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Lodi Dodi - Snoop Dogg (feat. Nanci Fletcher) 【和訳・解説】

Artist: Snoop Dogg (feat. Nanci Fletcher)

Album: Doggystyle

Song Title: Lodi Dodi

概要

1993年リリースの歴史的名盤『Doggystyle』に収録された本作は、東海岸の伝説的MCであるスリック・リックとダグ・E・フレッシュによる1985年のクラシック「La Di Da Di」のフルカバーである。スヌープは原曲のニューヨーク特有の描写(グッチのトランクスやBallyの靴など)を、ロングビーチのG-Funk仕様(ドギー・アンダーウェアや青のコンバースなど)へと見事にローカライズしている。東海岸のストーリーテリングの最高峰を西海岸の若きスターが継承した事実は、のちに激化する東西抗争前夜におけるヒップホップの幸福な文化的融合の記録として極めて重要な意味を持つ。ナンシー・フレッチャーが歌う、坂本九「上を向いて歩こう」の英語カバー(A Taste of Honey版)を引用した哀愁漂うブリッジも必聴である。

和訳

[Intro: Snoop Dogg]

Domino, motherfucker, what's happenin'?
ドミノだ、クソ野郎。調子はどうだ?
※アフリカ系アメリカ人のコミュニティにおける定番の遊びであるドミノ。前曲から続くこのスキットは、ギャングスタたちの「チル」な日常を描き出すシネマティックな導入部となっている。

Ah, nigga, eat a dick, nigga
ああ、クソ食らえ、ニガ

Don't break my mama new glass table, nigga
俺のお袋の新しいガラスのテーブルを壊すなよ、ニガ
※ハードコアなラッパーたちが実家に集まり、「お袋(mama)」の家具に傷がつくことを本気で心配しているという、ゲットーの等身大の姿を切り取ったユーモア。

Yeah, fuck that, fuck what they talkin' 'bout, nigga
ああ、そんなの知るかよ。あいつらが何を言ってようが知ったこっちゃねえ、ニガ

Fuck that, nigga
知るかよ、ニガ

Rack them motherfuckin' dominoes up, nigga
さっさとそのクソドミノを並べろよ、ニガ

Just look, ayy, look out for the table, nigga
いいか、おい、マジでテーブルには気をつけろよ、ニガ

Fuck that
知るかよ

Ayo, where Snoop Dogg?
エイヨォ、スヌープ・ドッグはどこだ?

I don't know, that nigga just went upstairs with that big booty bitch, man
知らねえよ。あいつなら、あのデカ尻のビッチと一緒に二階へ上がって行ったぜ

Oh, he ain't bustin' no nuts on my mama's spread, man
ああ、まさか俺のお袋のベッドカバーの上でブチ撒けちゃいねえだろうな
※「bustin' nuts」は射精すること。「mama's spread」は母親のベッドカバー。神聖な母親の寝室が乱痴気騒ぎに使われているのではないかというダズ(Daz)のコミカルな危惧。

That nigga up there gettin' his socks blew the fuck off
あいつは上階で、靴下が吹っ飛ぶくらい極上のフェラをしてもらってる真っ最中さ

Gettin' his ass chewed out
ケツの穴まで舐め回されてるってわけか

Better ask somebody
誰かに聞いてみりゃいいさ
※「You better ask somebody」は「俺が言うまでもない、誰に聞いてもそう答える(間違いない)」という意味のストリートの常套句。

Balls licked up and down
金玉の上下まで隅々とな

Hell yeah
ああ、全くだぜ

Ayo, what's up with them niggas that was on the TV dissin' you?
エイヨォ、テレビでお前をディスってたあの野郎どもはどうなったんだ?
※ここで空気が一変する。「テレビでディスっていた野郎ども」とは、ドクター・ドレーの元相棒であるEazy-EやRuthless Recordsの面々を指す。当時、Eazy-Eは楽曲「Real Muthaphuckkin G's」等でDeath Row陣営を激しく攻撃していた。

Man, fuck them niggas, man, I ain't thinkin' about that old shit, man
あんな奴ら知るかよ。あんな過去のクソみたいなこと、気にも留めちゃいねえよ

Buster-ass, HIV-pussy-havin' motherfuckers
クソみたいな、HIV持ちの腑抜け野郎どもが
※ヒップホップ史に残る残酷なメタファー。Eazy-Eが1995年にエイズによる合併症で亡くなる前の1993年の時点で、すでに彼らが「HIV」という言葉で中傷されていた事実を示す。結果的にこのディスが現実の悲劇を予言する形となってしまった。

Yo, yo, yo, Daz, easy come, easy—
ヨォ、ヨォ、ヨォ、ダズ、イージー・カム、イージー——
※「Easy come, easy go(悪銭身に付かず)」ということわざを言いかけているが、明確に「Eazy-E」の「Eazy」に掛けた冷酷なワードプレイ。彼の命はあっけなく散るだろうという暗黙の脅迫である。

Yeah, gotta say what's up to my nigga Slick Rick
ああ、それとマイ・ニガの「スリック・リック」にシャウトアウトしとかなきゃな
※ここで楽曲本編がスタート。原曲の生みの親であり、当時投獄されていた東海岸のストーリーテラー、Slick Rickへの最大のリスペクトを表明している。

For those who don't like it, eat a dick
これが気に食わねえ奴らは、チンポでもしゃぶってろ

But for those who with me, sing that shit
でも俺についてくる奴らは、一緒にこのクソヤバい曲を歌ってくれ

As it go a little something like this
こんな感じで始まるぜ

[Verse 1: Snoop Dogg]

Lodi dodi, we likes to party
ロディ・ドディ、俺らはパーティーが大好きなんだ
※「La Di Da Di」のアイコニックな歌い出しをサンプリング。ヒップホップ史上最も引用されたフレーズの一つであり、90年代のパーティー・アンセムの絶対的な合言葉である。

We don't cause trouble, we don't bother nobody
トラブルは起こさねえし、誰の邪魔もしない

We're just some niggas who're on the mic
俺たちはただマイクを握る野郎どもで

And when we rock up on the mic, we rock the mic (Right)
マイクの前に立てば、しっかりロックするだけさ(だろ?)

For all my dogs keepin' y'all in health
お前らが健康でいられるよう、俺のダチみんなのためにな

Just to see you smile and enjoy yourself
お前らが笑顔で楽しんでる姿を見たいだけさ

'Cause it's cool when you cause the cozy condition
だって、心地いい空間(バイブス)を作り出すのは最高にクールだからな

In which we create 'cause that's our mission
俺たちがそれを生み出す、それが俺たちの使命なんだ

So listen close to what we say
だから俺の言うことをよく聞いてくれ

Because this types of shit happens every day
こういうクソみたいな出来事は、毎日起きてるからな

I woke up around ten o'clock in the morning
俺は朝の10時頃に目を覚ました
※原曲のスリック・リックは「10時半(10:30)」に起きるが、スヌープは「10時」に変更している。ギャングスタの気怠い朝の始まり。

I gave myself a stretch up, a morning yawn, and
グッと背伸びをして、朝のあくびを一つ、それから

Went to the bathroom to wash up
顔を洗いにバスルームへ向かったんだ

I threw some soap on my face and put my hands upon a cup
顔に石鹸をなすりつけて、カップに手を添えて

And said, "Um, mirror mirror, on, the wall
こう言ったのさ。「なあ、鏡よ鏡、壁の鏡さんよ

Who is the top dog of them all?"
この中で一番のトップ・ドッグ(大物)は誰だ?」
※白雪姫の有名なセリフからの引用。原曲では「top billin'(一番の稼ぎ頭)」だったが、スヌープは自分自身の名前とかけて「top dog」に変更している。

There was a ruffle duffle, five minutes it lasted
ゴチャゴチャとした沈黙が5分ほど続いて

The mirror said, "You are, you conceited bastard"
鏡はこう答えた。「お前だよ、このうぬぼれ野郎め」

Well, that's true, that's why we never have no beef
まあ、そりゃ事実だ。だから俺たちは揉め事(ビーフ)なんて起こさない

So I slipped off my khakis and my gold leaf
俺はカーキのパンツと、金のアクセサリー(ゴールド・リーフ)を脱ぎ捨てた
※原曲の「カンゴール(Kangol)」の帽子から、西海岸特有のチカーノ・カルチャーやストリート・ファッションである「カーキのワークパンツ」へと改変し、完璧なウェストコースト仕様に染め上げている。

Used Oil of Olay 'cause my skin gets pale
肌が乾燥するから「オイル・オブ・オレイ(Olay)」を塗ってな
※Olayはアメリカで非常にポピュラーなスキンケアブランド。

And then I got the file for my fingernails
それから爪のヤスリを取り出した

I'm true to the style on my behalf
俺は自分のスタイルってやつに忠実なんだよ

I put the bubbles in the tub so I can take a bubble bath
バブルバスに入るために、湯船を泡だらけにしてな

Clean, dry, was my body and hair
体と髪を綺麗に洗って、乾かして

I threw on my brand new doggy underwear
俺はおろしたての「ドギー・アンダーウェア」を穿いたんだ
※原曲の「グッチ(Gucci)のアンダーウェア」という東海岸の高級志向から、自身の名を冠した架空のブランドへとユーモラスに変更。

For all the bitches I might take home
お持ち帰りするかもしれない、すべてのビッチたちのためにな

I got the Johnson's Baby Powder and Cool Water cologne
ジョンソンズのベビーパウダーに、「クール・ウォーター」のコロンを振りかけた
※ダビドフ(Davidoff)の香水「Cool Water」は90年代に大流行した定番アイテム。原曲の「Polo」のコロンから90年代初頭のトレンドへとアップデートされている。

Now I'm fresh, dressed like a million bucks
これで準備万端、100万ドル(最高)の着こなしだぜ

Threw on my white socks with my all-blue Chucks
真っ白なソックスに、真っ青な「チャックテイラー」を履いてな
※原曲の「Ballyの靴(東海岸の富裕層の象徴)」から、西海岸のギャングスタ(クリップス)の象徴である青いコンバースへと見事にローカライズ。当時のLAストリート・ファッションの完全な提示である。

Stepped out the house, stopped short, "Oh no"
家を出たが、立ち止まって「ああ、ヤバい」

I went back in, "I forgot my Indo"
家に戻ったぜ、「インド(極上のマリファナ)を忘れちまった」
※原曲の「ステレオ(ラジカセ)を忘れた」から「大麻を忘れた」への変更。G-Funkのライフスタイルに欠かせない要素を強調している。

Then I dilly (Dally) I ran through a (Alley)
そして俺はブラブラ(歩いて)、路地裏(アレイ)を駆け抜け

I bumped into this smoker named (Sally) from the (Valley)
バレー(Valley)出身の「サリー」って名前のヤク中女にぶつかったんだ

This was a girl playing hard to get
こいつはなかなか手強い、気取った女でさ

So I said, "What's wrong?" 'cause she looked upset
落ち込んでるように見えたから、俺は「どうしたんだ?」って聞いたのさ

She said, um
すると彼女はこう言ったんだ

[Bridge: Nancy Fletcher]

It's all because of you, I'm feeling sad and blue
全部あなたのせいよ、悲しくて憂鬱な気分なの
※このブリッジのメロディは、坂本九の「上を向いて歩こう」の英語カバーであるA Taste of Honeyの「Sukiyaki」(1980年)を引用している。スリック・リックも原曲で歌ったパートだが、ナンシー・フレッチャーによる美しいソウルフルなコーラスが、G-Funk特有の哀愁と音楽的な深みを引き立てている。

You went away, now my life is filled with rainy days
あなたが去ってしまってから、私の人生は雨の日ばかり

I love you so, how much, you'll never know
愛しているわ、どれほどかなんて、あなたには絶対に分からないでしょうけど

'Cause you took your dope away from me
だって、あなたは私から「ドープ(ヤク/最高のモノ)」を奪い去ってしまったんだから
※原曲の「love(愛)」という言葉を、スヌープらしく「dope(麻薬/最高のヤツ)」に置き換えている。

[Verse 2: Snoop Dogg]

Damn, now what was I to do?
クソッ、俺はどうすりゃいいんだ?

She's crying over me and she was feelin' blue
彼女は俺にすがりついて泣いてて、ひどく落ち込んでた

I said, "Um, don't cry, dry your eye
俺は言った。「なあ、泣かないで涙を拭きなよ

And here comes your mother with those two little guys"
ほら、お前のお袋さんが、二人のガキを連れてこっちに来るぜ」

Her mean mother step, then says to me, "Hi"
その性悪なお袋が近づいてきて、俺に「ハイ」と挨拶したかと思うと

Decked Sally in the face and punched her in the eye
サリーの顔面をぶん殴って、目にパンチを食らわせたんだ

Punched her in the belly and stepped on her feet
腹にパンチを入れて、足を踏みつけて

Slammed the child on the hard concrete
連れていた子供を硬いコンクリートに叩きつけやがった

The bitch was strong, the kids was gone
そのビッチはメチャクチャ強くて、ガキどもは逃げ去っちまった

Somethin' was wrong, I said, "What was goin' on?"
何かおかしい。俺は言った「一体何が起きてるんだ?」

I tried to break it up, I said, "Stop it, just leave her"
俺は仲裁に入ろうとして、「やめろ、彼女から離れろ」って言ったんだ

She said, "If I can't smoke none, she can't either"
お袋はこう言った「私が(ヤクを)吸えないなら、この娘にも吸わせないよ」

She grabbed me closely by my socks
お袋は俺のソックスをきつく掴んできた

And so I broke the hell out and I grabbed my sack of rocks
だから俺は全力で振り解いて、「ロック(クラック)の袋」を掴んで逃げたんだ
※原曲の「ラジオ(ラジカセ)」を掴むという描写から、「sack of rocks(クラック・コカインの塊が入った袋)」へと変更。西海岸のゲットーにおけるドラッグ蔓延の生々しい現実をコミカルなストーリーに織り交ぜている。

But um, they gave chase, they caught up quick
だけど、奴らは追いかけてきて、すぐ追いつかれちまった

They started cryin' on my shoes and grabbin' my dick
俺の靴に泣きすがって、俺のチンポを掴みやがったんだ

And sayin', "Why don't you give me a play
そしてこう言った、「私と遊んでくれないの?

So we can break it down the Long Beach way
ロングビーチ流で、一緒にヤバいことをしましょうよ

And if you give me that okay
もしあなたがオッケーしてくれたら

I'll give you all my love today
今日は私の愛を全部あなたにあげるわ」

Doggy, Doggy, Doggy, can't you see?
ドギー、ドギー、ドギー、分からないの?
※スリック・リックの原曲「Ricky, Ricky...」のライン。のちにノトーリアス・B.I.G.が1997年の大ヒット曲「Hypnotize」のフック(Biggie, Biggie, Biggie, can't you see)でサンプリングしたことであまりにも有名なフレーズである。

Somehow your words just hypnotize me
どういうわけか、あなたの言葉に催眠術(ヒプノタイズ)をかけられちゃうの

And I just love your jazzy ways
あなたのそのジャジーなやり方が大好きなの

Doggy Dogg, your love is here to stay"
ドギー・ドッグ、あなたの愛は永遠にここにあるわ」

And on and on and on, she kept goin'
そして延々と、その女は喋り続けた

The bitch been around before my mother's born
そのビッチは、俺のお袋が生まれる前から生きてるようなババアだったぜ

I said, "Cheer up," so I gave her a hit
俺は「元気出せよ」って言って、彼女に(ウィードの)一服をくれてやった
※原曲の「gave her a kiss(キスをした)」から「gave her a hit(ドラッグの一服を与えた)」へとストリート仕様に書き換えられている。

I said, "You can't have me, I'm too young for you, bitch"
俺は言った、「俺はお前のモノにはならない。俺は若すぎるんだよ、ビッチ」

She said, "No, you're not," then she starts cryin'
彼女は「そんなことないわ」って言って、また泣き始めた

I says, "I'm nineteen," she says, "Stop lyin'"
俺は「俺は19歳だぜ」と言うと、彼女は「嘘をつかないで」と言った
※実際のスヌープはこの録音当時21歳〜22歳であったが、1985年のスリック・リックのリリック(当時リックは19歳)をあえてそのまま忠実にカバーし、先人への敬意を示している。

I says, "I am, go ask my mother
俺は言った、「マジだぜ、俺のお袋に聞いてみな

And with your wrinkled pussy, I can't be your lover"
それに、お前のシワシワのマンコじゃ、俺はお前の恋人にはなれねえよ」

[Outro: Snoop Dogg]

Yeah, uh, tick-tock, you don't stop
イェー、アー、チクタク、お前らは止まるんじゃねえぞ

And to the, uh, tick-tock and you don't quit
そして、チクタク、絶対にあきらめるな

Yeah, tick-tock and you don't stop
イェー、チクタク、お前らは止まるんじゃねえぞ

And to the, uh, tick-tock and you don't quit
そして、チクタク、絶対にあきらめるな

Bitch
ビッチ