺人級だ
This one for da' Rihannas
これはリアーナたちに捧げるぜ
Them bitches from Weezyana
ウィージーアナから来たビッチたちにもな
※「Weezyana」はLil Wayneの地元ニューオーリンズを指す造語、または彼が主催するフェス「Lil WeezyAna Fest」のこと。ニューオーリンズ発祥のバウンス・ミュージック(トゥワーク音楽のルーツ)への深いリスペクト。
Them bitches who name is
名前がこんな感じのビッチたち
Quisha, Biancas, and them Briannas
クイーシャ、ビアンカ、それからブリアナ
※黒人女性によく見られるステレオタイプな名前(AAVE圏の命名規則)を羅列し、フッドの女性たちをレペゼンしている。
And even in the cabanas
カバナ(リゾートの小屋)にいる奴らも
And if you listen to Gunna
もし君がGunnaを聴いてるなら
※アトランタのトラップスターGunna。彼を聴くような最先端の流行を追うストリートの女性たちを指す。
Them wifeys and babymamas
妻たちやベイビーママたちも
Them bitches whippin' a hummer
ハマー(高級車)を乗り回してるビッチたちも
Oh, hummers all in the summer
あぁ、夏にはハマーだらけだ
Show that ass like plumber
配管工(プラマー)みたいにケツの割れ目を見せつけな
※「plumber's crack(配管工のケツの割れ目)」という、しゃがんだ時にズボンから尻が見える現象をトゥワークに引っかけたユーモア。
Shake it fast like a Runner
ランナーみたいに速く振りな
Bitch, do that shit for Obama
ビッチ、オバマのためにヤっちまいな
※トゥワークという世俗的で卑猥な行為を、黒人初の米大統領であるバラク・オバマに捧げるという、ヒップホップ特有のナンセンスで壮大なジョーク。
Hop on it, cause some drama
飛び乗って、ドラマ(騒動)を起こしな
Drop it in yo pajamas
パジャマ姿で腰を落としな
Pop it in the Bahamas
バハマで弾ませな
You got that shit from yo mama
その極上のケツは、ママからの遺伝だな
Uh
アー
