Artist: Snoop Dogg (feat. Nanci Fletcher, Tha Dogg Pound & The Dramatics)
Album: Doggystyle
Song Title: Doggy Dogg World
概要
1993年リリースの名盤『Doggystyle』に収録され、G-Funkが単なるサンプリングの寄せ集めではなく、70年代のブラックミュージックと地続きであることを証明した歴史的傑作である。特筆すべきは、70年代に一世を風靡したデトロイトの伝説的ソウルグループ「The Dramatics」をボーカルに起用している点だ。Richard "Dimples" Fieldsの「If It Ain't One Thing, It's Another」をベースにしたファンキーで洗練されたトラックの上で、スヌープ、Kurupt、Dazがそれぞれのストリートの美学をキックする。R&Bとヒップホップの融合という点で、のちのネオソウルやメインストリームのヒップホップ・サウンドに多大な影響を与えた。また、1970年代のブラックスプロイテーション映画を完全再現したミュージックビデオも、彼らの音楽的ルーツを視覚的に表現した傑作として高く評価されている。
和訳
[Skit: Snoop Dogg]
Can we get a motherfuckin' moment of silence
ちょっと黙祷の時間をくれないか
For the small chronic break?
この短い「クロニック(大麻)」の休憩のためにな
※「moment of silence(黙祷)」という厳粛な言葉を、マリファナを吸うための神聖な儀式へとユーモラスに変換している。「Chronic」は強力なマリファナの品種であり、Dr. Dreの伝説的アルバム『The Chronic』へのオマージュ。
A-hah, yeah
アハハ、ああ
Niggas be brown-nosin' these hoes and shit
野郎どもはビッチどもに媚びへつらってやがる
※「brown-nosing」は「尻の穴に鼻を突っ込むほど媚びへつらう」という強烈な侮蔑語。
Takin' bitches out to eat, and spendin' money on these hoes
ビッチを飯に連れてって、金を貢いだりしてな
Know what I'm sayin'?
言ってる意味わかるだろ?
I treat a bitch like 7-Up — I never have, I never will
俺のビッチの扱いは「7-Up(セブンアップ)」と同じさ。今まで大事にしたこともないし、これからも絶対にねえよ
※当時の炭酸飲料「7-Up」の有名なCMスローガン「Never Had It, Never Will(カフェインを入れたことはないし、これからも絶対に入れない)」をサンプリングした巧妙なワードプレイ。
I tell a bitch like this:
俺はビッチにこう言ってやるんだ
"Bitch, you without me is like Harold Melvin without Blue Notes
「ビッチ、俺のいないお前なんて、『ブルー・ノーツ』のいないハロルド・メルヴィンのようなもんさ。
You'll never go platinum"
お前がプラチナム(大成功)に輝くことなんて、絶対にあり得ねえんだよ」ってな
※70年代のフィラデルフィア・ソウルの名グループ「Harold Melvin & The Blue Notes」の史実を引用。ボーカル陣(ブルー・ノーツ)がいなければリーダー(ハロルド・メルヴィン)は成功しなかったという音楽史の事実を用いた知的なメタファー。
Hey Daz, give me a light, nigga
ヘイ、ダズ。火ぃ貸してくれよ、ニガ
[Intro: Taa Dow]
We’d like to welcome y'all to the fabulous Carolina West
皆をこの素晴らしい「カロライナ・ウェスト」に歓迎するぜ
※「Carolina West」は、ロサンゼルスに実在した伝説的なブラック・ナイトクラブ。コメディアンのRicky Harrisが演じる架空のホスト「Taa-Dow」が、クラブのステージでパフォーマンスを紹介するという設定。
I own this motherfucker, and my name is Taa-Dow
俺がこのクソヤバい店のオーナー、名前はター・ダウだ
Y'all niggas know who I am, y'all niggas tearin' up shit
お前ら、俺が誰だか知ってるよな。お前らも最高に盛り上がってるぜ
But we got somethin' old, and somethin' new for y'all tonight
だが今夜は、お前らのために「古いモノ」と「新しいモノ」を用意したんだ
※「古いモノ」は70年代のレジェンドThe Dramatics、「新しいモノ」は最先端のG-Funkを牽引するSnoopとDogg Poundを指す。
Put yo' hands together for Snoop Doggy Dogg
スヌープ・ドギー・ドッグに大きな拍手を
The Dogg Pound, and the fabulous Dramatics
ドッグ・パウンド、そして素晴らしきドラマティックスだ
[Bridge: Snoop Dogg]
It's like everywhere I look, and everywhere I go
俺がどこを見渡しても、どこへ行っても
I'm hearin' motherfuckers tryna steal my flow
俺のフロウを盗もうとしてるクソ野郎どもの声が聞こえてくる
But it ain't no thang, 'cause, see, my nigga Coolio
だけどそんなの大したことじゃねえ。だってよ、マイ・ニガのクーリオが
Put me up on the game when I stepped through the do'
俺がドアをくぐった(シーンに足を踏み入れた)時、このゲームのルールを教えてくれたからな
※西海岸のレジェンド、Coolioへのシャウトアウト。スヌープがブレイクする前に、Coolioが彼にラップゲームの厳しさやビジネスの基本を教えたという先人へのリスペクトを示している。
[Verse 1: Snoop Dogg]
You know, some of these niggas is so deceptive
いいか、あの野郎どもの中にはマジで詐欺師みたいな奴らがいる
Usin' my styles like a contraceptive
避妊具(コンドーム)みたいに俺のスタイルを使い捨てにしやがるんだ
※自分のフロウをパクって一発当てようとするフェイクなラッパーたちを、用が済んだら捨てられるコンドームに例えた強烈なパンチライン。
I hope you get burnt, seems you haven't learnt
ヤけど(性病)でもうつされりゃいいんだ、まだ学んでねえみたいだからな
It's the knick-knack, paddywhack, I still got the biggest sack
ニック・ナック、パディワック。俺が今でも一番デカい袋(タマ)を持ってるぜ
※マザーグースの童謡「This Old Man」の一節「Knick-knack paddywhack」を引用。スヌープの代名詞であるナーサリーライム(童謡)を取り入れた不気味でキャッチーなフロウ。「sack」は大麻の袋と陰嚢のダブルミーニング。
So put your gun away, run away, 'cause I'm back (Why?)
だから銃をしまって、さっさと逃げな。俺が戻ってきたからな(なぜって?)
Hit 'em up, get 'em up, spit 'em up
奴らを撃ち抜き、吊るし上げ、吐き出してやるのさ
Now, tell me, what's going on?
さあ、教えてくれ。一体何が起きてるんだ?
It make me wanna holler, 'cause my dollars come in O-zones
思わず叫びたくなるぜ、だって俺の金は「O-zone」で入ってくるからな
※Marvin Gayeの1971年の名曲「Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)」への言及。「O-zone」はゼロ(O)がたくさんつく金額、つまり莫大な大金を稼いでいることのストリート表現。
Known for the break up, so take off your clothes
関係を終わらせる(break up)ことで有名だ、だからさっさと服を脱ぎな
And quit tryna spit at my motherfuckin' hoes
それに、俺のクソッタレなビッチどもに唾を吐く(ナンパする)のはやめな
Speakin' of hoes, I'll get to the point
ビッチの話が出たところで、本題に入ろうか
You think you got the bomb 'cause I rolled you a joint?
俺がジョイントを巻いてやったからって、自分が「ボム(極上)」だとでも勘違いしてるのか?
You'se a flea, and I'm the Big Dogg
お前なんてただのノミだ、そして俺はビッグ・ドッグ(大物)さ
I'll scratch you off my balls with my motherfuckin' paws
俺のクソッタレな前足で、金玉からお前を掻き落としてやるよ
※「犬(Dogg)」と「ノミ(flea)」の比喩。自分に寄生しようとする格下の連中を一蹴している。
Y'alls niggas better recognize (Uh-huh)
お前ら、いい加減に認識した方がいいぜ(アーハ)
And see where I'm comin' from — it's still Eastside 'til I die
俺がどこから来たのかをな。死ぬまで「イーストサイド」だ
※スヌープの地元であるカリフォルニア州ロングビーチの「Eastside」をレペゼンしている。
Why ask why?
なぜかって聞くのか?
As the world keeps spinnin' to the D-O-double G, Y
世界はこのD-O-ダブルGのために回り続けてるからさ、Y(Why)
[Chorus: The Dramatics & Nancy Fletcher]
It's a crazy, mixed-up world
ここは狂った、混乱した世界
It's a Doggy Dogg World
ドギー・ドッグの世界さ
※The Dramaticsによる洗練されたコーラス。70年代ソウルのレジェンドたちがスヌープの世界観を歌い上げることで、G-Funkが単なるラップミュージックを超えたブラックミュージックの正当な後継者であることを証明している。
It's a Doggy Dogg World
ドギー・ドッグの世界さ
(It's a Doggy Dogg World)
(ドギー・ドッグの世界さ)
Oh
ああ
[Verse 2: Kurupt]
Well, if you give me ten bitches, then I'll fuck all ten
さて、もし俺に10人のビッチを宛がうなら、俺はその10人全員とヤッてやる
See my homie Snoop Dogg sippin' juice and gin
俺のダチ、スヌープ・ドッグがジン・アンド・ジュースをすすってるのを見な
Don't slip, I'm for the set-trip to get papers
油断するなよ、俺は札束(papers)を手に入れるためなら「セット・トリップ(抗争)」も辞さないぜ
Styles vary, packin' flavor like Lifesavers
スタイルは変幻自在、「ライフセーバーズ」みたいに色んなフレーバーを詰め込んでる
※「Lifesavers」はアメリカの定番のリング型キャンディーで、様々な味がパックになっているのが特徴。Kuruptの多種多様なラップのフロウをキャンディーの味に例えている。
Ain't that somethin'? Talk shit and I'm dumpin'
ヤバいだろ? 戯言を叩けば、俺は弾をブチ込むぜ
I had your whole fuckin' block bumpin'
お前のクソみたいなブロック(地元)全体を、俺のビートで揺らしてやったんだ
Don't sweat, but check the technique, I'm unique like China
焦るな、だがこのテクニックをチェックしな。俺は「チャイナ(陶磁器)」みたいにユニーク(希少)だからな
You'll never find a bomber rhymer than this nigga behind ya
お前の背後にいるこの男(俺)よりヤバい(bomber)ライマーなんて、絶対に見つからねえよ
So peek-a-boo, clear the way, I'm comin' through
だから「いないいないばあ(peek-a-boo)」だ、道を空けな、俺が通るぜ
One-two, three — you can't see me
ワン・ツー、スリー。お前じゃ俺の姿は捉えられねえ
I'm a G like that, strapped with hit-hard tactics
俺はそういうG(ギャングスタ)さ。強烈なタクティクス(戦術)を装備してる
A fuckin' menace, usin' hoes like tennis rackets
クソみたいな脅威(メナス)さ。ビッチどもをテニスラケットみたいに使い回してやる
It's on again, it's on and poppin'
また始まったぜ、弾けてる(poppin')んだ
All I see is green, so there ain't no stoppin'
俺の目には緑(金/大麻)しか見えねえ。だから止まることなんてねえんだ
I wanna see some panties droppin'
パンティーが落ちるのを見たいぜ
I'm comin' from L.A, she used to chill with Dre up in Compton
俺はL.A.から来た。あの女は昔、コンプトンでDreと遊んでたらしいな
(All I ever did was just use that ho
(俺がやったのは、あのビッチを利用したってことだけさ
Show her my dickies, get with these, and kick flows)
俺のディッキーズを見せつけ、ヤッて、フロウをキックする)
I’m dishin' out blues, I’m upsettin' like bad news
俺は「ブルー(クリップスの色)」を配り歩く。悪いニュースみたいに奴らを動揺させてな
Cut off khakis, french braids, and house shoes
カットオフのカーキパンツ、フレンチ・ブレイド(編み込みヘア)、それにハウスシューズ(室内履き)
※90年代のロサンゼルスのギャングスタ(特にチカーノやクリップス)の典型的なストリート・ファッションの描写。
Kurupt, the name’s often marked for catchin' slugs
コラプト、この名前はよく弾(slugs)の標的にされるんだ
And I smoke weed for the fuck of it
そして俺は、ただ何となくウィードを吸う
Rough and rugged shit, it’s unexplanatory how I gets wicked
ラフでラギッドなシット。俺がどうしてこんなにヤバく(wicked)なれるのか、説明不能さ
But it’s mandatory that I kick it
だが、俺がこれをキックするのは「義務(mandatory)」なんだ
Check it, I’m runnin' hoes in '94, now must I prove it
チェックしな、俺は94年にビッチどもを仕切ってる。証明してやらなきゃな
Hoes call me Sugar Ray for the way I be stickin' and movin'
ビッチどもは俺を「シュガー・レイ」と呼ぶのさ。俺が「突いて(ヤッて)、動く(去る)」からな
※伝説的ボクサー、シュガー・レイ・レナードの戦法「ヒット・アンド・アウェイ(stick and move)」と、女を抱いてすぐ立ち去るピンプの行動を掛けた巧みなワードプレイ。
Prepare for a war, it’s on
戦争の準備をしな、火蓋は切られたぜ
I’m head huntin', hit the button, and light shit up like Red Dawn
俺は首狩り族だ。ボタンを押して、『若き勇者たち(Red Dawn)』みたいにすべてを燃え上がらせてやる
※1984年の冷戦下の侵略を描いたアクション映画『Red Dawn』を引用し、激しい銃撃戦や破壊を暗喩している。
Peep the massacre from a verbal assassin
言葉の暗殺者による大虐殺(マサカー)をとくと見な
Murderin' with rhymes packin' TEC-9’s for some action
ライムで殺戮し、アクション(抗争)のためにTEC-9(サブマシンガン)を携帯する
You really don’t know, do you? You fuckin' wit a hog
お前はマジで分かっちゃいねえな。お前は「ホッグ(貪欲な野郎)」に喧嘩を売ってるんだぞ
You can’t do me, I’m goin' out looney like O-Dog
俺を殺すことはできねえ。俺は「O-Dog」みたいにイカれて暴れまわるからな
※1993年のブラック・ムービーの金字塔『Menace II Society(ポケットいっぱいの涙)』に登場する、Larenz Tate演じるサイコパスで無軌道なティーンエイジャー「O-Dog」を引用。当時のストリートの若者たちが最も恐れ、共感したキャラクターである。
[Chorus: The Dramatics & Nancy Fletcher]
Ooh (Ma-ma-ma, ma-ma-ma, ma-ma, my)
ウー(マ・マ・マ、マ・マ・マ、マ・マ、マイ)
It's a Doggy Dogg World (It's your world)
ドギー・ドッグの世界さ(お前の世界だ)
The Dogg's World (It's your world)
ドッグの世界さ(お前の世界だ)
[Bridge: Dat Nigga Daz]
Tha Dogg Pound rocks the party (All night long)
ドッグ・パウンドがパーティーをロックする(一晩中な)
Uh-huh, 'til when? (Till the early morn')
アーハ、いつまでだ?(早朝までさ)
It don't stop, and uh, it don't quit for the
止まらないぜ、アー、絶対にやめない
Tha Dogg Pound clique to drop the cavi dope shit
ドッグ・パウンドの派閥が、キャビアみたいに極上(cavi dope)なシットを落とすためにな
※「cavi」は高級なキャビアの略であり、ストリートでは純度の高いクラック・コカインを意味する。自分たちの音楽がそれほど中毒性のある極上品であることを示している。
[Verse 3: Dat Nigga Daz]
Diggity-Daz out of the motherfuckin' cut once mo'
ディギティ・ダズが、もう一度物陰からクソッタレな登場だ
So grab a seat and grab your gin and juice and check out the flow
だから席に座って、ジン・アンド・ジュースを手に、このフロウをチェックしな
I flip-flop and serve hoes with the fat dick
俺はフリップ・フロップして、ビッチどもに極太のチンポを振る舞うぜ
'Til I die, I'm still screamin' out ("Bitches ain't shit")
死ぬまで俺は叫び続けるのさ(「ビッチなんてクソ喰らえだ」)
※Dr. Dreの『The Chronic』に収録され、スヌープやDaz自身も参加した歴史的なミソジニー・アンセム「Bitches Ain't Shit」への直接的な言及とサンプリング。
Now, I'm the mack daddy, had he
さて、俺が「マック・ダディ(最高にイケてるピンプ)」だ。もし奴が
Not known about the city where I'm from, dum-diddy-dum
俺の出身地について何も知らなかったらな、ダム・ディディ・ダム
As you groove to the gangster shit
お前らがこのギャングスタ・シットでグルーヴしてる時
The D-O-double G, the P-O-U-N-D, the gangster clique
D-O-ダブルG、P-O-U-N-D(ドッグ・パウンド)。ギャングの派閥さ
Now as Tha Pound break it down with the gangster funk
今、パウンドがギャングスタ・ファンクで叩き潰す
I can see and I can tell that's what the fuck you want
俺には見えるし、分かるぜ。それこそがお前らのクソ望んでるモノだってな
So I blaze up the chronic so I can get high
だから俺はクロニックに火を点け、ハイになるんだ
I promise I'll smoke chronic 'til the day that I die
誓って言うぜ。俺は死ぬその日まで、クロニックを吸い続けるってな
[Chorus: The Dramatics & Nancy Fletcher]
It's a Doggy Dogg World
ドギー・ドッグの世界さ
A dogs world
犬(ドッグ)の世界だ
It's a Doggy Dogg World
ドギー・ドッグの世界さ
A dogs world
犬の世界だ
It's a Doggy Dogg World
ドギー・ドッグの世界さ
A dogs world
犬の世界だ
It's a Doggy Dogg World
ドギー・ドッグの世界さ
A dogs world
犬の世界だ
It's a Doggy Dogg World
ドギー・ドッグの世界さ
A dogs world
犬の世界だ
It's a Doggy Dogg World
ドギー・ドッグの世界さ
A dogs world
犬の世界だ
