Artist: Snoop Dogg (feat. Bow Wow & Warren G)
Album: Doggystyle
Song Title: Class Room Intro (Interlude)
概要
1993年の歴史的名盤『Doggystyle』に収録された本楽曲(「Gz And Hustlas」のイントロ部分が独立したスキット)は、ゲットーの歪んだ教育環境と現実をブラックユーモアで切り取った寸劇である。学校の教室を舞台に、警察官や消防士といった伝統的な「アメリカン・ドリーム(正業)」と、黒人の子供たちにとってのリアルな成功者像である「ハスラー(ストリートの違法な稼ぎ手)」を対比させている。特筆すべきは、当時スヌープに見出されたばかりの弱冠6歳の天才少年ラッパー、バウ・ワウ(Lil Bow Wow)が本作のスキットに参加している点だ(クレジットにはウォーレン・Gも名を連ねる)。無垢な子供の声で放たれる強烈なストリート・スラングは、ギャングスタ・ラップの持つ社会的風刺の鋭さを極限まで高めている。
和訳
Good Morning boys and girls, I'm your substitute teacher
おはよう、少年少女たち。私が君たちの代理教師だ
My name is Mr. Buckwort
私の名前はミスター・バックワースだ
The topic fo' today is, what you would like to be when you grow up
今日のテーマは「大人になったら何になりたいか」だ
You, over there in the jean shirt
そこの、デニムのシャツを着た君
What you wanna be when you grow up?
大人になったら何になりたい?
"I wanna be a police officer"
「僕は警察官になりたいです」
※警察官というアメリカの模範的職業の象徴。のちにギャングスタ・ラップの最大の敵となる「権力(サツ)」が最初に挙げられる点が、この寸劇の強烈な皮肉の入り口となっている。
Alright, that's a pretty good profession
よろしい、それはとても立派な職業だね
You over there in that black shirt
そこの、黒いシャツを着た君
What you wanna be when you grow up?
大人になったら何になりたい?
"I would like to be a fireman"
「僕は消防士になりたいです」
Alright, that's a pretty good profession too
よろしい、それもとても立派な職業だ
Hey, you in the back with those French braids, what's yo name?
おい、一番後ろの、フレンチ・ブレイド(編み込みヘア)の君。名前は何て言うんだ?
※「フレンチ・ブレイド」はコーンロウのこと。スヌープ・ドッグのアイコニックな髪型であり、ゲットーの黒人コミュニティを象徴するスタイル。白人社会の基準である「身だしなみ」から逸脱した不良少年の記号として機能している。
"My name is Snoop"
「俺の名前はスヌープ」
Hi, Snoop, what you wanna be when you grow up?
やあ、スヌープ。大人になったら何になりたいんだね?
"I wanna be a motherfuckin hustla, ya betta ask somebody"
「俺はクソヤバい『ハスラー』になりてえんだよ。誰かに聞いてみりゃ分かるぜ」
※「ハスラー(麻薬の売人、詐欺師)」がゲットーの子供にとっての最大のロールモデル(金を持ち、尊敬される成功者)となっている残酷な現実を、コミカルに表現している。「ya betta ask somebody(誰かに聞いてみろ=俺が誰だか知ってるだろ)」は当時の西海岸ヒップホップにおける決まり文句であり、若き日のバウ・ワウがスヌープの幼少期役としてこのアイコニックなセリフを放っている。
